2015/07/08 のログ
ご案内:「保健室」に河山 海空さんが現れました。
■ウェインライト > 「それはすまないことをしたね、ミス。
ここで僕は死なないことを誓おうじゃないか」
あっさりと安請け合いするウェインライト。多分それはフラグだ。
グラスに注がれたミルク。
それを揺らしながら、冷蔵庫に背を預ける。
どこまでウェインライトが考えているかは分からない。
だが、蓋盛に対してウェインライトは微笑んだ。
「改めてお礼を言うよ、ミス。
君の言葉がなければ、僕はここに居なかったかもしれない」
紅い唇が弧を描く。
■河山 海空 > 「……あ、あのー……凄い声が聞こえたんですけれど、大丈夫ですかー……?」
おずおずと、部屋に入ってくる人物が一人。
一応、教員では有るが若さと本人の雰囲気のためにあまりそうは見られない。
今も、悲鳴を聞いて心配してきたわけだがまるで頼りにならなそうである。
■蓋盛 椎月 > 「そう……」
安請け合いには半笑いで応える。
そう簡単に死ななくなるぐらいなら彼も苦労していまい。
自分も何か飲もうかと思ったがさっき珈琲を口にしたばかりだ。
「あら、そう?
照れるな~。大したことは言ってないけどね。
あれできみの助けになれたならよかったよ」
はにかんで首の後を掻いた。
「ああ、大丈夫大丈夫。ちょっとコントを演じてただけだから」
さらなる入室者には、ひらひらと手を振って大丈夫さをアピール。
■ウェインライト > 「言っただろう? 野に咲く鈴蘭のようだと。
それが作られた言葉でもなく、君の心から出た言葉なら、それは"美しい"といえることさ」
大したことがないという彼女にウェインライトはそう返す。
この世界に来て、最初に聞いた、大したことのない言葉。
それこそが。
栓のないことだ。
一笑に付すと、扉が開く。
「これは新たなお嬢さん」
かつて見るもの全てを魅了した美貌。
男とも女とも取れぬ長躯。
赤い瞳が河山へと向けられる。
「なに、少々気恥ずかしいことが起きただけさ」
■河山 海空 > 「コント……ですかー。それなら、いいのですけれどー……」
答える女性には覚えがある。この部屋の主、養護教諭だ。
コントといえば、一人では出来ない気がする……と思ってみれば、美麗の君がいる。
なるほど、コンビの相手はこの人物か。
「……なんだか、コントって感じのしない相方さんですねー」
素直な感想を述べた。
美麗の君がお笑い担当、というのもなかなかにシュールなものがある。
■蓋盛 椎月 > ウェインライトの言葉に、愉快そうにくつくつと笑う。
こいつはなんだか自分とよく似ている。
「そりゃありがとよ。
きみみたいに掛け値なく美麗なものにそう評されるとこそばゆいね。
きっと共寝の相手にも不自由なかったろうな」
今じゃ少し身体を触れ合わせただけで逝ってしまいそうだけど、と付け足す。
このギャグじみた体質がなければ老若男女問わず彼に夢中となったろう。
「綺麗だからこそ可笑しく感じられることもあるんじゃない?」
率直な疑念にはやや適当気味にそう返す。
■ウェインライト > 「コント」
体験はないが知識もある。あれもあれでひとつの美、なのだろうか。
おおよその娯楽は、人の感情を掻き立てるという時点で賞賛に値する。
具体的にどのようなやりとりをするのかはまったく知らないウェインライト。
大体お前がやってることがそれだ。
「この僕が美しいのは世界の理。それで笑みが浮かぶのはしかたのないことさ!」
堂々と言い放つ。
堂に入ったキャラクタアとも言えるし、咲き誇る華のようにも思えるだろう。
「そうとも。だから誇り給えよ、ミス蓋盛。
僕は君のことが好きだからね。
……共寝? ああ、最近はとんとしてない……な……」
1Hit combo! 約束をしていなかったら危ないところだった。
そろそろ己のエレガントな基準の生活に戻していきたい。
■河山 海空 > 「なるほどー。確かに、ギャップ、というのは面白いかもしれませんねー……
ああでも、それならお邪魔でしたかー?」
二人の言い分を聞きつつ……そうか、それならすわ、事件かと思った自分の勘違いだったわけで。ああ、これは大恥だ。
