2016/07/31 のログ
ご案内:「廊下」にアルスマグナさんが現れました。
■アルスマグナ > み~~~~んみんみ~~~ん……
セミがここぞとばかりに声を張り上げて鳴いている夏の午後、
閑散とした廊下の掲示板に掲示物を貼り付けているアルスマグナがいた。
ダンボールの箱のなかにA4程度の用紙が何枚か入っている。
そのどれもが同じ内容を印刷したものだった。
比較的目につきやすい所を選んで紙を押さえ、四隅を画鋲で止めていく。
その用紙には『遺跡保全とモンスター駆除のお手伝い募集中』と書かれていた。
(詳細:http://guest-land.sakura.ne.jp/cgi-bin/BBS/c-board.cgi?cmd=one;no=261;id=#261)
紙にシワがないことを確認するとふうと一息つく。
すでに夏休みに入った校内はいつもより人通りはまばらで静かだ。
■アルスマグナ > いかに電子機器がこの世界ではびこっていても結局のところこうした
アナログな方法での情報掲示はいつまでたっても無くならないものらしい。
紙は保存方法さえ良ければ100年保つと言われている。
電磁記録で保存する情報よりももしかしたら紙で保存したほうがよほど良い場合もあるらしい。
まぁもっとも今回の掲示物は一夏の間だけ保てばいいのでそこまでは期待していない。
なんとはなしに他の掲示物を眺めて回る。
見知った教師の個展の知らせや、転移荒野における実験などなど……。
他にも剥がされ忘れた部活勧誘のビラや保健だよりや教育機関で配られる各種標語ポスターが貼り付けられている。
■アルスマグナ > せっかくだから個展の方は行ってみたいと思うものの、
今年の夏の調査は以前よりもやることが増えたためあまり空いている日がない。
残念ながら祝辞程度になってしまいそうだ。
箱を持って再び移動する。別の廊下の掲示板へと向かって歩く。
人出がとにかく欲しい仕事なので興味があれば学生でなくともよい気もしてきた。
後で異邦人街の方でも暇を持て余している連中がいないか確かめてみよう。
ご案内:「廊下」に暁 名無さんが現れました。
■暁 名無 > 夏季休暇、というのは生徒に対する大義名分みたいなもので。
教員、特に新採用された俺みたいな新米には無いも同然の蜃気楼のようなものである。
今日も今日とて、資料を纏めに来たのだが途中で嫌になって気分転換がてらひと気の無い校舎を散策していたら。
「あれ?……えっと、マグナ先生でしたっけ。
先生も来てらしたんすねえ。お疲れ様っす。」
何やら運搬中の先輩教員の姿を見かけて。
軽く手を振りながら声を掛けてみた次第。
■アルスマグナ > 「や、どーも。えーと……アカツッキー先生!だっけ。
いやーごめんごめん、この学校教師が多くて覚えるのも大変で」
振られた手に片手をあげて応じフランクに笑う。
次の掲示板前へとたどり着けば再び用紙を一枚貼り付けるため画鋲をポケットから取り出した。
「そういう先生もお暑い中お疲れさん、まだ授業してるとか?」
手を動かしながら相手に尋ねてみる。
■暁 名無 > 「そうっすそうっす、アカツッキーっす。
確かに覚えるのは大変っすよねえ。生徒の名前も覚えなきゃなんないってのに。」
和名洋名に何て発音すれば良いのか分からない名前まで何でもござれだ。
それらを覚えなければどんな文句が飛んでくるか分からない、
そんなプレッシャーを共有し合えるのは教員同士ならではだと思う。
「え? あいや、俺の授業は夏休み前に閉じてますよ。
休み明けからの授業用の資料作りと、あと諸々の仕事しに来てるんすよね。」
新米っすから、と横から掲示物を覗き込みつつ答える。
やる事はごまんとあるが、睡眠時間を削る気はさらっさら無いのでこうして休暇中も出てこないとならないのは、
まあ言っちまえば自業自得なんだけど。
「ほお、遺跡に沸いたモンスター駆除っすか。」
■アルスマグナ > 「だよなー、まぁ島ごと学校っていうでかい規模じゃ仕方ないけど」
相手の名前があっていたことにホッとした様子で笑う。
「あ、そうだったんだ。若いのにえっらいなー!俺感心しちゃう。
まぁでも仕事もほどほどにね。新米ならこの島の見どころを見て回る夏休みを経験するのも悪くないぜ」
よいしょと紙の四隅を留めると出来栄えに満足した様子でうむと頷いた。
ぱんぱんと手を払い、
「そうなんだよ、毎年この遺跡の調査しているんだけどさ
今年だけ妙にこのモンスターが出回っちゃってて調査が滞って大変でさー。
先生やらない?バイト代でるよ」
猫の手でも借りたい様子で冗談ともつかないことを聞いてみる。
■暁 名無 > 「そうっすねー……まったく、一体総勢何百人居るんだか。
まあ、それを開き直って名前とかばんばん間違っちまって良いとも思うんすけどね!」
実際間違えず自信もって名前を呼べるのは可愛い女の子くらいっすもん、なんて冗談交じりに言って笑う。
……割と冗談じゃねえけどな?
