2015/09/26 のログ
■『ウィザード』 > つれんねぇ、という蒼穹の言葉には特に反応を示すものはない。
愛想がない。そう見えるかもしれない。
だが『ウィザード』は、蒼穹という存在に面白みを感じていた。
破壊神、邪神……。
それはあらゆる意味で、“世”と似ている。
その興味は、もはや、英霊『ハンター』や『プリースト』などの同胞に向けるものの比ではない。
「貴様も愉悦を味わえたようで何よりだ。
ああ。そうだな。
お互い、水鉄砲を撃ち合うような軽いお遊びに興じる事ができたというわけだ。
中々に愉快なものだろう」
軽く冗談めいた言葉でも言ってみせる。
ただ愛想が悪いというわけでもないところを見せる。
悪戯で、悪辣な蒼穹の笑顔を見て、『ウィザード』は邪悪な笑みを浮かべそうになるが、さすがにそこは堪える。
まるで、『ウィザード』の内に眠る危険な“悪魔”が呼び覚まされるようとしているかのようだった。
だが、そんな邪悪に歪みそうな表情は魔女帽子で隠すため、口元は愚か顎すら見る事は叶わないだろう。
「ああ。すまないな」
表情は元に戻り、蒼穹の言われた通りしじみ汁を頼む事にする。
しばらく席を立ち、しじみ汁を持って戻ってくる。
「待たせたな」
そしてしじみ汁を啜った。
「これもまた、中々に美味なものだな。
値段も然ることながら、しじみが出汁によくきいている」
そう感想を述べた。
避けられたのはキミだけだろうという質問に、『ウィザード』は軽く笑ってみせる。
「さて、それはどうだろうな」
そんな『ウィザード』が思い浮かべている人物は、一人の英霊だった。
それは“七英霊最強”を“自称”する英霊。
いや、少なくとも自称するだけの馬鹿ではない事は確かだ。
強さを求めたその先を知る者。
奴ならば、はたしてどうだろうな。
「ああ。貴様は純粋な強さでは最強クラスとも言えるだろうな。
多くの強者が、雑魚になり下がる事だろう」
はたして、最強と最凶はどちらが勝るかな。
それを考えるのも、また面白味がある。
「ガードが硬い女こそ、落としてみると心地が良い喘ぎ声をあげるものだ」
そう言って、『ウィザード』は席を立ち上がり、蒼穹の対面の席から隣に移動する。
「嘘かどうか、貴様で試してみるか?
もちろん、ベッドの上でな」
『ウィザード』は、不敵な笑みを浮かべる。
演技というより、冗談といった感じだ。
見透かしたかのような言い方でかまをかけられても、『ウィザード』は自然なジョークで返してみせたのだ。
「嘘はやめておいた方がいいか。
ああ。その忠告は頭に入れておこう。
もちろん、この島がどうなっているかなど知っている。
英霊に、この島の事を語った事もあったな」
だが加担はしているつもりはないという態度。
あくまで語った、それだけという構えだ。
実際のところ、それもあながち間違っていなかったりもする。
「そうする事にしよう。
なにせ、来たばかりな身だ。
学園も入学したてだからな。
まずは、学校案内でもしたほしいぐらいだ」
鋭いところを突いてくるが、破壊神からは相変わらず敵意も感じない。
友好的に接するというなら、やはり友達ごっこも悪くない相手だ。
何よりも、この『ウィザード』が存分に楽しめる。
暇だと質問されれば、突っ込まざるを得ない。
「暇なわけがないだろう。
これから午後の授業だ。
貴様も同じだろう?」
今昼休みであり、まだ午後の授業が残っている。
一応、真面目に授業に出ようと思っていた。
なにせ、授業は知識を蓄える機会になり得る。
最も、この学校の授業など、『ウィザード』が既に知っている事を習う方が多い。
■蒼穹 > …あっはは、面白い例えだね。
ま、あれっぽちじゃあ私は満たされないけどね。
あくまでも、私は破壊神。
好敵手を求めているんじゃなくて、もっともっと、壊したいのさ。
最近は休業しているけど。
(相変わらず表情が見えない。対する己は、見せつけるかのように偽らない。
それも、己の在り方だった。己の在り方を曲げることが出来るのは、己だけ。
嵐の様に、台風の様に、自由気儘で、どうしようもない。
彼女が"悪魔"であるなら、己は気紛れで、危なっかしい、"災害"のような存在だった。)
わお。
(意外にも素直にお勧めの品を買いに行ったのだから少々びっくり。
屋内のカウンターに行ってしじみ汁を持って帰ってきたウィザードに一言驚きの声を。)
でっしょー。
いやぁ、地球の人間ってのが考えるもんは美味しいものばかりだよね。
特にこう言うさ、日本料理はどれをとっても美味しいから癖になっちゃう。
(破壊神も絶賛するしじみ汁。満足そうにまた一口。
うまみ成分がたっぷりである。)
…おや?