「共寝……あらー……」
ちょっと大人の会話だなー、なんて思いながら聞く大人がいた。
こんな美形の存在ならそんな浮き名を流すようなことも日常なのだろう……
■蓋盛 椎月 > 「別にジャマということもないけどね。
こいつは存在自体がコントみたいなものだからさ」
へらへらと笑う。
ウェインライトを一瞬包みかけた死の気配にはちょっとビビる。
(そうか……この手の世間話でもダメか……はかなすぎる……)
とはいえそこで萎縮する蓋盛でもない。
そこまで期待していないし。
「好き――か。やめてくれよ。
気軽にそんなこと言うものじゃ――」
苦笑混じりの言葉の途中で、ああ、と気づく。
“同じ”だ。
「光栄だね。ウェインライト卿。
あたしもきみのことが好きだよ。とてもね」
ウェインライトの赤い瞳を覗きこんで、堂々と優雅に笑み直す。
目の前の美にはかなわないだろうけど。
それが果たすべき礼儀であるような気がした。
■ウェインライト > 美しくない血を人知れず飲み込みながら、笑みを絶やさぬウェインライト。
「邪魔? なに、案ずることはないよミス!」
しなやかな足が踊る/絹のような髪が揺れる/朗々と歌い上げる。
「僕の美しさにみなが萎縮してしまうのは理解できる!
しかし、それでは永劫太陽を抱きしめることはできないさ」
己の身体を抱きしめながら、陶酔気味に語り、しなを作る。
「だから堂々と胸を張り給え。
……こちらのミスも、そうしてくれるように」
そう言って視線を向けた先。赤い瞳と、茶けた瞳が絡み合った。
一秒。交じり合わせた後に、河山へと視線を移して片目を閉じた。
己の瞳は美しすぎるという自信の現れ。
これならば見つめ返せるだろう?
――挑発。
■河山 海空 > 「存在自体がコント……なんだか凄いですねー……
そこまで来るとある種、極み、なんでしょうかー。」
なんだかよくわからないけれど、この美形ならなにをやっても許される……というか、なにをやってもおかしくないような空気がある気がする。
だから、蓋盛先生の言い分も多分おかしなことではないのだろう。
「ほわぁ……」
それにしても――
好き、と。平然と言い合う二人の姿にはとても大人なものを感じる。
愛を語っているわけでもないだろう、というのはわかるけれど、なんとなくこの美形との間でソレを語るのは勇気がいるな、と思うのである。
――が
その相手が、自分を指名してくる。
挑発するように。堂々と。己を見よ、と。
瞬間、頭が混乱する。が、言葉に引かれるように。瞳に吸われるように。
その顔を、見据えてしまう。
「あ、えっとー……は、はいー」
漏れでた声は相変わらずのん気で。ああ、何をやってるのだ情けない、などと思い。
■蓋盛 椎月 > 蓋盛が教師として赴任してきたのは一年前だ。
ゆえにロストサインの活動については直接は知らない。
しかし彼がかつてその一員として破壊の限りを尽くしてきたというのは
ひどく説得力のある話だった。
美とは暴力的なものなのだ。
圧倒的なそれは、存在するだけで周囲を傷つけ、関わったものの人生を狂わせる。
伝え聞く嵐の如くの暴威はそれによく似た印象を受けた。
しかし。
「ウェインライト、きみの美は人を傷つけもするが――
人を救いもするだろう。
あたしは後者となってくれることを祈っているよ」
自分の胸に手を当てる。
その美しさが太陽のように輝くなら、迷う誰かを導けるのだ。
今、自分がそうされたように。
――美しいものは、隠され、遠ざけられてはならない。
誰に咎められることもなく、堂々と輝き続けるべきなのだ。
茜にそう願ったように。
ウェインライトにもそうあってほしい――
それが蓋盛の望みだ。
■ウェインライト > 「存在自体がコント……」
重ねて言えば、ウェインライトはコントという存在を知らない。
だからこそ、自信満々に両手を広げて言う。
「僕の美を見て、それをどう受け取るかは君の自由だ。
その美しさが笑顔を運ぶ極みであるというのなら、そうなのだろう。
いいかね、ミス。己の美は追求するもの。そして他の美は愛でるものだ」
まるで物怖じしたような態度の河山に向けてウェインライトは語る。