「やりたくてやってるわけじゃないんで、もっと褒めてもっと。
……島の見どころねえ、今なら海岸に行くだけで目の保養が出来るし、一押しはそこっすか?」
廊下に連なる窓の外へと一瞥を投げてから、俺はニヤリと笑ってみせる。
「モンスター駆除ねえ……
いや、これでも若い頃はぶいぶい言わせてたんすけどね?
最近はすっかり膝とか腰とかガタが来ちまって。いやー、年なんか食いたかねえもんっすわ。」
明らかに俺の方が年下だろう。でもそんな事は関係ない。
昔に比べ戦闘力なんて中等部とタメが張れる程度しかないんだから。
ただ、本当に手が足りてなさそうに見えたので、
「ま、俺の方でも誰か行くやつが居ないか訊いてみますよ。
俺の専攻が専攻だし、特別単位くらいはくれてやれるでしょ。」
失敬、と断りを入れて箱から一枚頂戴してしまおう。
■アルスマグナ > 「あ、悪いセンセイだなぁ~だめだぞ~男女差別は。
まぁでも俺も名簿みないと覚えきれないね、学ぶ意欲のある奴らが慕ってくれるのは嬉しくもあるんだが」
にひひといたずらっぽく笑う。
「キャー!アカツッキー!カッコイイ!ステキー!ダイテー!(裏声)……こんなんでいい?
そうそう、海開きしたし海もおすすめ。俺からしたら海底遺跡が一押しだけどね。
他にも常世神社の夏祭りとか、花火大会とか催し物もあるよ。
しかし先生、お主も好きものよのう……。なになに?彼女とかいないの?
合コンとかそういう話ないのかい?ん?」
露骨に小指を立てて悪巧みをするかのように相手の肩を大仰に叩こうとする。
年寄りぶる暁にまたまたぁ、と手を振って
「俺より若そうに見えるのになぁ、おじさんぶると本当のおじさんは立場なくなっちゃうんだぜ。
駆除だけじゃなくて遺跡の修復だけでも手伝ってもらえると嬉しいから戦闘能力必須ってわけでもないしな」
大体俺もドンパチやるの好きじゃないし、と肩をすくめる。
箱から一枚チラシを取られればやったーと両手を上げて
「サンキュー!恩に着るぜ。
アカツッキー先生の専攻ってえーとじゃあそういうドンパチ系?」
要は戦闘技能的な科目かどうかを聞いているらしい。
■暁 名無 > 「男女差別たぁ人聞きの悪い。
ストライクゾーンの問題っすよ、ストライクゾーンの。
まあ、よく話し掛けてくれる奴とかはこっちも覚えようかって気になるもんすよね、
まあ、俺の場合新米なんでまだまだ顔が広まってないんすけど。」
ストライクゾーンから出たら女の子でもちょっと自信無くなるし。
生徒に聞かれでもしたら即刻信用問題になりそうな事でも、まあ同性同士なら気楽に言えるってもんだ。
「おおう、背筋がゾワッとする。こいつぁクーラー要らずだ。
海底遺跡……は、まあそっすねえ。今が旬っすかねぇ。
夏祭りに、花火大会……ああ、花火良いっすねえ。こう、どーんと打ち上げてくれる奴……じゃなかったっすけ、ココの花火大会って。
あーはーはー、彼女なら未来に置いて来ましたよ。
なんてね、どうにも女っ気があってもいまいち踏み出せないでこんな年ですよ。」
合コンかあ、行きてえなあ。でも声が掛かるにはまだまだ青二才に思われてるだろう。
叩かれた肩は痛かった。が、お陰で気を落とす隙が塞がった。
「まあ、実際アラサーって奴でマグナ先生よりは若いんじゃないっすかね。
遺跡の修復かあ……それくらいなら、まあ出来そうなもんっすけど。」
手に持ったチラシに目を落してから、専攻を問われて視線だけ上げる。
