2015/08/04 のログ
ご案内:「教室」にシインさんが現れました。
シイン > いつもの様に午前中から昼間に授業を行うのではなく、本日は少々遅め。
黒い軍服を身に着けて、ハイヒールを履いている目立つ教師が教室に現れる。
銀のハードアタッシュケースを前回同様に持ちながら、
それは今回も『軍での使用武器の説明』なのだと言ってるようなものだ。
教壇に立つ教師は黒板に書かれてた『よくわからない文面』を無言無表情で消しつつ、いつものように挨拶を行う。

「おはよう、今日はいつもとは違う時間だから時間を合わせるのも大変だろう。
君達生徒には迷惑を掛けたな、すまない。それでは、今日も始めよう。」

軽い挨拶と念の為に謝罪の言葉。
何ら変わらない教師としての日常。

シイン > 「前回の授業は『陸軍が使う武器』だったな。
この学園でも、銃など多用している生徒が多少なりと居るだろうから、普段の授業に比べれば役に立っただろう。」

自虐的に自ら軍の事情など、教えても役たたないだろうと言ってるようなものだ。
実際に軍隊に入らない限り不要な知識とも言えるが、上からの命令は逆らえない。
世知辛い世の中だ。

「それで、だ。今回の授業は前回からの続きだな。
『武器の紹介』とおまけで少し語ろうと思ってる。授業は武器の紹介で終わるから、興味がある者だけ残ってくれればいい。」

シイン > 軽々と教壇前の机に武器が収納されているアタッシュケースを置いて、鍵を解きケースを開く。
中には二つの武器が収納されている。

「さて、前回は『アサルトライフル』に『デザートイーグル』と『スナイパーライフル』の説明をした。
今回はまず『重機関銃』と呼ばれる一人では運用せずに、複数人で運用を行う武器の説明をする。」

それはアタッシュケースの九割を占めるほどの大きさの銃。
個人運用として使われる『アサルトライフル』のような機関銃とは違い、明らかに大きさと複数人運用とのことから重量の違いが分かる。

「この武器は通常の兵装とは違い大型の口径弾を使用して、それを長時間の連射を可能にした武器だ。
環境問わず使用でき、部品の交換で楽々と整備も可能。
整備の簡易差は、他の銃器と天地の差があると言ってもいい。」

そんな銃器を一人で片手に持ちながら説明を続ける教師だ。

シイン > 「威力は鉄製の壁を軽々と貫き、壁に隠れてる雑兵を楽々と殲滅する。
威力が高い分、反動が強いということもあり、複数人運用が基本ということになるわけだな。」

一人で撃ち続けるには困難、継続的に撃ち続ける為の弾薬を交換する係。
他にも場合によっては整備係も付く場合もある。

「またこの銃器は対物兵器として扱われている。
それ故に人に対して使用は自粛されてるのだが、戦場でそんなことは関係ないな。」

強い武器を使った方が勝つのだ。
非難されたとしても、勝てば正義で負ければ悪だ。

シイン > 「どこの軍隊もコレを採用しているだろうな。
なんせ強力だ。対物としても対人としても、人であれば一発で致死。
着弾場所によっては、死は免れない。
陸上で人を殺すのに持ってこいな銃器だ。
もし、もしこの銃を手に持ってる者が居たら迷わず逃げることをオススメする。」

そんな機会ないと思うが、この島では何が起きるか分からない。
幾ら化物でも、こんなモノを向けられて撃たれたらタダでは済まない。
立ち向かわず逃げるのが正しいやり過ごし方である。

シイン > 「ま、こんな強力無比な銃器だが、複数人前提の運用というのが足枷だ。
コレさえ解決してしまえば、大変な世の中になるだろうな。」

まさに世は世紀末と言ってもいい。
現在は開発も進み、軽量化されたとはいえ、未だに反動の解決に重量問題はなくならない。
未だ暫くはこのままで現状維持されるだろう。

「『重機関銃』はこれで終わりだ。
次は『手榴弾』だ。主に投げたり転がしたりして使用する武器だ。」

手に収まる程度のその武器。
世間でも最も知られてる武器の中の一つではないだろうか。

シイン > 「これは内部の信管と爆薬を外してあるので危険性は全くない。
今はタダのボールと何も変わらないな。」

そんなボールを上に投げてはキャッチ、投げてはキャッチと繰り返す。
ボール遊びをしている子と何も変わらない。

「だが本来だと信管に爆薬と、信管に付けられた撃針という発火装置部品に、それを作動させる為の安全ピンなど様々な部品で構成される。」

シイン > 「一度安全ピンを抜いてしまえば、止める手段は無く。
何処かに投げて、自分が被害に合わないようにするしか術はない、
時間を止めるという術があれば別だが、現実的に考えて投げて遠ざけた方が早いな。」

誰しもがそんな上等な能力を持ってるとは限らないのだから。

「また手榴弾には殺傷能力を持つ物だけでなく、煙幕を起こして視界を取らせないようにする発煙弾。
瞬間的に光を広げて視界を奪うスタングレネード。
火災を引き起こす焼夷弾と数々と種類が存在する。」

