2016/06/16 のログ
ご案内:「屋上」に東雲七生さんが現れました。
■東雲七生 > ふと夜中に目を覚ましてしまい、中々寝直せなかったので。
こっそりと寝床を抜け出し、着の身着のまま色々な監視を掻い潜るようにやってきたのは学校の屋上。
「……なるほど、夜の学校ってのも悪くないなー。」
大抵日が沈む頃には下校するため、深夜の学校はかなり久し振りの七生である。
そういえば、前に学校で寝過ごして幽霊騒ぎに鉢合わせた事もあったっけ、なんて思い出しつつ。
灯りの乏しくなった、学生街を見下ろしている。
■東雲七生 > フェンスに額を付け、まだまだ昏い東の空を見遣る。
四方八方を海に囲まれているとはいえ、
島の西には青垣山がそびえているので海に火が沈むところを見るのは中々難しい。
しかし東は開発が進んだ歓楽区だ。少し目を凝らせば、不夜城の奥に水平線を見ることも出来る。
「……研究区に居た頃は、高いとこ上ってよく日の出見てたっけ。」
ぽつりと溢して、同時に漏れた溜息を空へと投げる。
ご案内:「屋上」に白泉椿丸さんが現れました。
■白泉椿丸 > ああヤダ、どうしましょ。
そう思ったのは…そう、いい加減寝ようかしらって自室で化粧水パックをはがしていた時のことよ。
ハンカチを洗濯物に出しておくのを忘れてたのに気付いたアタシは、バッグの中を見たワケ。
すると不思議な事に、アタシの可愛いお気に入りハンカチちゃんがいないじゃないの!どういうことよ!
迷子になった持ち物は探さなきゃということで、覚えのある場所に来たわけなの。ね、わかるでしょ?
でもアタシ、困ったことに学校のカギを自室に忘れてしまって、ンも~アタシの困ったチャン!
学校を目の前にしてトンボ帰りも気が引けてしまったアタシに浮かんだ、最高の解決方法は……。
屋上にいる人なら、この暗い夜の中に響く音もきっと拾えるのではなかろうか。
バシュッという、力強い発射音がちょうど――屋上の下でしたことに。
■東雲七生 > そういえば、あの部屋から出て何ヶ月が経ったろうか。
指折り数えて、そろそろ両手で足りなくなることに気づき。
「あれから進展なし、だもんな。」
人差し指に巻かれた絆創膏を軽く撫でて、自分の行く末を案じたところで、
「………なん、ば、ばしゅ……?」
異音を耳が捉えて、怪訝そうな顔で再度視線を下へと向ける。
なんか厄介事なら嫌だなあ、とか眉間に皺を作りつつ。
■白泉椿丸 > グオンと空を切り、白く翼を広げた何かが屋上のフェンスよりも少々高いところまで跳躍した。
それは力強いフォルムをしており、誰かがいるかもオカマ、じゃなかった、
お構いなく空中ローリングから着地の姿勢を取る。
ヒビは入らなかったものの、屋上の中央に着陸した誰かは、片膝をついた状態からゆっくりと体を起こした。
「…………………アラッ??」
190センチ以上ある巨体が、あなたの方を向く。
白い翼はナマモノではなくて、肩掛けのように見えるけれど。
■東雲七生 > 「……え?」
突如目の前を何かが飛翔して行った。
思わず釣られる様に通り過ぎて行った物を目で追って、そのまま着地まで見届ける。
何だろう、とってもアメコミチックなエントリーを見た気がした。
これから忍者が殺されるのかもしれない。
「……ぁ、えと、……。」
流石の七生も、突然の事に言葉に窮する。
フライングヒューマノイドとも異邦人街で何度か遭遇はしたが、
七生の勘が確かであれば、というかよくよく見慣れた動きなのだが、
(──跳躍して来ただろ、今。)
■白泉椿丸 > 腹に響くような音ではないが、確かに重量を感じる足音をさせながらあなたへ近づく。
その姿はまさしく、化粧をした男性だ。声も男性そのもの、カン高いダミ声をだしているわけでもない。
ただ、こんな時間にどうみてもお互い怪しいよね、といった顔でいるのは確かだ。
オカマはスカートの裾をただしながら、幼い顔をした少年に眼を丸くする。
「ンマッ。こんな時間に何をしているのォ、アナタ!
良い子はとっくに寝ている時間でしょう?どうかしたの?」
アラッ、あらあらっ、可愛い顔した子じゃないのォ!