あっはは、否定も肯定もなし、か。だったらまだ強い化け物がいるのかなあ。
嫌になってくるね。
(返ってきた答えは、正直意外だった。その通りだと言うかと思っていたが、
あの攻撃を、戯れとは言え残虐非道で無慈悲な、そんな邪神の戯れを避けられよう者が。まだいるのか。)
最強クラス、ねぇ…。
最強って認められない辺り、どーにも腑に落ちないけど。そういうもんかな。
(最強か、最凶か。或いは、最恐か、最狂か。己はそれらを譲る気はないだろう。
今はこうして笑って楽しく会話をしているけれど、
どうしようもなく凶くって、どうしようもなく恐れられて、どうしようもなく狂おしい、
そんな馬鹿げた邪神であると、今でもそう思って疑わないのだから。
―――現実はどうあるか、それはさておく。
丁度ブドウの飲み物に手を掛けたあたりの事だった。)
…え。ちょ。…んふっ。
(にやけ顔だった。流石に。ジョークちっくに帰って来てしまったので、いやはやと言った風で。)
もー、止めてよそういうのさー!
飲み物飲んでるんだし。で、まぁ…ううん。変な嘘はつかん方が良いよ。
私も同性愛を否定するわけじゃないけど、あまり理解はしないから。
(んくっ、と飲み物を無理矢理飲み込んでから、真横の彼女に諭す様な口調で述べる。)
おや。面白い事を言うね。
んじゃま、さっさと食べ終わって学校案内行きますか。
つっても、私サボリだからあんまり学校の事は知らないけど。
(そしてやっぱりサボリであることは一切悪びれずにそう言うのだが。)
ん?
…あっはは、午後の授業はパスパース。どうせ面白くないからね。
次の授業社会なら出ない方が良いよ。つまらないから。
(何の授業を取っているかは分からないが、当たり前の様に先生の授業をコキ下ろしながら、
から揚げを食べるこの女生徒。最早誰がどうみても不良である。
因みに己も結構習った事ばかりである、社会においては例外なのだが、あの先生の授業はつまらないから却下である。)
■『ウィザード』 > 「貴様が水鉄砲如きで満たされては、興に欠ける。
破壊の衝動を今も抑えているといったところか、破壊神」
『プリースト』には甘いと言われていたと聞く。
「そうか休業中か。
破壊神でも、学園で暮らしてみるのもまた一興だろうな。
だが、いずれはまた壊すのだろう?
それが破壊神の本能なのだろう?」
『ウィザード』の煽り方は、『プリースト』のそれとは違う。
『プリースト』のような、甘くなった、だとか腐った、だとか蒼穹を否定するのではない。
まるで、破壊衝動を静かに呼び覚まそうとするかのような、ゆっくりと誘惑するかのような、そんな煽りだ。
まさしく、“悪魔”の囁きのようだ。
気紛れな“災害”蒼穹は、己をどんどん見せていく。
その度に、『ウィザード』は蒼穹という人物がどうなのかを改めて理解していく。
蒼穹の驚きの声を聞いて、『ウィザード』がしじみ汁を注文した事が以外だったのだろうと理解する。
「ああ。全くだ。
人間という生き物もまた特技が備わっている。
そして、食事に関する様々な“知識”が彼らにはある。
それに技術や材料が加わり、料理は一層おいしくなる。
日本料理はいいものだ。それも分かるぞ。
刺身なんかは、食べると中々に癖になる」
魔女の英霊も絶賛だ。
料理の素晴らしさもついでに、語った。
「それは、実際に確かめてみるといい。
七英霊も、当然様々な奴がいるのだからな」
肝心な情報は喋らない。
そんなものを喋っても、メリットなんてものはない。
嘘の情報も与えない。
先程の質問も、否定、肯定、どちらもしなかった。
他の英霊よりも遥かに、『ウィザード』は徹底して情報を漏らさないようにしているのだ。
「己が最強と言えるぐらいだ。
貴様は幾重もの世界で力を誇示し、破壊の限りを尽くした事だろう。
だが、貴様より強い者が現れれば、文字通り貴様は“最強”ではなくなる。
それに、まだ見ぬ“最強”もどこかの世界にいるかもしれない。
そういう事だ。」
あたかも、真の“最強”“最凶”を知っているかのような口ぶり。
ちなみに、自称七英霊最強の事ではない。
だが、そいつですら、真の“最強”“最凶”であるとは限らない。
そもそも、そいつが実際に蒼穹よりも強いかどうかも不明。
