2015/08/25 のログ
ご案内:「購買部」に神宮司ちはやさんが現れました。
神宮司ちはや > 広大な常世学園の校舎内にある購買部の一つ、コンビニ並に充実した品揃え。
今は休憩時間だから生徒の出入りも多い。
みな思い思いに飲料を買ったり、間食を買ったりしている。

ちはやも午後の授業の前にちょっとしたおやつを買おうと訪れていたのだが
書籍コーナーにおいてあった写真集が目に入る。
こねこの写真集、みんなゴメン寝をしているやつだ。
じっと自分の手では届きそうに無い書棚に飾られているのを見る。
表紙からしてかわいい。

神宮司ちはや > 手に持ったグミの小さな袋(未会計)を握り締める。
出会いは一瞬、猫に対するときめきプライスレス。
じーーーーーーーーーーーーーーーっと飽きもせず表紙を見つめ続ける。

ちょっと立ち読みしてもいいかな。しかし背伸びをしないとぎりぎり届かなさそうなところにおいてある。
困った、意を決して書棚に寄りかかるように片手を伸ばしつま先立ちする。
だが本棚の奥の方にきっちり立てかけられていて指先しか届かない。
取れない。かなしみを抱く。

神宮司ちはや > いったん姿勢を戻して頭を抱える。
本棚の手前にある棚に膝を乗せたら届きそうだけど、
それをやったら怒られてしまいそうだし本が傷んでしまう。
台がわりの何かをそこらへんで探してみたけれど
プラスチックの籠ぐらいしかない。これも怒られる。

店員さんに言う?しかし今レジは結構混雑していて声をかけるのもためらわれる。
どうしたらいいのかなぁなどとうなる。
諦めてタイトルだけ覚えて別のところで探してもよいのだろうが……買うかわからない本にそこまでするのもなんだか気が引ける。

ご案内:「購買部」にビアトリクスさんが現れました。
ビアトリクス > 切れたサインペンでも補充しておこうかと購買部を訪れたら、
よく知っている背中がつま先立ちして何かを取ろうとしていた。
手の先にあったのは猫の表紙。
(……わかりやすすぎる)

無言で横に立ち、猫の写真集に手を伸ばす。
彼の背丈でギリギリならビアトリクスには余裕である。

「……これ?」
ちはやに手にした写真集の表紙を向ける。

神宮司ちはや > ひょいと横から取られた写真集にびっくりしたが
それが見知った相手だとわかるととたんに安堵して笑顔になった。

「あ、トリクシーくん!うん、それが見たかったの。ありがとう」

少し気恥ずかしそうにそういってうなずく。おそらく本がとれずに四苦八苦している姿も見られていたのだろう。
もじもじと手の中でグミの袋をつまんだり引っ張ったりしている。

ビアトリクス > 写真集をちはやに手渡……すと見せかけて一回ひょいと上に持ち上げる。
フェイント。

「……背が高くないって大変だよな。
 さっきの姿おもしろすぎて写真に撮ろうかと一瞬思った」
背が高かったらそれはそれで便利扱いされて面倒なんだろうけど、
と付け足す。

「ちはやはホント猫好きだよね……
 猫好きすぎてそのうち猫になっちゃうんじゃないか」
ちはやが猫であったら高い棚だろうが関係なく
ひょいひょいと登ってしまうだろうななどと益体もないことを考える。
パラパラと写真集をめくりながら棚を見上げた。

神宮司ちはや > 「にゃう」

てっきり渡してもらえるものと思って両の手を差し出したのにフェイントをかけられてあっさりと手を両手に上げてぴょんぴょんする。

「……ま、まだ背が伸びるもん。たぶん。
 写真になんか撮ったりしたら恥ずかしいからだめー!」
ちょっと睨むような形でむっと頬を膨らませる。
猫というよりハムスター的な小動物っぽい。

「うん、ねこかわいいから好き。丸くてふわふわしているし。
 猫になっちゃうかな?本当?猫になったらどうしようかなぁ。
 トリクシーくんの膝の上にのってごろごろいったりしようかなぁ」

