2016/01/04 のログ
久方 透子 > 「そうなんですね。……どこか特別な地方の出身とか。
 ……見た目は人間、っぽいように見えるから、異能に偏見がある地域だった、とか?
 っ、あ。…ごめんなさい。無神経な質問しちゃった」

(こちらの付け加えた一言に対する反応よりも、交友関係の少なさに興味を抱く。
人嫌いという気配も感じ取れない為に、ならば原因は出身や環境の問題であろうかとプライベートに片足を突っ込もうとして、――過ぎた問いかけだと首を横に振った。
答えづらい内容であるならば、適当に言葉を濁してもらおうと一言謝罪を付け加え。
話題は完全に相手の事に移しながらも、机に出した治療薬――打ち身用の軟膏や冷湿布、固定用のテーピングなど、幾つかをポケットに仕舞いながらも、ふんふんと話を聞いて頷き)

「挨拶ならー…職員室とかの方が確実かも?
 それとも保健の先生と特別仲良しですか?
 ……蔵田さん。うん、自己紹介ありがとう。トウコです。ヒサカタ トウコ」

蔵田 怡与 > 「久方さん。…よろしく」
(相手が名乗ってくれたことが嬉しかったのか、早速相手の名前を呼び、照れ臭そうに微笑んだ)

「ううん。偏見とかは、なかったかな。学校とか、行ったことないからかも。
 だから、この学校で、友だちができたらいいなぁって思って、る。
 久方さんは、学校、行ってた?」
(意外な部分に興味を持たれたことに小首をかしげ、当たり前のように答える。
そしてこちらも、ごく当たり前の質問を返す。もしかしたらそれはおかしな質問に聞こえたかもしれないが…)

「仲良し? …相談、乗ってもらった。一度だけ。
 私も、この学園に来たばっかりだから。
 職員室… その発想は、なかった」

(真面目な顔で頷き、ふと、相手のポケットを指さす)
「…詰めすぎでは? また転んだら、落ちるよ」
(言うと肩から提げた大きな鞄の中から、きんちゃく袋を取り出した。無言で差し出す)

久方 透子 > 「学校……行ったことないんですか?
 え、でも、名前は、日本なかんじだし……それってやっぱり結構特殊な環境だと思うんだけど。
 私? …あー、…うん、私は、前はね。
 住んでたところで、普通に地元の学校にー……うん、まあ、私の事はいいじゃないですか。
 それより、蔵田さんの環境。すごく、気になります」

(現代日本。異世界でない出身であるというならば、事もなげに語る相手の環境はかなり特殊。
現状の己の環境は平凡とは言えないものであるから、それを珍しいと好奇の目線を向ける事はないけれど、自分の過去に話題が触れれば――多少、露骨に見えるほど、話をそらしていこうと)

「一度だけの、相談で、わざわざ新年のご挨拶まで?
 蔵田さんは本当、真面目というか、…これもお人好しって言うんでしょうか。
 ……あ、借りても、いいんです?」

(遠慮するという程ではなく、差し出された巾着は一瞬戸惑ったそぶりを見せながらも素直に受け取る。ポケットが膨らんでシルエットが美しくないのは言うまでもないし。
咎められるかなという心配こそはあったものの、この手の対応は想像しておらず。戸惑いの色も混ざり)

蔵田 怡与 > 「うん。日本。…やっぱり、みんな行くものだよ、ね?
 よくわからないけど、学校はここが、初めて。面白いね、学校。いろんな人がいる。
 私は、ずっと家にいた。勉強も、家で教えてもらってた。それが普通って聞いてた、んだ。
 …久方さんは、学校、行ったことあるんだ。いいな」

(どことなく複雑そうな気配を寄せた眉間の辺りに浮かべながらもそう語る。
 話を逸らそうとする相手の空気が読めているやらいないやら。行ったことのない未知の学校の話を聞きたいらしい)

「ううん。真面目かぁ。それも言われたことがない、かな。
 先生っていうのも、初めてだったから。ちゃんとしておいた方がいいかな、って思った。
 …あ、うん。いいよ。たくさん持ってるから。別に返してくれなくても大丈夫」
(戸惑う様子を変な風に勘違いしたらしく、言葉を重ねる。単純に、ポケットにはそんなにたくさん入らないだろう…と思ったようだ。)

久方 透子 > 「そうですね。一応義務教育になるでしょうしー……。
 いいなーって…… 今、蔵田さんがいる場所そのものが学校じゃないですか。
 ちょっと変わった人たちや、変わった学科はありますけど。
 今から、たっぷり楽しんでいってください。
 この島での、長い長い、学園生活」

