2017/03/15 のログ
ご案内:「教室」にデーダインさんが現れました。
■デーダイン > この世の中には、どうしようもなくモテない奴ってのが、割と一定数居る。
それは、例え地球であろうが異世界であろうが、その他であろうが普遍の真理なのだ。
時間は少々遡り、所謂バレンタインデーとホワイトデーの境い目あたりの事。
「―――畜生ッッッ!!!!
何がバレンタインデーだ!何がホワイトデーだ!!
どいつもこいつもチョコチョコチョコチョコ浮かれ居ってッッ!!!!!」
例えば、たった今ここ家庭科室で奇声を発する不審者デーダイン。
彼もまた、そう言った類の一人であるのだ。
ただ、何だかいつもの不審者スタイルに…
とてもミスマッチな、可愛らしい青と白のチェック柄エプロンを付けている。
ただでさえ不審なのに、大変その見た目は奇妙である。
■デーダイン > 「末山のヤツも、松田のヤツも……それから、なんだ!
えぇい…生徒から、チョコを、うぐぐ、
なんなのだ……嗚呼。」
さっきまでやたらと暑苦しく奇声を発したかと思いきや、
今度は家庭科室の調理台の上で項垂れ始める。
さて、察しの良い方々は…否、そうでなくともお気づきであろう。
この不審者こと暗黒教師デーダイン、周りの教師が皆生徒からチョコレートを貰っていると言うのに、
たった一人、バレンタインデーにチョコレートを一つっきりも貰えなかったのである。
「それどころか、今年もゼロですか(笑)などと馬鹿にしてくれおってからに……
ホワイトデー楽で良いじゃないかとか何とか抜かし居って……」
ブツブツと呪詛の様に紡がれゆく魔術音声。
誰がどうみても不審者である事は、今に始まった話ではない。
■デーダイン > 閑話休題。
項垂れる姿勢からムクリと姿勢を正すデーダイン。
「だがッッッ!!!
それもこれまでだ!
クックック…しょうがないから、悔しいから…自分でチョコレートを作ってしまうのだよ。
フハハ、この日の為にチョコレートを大量に買い占めたのだ。」
ビニール袋に山ほど入れ込んだチョコレートを取り出し始めて。
それから、もう一つ、別途で用意したらしい、禍々しい暗黒の力らしいものが渦巻く、
フラスコを傍らに。
「……そして!
このチョコレートに暗黒神たる私が直々に呪いを掛けて、ホワイトデーに女子共に配ってくれよう。
正にホワイトデーは恐怖に染まりブラックデーとなるのだ…!
―――因みにその呪いとは、至って健全な範囲でパンチラする呪いだ。」
■デーダイン > 「ククク、恐ろしい…何と恐ろしい!!
こんな変態的魔術を組めてしまう私が恐ろしい!!
こんなアホみたいな事を思いついて折角の休みを潰している私が恐ろしいッッッ!!!」
「…では、調理に取りかかろう。
まずは…チョコレートを溶かすところから始め様か。
えーっと、適当なので良いか。」
アルファベットが描かれたブロックのチョコレートや、20円で色んな味があるチョコレート、
12個だからのチョコレート等…
その他諸々、多種多様である。
「まぁ、なんだ。
適当に袋から剥いて皿に出したのをオーブンでチーンってやったらいけるだろう。」
何ともガバガバな家庭科知識。
デーダインは暗黒神であり、黒魔術教師である。
バラバラーってなりそうなくらい沢山のチョコレートを御皿へひっくり返せば、オーブンへ入れて。
■デーダイン > 「ウム…何分くらいがいいだろうか。
とりあえず5分くらいやっとくかね?」
山盛りのチョコをセットして、時間を決めればあたためスタート。
それから、調理台へ振り返る仮面。
「さて、次だ。
チョコが出来上がるのを待ってる間に…クックック、
やっぱり手作りチョコレートの醍醐味といえば…これだな。
……なんて言う名前なのかしらんが、コレだよ。」
家庭科室の方々から取ってくるのは、丸三角四角に、星型、ひし型、ハート型、
それらの型を抜く為の金属の器具である。
「……ふむ。
どれも中々イカした形だ。
だが、やはりここは……バレンタインデーホワイトデーであることを考えれば、ハート型だろうか?
いやしかし、私からハート型のチョコってどうだそれ?ウーム。」
■デーダイン > ああでもないこうでもないと、ハート型の器具をグルグル仮面の前で回して見つめるデーダイン。
「いやあ、やっぱり不気味がられるよなあ。ハートって私もちょっとあれだわ。
やっぱ、無難に星型かひし型かね?
暗黒の中で輝く星!みたいな……そうだな、星型にしてみようか。
どうせ沢山チョコレートはあるのだ!後は焼き上がるまで暫く待つとするかぁ…。」
■デーダイン > チーンッと小気味の良い音がする。
早速ワクワクしながらオーブンの前へ向かうデーダイン。
しかし、妙な焦げ臭さと甘すぎる匂い、そして煙がデーダインを迎えるのだった。
「おえ…なんか焦げ臭いッッ?!
どうしたことだッ!!私の黒魔術は完璧だった筈ッッ!!!
畜生…もう一度、もう一度だッッッ!!!!」
如何に黒魔術が完璧で、
そして恐ろしいパンチラの術式を組むことが出来たとしても、
ちゃんと勉強をしてからでなくては、満足にチョコレートを溶かす事も出来ない。
何度も何度も自己流のやり方でチョコレートを溶かす事に悪戦苦闘するデーダインが、暫く見受けられた。
家庭科知識がガバガバなデーダインによるブラックデーが開催されるのは、遠い未来の話だったのかもしれない―――。
尚、その日の一件でデーダインが家庭科の先生にしこたま叱られたのは近い未来の話である。
ご案内:「教室」からデーダインさんが去りました。