2016/09/15 のログ
ご案内:「屋上」に東雲七生さんが現れました。
■東雲七生 > 「………はぁ。」
夕暮の校舎。頬に絆創膏を貼った七生は、その日何度目かになるか分からない溜息をついた。
転落事故防止用のフェンスに寄り掛かって、赤みを増していく空を眺める。
「……生きてたのは良かったけど、さ。」
考えるのは、昨夜戦闘に巻き込まれてからのこと。
負傷して病院に文字通り担ぎ込んだ友人は、一名は取り留めたものの暫しの入院が必要との事だった。
■東雲七生 > 一方で七生も負傷はしたものの、持ち前の治癒の速さから入院まで及ばなかった。
単純な傷の数は七生の方が多い物の、それらは全て急所を外しており、出血もすぐに止めた為か大事に至らなかったのである。
そこは単純に、経験の差と思って割り切れてはいるのだが。
「……怪我させた原因については、ほぼ俺の所為だよなあ。」
溜息は増える。
彼が戦闘行為に至ったのは、七生自身が負傷したからである事は間違いない。
だとすれば、もし、あの時、自分が慢心せず相手の反撃を見切っていれば。
そもそも慢心など生まない程に全力で戦闘に取り組んでいたのなら。
自分も傷を負わず、彼には戦闘をさせず、全てが恙無く片付いたのでは無いだろうか。
たらればを考えればキリが無く、事実、七生は朝から──昨夜からずっとそのことばかり考え続けていた。
■東雲七生 > 「やっぱり、心配を掛けちゃ駄目だ。」
慢心に至ったのも、そもそも“負傷しても異能がある”と考えてしまう気持ちが自分の裡にあったからなのだろう。
異能には頼らず、一切怪我を負わずに相手を倒していれば。
そんな事を考えていた所為で、今日の授業は殆どその内容が頭に入っていなかった。
「やっぱ、弱っちいなあ、俺……」
どれだけ身体を鍛えようと、まだまだ心から甘さが抜けない。
その結論に何度も何度も至っては、重く息を吐いた。