幾重もの世界が存在するという事は、そういう事だ。
自信がつき過ぎて自身が最強とすら思ってしまう事は、よくある事だ。
だが、広い視野で眺めれば、あらゆる可能性が考え得る。
「貴様は理解がない方か。
それは残念だ。
本気で試してみてもよかったのだがな」
残念そうな、ふりをする。
だが今度は本気だ、というふりをする。
嘘に塗れているが、あたかも本当かのように自然に振舞う。
「学校案内、よろしく頼むぞ、蒼穹。
だが、貴様も私に何か誘いたい事があるようだな。
そちらを優先してくれても構わないぞ。
なんだ、貴様はサボり魔か。
通りで、午後の授業を気にせず、私を誘おうとするわけだ」
しかも、サボり魔である事を一切悪びれない。
それはそれで、悪事を恐れぬ邪神らしい。
「それで、今日も授業をサボるのだな。
私も授業をサボれというお誘いかな?
少なくとも、次の授業は社会ではない」
しじみ汁を飲み干し、ゆっくりとりんごジュースのグラスに手をつける。
■蒼穹 > ……ま、そういう話はナンセンスさ。
つまらん、下らん。いつかそんな風に思ったら全部ぶっ壊してやる。
ただ、今はその時じゃない。時と場合と場所を選ぶ。それが私なりの、ルールだよ。
(擽られる衝動。抑えていると言われれば、或いはそうかもしれない。
いずれはまた壊す、それが破壊神の本能。…そう言われれば、その通りだ。
神とは、存外元々は大したものではない。他者の願いと、意識、無意識。
それらの重いが信仰や畏怖が重なって、形作られる。
己は、紛れもなく破壊神だった。通り過ぎたところを、嵐が通った後の様に壊していく。
何処まで行っても、気紛れで、誰の言う事も聞かない。あくまでも、自分だけに従う筈で。
だけれど、そんな誘惑めいた言葉に、何かを思い出す気がしたのは、確かだった。
それでも己は"災害"であることを止めようとはしない。誰かに誘導されたなら、それはもはや"災害"ではなく"兵器"だから。
例え、"悪魔"が"災害"を誘導したとしても、己は己。誰かの思い通りに動くなんて、ごめんだ。
―――最も、風紀の思い通りに動かされていることは、何だか癪だが。そうすると甘くなったことを思い出して。
かのプリーストの言葉を思い出す。)
そういえば、あの胡散臭いプリーストとかいうヤツは成仏したんだって?報告書で見たけど。
アイツには随分恐れられてたみたいだけど、具体的には何をやったの?
(論点外れるが、先述した通り、神とは元々大したものではなく、周りからどう思われたか、
そんな伝記的な物も重要で。ともすれば、仲間内から畏怖の念を大きく抱かれているウィザードは、
やはり"英"の字で留まらない、悪でありながら、祟り神の様な、神霊と呼ばれるに相応しい性質はあると思う。)
あっはは、分かってるね。
お寿司イイよね、お刺身をこう、コメにのっけたヤツ。
因みに、何のお刺身が好きかな?
(言いながら、から揚げを食べる。
…今度は、マグロのお刺身セットでも注文しようか。)
実際にって…。
はあ、好きで英霊と遊んでるんじゃないんだ。
こういうのはなんだけど、粋がる雑魚に興味はない。
ギャーギャー喚いてやってる事は人殺し。スケールが小さいとは思わない?
(目くじらを立てる、と言った風にまた割り箸を向けて片目を閉じる。
溜息をあからさまにつきながら、ご遠慮の弁を。
前述の通り、風紀委員として働くのも、あまりご勘弁願いたいのだ。正直。)
あっはは、よく分かってるね。
私は色々壊して来たのさ、数え切れないくらい。
戦って来たんじゃない、壊して来た。一方的に、玩具みたいに、発泡スチロールみたいに、ね。
強いとか弱いとか、そういう次元の問題じゃないのさ。
って言いたいけど。…ま、世界は広い、覚えておくよ、その言葉。
(世界は広い。そして、そんな広い世界が幾多も交わり合うのだから、
何があってもおかしくない。仮に、あったらおかしいと思えるものでも、それが存在する時点で、おかしくない。
己も、どちらかといえばあったらおかしいものの一つだが、そんなの、ザラかもしれない。)
…勘弁してよ。
まー、あれだ。女の子いぢめるのは好きなんだけどさ。
こう、ね?露骨にほら…愛し合うとか、そういうのは、ねぇ?
