2016/09/20 のログ
ご案内:「食堂」にリリーさんが現れました。
■リリー > 「なんじゃあここは!」
思い切り叫んでも当然、返事は返ってこない。
周りを見回して誰も居ない以上、返ってきたら怖いけれど。
落ち着いて整理をしよう。
この世界に来た時もこんな思考をしたか。
なんやかんやあってこの世界に召喚?され。
なんか野性味溢れるワイルドなお方に住む場所を提供された。
その場所で暫く暮らしていたらやけに卑屈な少女に出会い。
逆にこっちが謝りたくなるほどごめんなさいと連呼されながら。
「この島で暮らすには学園に通ったほうが何かと楽」
と言った情報を手に入れて。
言われるがままここに来て。
「もしかしなくても…迷ったか?」
適当にぶらついて。
いいにおいに誘われて。
迷子になった、吸血鬼がここに一名。
ご案内:「食堂」に小早川 妙さんが現れました。
■小早川 妙 > 「……ぁ、あの……。」
この人一体何してるんだ。
と、困惑と疑念を隠さんまま、やけに目立った髪色のリリーに声をかける、
それと対照的にとても地味な女子生徒。
何やら食事中のようだ。机に並んだ食べ物も、これといって特筆する事のない素朴な和食。
そして、周りにあまり人がいないそこは、この地味な女子生徒と同じく、
食堂の中に席は数あれ、美味しいながらも地味な食堂であった。
「その。も、もしかして…迷って……ました?」
挙動不審に何度もその辺を右往左往している様子を見ていた様だ。
もうこのエリアをぐるぐる回るのを見るのは何回目だろうか。
他に誰もいないで、ほおっておくのも内面的には御節介な妙の心がとがめるのだろう、
意を決して、おどおどしている風を隠さず、ちら、ちらと小さな声と自信なさげに彷徨する瞳をリリーへと向けて、質問する。
■リリー > おいおいおい待て待て待て。
内心で言っても意味は無いが、そんな事を思ってしまうのも仕方が無い。
能力に引っかからなかった?
いや、よく見ればちゃんと思考はある。
こう…例えとしては最適ではないのだが…サーモグラフィを思ってくれていい。
周りとほとんど同化している。
通常であればそこに何かあると確かに分かるのに。
…気配を消しているのか、素なのかはわからないけど。
本気を出せば探れはするのだが、裏を返せば本気を出さないと探れない。
探知としても使っている自身の能力。
自身が若干揺らぎながらもなんとか言葉を返す。
「お、おぅ…如何にも。迷子じゃ。」
どうするか。
どうするかなあ。
話しかけられた以上無視して変えるのも。
少なくとも悪感情はもって無さそうだし。
そんな数瞬の思考の果て。
彼女が打った一手。
まずは食券を販売する機械のほうに向ける。
それで適当に選んだ物を食堂のシェフに渡して。
少々お待ちくださいの合図を尻目に…この場合は尻聞に、の方がただしいのか?
彼女の前に戻る。
「…前、座ってもいいか?」
落ち着いて、話がしたい。
なお、言いながらすでに椅子を引いている最中である。
■小早川 妙 > 地味子、ショックである。
それはまぁ、もうこれ以上ないと言うくらい地味ではあるが、
探査能力を持っている者に見つからないとはきっと本人が知ったら全く嬉しくない事であるには違いあるまい。
ともあれ当然妙本人はそんなこと知らない。
そして、妙には中途半端な御節介の心のみである。
そりゃあもう、目の前であっちこっちうろつかれて、
他に誰もいなかったら、誰だって一声かけてしまいたくもなるだろう。
少々見た目がこう、私と違って目立ってるけど…イロイロ。
「?…どうか、…しました?」
何か変な間を感じてきょとんと二度瞬きを。それから…。
「あ、はい…ど、どうぞ……っ。」
拒否する気も間もなく、リリーは対面の座席へ座っていた事だろう。
「……??」
あれ、迷子だったんだよね?
