2016/09/13 のログ
水月エニィ >  
「それは違いないわね。」

 それが分からない男ではないし、
 その上でそれを隠さぬ態度は彼女にとってある種の公平さを覚えるものであり好ましい。
 頷きながら箸を探す。
  
「メイドまで囲っているのね……ご主人様とか呼ばせたいタイプ?
 と言うか私の友人もメイド服を着こんでいたし……流行っているのかしら。
 世永さんはどう思う?」

 何となく振る。
 他意もそれほど無さそうだ。 
  

世永明晴 > 「……あはは。正直、最初はずっとそうされるのかと思いましたス」

思わず笑ってしまった。
こちらもつい、そんな冗談のように、又は本音の様に。
笑いながら述べる。

「メイド。……え、メイドでスか?」
と、言われても。庶民派としてはある意味ファンタジーのそれだ。
ファッションとしてはあるのかもしれないが……。

「……仕える人がいないのに流行ってるなら、それはまた別のお話じゃないでスかね。野良メイドというか……」

烏丸秀 > 「もちろん二人っきりがいいけど、雰囲気が悪かったら台無しだからね。それは今度の機会にしようね、エニィちゃん」

へらへらと笑い続けながら、箸を二人へと。
割り箸を多めに持ってきておいて良かった。

「あんまりご主人様とかは惹かれないなぁ。恋愛は対等な関係でしたいんだよ、ボク。
メイドさんはなんというか……試供品?」

適切なような、意味がわからないような。
そんな例えを出しながら、弁当を一緒に食べすすめ

水月エニィ >  
「ええ、今度。
 そんな身勝手な強者じゃなくて良かったわ。」
 
 言葉と共に豚の煮付けに箸を伸ばす。

「野良メイドって言葉は……ああ、ああ。
 あのモニターの懸賞のメイドさんね。一人ぼっちの猫さんみたいな女の子に押し付けた覚えがあるわ。」

 心当たりを思い返しつつ煮付けを口に運ぶ。

 ……濃すぎず。されど染みわたっている。
 エニィからすれば過不足ない味付けだ。

「美味しいわね……。」

 素直な感想を零し、そっともう一品。

世永明晴 > 「その時は、お邪魔しないように気を付けまスよ」

潔い人だ。全く……本当に色々な人がいるものだ、と感服しながら炊き込みご飯へ箸を伸ばした。

「うん……おいしいでスね。確かに役得でス」

と言った後に聞こえてきた言葉に思わずむせそうになる。

「そ、そんなにメイドさんは溢れてるんでスか……懸賞って」
試供品のメイドとは……。なんだろう、人権とかその辺り大丈夫なんだろうか等と自分で心配になっても仕方がない部分を気にしつつ。
いれば生活は楽になりそうだけど……いや、今の自分だと、碌に世話になれなさそうだ、とも思い。

烏丸秀 > 「そ、その懸賞のメイドさん。
あれ、研究所に出資してて、一体もらったんだけどさぁ……残念な事に、こう、残念でね」

はぁ、とひとつ溜息。
面白いし、貰ってよかったは思うが、色々と大変だ。

「ん、美味しいなら良かった。
あ、デザートは奮発したよ」

巾着から3つ、和紙に包まれた栗きんとんを取り出す。
もちろん、自家製だ。

水月エニィ > 「今思えば、大分前に外で子供と戯れていたメイドさんもそうだったのでしょうね。
 ……ああ、アンドロイドって話よ。生身だったら人身売買だもの。そんな事絶対赦さないわ。」

 強めの口調で言い切った後、誤魔化すような思い出すような口ぶりで
 "風紀や公安が黙っちゃいないもの"と付け加えて誤魔化す。

 一通りのお弁当に箸をつける。
 どれもこれも美味しく、統一感のある見た目もまた好ましい。
 参考にしよう と 心に抱き。

「って、アレに一枚噛んでたの?
 しかも出資って……烏丸さん、随分とお金を回すのね……。
 ……それはそれとして、そろそろデザートも貰おうかしら。」

 出資。
 当たり前のようにその言葉が出せる辺り、"運や家柄でただ財を持っているだけの金持ち"でない者に見える。
 烏丸本人の立ち居振る舞いにしたって、それがでまかせでないと得心を覚えるものはある。

