2016/07/08 のログ
ご案内:「職員室」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > この白衣の男が朝早くから職員室を訪れたことには,別段,理由があったわけではない。
歓楽街の宿で数か月ぶりに人間らしい“睡眠”を得た身体は,昨日よりも少しだけ軽かった。

「…………。」

人影の殆どない職員室を静かに歩き,自分に割り当てられた机へ向かう。

獅南蒼二 > 白衣の男は,ふと,ある教師の机の前で,足を止めた。
整理整頓が行き届いているとは言えないが,別段何の変哲もない机上。
男は僅かに目を細めて,手を伸ばす。

「………ほぉ。」

その机から,獅南は一冊の本を手に取った。
A5判の小さな情報雑誌。
それは何の変哲も無く,そして普段の獅南なら決して手に取ることはないだろう本。

獅南蒼二 > 何故その本が目に留まったのか,それは本人にも分からなかった。
本を開いても,興味が惹かれるような情報は何一つ掲載されていない。
美術館など物心ついた時からずっと無縁であったし,
それはきっと,この先も同様であろうと容易に想像できる。

「…………。」

しかし,流し読みの末に,その手ははたりと止まった。
開かれているのは,付箋の付けられたページ。

そこに刻まれているのは,信頼すべき友であり,己を喰らう怪物であり,そして焼き殺すべき敵の名だった。

獅南蒼二 > 僅かに目を細めた後,獅南はささやかに,けれど確かに笑った。
友の門出を祝福するようでもあり,狩りの獲物を見つけたようでもあり。

「…………。」

雑誌を一旦机の上に置いて,隣の教師の机からペンと大きめの付箋を拝借する。
さらさらと付箋に何かを書き込んで,それを同じページに,しかし開かなければ見ることが出来ないよう,挟み込んだ。

獅南蒼二 > そして雑誌をもとあった通りに戻し,何食わぬ顔で背を向ける。
表情も変えず,しかし,もう職員室で無為な時間を使う様子も無い。
白衣の男は静かに扉を開け,そして扉は閉じられた。

後日,この教師を知る者にとって不可解な,あり得ないことが起きる。


獅南蒼二は,自らの担当する授業に,
1か月間の【休講】を申請した。

ご案内:「職員室」から獅南蒼二さんが去りました。