なんで座るんだろう、という疑問は、座ったあとからやってきた。
とはいえ、多分この大きな食堂だ、お腹も空かせたろうし道に迷うこともあるんじゃないだろうか。
一瞬抱いた疑問は消えて、再び食事に手を付けた。
因みに、小早川妙の本日のお昼は
・ごはん小(梅干し付き)
・焼き鮭
・おつけもの
・わかめのお味噌汁
である。良くも悪くもありきたり過ぎて他になさそうである。
■リリー > 王様スタイル。
まずは椅子を用意。
どちらの脚が上でも構わないから脚を組んで。
片手―――これもどちらでも構わない―――は普通に肘掛に。
もう片方の手で頬杖を付き、相手のほうを向き完成である。
「んー…?んぅ?…ほぉ、お主、名前は?」
そんな王様スタイルをとって、遠慮なくじろじろと見つめる吸血鬼。
美人ではあるが、なんとなく書庫とかに篭ってそうと無遠慮なイメージを重ねていく。
近くにすくーるみずぎ?なるもので生活する淫魔やほぼ裸同然ですごすその母親等がいるせいで、
逆に誰がどう見ても普通と口をそろえて言うだろうそのスタイルが異様に見えてくる。
毒されすぎである。
本人の服装、いっそ衣装と呼んだほうがいいそれも充分異様である。
なお、頭の中でイメージしてた淫魔さんが「人に名前を聞くときは自分が先に名乗るほうが礼儀です!」とそれはそれは怒ってきた。
それもそうかと、
「我は…リリー。リリー=ヴァン=ゴエグジスタンス…って言うのじゃ。
………こっちだと結構珍しい名前らしいの?」
どっかの勇者は「ニホン」なる世界から来ているらしいし。
世界が違うなら名前も違うのだろう。
そんなどうでもいい思考をしていれば。料理が届く。
『お待たせ致しましたー。こってり豚骨ラーメン。超辛カレーライス。ハイストロベリーケーキでございます。』
「………。」
…絶句してしまうのも仕方ない。
そりゃ、適当に頼んだんだからこうなるのもまあ、ありそうではあるけれど。
縦に並んでるのを順に買ったのがまずかったのか?
それぞれ単品なら好物ではある。だが纏めてこられたら、とても腹に来そうだ。
思わずなんとなく、シェフさんからも地味子ちゃんからも目を逸らしてしまう。
「………。それで、ここは何処じゃ?」
ついでに話も逸らす。
■小早川 妙 > 「…はい?」
あ、やっぱりそういうギャルみたいな人なのかなぁと。
妙目線から見ればあまり行儀よろしくない座り方でしかないそれを見て…
……あれ?さっき「迷子じゃ」って言ってたよね?…ひょっとして…。
異邦人って、色々いるんだなぁ……と、痛感するのであった。
因みに、妙の座り方はこれまたフォーマル。両手を下ろして手は御膝、
もしくは食器を握って…である。
「……お、お主っ?!」
しかし、今更だが「凄い変な人」である。
なんかもう、……大丈夫なのかな、こう…スースーしてる格好だが。
一方で妙、学園の中間服である。
色んな意味で、対極だ。
して、名前を答えるより前に御主呼びに驚く妙。
暫し、更に変な人だなぁって認識しながら、けど聞かれたら答えてしまう。
「ぁ…はい、小早川です。こばやかわ、たえ…です、はい。」
妙にこっちを観察して来る、まるで珍動物への視線みたいなのにたじろぎながら、名前を名乗る。
珍動物は妙からすればリリーの方なのだが、いかんせんこうも二人両極端なのだ、
見たくなくても顔を見れば視界に入らざるを得ぬその格好とかと言い、
一体何処見て話せばいいのか、失礼にならないか、妙の方は困惑気味で…最終的に、
自分が注文した御盆の方へ俯きながら、ちら、ちらとたまに顔上げリリーを伺うスタイルになった。
「わ、我……。」
…こ…この人…ッ!きっと天然モノの中二病だっ!!!