(家の事情はやはり、思った通りというべきか複雑なもののようであり、――なおかつ、彼女はその複雑なナニかについて全て把握しているようではない、という受け取り方。
これ以上は突っ込んでもしょうがないと、切り離す話題の一部。

ただ。羨ましがる必要が何処にあろうかと。
肩を竦めた後に見回す周囲の壁。特に何があるわけではない。何の変哲もない学園の施設の一部。

彼女が羨望する学園生活とやらに、”正しく”関わる事が出来る立場である筈だと微笑みかけよう。
――二級学生である、己と違って。羨望の眼差しは、むしろ、此方が向けたいぐらいであるが。けれどそれを表に出すような真似はしない)

「……でも、蔵田さんの事情を聞けたので、
 そんなに生真面目でお人好しの理由も、ちょっとだけ判明ですね。
 先生なんて、ちょっと雑なくらいのお付き合いで大丈夫ですよ。
 それよりは、生徒同士の関係を優先してください」

(受け取った小袋の中に薬や何やらを移し替え。
普段、優等生ぶっている少女の言葉らしからぬ一言も交ぜ入れた。ゆっくりと信用してもらえるのなら――……きっと、そう、お人好し、の彼女ならば裏の世界の事情に引きずり込む事も出来ようかと)

蔵田 怡与 > 「義務教育… 義務か。そんなものまで怠っていた。んだな。あの家は」
(相手の言葉に苦い顔をする。が、続く言葉に顔を上げ)
「うん。そうだな。学園生活。いい響き。ずっと憧れていた」
(表情は変えないまでも、目を輝かせる。ただ単純に、学校というものに強い憧れがあるらしく、相手の言葉に潜む、ほんの僅かな、小さなトゲに気づくこともない)

「ふうん。そんなものなの。か。
 戦い方を教わりたい。から、先生を探している。でも、あまり芳しくない。この学園の先生は、変わった人が、多い。みたい。
 それより、久方さんと会えた方が、今はずっと嬉しい。
 …友だち。に、なれる。かな」
(生徒同士の関係を優先、の言葉に反応したのか、抱えていた願望をあっさりと吐き出す。
はにかんでいるのか、大きな鞄の紐を手持ち無沙汰に握りしめたり指に巻き付けたりしている。
今まで行ったことのない学校、持ったことのない友だち。そんなものにただ憧れている。
その憧憬は、見るものによっては恐ろしく単純に映るだろうか。)

久方 透子 > 「そんなものです。
 やっぱり先生ってお仕事ですし、どうしてもビジネスライクというか……
 私たち、生徒と違って今後一生に関わってくるものでもないでしょうし。

 あ、でも、別に先生が悪いって言ってるんじゃないですよ。
 先生だって、普通のヒトですから、それが当然だと思います、けど。
 ……でも、私たち、生徒同士の方が、きっと色々、わかりあえますから。学園生活って、そんなものです」

(瞳が輝く。あまりにも無垢で、美しくて、……その光に、目が、潰れそうだ。
憧れを語る、これからの世界に夢が溢れる、一人の少女に、ひとつ、ひとつ、小さな棘を残していこうという己の浅ましさを、けれど眉ひとつ動かす事なく、先ほど見せた苦笑いまじりの表情で、先生、という存在が不完全であるかを騙って聞かせる。

友達。

その言葉を聞けば、鞄を弄る相手の手に向けて、そっと己の指先を伸ばそう。
その気になればよけられるほど、ゆっくり。手の甲に触れる事が出来るならば小さなその手で、けれど包み込むようにして触れていこう)

「もちろん。私たち、きっと友達になれる――…ううん。
 もう、友達、ですよ?」

蔵田 怡与 > 「…そうか。 この間、話を聞いてくれた先生は、いい人、だと思ったが…
 先生、というものにも、ピンキリなんだろう。な。
 久方さんの言う通り、先生も、人だ。きっと、いろいろ、こちらが期待するのも、おかしな話なんだろう」

(相手の語る先生像を疑うことすらせず、言われるがままに頷く。
 だが、それで学園生という憧れに影が差すわけでもなく、相手の博識さ、自分とは違う場所で生きてきたという力強さに感銘を受けている。)

(華奢な指先が手の甲に触れるのを感じ、顔を上げる)
「そうか。…もう、友だちか。
 そうか……ふふ、嬉しい。とても、嬉しい。
 ありがとう、久方さん」
(迷いも疑いもないまっすぐな眼差しで、初めての友人に向かって微笑みかける。相手の手に触れ、こちらも伸ばされた手を包むように、震える指先を伸ばす…)