スタングレネードは視界を奪うだけでなく、耳鳴りを引き起こして聴覚さえも奪う物もある。
種類だけでなく、効果も様々で状況に応じて使い分けることが可能なのが便利だ。

シイン > 「この武器は相手が隠れた場所に放り込んだり、多数を一度に巻き込んで負傷させたり、牽制で取り敢えず投げる、などと便利で扱い易い。」

それ故に、新兵は手榴弾の投げ方を最初に教わる。
教わってるかどうかで戦場では生死を別けることもあるのだ。

「また自害用に一つ携帯するという場合もあるな。
武器として使うのとは別に、敵に囚われて情報を吐いてしまうならばと愛国心からか。
最も、死んでしまわないのが一番だがな。」

死んで国に帰る事は愛国者達には屈辱なのだから。

「前回の授業と合わせて、5つの武器を紹介したな。
これは一般的な陸軍が使用する武器であって、まだまだ武器は存在するが、キリがないのでココまでとする。」

シイン > 「もし知りたいものが居れば、個人的に説明をしよう。
幸いにも使用武器の殆どを持ち込んでいるからな、それぐらいは簡単だ。」

そんな物好きが居るのかどうかはさておいて。
教壇に立つ軍服の教師は続け様に言葉を紡いでいく。

「さて、授業はこれで終わりだ。
お疲れ様、また興味があれば受けてくれ、喜んで私は授業を行うよ。」

今日の授業はここで終わる。
そして宣言通りに。

シイン > 「これから少し語ろうと思う。
これは私個人の語りであって、授業内容とは全く関係ない。
だから興味がない者は帰ってもらって構わない。」

退出はご自由に、教師はそう告げた。

シイン > 「この語りは得もしなければ、時間の無駄なだけだ。
教師としてでなく個として、一人の『人間』として語ろう。」

教師は続ける。種族を偽りながらも、この方が円滑に話が進められるから、と。
残った生徒に対して語り始めた。

「……私は此処に来る前は指導者として任されていた。」

軍で新兵達を、二等兵達を、階級問わずに指南してきた彼はゆっくりと口を開き始める。

「何百、何千、数えたらキリがない程の人間を見てきた。
階級が上がるに連れて、軍隊を動かすことも幾度とあった。」

シイン > 「様々な人間を見てきた。
人間だけじゃない、化物と呼ばれる者に、機械と呼ばれる者に。
種族を問わずに私は記憶してきた。」

全てはデータとして彼に刻まれてきた。

「だからこそ私は思うのだ。
人間だけで問わず、化物も機械も皆が等しく。」

語る言葉の速度感覚は変わらずに、徐々だが声量が大きくなり

「成長をする者達の全てが素晴らしい、と。」

シイン > 「成長というのは生きてる証だ。
能力を覚えるのも、力を鍛えるのも、魔術や魔法を習得するのも。
全てが全て、その者の生きている証だ。」

「全ての者に成長の機会は訪れる。
悪行を重ねてきた悪でも、頭脳明晰な天才でも、心優しき善人でも。
それは等しく訪れる。」

その語りは唐突で、いきなり何事かと言われても可笑しくはない内容だ。
現時点では本当に時間だけが取られる、タダの無駄な語り。
自分語りに過ぎない。

「赤子が言葉を覚えるのも成長だ。
野蛮人が手ではなく、食用器具を利用して食事を摂ることも成長だ。
この世の全ての行動は成長とつながると言っても過言ではない。」

あくまで彼の考え、極論過ぎるが考え自体を持つことは自由だ。

シイン > 「だが、時に成長を諦めた者も存在する。
それは例えば怪我を負い、走ることを諦めた者や。
助けなど来ないと勝手に思い込み、敵に対して従順と命令を聞く奴隷になった者。
できないから、無理だから、否定の言葉を積み重ねて自身すら否定する者。
歩みをやめて成長を停滞させて、停滞した自分を受け入れる愚か者。」

彼の声が段々と低く重苦しいものへと変貌していく。
表情は変わらずに無表情なままだが、その声は明らかに異質。

「人間であるなら、化物であるなら、機械であるなら。
人であれ、モノであれ、物であれ、生きとし生ける物の全ては歩みを止めてはいけない。
私はそう考えている。」

シイン > 「簡単に纏めてしまえば、道が幾つも枝分かれ、夢ある生徒の君達は、決して歩みを止めてはいかない。
それだけだ、それだけが私が今の語りで伝えたかったことだ。」

別に聞き流してもらっても構わない、そう後付けたのだ。

「……夢追わず、諦めた者がどのような末路を辿るか。
成長を諦めた者が、歩みを止めた愚か者が、どのような末路を辿るか。」

近い内に知れることになる。小さくボソッと呟いて。

「これで語りはお終いだ。聞いてくれて有難う。
私の勝手な考えを述べただけだから、別に気にしなくてもいい。」

語りは終わりだ、と彼はそれを告げると、帰り支度か。
テーブルに並べてた銃器などをアタッシュケースに収納して、鍵を再度掛け終える。
手提げの鞄と一緒に持って教室から出ようとする前に一言だけ最後に呟いた。

「後悔のない選択を。」

脚を止めずに彼は前へと進み、今日の授業は完全に終えたのだ。

ご案内:「教室」からシインさんが去りました。