赤い髪…そうね、赤い髪だわ、暗いからちょっと分かりづらいけど。
純粋に生徒の一人に見えるわネ。ちょっとビックリもしてるかしらン?
何か怖い事でもあったのかしら!アタシ、きになっちゃう…。
■東雲七生 > ひとまず、一度落ち着こう、と。
軽く手を胸にあてて、吸って、吐く。それをもう一度繰り返して。
大丈夫、何だか危険そうな生き物ではない。
いきなり現れたのには驚いたけれど、よく見れば人間だ。
何だかやたらと特徴だらけな姿は、何処か何かで見た覚えがあったのだが、どこだっけか。
「あ、えっと……ちょっと、寝付けなくて、散歩を。」
ゆっくり一語一語自分に言い聞かせるように答える。
もし、仮に、此方の言葉が通じなかったらどうしようかとも思ったがそんな事はまず無さそうなので安心する。
しかし妙に背筋が冷えるのはなぜだろう、と七生は内心で首をかしげていた。
■白泉椿丸 > 「寝付けなかったのン?それはそれは…可哀想に。
でも、夜の学校に忍び込んじゃったのはダメダメよォ。
何かあった時に、夜勤の先生や警備さんでも気づきにくいンだからン!」
軽く頬をふくらまし、メッと人差し指を振る。
この特徴だらけな存在については、学科再開の案内で見た顔かもしれない。
オカマは背筋を伸ばして少年から顔を反らし、辺りを見渡した。
「…ね、ついでだから、ちょっと頼まれてくれないかしらン…」
意味深な、このお誘い。
■東雲七生 > 「いや、それは……」
確かにそうなんだけども。
相手のいう事は酷く正論で、だがどこか釈然としない。
そもそもこの顔、この喋り方、確かに何処かで見た覚えが七生にはあった。
それが学科案内である事に気付き、目の前の大男女が教師である事を思い出せば、
「──えっと、お互い様、っすよね?たぶん。」
何しろ跳躍して屋上まで来たのだから、正規の登校では無いのは明白だった。
まあ、だからと言ってこちらの不法侵入が帳消しになるわけでもないのだが。
「頼みって……なんすか? 別に、誰かに危害が及ぶとかじゃなければ。」
その“誰か”にはもちろん自分自身も含まれている。
■白泉椿丸 > 少年のお互い様では指摘に、キョトっとした顔をする。
それから、手で口元を隠してウフフ笑いを浮かべた。一本取られちゃった、とばかりに。
言われちゃったらそうよねぇ、アタシったら!
家に鍵を取りに行くのを横着して、ちょっとジャンプしたのだものん…。
でもでも、それはアタシが大人だからなのよ、可愛い少年ちゃん。
アタシは自分に責任が取れるけれど、あなたはまだ若い…そう、ヤングメン…。
「うっふっふ、そんなに肩に力を入れなくても大丈夫よォ。
アタシはこれでも教師だもの。アナタみたいな若い子をどうこうシようなんて考えてないわァ」
手で四角を描きながら、小首を傾げて
「黄色にピンクのお花がちりばめられたハンカチ、見てないかしらン?
アタシのスペシャルフェバリットなのに、落としちゃったみたいで…。
まだ眠くならないなら、寝る前のストレッチ代わりに探すのを手伝って欲しいなァって」
■東雲七生 > いちいち背筋がゾワッとする。
それはきっと独特な語り口に不慣れな所為であって、為人の所為では無いと自分に言い聞かせる。
「……ハンカチ、っすか?