久方 透子 > 「ここのお部屋の先生ですか?
 ……こんな部屋にこたつ置いてらっしゃる時点で、結構変わった先生だと思うんですけどねー」

(感激、させるべきシーンで、思わず偽りではなく素で、ちらり、と横目に見えるこたつを視界に入れた。
いい先生であるかどうかはともかく、常識的ではないと暗に言葉にするも、そもそもこのこたつがその先生とやらが持ち込んだものではない可能性もあるのだから、とんだ濡れ衣なのかもしれないが。

一瞬、垣間見えた素は直ぐに抑え込んで。

触れた指先、怪我をしていない方の手。
手首には相手にもらった巾着の紐がぶら下がっているが、それでも相手が飽きるまではこちらから離れるような素振りは見せない。
喜びはいくらでも、味わってもらう。
その喜びは、己が与えるもので、――己という味に、少しでも依存してもらうために)

「だから、いちいち、そんなお礼、いらないですってー。
 ……ああ、でも、もう友達なら、呼び方もちょっと他人行儀すぎますね。
 ね、そう思いません? いよちゃん?」

蔵田 怡与 > 「うん。変わった先生、だった。 保健の先生…だったかな。
 面白い人、だったよ。久方さんも…もしかしたら、気に入る、かも。
 またここに来れば、たぶん、会えると思う。よ」
(考えるそぶりを見せながら、言葉を紡ぐ。
相手が先生のことをよく思っていないことに気づきながらも、それを否定するでもなく、また同調するでもなく、下手くそながら双方を立てようとしているらしい)

「…あ、えっと…。
 ご、ごめん。私、名前で呼んでもらったこと、あんまり、ないから…
 ちょっと、驚いた。…はは。すごい。ドキドキする…かも…。
 えっと…と、透子…ちゃん…
 と、透子ちゃんは… なんか、いい匂い、するね。石鹸…かな?」
(手を取り合ったまま、下の名前を呼ばれたことに対して高揚したのか、目のふちをほんのりと赤く染めている。
相手のしっとりとした手のひらの感触に緊張して手をこわばらせ、ついでに緊張からか話題を逸らすように、匂いのことを口走る)

久方 透子 > 「保険の先生で面白い、人?
 ……うーん。ちょっとわからない、けど。
 でも、私、この通り、怪我とか多いから、たぶんそのうち会えると思います」

(名前と顔ぐらいは、ここの学校の教諭であるならば把握はしているけれど、いったい彼女の言う面白い先生が誰であるのかまでは想像は及ばない。
敵意や畏怖がメインの相手にユニークさを求める筈もなく、首を傾げながらも、人物の特定には至らぬと、いずれ会うかもしれないいつか、に同意するように頷いた)

「これからたっぷり呼ばれるんだから、照れないの。
 ね、慣れてください。
 ――あ、うん、お風呂入ってからあんまり時間経ってないから、そのせいかな?
 何か、こないだ会った人にも匂いの事言われたから、…そんな、匂います?」

(くん、と己の肩口辺りに鼻を寄せて嗅いではみるけれど、
自身の匂いなどとうに麻痺してわかるはずもなく。
照れ交じりの相手の話題の反らしに、うーん、と首を横へと。――曲げたときに、部屋にかかる時計の針が指し示す時刻に気付く)

「あ、もうこんな時間」

蔵田 怡与 > 「それもそうか。えと、透子ちゃん…ケガ、多いって、その、大丈夫?
 何か…無理とか、してたら、言って。
 私、あんまり役に立たないかもだけど…その、力に、なりたい…から」

(やはり緊張気味に相手の名前を呼び、それでも心配している、という気持ちはかろうじて伝えた…)

「あ。すごい時間。…もう、帰ろうかな。
 透子ちゃんは…まだ、用事あるかな。
 帰り…その、気を付けて。何かあったら…すぐ、言ってね」

(搦めていた手をほどくと、どこか名残惜しそうに友人を見て)

「その……お、お休み」

(照れ臭そうにそう言うと、保健室を出て行った)

ご案内:「保健室」から蔵田 怡与さんが去りました。
久方 透子 > 「え? あ、うん、よく転んだりとか、ほら。
 大丈夫ですよ、大袈裟なんだからー…うん、おやすみなさい!」

(にっこりと。立ち去る少女を手を振り見送った。
再び一人になって、手に残った巾着を眺め、しばしの思案の時間)

「……戻ってきたら、言い訳が今度こそ面倒くさい、よね」

先ほどまで、少女に触れていた手のひらで、撫でるのは――腹部の辺り。
見える怪我の治療は確かに終わったといったけれど、服の中については一言も告げていない。

――残りは、自宅に戻ってからにしようかと。
巾着を一瞥した後に、その場を去っていく。

扉を閉める手前に、また、こたつを眺め。
最後まで、ここにこたつを置く意味に悩みながら――)

ご案内:「保健室」から久方 透子さんが去りました。