横目で人の好さそうな先輩教員を見て、
「俺の専攻は幻想生物やこの島の動植物に関してっすよ。
一応モンスターもこの括りに入っちまうんで、確認の為俺も足は運ばなきゃならねえらしいっすね。」
それまでに仕事をひと段落させにゃ、と俺は大きく背伸びをする。
■アルスマグナ > 「わっかるー。なにがしかの縁やアピールがあればやっぱり覚えやすいよな。
ほうストライクゾーンねぇ、先生ってば一回り下の子が好きとか?
とはいえ、大事な生徒だ。なるべくなら名前、たくさんのやつを覚えてやりたいな」
廊下の窓から通り過ぎる学生を見て、目を細める。
再び視線を暁に戻してからからと笑いながら
「お褒めに預かりどーも。
そうそう、どーんと打ち上げるやつ。なんでもこの国には夏に打ち上げ花火を上げる文化があるみたいでさ。
結構壮大だし綺麗だから是非見とくといいよ。この島の高いところからならどこでも見られるしな」
身振り手振りで打ち上げ花火の様子を説明する。ボディランゲージが豊富である。
話が恋人のことに及べば少しばかりバツが悪そうな顔をして頬をかいた。
「あーすまん、そっか。お前さんも異世界……えーと未来?出身とかか。
悪い悪い、それじゃあ浮気できねぇよなぁ。かくいう俺も嫁を置いてきちまってるからまぁ……」
気まずそうな様子で再び肩をぽんぽんと叩く。
落ち込んだ様子は相手に見られないがせめてもの気遣いというやつだ。
「お、マジで。良かったー!なんかこのモンスターについても生態はまだまだ謎が多いらしくて駆除にも手間取ってるんだよ。
そっか、先生みたいな人が調べてくれるなら安心だ。
いつ頃調査するかの時期が分かれば、その頃に遺跡に駐留している調査隊に出来るだけ手伝いするようにって伝えておくよ」
感謝しきりの様子で笑う。
自分の専門から外れているものはやはり手が出しにくい。
ここは素直に専門家の知恵や知識を借りたほうがうまくいくのだろう。
連携してもらえるのなら願ってもないことだった。
「ん、まぁ先生も忙しいだろうしあまり手間を取らせるのも悪いね。
今度なにか慰労でうまいものでも食いに行くかい、
異邦人街におすすめの飲み屋があるんだけどさ」
そういって床においた箱を再び持ち上げる。
次の掲示板へと向かうつもりらしい。
■暁 名無 > 「っすよねー、生徒たちはもっと積極的に我々を使って貰わないと。
その方が俺らも名前、覚え易いっすからね。
……あー、何つーんすか?年齢よりも、こう、メリハリの強い体型が良いっすね。
いやまあ、そんな選り好み出来る立場じゃねえってのは重々承知してるんすけど。」
年齢不問。まあ自分よりよっぽど上で無ければ大丈夫。
もちろん生徒に限った話でもないが、それを言うにはまだまだ新参には荷が勝ち過ぎている。
「打ち上げ花火か……最近じゃすっかり見に行かなくなってたんでね。
折角だから一つ、今年は見てみるのも良いかもしれないな。
校舎の屋上からなら、そこそこ眺めも良いっすからね。遮るものがほとんど無い。」
身振り手振りを交えて語る姿は、なるほど異邦人だけあって【こっち】に来た時に何かと意思疎通で苦労したのだと思わせる。
俺はニカッと笑みを浮かべ、気まずそうな顔のマグナ先生へと首を振って見せた。
「いやいや、良いんすよ。
本当に恋人は出来なかったんだ、ただ良い姉たちに恵まれましてね。