黄色地にピンクの花柄の……見ては、いないっすけど。
確かに学校にあるんすか?」
だったら探すのも骨が折れそうだなあ、と頭を掻く。
別に探すこと自体は拒否するつもりもないし、一運動すれば眠気も戻って来るかも、とは思うのだが。
創作範囲が、如何せん広すぎる。
■白泉椿丸 > 「学校というより、広げたのが屋上だって記憶しか無いのよン。
昼間に息抜きをしにきて、広げて使用して畳んだ後に…
ンン、バッグに入れた……かしら?って首をかしげちゃうカンジ」
明日が早いなら気にしなくて良いからネ、そうニコッと笑ってオカマは探索を始める。
こう言うのは大体はじっこにあるものなのよ…など、独り言がとても賑やかだ。
彼、いや、彼女が探す方向は実はちょっと間違っていて、
その方角よりも左側にぽつっと落ちている。
あなたは気付いても良いし、気付かなくても良い。
■東雲七生 > 「ああ、屋上にあるんすか。
……だったら、まあ範囲はだいぶ絞られたっすけど。」
それでも三棟あるうちの一つであって、
まあ、わざわざこの屋上に来たのだから、昼間に来たのもここなのだろうと。
此方の事情を気に掛けつつも、探索を始めた姿を見て、
よほどお気に入りなんだなぁ、とか他人事の様に思ってから七生も探索に協力することにした。
「端っこの方ったって、屋上も広いっすからねえ……」
誰がこんな、広場なんて拵えたんだろうと暗澹たる気持ちで思った視界の端に。
どうやらそれらしい物を見つける。あれだろうか、と近付いて確認してみよう。
(たしか、──黄色地にピンクの花柄。)
■白泉椿丸 > オカマはスカートの裾が必要以上に捲くりあがらないよう気を付けながら、探し物を続ける。
少年が見て居る方には行かず、反対側を見に行く。
ウフフ、手伝ってくれてるのかしらン。
こっそり夜の屋上まで来れるのだから、きっと身のこなしは軽い子なのね。
まだ小柄だし見た目も幼いケド、心はオトコノコ真っ盛り…かしら…。
これもまさに青春、学生時代は何故か悩んでしまったり、眠れない事っていっぱいあるもの!
アタシも昔は夜更かしばっかりしてたし、気持ちは分かるわ。
あの時はどうしてたかしらン。魔女薬に頼るのも気が引けてた時期よねェ。
やっぱりストレッチにホットミルク?アラヤッダ~~!モチ、健全な意味でよ?
「ウ~ン……こっちじゃ無いかしら」
困った顔で少年の方を見る。ちょうど後姿を見る形になるだろか。
ヤダ、若いだけに可愛いお尻してそう。そんな視線が飛ぶかもしれない。
■東雲七生 > やっぱり悪寒がする。
変に夜中に出歩いた所為か、風邪の引きはじめだろうかと首を傾げつつ。
まさか自分に向けて熱い視線が注がれているなど夢にも思って居ない。
「……えっと、これかな。」
見つけたハンカチを拾い上げて、軽く叩いて埃を落とし。
前以て聞いていた特徴と照らし合わせてみる。ほぼ間違いなさそうだ。
何だか色々想像されてる事も悪寒に拍車をかけているのだが、それには気付かずにオカマへと振り返って。
「えっと、せんせー?……これじゃないっすか、ハンカチ。」
■白泉椿丸 > それらしきものを少年が見つけると、オカマは若干の女走りで寄っていく。
ハンカチを受け取り、よーく確かめてから――表情をぱっと明るくした。
「そう、これよコレ!うれし~い、風で別のところに飛んでなくて良かったわァ!
見つけてくれてありがとうネ、ええっと……何クンだったかしら」
先程まで彼のお尻に注目していた緑の瞳を、今度は優しく細める。
■東雲七生 > 「あ、やっぱ合ってたっすか?」
ハンカチを手渡してから、表情を明るくするオカマを見て。
にぱ、とこちらも笑みを浮かべる。
どんな相手であっても喜んでる姿を見るのは素直に嬉しい。
「今日は風もあんまり吹かなかったっすもんね。
雨も降らなかったし、運が良かったっすね。
あ、東雲っす。東雲七生。」
二年っす、と学年も添えて名乗ろう。
■白泉椿丸 > 「二年生の東雲七生クン、東雲くんね。覚えたわ。
ホント、お天気と七生くんさまさまよォ~!助かっちゃった。
ハンカチをポーチへ丁寧にしまい込むと、代わりに小瓶を取り出した。
下半身の丸いガラス体の中に、透明な液体とハーブが浸っている。
それはまるで、七生が受け取るのを待っているかのようだ。
「アタシは白泉椿丸。魔女薬科の講師をしているのン。
椿丸先生でも、ジュディ先生でも良いわよ。好きなように呼んでねェ」
これは探してくれたお礼よと、小瓶について補足を添える。
「眠れない時に、安心をくれる魔女のお薬なんだけド。
アタシの科目の宣伝ついでに、どう?ニワトリが鳴くまでグッスリよ!」
■東雲七生 > 「白泉先生……魔女薬科。
あ、えっと、ありがとうございます。」
そういやそんな科目もあったな、と小瓶を手に取りながら思い出す。
魔女、と冠されているから魔術的要素が強いのかと思えば、どちらかといえば錬金術に近いのだろう。
受け取った小瓶の中に沈められたハーブを見ながら、
「ところで、これはどう使うんすか?