奇しくも、いや、それはもしかしたら蓋盛にすら向けた言葉かもしれない。
「だから君も、僕の美を讃えたまえ。そして、己の美を見つめなおすといい。
君の美は、君が育てるものなのだから」
笑う。どうしてもこらえきれなかったという風に。
紅い舌がその隙間から覗くほど。
「僕は美を追求し、他の美を審美し、愛でるのみさ」
ウェインライトの歩んできた年月の中。
美を見出さなかったものは当然のようにある。
しかし、他者の行ない、その美学について否定したことは一度もない。
だから咲き誇る。
蓋盛と河山の間に立ち、踊るようにターン。
微笑った。
#ちなみに、後日コントの意味を知って一死しました
■河山 海空 > 「美……」
正直なところを言えば、容姿の上で言えば自分は十人並み程度だろうことは自覚している。
ソレをどうこう思ったことは今までないが、こうも圧倒的な美の前に立つと流石に気が引けたのは事実だ。
しかし、この美麗の君が言うのはそういうことではないだろう。
己の美は追求するもの、他の美は愛でるもの……
美の具現化とでも言えそうなこの人物がいうのだ。説得力は極上といえた。
「んー……そうですねー。確かに、あなたは美しい、と思いますよー。
多分その、生き方とか、考え方とかー……そういうもの全部が。
私はー……あはは。料理を研究するだけがとりえ、ですけれどー。
それで美になれるなら、嬉しいですねー。」
で、あれば。素直に。思ったとおりに。飾ることなく――言葉を紡ぐ。
それが多分、礼儀なのだろうと思う。
蓋盛先生は人を傷つけることも、といっているが……いや、そうか。
現に自分が萎縮したように、この美は危険を伴っているのも確かだ。
「それにしてもー……随分と個性的な方、ですねー。
蓋盛先生、この方、どんなかた、なんですかー?」
思わず蓋盛先生に振ってしまった辺り、まだ萎縮が残っているのだろう。
■蓋盛 椎月 > 事務椅子に座り直す。
新しく用意したグラスに、冷蔵庫から出した麦茶を注ぐ。
あまり喉が乾いていたわけでもなかったが、
何かを飲むと気持ちが落ち着くのだ。
満足したように頷く。
「そうだな。きみはそれでいい」
さきほど語ったのは手前勝手な願望にすぎない。
けれど言わずにはいられなかった。それが祈りというものだ。
叶えられないとわかっている約束を結んでしまうような、愚かな試み。
美しさという花は純粋さの上に咲くのだ。
「彼はウェインライト。最近復学した生徒だ。
ちょっと死にやすいけど、すぐ生き返るから安心してくれ。
もし授業で見かけることがあったら、よろしくしてやってくれ」
河山には、最低限のプロフィールを伝える。
他にもいろいろあるが――まあ、後は実際に話していけば自然とわかるだろう。
■ウェインライト > 「そう! 僕は美しい。それは世界の摂理だ。
僕は美しすぎるだけ。最も優美にして最も華麗なウェインライトだからこそ。
だからといって他が美しくないわけじゃない」
悠然と歩む。河山の方向へ。
踵が鳴る/身体が迫る/瞳が迫る
「君は僕の美に追い付くことはないのかもしれない。
だが、それは確かに在るんだ、ミス。
だからいずれ、君が君であるための美を見つけたならば、僕に……」
見せてくれたまえ、と。囁くように言った。
そのまま、河山からすれ違うように入り口へ。
悠然と/艶然と
歩く/笑む
振り返り、
「そう。僕はウェインライト。
……そろそろ僕は行かせてもらうよ、ミス蓋盛。
また来よう。そちらのミスも、また会おう」
優雅に一礼した。
■河山 海空 > 「わ、わ……」
迫る美形に、思わず一瞬たじろぐ。
駄目だ。頑張れ。気後れしてはいけない。
「……ああ……ええ、そう、ですねー。頑張ってみましょうー」
囁きにそれだけを答える。
相変わらず、のん気な声ではあったが。それでも、精一杯だ。
「あ、河山海空ですー。一応、これでも教員してますのでー。
学生さんなら、教室であうことも、あるかもしれませんねー。」
去り際……そうだ、名前くらい知っておいてもらっても……そんなことを考えて、声をかける。蓋盛先生に今しがた聞いた情報もあるし、ちょうどいい。