ビアトリクスがめくる写真集を食い入るように肩越しに覗く。顔が近い。

ビアトリクス > 「撮らない、撮らない」
あまりにもお約束過ぎる反応に、くすりとかすかな笑みが溢れる。

「そうだねまだまだ成長期だもんね。
 きっとぼくの背なんかすぐ追い越すよ……」
適当に合わせる。それにしても平均よりは小さいように見えるけど。
自分より頭ひとつ大きいぐらいに成長したちはやを想像する。
(……意外とありだな……)

「膝の上か……ぼくそのあたり弱いから、お手柔らかに」
顔が近い。相変わらず、無防備というかなんというか。
様々なイベントを経由した今では顔が近づいたぐらいで赤面はしない……
けどやはり気恥ずかしいことは気恥ずかしい。かたい表情のまま目を伏せる。
雑念(*)を追い払うことに努める。

「気になるみたいだね、この写真集。半分出そうか?」
ぺら、ぺらとめくりながらそう提案する。
白い猫がピラミッド状に積み重なってゴメン寝していた。

* ふわふわになったちはやに関しての考察など。

神宮司ちはや > ビアトリクスが一体何を考えているのかなんてちっとも分からない様子で顔を不思議そうに見る。

「そうだよ、ぼく成長期だし伸びるよー。
 トリクシーくんだってまだ伸びるでしょう?ちがう?

 膝の上苦手なの?そっかぁ、じゃあ寝ているときのおなかの上のほうがいいかなぁ」

くすくす冗談をいいながらそんな空想にふける。
めくられたページの白い猫が積み重なった写真を見て思わずときめきのため息を漏らす。
かわいい、真っ白な猫たちが折り重なっている、あの間に埋もれたらさぞ幸せなことだろう。
一瞬ビアトリクスの言葉を聞き逃しそうになってはっと我に返る。
慌てて首を振った。

「え、え?!でも半分ってけっこうな額だし、悪いんじゃないかな?
 ぼく、お小遣いあるから大丈夫だけど……」

ビアトリクス > それにしてもなぜこのような体勢で猫は寝るのだろうか。
駄学生が授業中に突っ伏して寝るようなものなのだろうか。

「伸びるかな……どうかな……。
 そもそも、そこまで育ちたいわけでもないけど」
伸びてほしいような気もする。別に伸びてほしくない気もする。
できることなら保留にしたい。
こういうのをモラトリアムというらしい。

「いいよ、別に。そのかわり、ぼくにも見せてくれ」
はい、と持っていた写真集を今度こそちはやに差し出した。

神宮司ちはや > 「伸びたくないの?背。トリクシーくんが伸びたらきっと皆きゃーきゃー言っちゃうんじゃないかなぁ。
 かっこいいと思うけどなぁ、今もかっこいいけど。
 背が高いとなんか……いいことありそうだし。」

その具体的ないい事についてはいまいち想像がつかないが、
とにかく今のように高いところのものを取ることには苦労しないのはいいことだろう。

渡された写真集を大事に受け取って裏側についた値段を確かめる。
写真集だからそこそこの値段が書かれていた。

「トリクシーくんがいいならいいし、いつでも見せるけど。
 それじゃあ、お言葉に甘えようかなぁ。
 あ、トリクシーくん何かお菓子食べる?欲しいものあったら言って、一緒に買うから」

うきうきした様子でスキップを踏みながら写真集とグミを片手にお菓子売り場へと回る。

ビアトリクス > 「キャーキャー言われたいわけでもないからな……
 まあ、見かけがいいといろいろと頼み事も聞いてもらいやすくなるからね」

きゃーきゃー言われるであろうことに否定はしないビアトリクス。
このルックスで得することもあったし損することもあった。

お菓子を買ってくれるというなら、じゃあせっかくだからと
ひよこ型クッキーの袋を手に取る。購買職員が手焼きしているらしい。
楽しげな足取りのちはやを、後ろから見守りながらついていく。