今の俺があるのは、半分あの人たちのお陰みてえなもんっすわ。」
まあ、置いて来ちまいましたけどね、と締め括ってから、
そういえばマグナ先生の境遇は、と思い出して自分でも分かるくらい渋い顔になる。
「まあ、お互い残してきた人のために今は出来ること頑張りましょーや。
そうしたら近いうちひょっこり顔出しに帰れるかもしれねえっすからね。
……で、ええと今現在最寄のやるべきことは、海底遺跡掃除っすね。
調査団の協力も得られるんなら、そら心強い。
人間一人に出来ることったら限られちまいますからねえ、頼りにさせて貰うとしましょ。」
生態に謎の多いモンスターとなれば興味が沸かない事もない。
こりゃ仕事のペースを上げなきゃならねえな、と俺は今後のスケジュールを見直すことを決意。
「おおっ、良いんすか?なら是が非でも。
いやあ、そろそろ先輩たちとも親睦を深めた方が良いんじゃねえかって思ってたとこなんすよね。
マグナ先生のオススメなら期待できそうだ。」
願っても無い申し出になりふり構わず飛び付く。
いや、そろそろ教員同士の縁も深めときたいのは事実だし、別にインスタント生活に飽きて美味い物食いたいって思っただけじゃないんだ。
■アルスマグナ > 「熱心に俺らを使ってくれる勤勉な生徒がいればね。
いないことはないけど、偏ってばかりじゃバランスも悪い。
ほほーう、つまりボンキュッボンみたいな?肉感的な?
なるほどなー、覚えておこうなー、いつかそういう相手を紹介できるかもなー」
冷やかすような子供っぽい笑みを向けながら
「そうそう、花火大会の日は屋上特別に夜でも開けるから
学校に近い生徒なんかはわざわざ上がってみるんだよ。
警備上はあんまり良くないけどそういう日ぐらいはね」
自分が向けた話で相手の顔が渋くなってしまうのは居心地が悪い。
だいの男たちがそんな顔を付き合わせても面白くもないだろう。
あははっ、と急に笑って
「そんな顔させるために話したんじゃないさ。悪いね。
ん、そうそう。まだまだこの世界のことを調べ尽くしたわけじゃないんだから
気を落としても仕方ねーや。まして俺は諦めたわけでもない。
先生も、そのお姉さんたち心配しているだろうし早く顔を見せてあげたいよな。
そのためにも俺たちは俺達で出来ることを毎日少しずつこなして行こうぜ」
お互いを励ますような言葉。例え空元気に近いものだったとしても今は必要な言葉だ。
未知の境遇に置かれた人間同士、この世界に何かと不安があるのは当然で
それがたまたまこんな形で噴出してしまったのだろう。
年下に気を遣われるなんて大人としてもちと恥ずかしい。
「心強いって言うべきはこっちの方だ。
よろしく頼むぜ、この調査が勧めばもしかしたら『門』についての手がかりが得られるかもしれない。
あの遺跡で『門』が発生していた手がかりが残っているらしいからな」
持ち上げた箱を小脇に抱え直し、仲間としての挨拶の握手として右手を差し出した。
「OK、それじゃ詳しいことは後でメール連絡するんでよろしく。
空いてる日程とか……いや、なんなら今日行っちまうか。
こっちの仕事終わったら様子を見に行くから、それでよければ」
箱を軽く掲げて、そう尋ねる。
もちろんビラ貼りだけが仕事ではない。
暁と同じように教材のまとめや資料作成など色々あるし自分の研究のこともある。
大体同じ時間には仕事もひとつ片付けられるだろうというふうに踏んでの誘いであった。