「……学生さん? 復学、なら……なるほど、なんか納得ですねー」
口にしてから違和感を感じる。思わず蓋盛先生を見返すが。
しかし、すぐに自己解決。複雑な事情で復学、ならまあこんな浮世離れした存在も学生しててもおかしくはないだろう。
■蓋盛 椎月 > 「ああ、また。元気でな……」
手を振り、出口へと向かうウェインライトを見送る。
通例的にそんなことを言ってしまったが彼にとっての元気とは何を指すのだろう。
すぐ死ぬし。
「いろいろあったのさ」
ウェインライトについて軽く調べれば“いろいろ”の内容はわかるだろう。
自分で説明するのも面倒だった。個人的にはどうでもいいことだし。
ふう、と大きく息をつく。二連続で重く、濃い相手だった。
楽しい時間ではあったが、疲れることは疲れる。
「まったく。
ここは個性的な連中がいて、飽きないね、ほんと……」
■ウェインライト > 彼女の名前。河山海空。
一度己の胸にその名を刻み、最後にフィンガースナップ
「それだよ、ミス河山。
君は怯えながらもこの僕の美に立ち向かおうとしている。
それは実にいいものさ。特技のあるなしにかかわらずね」
微笑ってからグラスの牛乳を飲み干して。
白いヒゲをつけたまま。
「それではアデュー!」
グラスを手近なところに置くと立ち去っていく。
例外なく。扉が閉まった後どさりと音が響いた。
――ウェインライトは忽然と姿を消していた。
#死因・1Hit comboからのやせ我慢
ご案内:「保健室」からウェインライトさんが去りました。
■河山 海空 > 「なるほどー……色々、ですかー」
立ち去るウェインライトの残した謎の音に一瞬眉をひそめつつ考える。
あの御仁のことだ。本当に色々ありそうな気はする。
とはいえ、流石に学園そのものをひっくり返すような事件を起こしていたとは想像もつかない。
「そうですねー。ホントに、ただの学生さんな年頃の子が多いのにー、なんだか大人びた子もたくさんいますしー。
異能だとかなんとかって、精神にも影響するんですかね―?」
個性的な連中が多い……と言われれば、自分にも色々と心当たりはある。
■蓋盛 椎月 > (あ、死んだな)
そろそろウェインライトの死にパターンも把握できてきた。
「そりゃあね。あたしだって自分の異能には随分と影響されましたし。
強すぎる力は人を変えてしまうんですよ。
いい方向にも悪い方向にもね」
事も無げに言って、くぁぁ、とあくびをひとつ。
■河山 海空 > 「んー……先生も、ですかー。」
なるほど、蓋盛先生のいうことももっともなんだろうな。
異能を持たない自分だって、魔術一つで随分と世界が変わったものだ。
「そうなると、そういう相談とかも来たりするんですかねー?
力によって変わった自分について……とか。」
そういえば、此処は保健室で。蓋盛先生は保険医だ。
カウンセリングの類なんかもやったことはあるのではないか。
そんな想像から、なんとなく聞いてみる。
ご案内:「保健室」に月陰ミツキさんが現れました。
■月陰ミツキ > にゅう と 保健室の入り口に前足が差し込まれ、ちょっとずつドアが開くと、首にバックを掛けて口に怪我をした魔犬を咥えた狼が部屋へと入ってきた。
怪我をした魔犬を咥えた顔を、そっと二人の先生に向けて少ししてからそっと蓋盛氏に差し出す狼。
■蓋盛 椎月 > 「月に何人かは来ますね。生徒の相談に乗るのも養護教諭の仕事ですから。
……まあ、明瞭な答えが出せたことはほとんどありませんが。
結局そういうのはそれぞれ本人が向き合わなければならない問題で、
他人ができることというのはその手伝いをする程度ですから」
事務椅子の背もたれを大きく傾ける。
「河山先生も、そういう悩みを抱えた知り合いの生徒とかいます?」
■蓋盛 椎月 > 「……おや。怪我人……怪我犬か」
今日は千客万来だな。
そう呟いて差し出された犬を預かり、軽く診る。
(獣医ではないんだけど……)
塗り薬(人間用だ)を出し、患部に塗ってやる。これで治るだろうか。
■河山 海空 > 「あー……やっぱり、ですかー。
なかなか難しい問題ですよねー……