飲むんすか?嗅ぐんすか…‥塗るとか?」
不本意ながら家に戻ればルームシェアしている相手がいるので、あまり匂いが付くとかする事は遠慮しなければ。
そう思いつつ、軽く首を傾げながら訊ねる。興味はそれなりにあるから、突っ返すことはしない。
■白泉椿丸 > 使い方を聞かれると、小瓶のふたを外す。
ふたの内側はおちょこの様にくぼんでいた。
「このふたに軽く1杯分、飲むだけよン。
お水に混ぜて飲んでも良いわ。体内に取り込んでから…そうねェ~、
10分くらいしないと眠気が来ないから、焦らなくても平気だと思うのン」
口を開いた小瓶からは、ラベンダーによく似た薄い香りが鼻腔をくすぐるだろう。
苦くは無いけど、甘くも無いわと椿丸は言った。
七生が受け取るかは、とても静かに――優しく見守っている。
「使うのが怖かったら、休日に試すでも良いしネ」
■東雲七生 > 白泉先生の説明を、ほぁー、とか感嘆の声を上げつつ聴いている。
その目は好奇心の光が宿り、新たな知識を得ることを楽しんでいるようだった。
「蓋に1杯分、水に混ぜても……ふむふむ。
まあ、帰る途中で飲めば家に着く頃には眠くなるかな……?」
こくこく、小さく頭を揺らしながら頷いて、
それから一度、すん、と鼻を鳴らしてから再び小瓶を見つめる。
試してみて起きれなくなったとしても、同居人がどうにかして起こしてくれる気がするし。
「や、帰る途中で試してみます。
あと5分で家、ってとこで飲めば多少誤差があっても大丈夫っすよね。」
ありがとっす、白泉せんせ、と礼を言いながら。
ぱぁっ、と純朴そうな底抜けに明るい笑みを浮かべる。
■白泉椿丸 > 「うふふ、そうね。そのくらいなら問題ないかしら!
後は~……小瓶を落さないようにだけ注意ってと・こ・ろ」
見た目相応に朗らかな笑顔を見ると、椿丸の笑みもさらにニコニコと増すのであった。
好奇心に輝いた眼も見逃すはずもなく、若いって素晴らしい!とばかりに。
他は特に注意点をあげないところを鑑みるに、彼女が渡した薬は穏やかな効果なのだろう。
「さアて、ハンカチも見つけてもらったし、アタシは自宅へ戻るケド…。
七生くんはもう少し夜風に当たるのかしらン?」
今夜ここにいる事は、もちろんナイショよと笑う。
■東雲七生 > 「そっすか!
それは大丈夫っすよ、えっと……こうかな。」
上着のポケットから髪結い紐を取り出すと小瓶を自分の手首にしっかりと縛り付ける。
一応蓋が外れないように、そっちもしっかりと固定してから、軽く掲げて白泉先生へと見せて。
「そっすね、もうちょっとしたら帰ろうと思うっす。
先生は暗いから足元気を付けて帰ってください。」
何があったもんか分からないし、と笑顔と共に告げて。
今夜此処に来た事は、二人の秘密っすね、と。
■白泉椿丸 > しっかり固定した姿に微笑んで頷く。
この年代の子って、これだからカワイイのよねェ。
七生クンはそれに輪をかけて素朴というか、純粋な印象を受けるケド…。
出来ればこのままステキな大人になって欲しいものだわ!
「ええ、そうねン。気を付けて帰るわ」
夜風に底冷えしないでネとこちらも言葉を添えて、フェンスの方へ向かう。
軽く肩掛けを羽織りなおして、七生に小さく手を振ってから――
どしゅっ、という音を残して消えた。飛び降りたのだろう。
ご案内:「屋上」から白泉椿丸さんが去りました。
■東雲七生 > また跳んで行った。
すごい脚力だな、と素直に感心して。
もし昼間学校で会う事があれば、その時は挨拶しよう、と心に決める。
もしかしたら、跳躍力について何か聞けることがあるかもしれないし。
「……ここの先生も、本当に色んな先生が居るんだなぁ。」
手首に括りつけた小瓶を見てから、フェンスに寄り掛かって。
新たな出会いとそれが齎した知識の習得に、少しだけ思いを馳せ──何故かちょっと身震いした。
そんな風に、気の済むまで屋上に滞在してから、
渡された薬を早速試すべく、家に帰るのだった。
ご案内:「屋上」から東雲七生さんが去りました。