2015/10/23 のログ
ご案内:「屋上」に朝宮 小春さんが現れました。
朝宮 小春 > (昼休みの休憩時間ほど、心穏やかな時間は無い。……ああいや、自宅とかは除いて。
 本来であれば、真面目に次の時間の準備で忙しいところだったけれども。
 最近はできるだけその場での準備を控えるよう、更に努力をしている。
 そのせいか、少しだけ時間が増えて、心おだやかに学園生活を送ることはできているのだけれども。)

………うーん………。

(少し唸りながら、パンをぱくりと口に咥える。
 安い、大きい、甘いの三拍子そろったチョコマウンテンなるパンは、やはり十分なパワーを持っている。

 ……悩みどころはそこではなく、この学園祭のこと。)

ご案内:「屋上」にウサミミメイド仮面さんが現れました。
朝宮 小春 > ………着ないわけにもいかないけれど、そうそう着るわけにもいかないし。

(裁縫部恐るべし。笑顔で「この学園の制服のサイズ合わせてきました」とか言わないで欲しい。
 どこで知ったんだろうサイズ。

 話によれば、以前も同じようなことをしたらしく。
 今年は誰にやってやろうかと協議した結果、白羽の矢が額にとーん、と刺さったわけで。

 理由? ……断らなさそうだったから、とかじゃないかしら。)

年が違うって言ってるのに。

(とほほ、と肩を落とす。 変わらない変わらないと言われつつも、やっぱり肌とか違うのよー。)

ウサミミメイド仮面 > 「………。」

こそーっと屋上に続く扉が開かれ、静かに一人の生徒が顔を出した。
その顔はウサギを模したお面によって隠されており、その服装は所謂メイド服と呼ばれるそれだ。
こそこそと身を隠す様に縮こまらせて屋上に現れたその人物は、
スカートを少しだけ摘まむと、ものすごく歩き辛そうに歩いている。

「………。」

言葉は発しないが、俯きがちのお面が溜息を零したように見えるだろう。
実際、お面の下では盛大に青息吐息が充満されていた。

朝宮 小春 > ……!?

(ぎょっとした。 そう、ぎょっとした。
 大事なことだから二回くらいは言ってもいいと思う。
 メイド服はいい。百歩どころか二十歩くらいで許そう。
 だって自分も着ることになりそうだったのだから。

 仮面って………どんな出し物なんだろう、と一瞬戸惑いながら。)


「………大丈夫? 休憩かしら。」

(別け隔て無いその行動は根っからのもの。
 ちょっとだけしゃがみながら、お疲れ様? なんて首を傾げて相手に声をかけていく。)

ウサミミメイド仮面 > 「………!」

声を掛けられると、驚いたように肩が跳ねる。
勢いよくそちらを振り向けば、一歩、二歩、と後退り。
知己の姿が無い事を確認したはずだったのに、と言わんばかりに一度俯いて、それからお面の視野の狭さを少しだけ呪った。

「……!  ……!」

しかし幸い相手は自分の正体に気付いていないようで。
気遣う様な言葉に、繰り返し頷いて肯定を返した。
言葉は発しない。きっと一言でも喋れば勘付かれてしまうから。

朝宮 小春 > (なりきっている…!?)

………そう、そう。
そうよね、兎は鳴かないものね。

(そのプロ意識に敬服しつつ、うん、と頷いて。
 少し疲れているように見えたのだけれど、そんなに強い意識があるのなら…)

……お疲れかな?

(少しだけ座る? と、隣をぽんぽんと叩いてベンチに誘ってみる。)

ウサミミメイド仮面 > その時、謎のウサミミメイド仮面は確信した。

(──この人ちょろい!)

このまま大人しくしていれば正体に気付かれず休息をとれることだろう。
都合よく勘違いしてくれた先生に感謝の意を心の中で表しつつ、誘われるままにベンチへと腰を下ろした。
少しお面が息苦しいが、それはこの際妥協するとして。

「……。」

ふぅ、とお面越しの安堵の息が漏れる。
そもそもメイド服を着ているのだからそうそう自分の正体なんて気付かれないだろう、とも思う。
何故メイド服なんて着ているのかと言われれば、そりゃあクラスの『ウサミミ喫茶』なる出店の所為である。
本来男子は燕尾服だったはずなのだが、何の悪戯か女子と男子の発注数が逆転していたのだ。燕尾服が1着少なく、メイド服が1着多い。
その問題に対する解決案が、一番体躯が女子に近い男子がプライドを棄てる、というものだった。

なお、本人の全力の拒否は当然の様に無視された。
それでも顔を隠して良いという条件は最後の情けだったのかもしれない。

朝宮 小春 > お疲れ様ね。
ウサミミ………あれ、どこかのクラスで出し物をしていたような気が………。

(心はチョロくとも、頭は良い。
 何はなくとも思い出そうと考え始める。思い出したらそのクラス設定から、誰がいたクラスかをはじき出し始めるだろう。)

………それにしてもお疲れ様ね。
私もその格好、前に無理やり着させられたんだけれど、すーすーしてて恥ずかしいのよね。
やっぱり借り物だからか、サイズもあんまりあってなかったみたいだし……サイズはぴったり?