幸い、なのか。私はまだ、そういう子には会ってはいないんですけどねー。
今後何処で会うかわかりませんし……現実は知っておいていいかなーと」
蓋盛先生にそこまで答えたところで……狼に気がつく。
なんだか怪我をした犬……らしきものをくわえて連れてきている。
「あら、あら……急患さんだわー。賢いのねー。
蓋盛先生、動物でもどうにか出来ますー?」
まあなんとでも応用は効きそうな気はするのだが、一応聞いておく。
最悪、自分の力で治療はできるだろうけれど、此処の主を差し置いて行動する訳にはいかない。
■月陰ミツキ > 蓋盛先生が処置を始めたのを見た後、河山先生が怯えて居ないのを確認したのちベットの方へ消えていく。
暫くして狼の影が人型になると、衣擦れの音がして一年生の月陰ミツキが現れる。
「この子を助けてくれて有難うございました」
助かった……という顔だ。
■蓋盛 椎月 > 「理解できないような悩みや苦しみを持っている生徒は多いですね。
そういうのに会ったら出来るだけ突き放さず、
なんとか寄り添ってあげられるようにしてください。
うまくいけばあたしら養護教諭やカウンセラーの仕事もヘリますし」
軽く冗談めかして。
ああ、獣人だったか。
この手の種族もたまに見るので、そう驚きはしない。
「なに、治せるなら治すのが仕事だから。
……いまのはきみの友だち?」
■河山 海空 > 「ん……そうですねー。お互い、協力しあった方が効率はいいですしー。
うん、その時は頑張ってみますねー」
冗談めかされたその言葉を、しかし真摯に受けとめる。
これでも教員の一員なのだから、できることはやらねば、などと思うのだ。
「あらー、獣人さんだったのねー。なら賢いのも当たり前よねー」
月陰さんの姿を見て納得する。
それにしても、いちいち物陰に隠れて着替え、というのは大変そうだなあ
■月陰ミツキ > 「えぇ、森の中で遊んでいたら怪我した子が居たので……彼らに治療能力はありませんから」
蓋盛先生とは一度だけ面識があるが、河山先生の方には面識が無かった……二人の会話から先生だと判断して畏まってみる。
「賢い……かどうかは解りませんが、お陰でココを思いつけました」
そう河山先生の顔を見ながら言葉をつむぐ。
■蓋盛 椎月 > 「なるほどね。よく連れてきてくれた。
罠にでもひっかかったか、それとも誰かと喧嘩したか……」
両目のあたりを揉む。
……事務椅子から立ち上がる。少しよろめく。
(試験期間中がんばりすぎたか)
試験期間終わったらしっかり休みをとろう。
タバコも減らそう。運動もしよう。健康的だ。
「すみませんちょっと仮眠します」
スマートフォンを取り出してアラームをセットする。
そしてそのまま、ベッドのある敷居の向こうへと消えた。
ご案内:「保健室」から蓋盛 椎月さんが去りました。
■月陰ミツキ > 「お休みなさい」
保健室の先生は仮眠室まで移動しなくてよくていいな 等と考える。 学生の身には叶わぬ願いだろうから。
■河山 海空 > 「あら、お疲れ様ー……んー、ワンちゃんはー平気そう、かしらー」
蓋盛先生を見送って……そして犬の様子を眺める。
一応、人間の薬とはいえ怪我程度なら普通に効いているだろうか……
「そうねー。じゃあ、私からもちょっとお手伝い、しておくかしらー」
すみませんねー、と適当な容器を探し出してきて何かを作り始める。
■月陰ミツキ > ワンちゃんと呼ばれた魔犬は、匂いを嗅ぎ取って少しずつソワソワし始めた。
気性の荒い性格では無いようで奪い取ろうといった雰囲気は無く、大人しく待とうとして失敗している感じに見える人には見えるだろう。
ミツキもそんな魔犬の様子を見て頭を撫でながら
「よかったねぇ」
等と話しかけている。
■河山 海空 > 「ワンちゃんだしー、味付けは控えめにー……
んー、ベースはー、栄養を強めに―……っと、これでいいかしらー」
札を取り出して、何やらごそごそしていたが……
やがて、いい匂いのする液体……いわゆる、スープをもってくる。
「これ、ちょっと舐めておくとー。少しは元気になる、と思うわー」
そういって魔犬の前に差し出すだろう。
■月陰ミツキ > 「!!」
パァ……!!