―――実在していたとは。世界は本当に広い。
あぁ、なるほど…色々と合点がいってしまった。
不覚にも、クスっと笑ってしまったのは…しょうがない事だと思いたい。
「あ、はい。リリー…さん、ですね。
その……リリー、ヴァンまでしか覚えきれませんでした……ごめんなさい。
あっ、やっぱり異邦人の御方なんですね。私はこちらの世界産まれです。」
リリーさん、と御呼びすればいいのだろう。
それにしても、本当に変わった人だ。比較対象が主に自分であるが故に、
一層変わった人って言うイメージが浮き彫りになる。
「―――はぁ。」
今何かすごい品目が三つくらい聞こえた気がする。
こんなの食べて大丈夫なのリリーさん。
ぎょっとした顔で思わず店員さんとリリーに交互に向けて、ちらりちらり。
中二病でも異邦人でも、流石にあの三つはミスマッチだったのだろう。
表情を見て分かった。
「………。」
なんか、もう、何とも言えない。
気まずそうに硬直した表情で俯いた。
「……あ、はい!えっと!」
何か、気の利いた言葉を、手を貸そうか、とか、粋な冗談とか、そんなものを探しているうちに、
間髪を入れぬ質問。
「ここは、見ての通り食堂です…どこまで行きたいんでしょうか?」
道案内の基本から、スタート。
■リリー > 「なんじゃ?」
元中二病である。
元。元。
本人が真面目に思考を読めばそう絶対突っ込んでいただろう。
それでも「我は光の化身」とか吸血鬼のクセに何言ってんだと突っ込みたくなるようなことをのたまっていた時代からはマトモなのだ。
いや、ほんと。
なおそれでも気取った喋り方は、最早クセのようなものである。
「こばやかわ=たえ。か…ん?元居た世界の言い方ならタエ=コバヤカワが正しいのか?」
「でもあのスケベ勇者はアマギスズネと言っておったし…異世界人は変人ばかりじゃのう。」
そろそろ旬が過ぎたアイスみたいな色の髪をした勇者。
アレも確か似たような「ニホンジン」みたいな名前じゃったか?と諮詢しながら。
「…なんじゃ?信じとらんのか?」
基本的に奇人変人ワールドである「家族」ですごしてきたリリー。
昔はともかく今はマトモだと自負している。
…この異質な者を見る視線を向けられてもなおそう思えるところは、いっそ尊敬すべきところでさえある。
「変身の一つでも見せてやれば納得するか?ん?」
異邦人全員が変身できるわけでもないし。
そもそもこちらにも何人か変身できそうな超人は居そうである。
それに加えてそんなことをすればさらに変な者を見る視線が加速すると言った事に気づきそうではあるが。
「………。そうじゃなぁ。」
ぁむ、と見た目相応の可愛さを携えた擬音を発し、思案。
ちゅるちゅると吸いながら。
視界の端っこで移るほかのメニューにげんなりしながら。
「………この世界の知識とか、地理とかを知りたい。」
もぐもぐ。
「そのためには、ん、学園に通いたいんじゃが…あー、ん。」
もぐもぐ。
「どうしたらいいのかのう?」
ごっくん。
どっかの淫魔なら「食べるのか喋るのかどっちかにしなさい」とまた口うるさく怒鳴るだろうけれど。
■小早川 妙 > 「……なんでも、ないです。」
この人中二病!だなどと、一般普通の地味子の度胸では言いだせるわけがなかった。
なんかもう、色んな意味で直視できないと下向いてお食事に更けこもうとする算段。
「え?ああいや…こばやかわ、たえです。」
何で逆にしたんだろうか、アメリカ圏の言語なのだろうか…。
スケベな勇者?アマギスズネ?
っていうか、こっちからしたら異世界人も変人もそっちだー!!
内心のツッコミは声とはならずに飲み込まれる。
…謎は深まるばかりである。
「い、いえ、そう言う訳では…っていうかその、ちょっと、待って、待って下さい。
少し話についていけませんっ…えと。」
大体名前を聞いただけである。
あなたがリリー・ヴァン・ナントカを自称するのは勝手であるし、それを疑っているわけでもないのです。
でもちょっと色々中二っぽいからーと言う話で…ぐぬぬ。
「は、はぁ……えっと、はい。……はい?へんしん?ですか?」
変身って何?!
既にかなり際どい格好だが、テレビアニメとかであるヒーローやヒロインみたいに変わるんだろうか。
元からナニかから変身したみたいな格好なのは、突っ込んだら負けだろうか…。
寧ろ喋り方的に変身するより、変身した者に倒されそうな…
「……うぅ。」
この人は一体何者なんですか……。
叫ぶ抗議も出来ぬまま、話がそのまま流された。
変身は自由にどうぞとでもばかりに、ちょっと頭を抱えた。
「……た、食べてるぅ…。」
・滅茶苦茶にスープの旨味とダシ成分を誇ると評判のこってりラーメン
・龍が火を噴く程に辛いとされる茶色っていうかもう赤いカレーライス
・一口で甘い味に飽きると言われている苺ケーキ
見てるだけで胸焼けする。うう…。
「は、はぁ…。」
一言一言に加えて一挙一動ツッコミどころが多すぎるこの謎の異邦人。
行儀に関しては…言わない方がいいよね。
縮こまったままお味噌汁を啜った。
「んぅ……えっと。それじゃ…食べ終わったら、心当たりがある場所まで行きましょうか…。
異邦人さんの手続きとかは、良く知らないんですけど。」
一体何が必要なのかは兎も角、職員室や事務室へ赴けば、
大体そういうのを教えてくれる先生は居る筈。
この人、色々と手に余りそうだし、後の仕事は先生に任せようと心に決めたのであった。