(その上で、普通に言葉をかけていく。)

ウサミミメイド仮面 > 「……!」

ビクッ、と怯える様に肩が震えたがウサミミなんて平凡なアイディアどこのクラスでもやるだろうと自分に言い聞かせる。
万が一クラスが割れたところで四方や自分がメイド服を着ているとは思考が至るまい、と。

「………。」

こくん、と一つ頷いてスカートを軽くつまみあげた。
悲しいかなサイズは大きくも小さくもない。
胸周りは多少隙間が開いたが、そもそも“そういうクラスメイト”を想定して借りた物なのだろう。特に詰め物等も必要なかった。
幸か不幸か、で言われれば不幸の一要因でしかないのだけれど。

朝宮 小春 > なら良かった。サイズが合わないものをずっと着てると、身体に跡が残っちゃうし、何より痛いしね。

(穏やかにころころと笑う。悩みなど知るよしも無い。
 そういうことなら、とこちらも紙袋を取り出して。そう、先程までの悩みの種。)

…私もこれを着てみてって言われちゃってね。
絶対似合わないと思うし、こっそり着るのもありかもって思ってるんだけど。

(がさり、っと取り出すは、この学園の所謂制服。
 あまり制服規定が無い学園ではあるものの、学生の制服らしいそれをさらりと取り出せば、ちょっとばかり苦笑をする。
 お互い大変ねぇ、なんて視線を送りながら。)

ウサミミメイド仮面 > 「……。」

こくこく、と頷いてはみたものの。
そもそもメイド服など着たのは生まれて初めてなので朝宮先生の悩みは察しきれた物ではない。
そもそも何の話なのだろうか。朝宮先生の体躯で人と違うと言えば……
そこまで考えて、ふるふる、と小さく頭を振った。

「……?」

取り出された学生服を見やる。
異性の制服なんてそう意識して見ることは無いので、普段見る様な、しかしどこか違う様な、そんな複雑な気分になる。
まあそもそも指定の制服デザインが複数あるというのだから、前提として複雑なのだが。

朝宮 小春 > (当然腰とか。 お腹周りとか。
 ………まあ胸も完全にパンパンになっちゃうんですが。)

………あー、確かにそうよね。見慣れてるわよね………
こちらからすると、改めてこういうもの着るの、凄く恥ずかしいのよ……?

(困ったものよねぇ、なんて頬を少しかいて。)

まず似合うとかじゃなくて恥ずかしいし、何よりもう卒業して何年経つことやらで………。
貴方はここから、他の衣装を着る予定とかはあるの?

ウサミミメイド仮面 > 「………?」

そんなに弛ん……ゆとりのある体型だっただろうか、と首を傾げる。
まあ一部は除いて、だが。それは流石に規格外だろう。

「………。」

言葉通りに気恥ずかしそうな先生に、曖昧な相槌として何度か首肯を返す。
そもそも女子の制服なんて着たことは無いし、これからも着るつもりは無い。
……似合う似合わないは別として。

「……。」

なので首を横に振ろうとして、はた、と傾げた。
いや、途中で発注をし直して燕尾服が男子の人数分揃えばそちらに着替えるつもりではある。
しかし、それを他の衣装を着る、と捉えてしまって良いのだろうか。
それに、ハロウィンも近い。その為の仮装も含めて考えるのであれば、必ずしもNOとは言い切れない。

……女物の、と前置きが付くのならともかく。

朝宮 小春 > ………まだ、わからないってことね。 大変ねぇ、貴方も。

(動きが止まる相手に、優しく言葉を返しながら頭を撫でる。
 よしよし、と頭をなでて手を離せば、こちらも少し考えつつ。)

……お仕事はまだ大丈夫なの?
お昼休みはまだもう少しあるけど、ギリギリで大丈夫?