と輝くような笑顔を見えてそのスープを飲みだす魔犬。
どうやら口にあったようで一心不乱に飲んでいる。
尻尾は千切れんばかりに振られており機嫌はそうとう良さそうだ。
■河山 海空 > 「ちょっと多めに作っちゃったし、貴方も食べるー?
ええ、と……何サンかしらー?」
嬉しそうに食べる魔犬に満足そうな表情を浮かべ……
そういえば、と月陰さんに問いかける。
■月陰ミツキ > 「一年の月陰ミツキです…戴きますっ」
どうやらミツキの方もお腹が空いていたようだ……というより食欲を刺激されたという方が正しいかもしれない。
■河山 海空 > 「月陰さんねー。どうぞどうぞ、食べてねー」
そういえば、獣人の場合味付けの好みは動物よりなのだろうか、人よりなのだろうか……
と。この島にいるならきっとぶつかる問題に気がついたので、とりあえず聞いておこう。
「味付けの好みが、人よりなのか、狼よりなのか分からなかったからー。
もし味付け語りなさそうだったら、この調味料を足してねー。
大体、それで調節できるはずだからー」
懐から調味料の入った瓶を取り出しておく。
■月陰ミツキ > 「ありがとうございます……戴きます」
少し振りかけて飲んでを繰り返し、丁度いいと感じた所で黙々と飲みながら再度喋りだす。
「私はこっちの姿だと人間とほぼ変わらないですね……狼変化中だと狼の味覚になる感じです」
■河山 海空 > 「んー……なるほどねー。他の子にも当てはまるかわからないけれど、参考にはなるわねー。
……あ、そうそう。私は河山海空。一応、此処で家庭科とかの先生をやってるわー。」
のんびりと、自己紹介を付け加える。
「んー……やっぱりー、獣人とか、異邦人とか……そういう人たち向けの料理―、とかも考えてみてもいいかもしれないわねー。
なんだか、新しい発想を貰ったわ。ありがとうねー」
いまいち、感謝の意味がわからないかもしれない。そんな謝礼を述べる。
■月陰ミツキ > 「いえ……此方こそこの子と私にスープを下さりありがとうございます」
スープを貰って礼を言われた事が不思議だったのだろう、少し驚いた顔をしている。
とそこで、飲み終えたらしい魔犬が何やらミツキの方に吼えている。
「わんわん……くぅうにゅにゅあぉあぉ? くぅ」
同じようにミツキも獣の言葉で会話をしつつ四次元かばんの中から、状態の恐ろしく良い魔石と革を取り出した。(革はよほど丁寧になめしてあるようで品質がかなり良い)。
そして再び魔犬が……今度は河山先生の方を見ながら吼える。
「あぅあぅうー あぉあぉ?」
「彼の言葉を通訳しますね【「ボクらが掘り出した石と、ボク等が捕まえて加工した革……あげる】だそうです」
魔犬は相変わらず尻尾を振っており、そんな言葉を口にしてるとは説明されるまで想像もつかないだろう。
■河山 海空 > 「ふふふ……いいのよー。創り手は消費してもらえる人がいてこそ、だからねー」
にこにこと、楽しそうな笑顔を浮かべる。
すっかり美味しくいただかれた皿の中身を確認すれば、喜びをひとしおだ。
「ん……私に? そんな、大したことしてないからいいのに。
義理堅いいい子ね」
魔犬の方をまじまじと眺めながら……通じないとわかっていても、思わず真面目に答えた。
■月陰ミツキ > 河山先生の言葉にミツキは再度頭を下げる。
優しい先生なんだなぁ……と想っているのが伝わりそうな笑顔を浮かべ先生の顔を見て和んでいる。
と、河山先生が喋り終えるのを待って再度獣の言葉を発する。
どうやら今度は河山先生の言葉を彼に翻訳しているのだろう。
そうすると暫くして、魔犬が再度何事か喋り始めた。
