2017/07/08 のログ
柊 真白 >  
そういうことじゃない。
――それに、この島で見たものをそのまま信じない方が良い。

(余計なお世話だろうけれど。
 立ち振る舞いを見る限り、彼はこの島が長そうだ。
 そんな彼にこんなことを言うのは釈迦に説法だろうけれど。)

誤解なら解けば良いし、なんなら誤解じゃなくしても良い。
――そう。

(とんでもないことを言った後、ふいと視線を外す。
 好意をまっすぐ向けられることは、まだ慣れない。)

筑波 察 > 「はっはっは!それには同感だ。ものすごく同感。
目に見えてるものは思いのほか当てにならない。
でもね?全く見えないっていうのはもっと都合が悪い。
君は目隠しをしたまま街をふらふら歩けるかい?」

そのまま信じるのは確かに危ういが、要は線引きの問題なのだ。
よく見える世界と、まったく見えない世界、両方を知っているからこそ、
目の前の少女には自信をもってそう言える。

「でも誤解を生まなくて済むならそっちの方が合理的だと、
そう思わないかい?君ならてっきりそういうと思ったけど」

なかなか大胆なことを言ってくれる相手を、
再びからかうように言って見せる。
案外相手をおちょくるのが好きな性分なのだ>

柊 真白 >  
平気。
見えなくても歩測しながら頭の中で地図と照らし合わせれば歩ける。
人も気配でわかるし。

(そういうことじゃない。
 そういうことじゃないが、こちとら至って真面目である。
 至って真面目に「目隠しで街を歩けるか」と言う問いに答えているのだ。)

別に困らない。
貰う物は貰うけれど。
――ああでも、私みたいなのは趣味じゃないなら、無理だけど。

(からかいにも動じない。
 こういう流れで仕事が得られるのだから、むしろこちらの方が合理的だ。)

筑波 察 > 「今日何度目かはわからないけど、君に対する評価がまた少し変わったよ。
君は気が強くて、負けず嫌いで、真面目。そしてちょっとあほの子」

平気と言い切る相手にまた笑いがこみ上げる。
なんだか幼い子が背伸びをしているように思えたのだ。
本島に帰った時、親戚の小さい子がまさにこんな感じで受け答えをしていた。
本人はふざけているつもりはない。だからこそ微笑ましい。

「君は困らないかもしれないけど、僕の方がいろいろ困るんだ」

今度は逆にこちらが困ったような反応をする。
思いの外、というか思っていた以上にこの子は真面目なようだ。
もしかした見た目の数倍は生きていて、
見た目の何倍も強いのかもしれない>

柊 真白 >  
あほじゃない。

(さすがにむっとする。
 とは言え顔に出るのはわずかなもの。
 じいと僅かに細めた目で睨みつける――と言うより、凝視する。)

そう。
じゃあ、やめておく。

(彼が困ると言うのならあっさり引き下がる。
 何が何でも金がほしいと言うわけではないから。
 そこへ、授業の終了を告げるチャイムが鳴った。)

――次の時間、授業あるから。
またいつか。

(そう告げて立ち上がる。
 そのまますたすたと室内へ続く扉へと歩いていき、がちゃりと空ける。
 室内に引っ込む前に、一度彼の方を振り返り、そのまま扉を閉めて屋上を後にした。)

ご案内:「屋上」から柊 真白さんが去りました。
筑波 察 > むっとする相手に"ごめんごめん"と謝れば、終業の鐘が響く。
そして授業に向かう相手に"またねー"と手を振る。
屋上を後にするとき、目が合ったような気がした。

「そういえば、お互い名前を教えてなかったな」

あれだけ話していたくせに、自己紹介を忘れていた。
お互いどんな料理なのか知らないまま食べていたことになる。
それだけが後悔に似た感覚で頭に残っていた。

「今度話すときはちゃんと自己紹介をしよう」

そう言って、すっかりぬるくなってしまったココアを飲む。
冷やそうとすれば簡単に冷やせるが、あえてそんなことはしない。
屋上にズズズズーという、ストローが空気を吸い上げる音が響いた>

ご案内:「屋上」から筑波 察さんが去りました。