(さらっと凄い事を言った。)
ん、りょーかい、と。
…酷いなぁ?折角私がサボってまで学校案内から何から済ませてあげようって言ってるのに。
サボりじゃなくて良心的な先輩と呼びたまえ。
じゃあ行こうか。
(最後のから揚げを食べれば、見事完食。
空になった食器が煩雑に置かれた御盆を持ち上げ、鞄を肩にかければ、
ほれ、と掌を己の方へと。手招きすればそのまま背を向けて。)
社会じゃなくてもサボると良いさ。
んじゃまぁ、教室棟の案内から始めよっか。
(返却口へと向かって。それから、何処へ行くのだろうか―――?)
■『ウィザード』 > 「ナンセンスか、それは悪かったな」
『ウィザード』は、愉快に笑う。
“悪魔”は人の心を堕落させても、破壊の“災害”を誘導しきれないようだ。
彼女は“兵器”なんてものではないのだから。
「地震や台風などといった災害は、自然の気紛れで発生するとも見て取れる。
奴等は発生するまで、その身を潜め、その災いの爪を研がすものだ。
ああ。貴様はTPOを大事にするのだな。
良い心掛けだ」
だが結局、いつかは壊すのだろう?
破壊衝動が呼び起こされるのだろう?
そのために、生み出されたのだろう?
どこまで、その破壊衝動に抗う気か、破壊神。
「ああ。奴は成仏した」
情報が出回っているようなので、そこは嘘偽りなく正直に答える。
「さあな。何をやっただろうな」
そこは詳しく話そうとはしない。
何をやったか……。
恐怖をちょっぴり植え付けた事はあったな。
だがそれ以前に、奴等は本能的に『ウィザード』を恐れる。
神霊。この『ウィザード』にのみ限れば、それは的を射ぬいていると言える。
──これ以上思考しすぎてもいけない。
本当に、“悪魔”が表に出てしまう。
「貴様も中々話が分かる奴だな
お寿司はまさしく、日本を象徴する料理と言っても良い。
私は王道に、まぐろやイカが好みだな」
破壊神と神霊が日本料理の話で意気投合する。
そんな事を語りながら、りんごジュースのグラスを口に付ける。
「貴様にとって、英霊などただの雑魚だったな。
そんな雑魚が粋がっている姿が気に入らないわけだ。
だが破壊神よ、粋がる雑魚も時には可愛らしいものだぞ。
そうは言っても、風紀委員という立場からは幾分面倒な事は当然想像できる。
愚痴をこぼしたくなるのも頷けるわけだ」
味方が貶されても、『ウィザード』は冷静だった。
そもそもで自分も英霊に入る。
どれだけ蒼穹が簡便願っても、七英霊は止まらない。
蒼穹の言うスケールが小さい人殺しはこれからも続く。
「さすがは破壊神だ」
『ウィザード』は愉快に笑う。
「破壊衝動のままに破壊する。
戦闘ではない。勝ち負けではない。
ただ壊す。
簡単な話だ。
貴様のその衝動は一時的に抑えられても、消え去る事はないのだろうな」
破壊神を誘惑したいとも思う。
彼女が『悪意増幅(ダーク・マリス)』に感染してくれるならば、尚良しだ。
だが、それはそう簡単にいくものではない。
なにせ相手は“災害”なのだから。
「言動からは分かるが、貴様も随分とサディストだな。
やはり、いじめられるのは性には合わぬか」
キスするんじゃないか、という距離まで顔を近づける。
「頼りにしているぞ、良心的な先輩。
せっかく案内してくれるというのだ。
私も良心的な先輩の口車にのせられてやろうではないか」
蒼穹はから揚げを食べ終えると同時に、『ウィザード』もりんごジュースを飲み干す。
そのまま、退却口に向かって行く良心的な先輩についていく。
ご案内:「食堂」から『ウィザード』さんが去りました。
ご案内:「食堂」から蒼穹さんが去りました。