「……今じゃなくてもいいけどさ、愚痴聞いてもらっていい?
 べつに、半分出したからってわけじゃないけど」

ひかえめにそう口に出す。

神宮司ちはや > 「ふぅん…たとえばどんなことを聞いてもらったりしたの?
 重いものを持ってもらったりしたとか?」

きゃーきゃーいわれることとは程遠い自分からはちょっとその内容が気になった。
頼みごとをするのは気が引けるし、聞いてもらうという思考がおおよそないわけでそれはいったいどんな世界なのだろう。

ビアトリクスが選んだクッキーとグミと写真集をレジに並んで会計を済ませてもらう。
シールで印をつけた菓子とはちがい丁寧に紙袋に包まれた写真集を腕の中にしっかりとおさめると店の出入り口に向かう。

「愚痴?うん、今でもいいけど……どうしたの?なにかあった?」

ビアトリクスの顔を見ながら少し不安そうに尋ねる。

ビアトリクス > 「……。んー……まあ、そんなところ」

目をそらして、歯切れ悪く答えた。
きっちりと半分の値段を出して、財布をしまう。
小さく咳払い。

「この間、母親と久々に会ってね。
 実家に顔を見せずにいたら向こうからやってきた」
やや早口気味に。

「その――あんまりベタベタするな、みたいなことを言われたんだよ。
 ちはやと」
言いづらそうに視線を下に向けた。

神宮司ちはや > 詳しい内容については教えてもらえないことに少し不満そうな顔をするがいま大事なのはそこではないのであえて突っ込んでは聞かない。

てくてくと購買を出ると、近くの木陰に設置されたベンチに座る。
横をポンポンと叩いてビアトリクスを招く。

「お母さんと会ったの?こっちに来たの?そっかぁ……」

ビアトリクスの家庭の事情はあまり詳しく知らない。
この間わずかに話してもらった内容ではたしか母親と二人家族だったと記憶している。
彼から母親の話は聞かないし、この間の休みでも実家に帰るとかいうことはついぞ聞かなかった。
自分の母親と比べるのも失礼だとは思うが、息子の顔を自分から見に来る母というのはちょっとうらやましい気もする。
自分の母とは頻繁に連絡がとれなくなるしこの夏も会ってはいない。

その次に出てきた言葉に目を丸くした。
なぜか自分と付き合うのはよしなさいと言われているのだ。

「うー?うーん?そうなの?お母さん、ぼくみたいなやつ嫌いなのかな……?
 ぼくがちょっと変な子だから付き合っちゃダメとか、言われちゃったの?
 それとも何かよくないことを知らずにお母さんにしちゃったとかかなぁ……。

 ええと、トリクシーくんはぼくと遊んだり付き合ったりするのいや?迷惑?
 手とか握ったり、一緒にご飯食べたりお風呂入ったり寝たりするの困る?」

おずおずとビアトリクスへ困ったように問いかけてみる。

ビアトリクス > 促されるままにとなりに座って。

「まあ、なんていうかさ……過干渉なんだよ。
 ちはやに問題があるってわけじゃなくてさ」
苦虫を噛み潰したような顔。
なぜ自分の母がそんな勧告をしたのか、
ちはやにどう説明していいものかビアトリクスはわかりかねていた。
顔を彼に向けて、安心させるような笑みを作る。

「……いやでも迷惑でもないよ、ちはやのことは。
 あの人の言いつけを守るつもりもない。
 だから、ただのつまらない愚痴さ、ほんとに。
 ……困った人でさ。ぼくが楽しそうにしているのが
 気に喰わないんだよ……きっと」
はぁ、と肩を落として溜息をひとつ。

「……悪いね、困らせるようなこと言っちゃって」

神宮司ちはや > 「そ、そっかぁ……うちは放任主義だからよくわかんないけど
 お母さんに口を出されるって大変なんだねぇ」

とりあえずビアトリクスの笑顔にやや安心する。
ぱりぱりとグミの袋の口をあけて、いくつかカラフルな熊型のグミをビアトリクスに渡す。ついでにクッキーの袋も。

「……そっかぁ、よかった。ぼくトリクシーくんに迷惑って言われちゃったら立ち直れないかも。
 でも子供が楽しそうにしていたらふつうはよかったなぁとか思わないかなぁ。
 お母さんも混ざりたくなっちゃったとかそういうのじゃないよね?」