(小さく首を傾げながら、ばさり、っと制服を広げて。
 せっかくだから、と服の上から羽織ってみることにする。
 似合ってるか似合ってないかにかかわらず、あまり口を開かないのだから、感想を聞くにはもってこいだ。)

ウサミミメイド仮面 > 「……。」

まあ、そうなのかも。
大変である事には違いないので、曖昧に頷いた。
頭へ伸ばされた手は少しだけ警戒しつつも特に避ける事もなく撫でられるがままに。

「……。」

こくん、と時間の余裕を訊ねられれば一つ、改めて肯いて。
そもそも休憩時間ではなく居た堪れなくなって逃げて来たのだから気にする必要も無い。
戻ったら逃げてたぶんのしわ寄せを受けるだけだ。
隣で制服を羽織る朝宮先生を見て、僅かに首を傾げた。正直、感想を求められてもよくわからない。

朝宮 小春 > ………どうかしら、違和感ある?
女の子の視点が欲しかったのよね……隣にいても気が付かない? 流石に分かっちゃうか。

(なんて、苦笑しながらの制服姿。下はいつものスカートだから変だけど。
 見た目的には、……なんだろう、少女っぽくはなかった。)

………あ、そうね。 問題ないなら頷いてくれればいいし、ダメっぽそうなら首を横に振ってくれればいいわよ。

ウサミミメイド仮面 > 「………。」

女の子の視点、に少し抗議しようかと思ったが、
まあここで変なプライドを守る為に死地に飛び込む真似は出来ない。そもそも守るべき矜持は既にボロ雑巾に等しい。

「…………。」

悩んだ。結構悩んだ。
見ようによっては生徒に見えなくもないが、かと言って問題ないと言うほどでも無いし、と。
結果として、僅か首を傾げるのみだった。

朝宮 小春 > ううっ、やっぱり生徒と同じってわけにはいかないわよね………

(やっぱりそうだった。
 うむむむ、っと唸りながら制服を脱いで。 丁寧に折りたたんで紙袋へと。)

……ふう、やっぱりこっそりと着ることにしましょ。
ありがとうね、あと少しで廊下を歩くとか大暴走するところだったわ………。

(危ない危ない、と額の汗を拭って。……その上で、残っていたコーヒー牛乳を吸いつつ、時計を見て。)

………それでも、時間は過ぎるものね。
次は……ええと、出し物を見に来てって言われてたんだっけ。
貴方も……まだ大変だろうけど頑張ってね?

(なんて、肩をぽん、っと叩く。)

ウサミミメイド仮面 > 流石に生徒と同じ、とはいかない気がする…‥。
だが、それはあくまで自分が相手を先生だと知っているからこその違和感なのかもしれない、と考えて。
そっと、唸り声を上げた先生の肩を優しく撫でた。

「……。」

けどやっぱり人前で着るような物ではないと思うよ。
そう言いたくなるのをぐっと堪え、釣られる様に時計塔の方を見る。手元に時間を確認するものが無い事をそこで初めて気が付いた。

「………。」

頑張ってね、と声を掛けられて、肩まで叩かれてしまっては。流石に頷く以外の選択肢が無い。
お面の下で苦い顔をしつつも、こくん、と一つ頷いた。
先生もまあ、頑張ってね、と言葉にせず応援をして。

朝宮 小春 > (ぽん、っと肩を撫でられて、ふふっと少しだけ笑う。
 慰めてくれるの? なんて、小さく首を傾げながら紙袋をしっかり閉じて。)

それじゃあ、先生はそろそろ行くから………貴方も、お昼休みが終わる頃には戻るのよ?

(根っこから真面目な先生は、相手の思うことなどいざしらず。
 お昼休みが終わったら休憩終わり、とばかりにぱちりと片目を閉じて相手に声をかけて。

 ぱたぱた、っと駆けていくのだった。
 名も知らぬウサミミ少女よ、がんばって! なんて。)

ご案内:「屋上」から朝宮 小春さんが去りました。
ウサミミメイド仮面 > 慰める、にしては少し軽かったかなと反省をしつつ。
それでも気の利いた言葉も掛けられない状況故に、仕方ないなと再び自分に言い聞かせて。

「……。」

結局最後まで話相手を少女だと思っていた先生を見送ってから、少しだけお面を顔から浮かせて。
はぁ、と一つ溜息を零した。

「………。」

そうしているうちに昼休み終了を告げる鐘が鳴り響く。
この鬱陶しいお面を外して一息つこうと思っていたが、目論見は崩されてしまった形だ。
それでもまあ、少しは気晴らしになったなと思いつつ。
ウサミミメイド仮面はスカートを少し摘まんで、来た時と同様に歩き辛そうにその場を後にしたのだった。

ご案内:「屋上」からウサミミメイド仮面さんが去りました。