「えぇと 『今度 皆 一緒に来ていい? 皆喜ぶ』です」
どうやら相当に河山先生の作る料理が気に入ったのだろう……普段魔法で焼く位しか調理法を持たない彼らからすれば、河山先生の作った料理は軌跡に等しい。
■河山 海空 > 「んー……わかったわー」
うん、とうなずく。
返事をしつつも、そうだ、これはいっておかないと、と思う。
「ええ、とー。別に来てもいいけれどー。いくなら職員控室の方かしらねー。」
■月陰ミツキ > またミツキが同じように彼に通訳を行うと、彼はもう一度笑顔を浮かべてベッドの方へ向かう。
蓋盛先生の居るベッドへと潜り込んでいった。
■河山 海空 > 「ん、賢い子たちねー。
蓋盛先生の方は……まあ、大丈夫、よね?」
ベッドに急に潜り込んで平気かしら……思ったけれど、きっと大丈夫、だろう。
悪い子でもなさそうだし。
「んー、だいぶ話し込んじゃったわねー。
私、ここの主でもないからー……そうね、そろそろ戻るけれど……ワンちゃんも平気そうだし、大丈夫かしら?」
一応気になるので、月陰さんに確認をとる。
■月陰ミツキ > 「大丈夫じゃ無いですかネ……自分から人類に手を出すような子達じゃないですし、蓋盛先生に何も言わずに横に寝ているあの子に何かする人は居ないでしょうから」
蓋盛先生の噂を知っている身としては、あの子と噂に成ったら悪いなあ……流石に無いだろうけどもと想ったりはする。
「私も用事は済みましたし、保健委員と誤解されても困りますから戻ります」
■河山 海空 > 「ん、そうねー。それじゃ、また何かあったら……
ああ、そうそう。月陰さん、貴方も来ていいからね?」
まあそういうことなら大丈夫だろうと、席を立って……
最後に付け足す。
お客様は大歓迎だ。もし単位を狙う生徒としてでも歓迎とはいえば歓迎なのだ。
それから、あらためてその場をさろうとするだろう。
■月陰ミツキ > 「有難うございます。彼らが来る時にでも通訳も兼ねてお邪魔しますね」
そういって蓋盛先生と魔犬を残してドアの外まで河山先生の後ろからついていく。
ご案内:「保健室」から河山 海空さんが去りました。
ご案内:「保健室」から月陰ミツキさんが去りました。
ご案内:「保健室」に畝傍・クリスタ・ステンデルさんが現れました。
■畝傍・クリスタ・ステンデル > 「…………ここは……」
保健室のベッドの上で、畝傍は目覚めた。
昨晩、女子寮・ロビーにおいて、自らの精神を苛む『声』と過去の記憶のフラッシュバックに襲われた畝傍は、嘔吐の後昏倒。
後にその姿を目撃した保健課生徒により搬送され、いつの間にやら眠りについていたのだ。
■畝傍・クリスタ・ステンデル > 「……そうだ、銃は」
手を動かし、周囲を探る。何かの感触。畝傍が倒れた際に携帯していた散弾銃だ。弾は抜かれ、折り畳まれている。
そもそも、この散弾銃は以前、畝傍が狙撃銃を失った際にこの保健室で出会った保険医から借り受けたものであり、ゆえに畝傍はこれを無くしたりしてしまわないよう細心の注意を払っていた。
――もっとも、彼女をここへ運び込んだ保健課生徒がそのような事情を推し量っていたのかはわからないが。
畝傍は散弾銃の感触を得ると、しっかりとそれを両腕で抱え直し、また布団に入る。
■畝傍・クリスタ・ステンデル > まだ、調子は戻らない。無理に動こうとして、いつまたフラッシュバックが起こるかもわからない。
ゆえに、今はただ休んでいるしかない。畝傍はそんな自分に無力感を抱いていた。
自分がこんな有様で、本当に『彼女』を救えるのであろうか――?