愚痴をはいてもあまり楽になったような顔をしないビアトリクスに対してもぐもぐとグミを一つ噛んで飲み込んでから
少し悩んだように口を開く。

「全然困ってはいないから大丈夫。
 だけど……うーん……ぼくからお母さんにお話しして聞いてみる?
 トリクシーくんがいやじゃなくてお母さんもお忙しくなくて迷惑じゃなければ、だけど
 なにかぼくに至らないところがあってお母さんを不安にさせているんだったら直すし……」

ビアトリクス > 「ありがと……」
熊型のグミをつまんで少し眺めてから口に放り込む。モムモム。
袋も受け取る。

「だからきっと、普通の母親じゃないんだろうな」

ちはやの提案に、一瞬ぎょっとしたような表情を見せる。
「……いや、ありがたい提案だけど、それはいい」
母のことを、ちはやを害するような愚かな人間とまでは思ってはいないが――
彼女の毒気に中てられて妙なことになってしまうおそれはあった。
それに……

「これはさ……ぼくが立ち向かわないといけない問題だと思ってるから。
 だけど……その……怖いんだよ。
 あの人のことが……」
カフェテラスでもそうだった。
彼女に向き合うと言うべきはずの言葉が喉の奥へと引っ込んでしまう。
心の奥深くに彼女に対する恐怖が刻み込まれてしまっているのだ……。

神宮司ちはや > 自分の母親を怖いという人間をちはやは初めて目にした。
ビアトリクスの言葉や態度、表情から何とも言いづらい、
母親に対しての遠慮や確執を感じ取ることはできる。

家族の問題はなかなかに複雑だ。自分のところでさえ
たぶんよそから見たらとんでもない両親に思われるということもあるだろう。

提案は断られるとあっさりうなずいて身を引いた。

「うん、じゃあ……
 ええと、トリクシーくんが立ち向かう時に一緒に横にいるのはだめ?
 怖い、っていうのがあるならぼくも一緒についてあげるけど
 それじゃあ怖いのってなくならないかなぁ……。それとも余計なことかな?」

そうっと、ビアトリクスの手を取ると自分の手で包んで膝の上に乗せる。
恐怖心が少しでも和らぐようにと、思いながら。

ビアトリクス > ちはやの再びの提案に、自分の首筋に手を当てて首を捻る。
少し迷いがあるようだった。
実際、それは魅力的な提案ではあった。
何の考えなくもう一度対面するだけでは、同じことの繰り返しになるだろう。
しかし……

「……」

手を包まれる。

「……大丈夫さ。ちはやがそうしてくれるだけで、
 勇気は湧いてくるから……」

首をゆるやかに横へ振ると、立ち上がる。
ぽんぽんとちはやの頭を撫でた。
少しだけ、ビアトリクスの相貌から憂いの色が薄れたようにも見えた。

「……ほんとうにどうしようもなくなったら、
 きみにまた話を聞いてもらうよ」
それじゃあ、と、手を振り、その場を後にする。

ご案内:「購買部」からビアトリクスさんが去りました。
神宮司ちはや > するりと自分の手から離れていくビアトリクスに対して
少し不安そうな視線を投げかけるも、本人が大丈夫といったのならばまずはその言葉を信じたい。

立ち上がり、自分の頭をなでられるとくすぐったそうにビアトリクスを見上げる。

「うん、ぼくでよければまたいつでも。
 元気出してね、トリクシーくん。それじゃあ」

中途半端にゆるゆると手を振って去っていくビアトリクスを見送る。
脇に置いていた写真集の袋をつかむ。なんとなく心配ではあるが、自分の役目はまたビアトリクスが困ったときに話を聞いてあげることだろう。
荷物をまとめて、席を立つと次の授業のある教室へと向かう。
ビアトリクスが去って行った方向をちらちらと気にしながら。

ご案内:「購買部」から神宮司ちはやさんが去りました。