それまで疑いもしなかった自身の信念さえ、今の畝傍の弱った精神状態では疑わざるを得なかった。
■畝傍・クリスタ・ステンデル > 「…………ボクは……ほんとに……」
弱々しい声が漏れる。長時間眠ってしまっていたため、眠気もしない。
ただ、保健室の天井をぼうっと眺めたまま、時間は過ぎていく。
■畝傍・クリスタ・ステンデル > また眠り直すこともできず、しばらく天井を眺めた後。
畝傍はゆっくりと、ベッドから起き上がろうとする。
「……いかなきゃ……」
彼女の協力者や風紀委員には、『鞘』を手に入れたことをまだ伝えられていない。
せめて、それだけでも伝えに行かなくては――そう決意し。
畝傍は散弾銃を抱えたまま、立ち上がって再び歩き出した。
しかし、その脚はまだわずかに震えている――
ご案内:「保健室」から畝傍・クリスタ・ステンデルさんが去りました。
ご案内:「職員室」に山科 諒平さんが現れました。
■山科 諒平 > しゅ、しゅ、と答案用紙を前にして赤ペンで○×を付けている一人の教師。
「……ふむ。やはり文化的な違いは同じ文章に対しての解釈にも差が出るな」
点数を付けながら思案する。この常世学園は特殊な学校だ。
至って普通に人類とは別種の存在がそこかしこを歩いており、異能や魔術と言ったものが当然の如く飛び交っている。
故に文化的にも錯綜しており、近代的な、本当に最近の文学作品を取り上げても解釈が大いにズレてしまうのだ。
「悩ましいものだ。基本的に優秀なのだが、やはりこの科目自体がなかなか難しいものがあるのかもしれんな」
この常世学園に置いて文化的土壌を同じにすることを前提とした試験はあまり有用ではないのだろう。
それを想定して単なる文法問題などを大量に入れる事で「授業理解」だけで点数になるようにしておいたのが功を奏して、合格不合格に関しては理解度を中心に査定することが出来たのではあるが。
■山科 諒平 > だが、それでも生徒達は優秀だと思う。
寧ろ異文化から来た生徒の方が、新しい文化になじもうと積極的な姿勢を見せてきたくらいだ。そう言った生徒には点数を与えたくなるという物だろう。
「しかし、現代国語と言う科目自体は扱いが難しいのは変わらんか」
それでも、理解のしやすさと言う点では大いに違いが出てしまう。
これでは、小難しい倫理学だの心理学など、そちらの方がまだ……いや、それも文化的な土壌の違いが理解度に差を齎しかねない。
文系科目自体が、この学園では些か取り扱い辛いのかもしれない。
「難しいものだ。普通のカリキュラムでは文化的違いに対応しきれん。
さりとて文化的な違いに配慮して点数の付け方を変えてしまえば、それはそれで不公平だ」
幸い、今回は試験的に易問を多くしたため、よほど不真面目な生徒でない限り合格ラインには到達している。
だが、もっと踏み込んだところを学んでいく場合、この問題は解決しておかねばならないだろう。
「他の教員の方々にも確認をしてみるべきだろうか……」
教員会議で議題にあげるべきかもしれない。この学園が主に「異能」「魔術」を学ぶ学園、と言う特性を持つのが事実であっても、だからと言って一般教養を軽視していいわけではないのだから。
■山科 諒平 > そもそも、山科諒平に一般教養以外を教えろと言うのは土台無理なのである。
何故なら、山科諒平は一般人だからだ。
異能など持っていない。魔術など使えない。ついでにあんまり運動も出来やしない。
ただの人。探せばどこにだっていそうな、そんな一人のおっさんである。
だが、だからこそ考える。自分のような教師だからこそ出来る教育があるのではないかと。
だから、彼は生徒を「生徒」として接する。
一人の、社会に出る前の子供として接するのだ。
そこに、異能も魔術も関係ない。単なる「教師と生徒の関係」を以て、山科諒平は教師を勤め上げるのである。
「当座は、不要な不合格を出さなくてよかった事を喜ぶべきか」
とは言え、彼の目の前にあるのは割とそれ以前の問題ではあったのだが。
今後の方針は、また確認を取りつつ考察すべきだろう。
取り敢えずの採点も終わり、伸びを一つ。
■山科 諒平 > 「……ふむ、随分と居残ってしまった」
今回の試験は自分にとっても少し試験的な要素があったため、早めに採点をしてしまいたかったのだが……その分居残り時間も長くなってしまった。
「今日はここまでとするか。さて、もうすぐ海開きだったか」
試験ももう終わり。生徒にとってはハッピーな時間が訪れるだろう。
適当にそこらをブラついて、生徒と交流してみるのもいいかもしれない。
そんな事を考えながら荷物を纏め、職員室を後にした。
ご案内:「職員室」から山科 諒平さんが去りました。