 

世永明晴 > 強めの口調にほんの少しだけ体をびくりと震わせ、彼女を見た。
何か思う所でもあるのだろうか。少なくとも、今の時点では全くわからないし、それに。
……まぁ、きっと。自分は知る必要もない。それがどこまで行ってもベストだ。

「あ、でスよね。よかった。……技術ってすごいでスね」
そんな内心も誤魔化すように、そう言って付け加える。
しかし、ははぁ……。庶民な自分には全くわからないが、なるほど。
色々悩みはあるのだな、と違う世界の人物を見るかのように息を漏らした。

「なんか……頑張ってくださいね。えっと……そのメイドさんのこととか」

自分には、何の話かまるで分からないのだ。ならば、口をつぐんでもよかったのだろうけど。
もう一つ焼き魚を口にして、おいしさを堪能したところで。

「デザートもあるんでスか。……準備がいいでスね。見習いたいでスよ」

烏丸秀 > 「そんな事したら、ボクも逮捕されちゃうなぁ、怖いこわい」

実際、この男は人身売買の仲介などもしているのだが、そんな事はまったく顔に出さない。

「お金なんて、使いたい人間が使えばいいんだよ。眠らせといてもなんにもならないさ」

お弁当は成功のようだ、たまには作るのもいいかもしれないな、などと思いつつ。

「うん、でも、キミも大変そうだね?」

世永にそんな言葉をかけつつ、自分も栗きんとんをひとつ、口に入れる。
ほのかな甘味と栗の食感。うん、我ながら良い出来だ。

水月エニィ >  
「全くね……ん、おいし。
 専門のお菓子って和食なの?」

 くりきんとんを食せば機嫌も戻る。
 元よりもしもの話であるし、思い出したような苛立ちだ。

「私たちも見習わないといけないわね……
 ……でも、お弁当があったら教室にはいなかったでしょうし、これも食べられなかったかもしれないわ。」
 

世永明晴 > 「どうか先輩が、ニュースに出ることのないように祈っておきまス」

そんな冗談を飛ばして、栗きんとんへ箸を伸ばす。
美味しい。……お菓子作りがメインと言っていたのは伊達ではないようだ。
しばし、その美味しさに無言になった後。

「え?」

なんだろう。アレだろうか。特に隠してることでもない。
……が、もし先に自分とこの人物が寝ている時に会っていたらと考えると、少しだけ不安になった。どうしようもない事なのだけれど。

「そうでスね。……ちょっと大変かもしれません」
と、苦笑を漏らした。
「偶然に感謝という奴でスね」
そうして、彼女の言葉に頷く。

烏丸秀 > 「そ、和菓子。お茶の時に使う菓子を作るのがきっかけでね。洋菓子もそれなりに作るけど」

うん、満足してもらえたようで良かった。
空になった容器を片付けつつ。

「それともまだ大変じゃないかな? ま、いずれ分かるよ。この島で、運命に対して受身だと、きっと大変な目にあうからね」

それだけ言うと、ゆっくり立ち上がる。
そろそろ授業開始だ。

「じゃ、エニィちゃん、今度は本当にデートしようね」

楽しそうに言い。

水月エニィ >  
「偶然はとてもうれしいわ。
 本当、有難い事だもの。有難いから甘える訳にもいかないけれど。」

 食べ終えれば箸などを隅に整え、膨れたお腹をさする。
 満足そうな素振りだ。

「……本当、物好きね。
 ええ。デートになるかどうかはともかく、また会いましょう。」

 曖昧に笑いつつ答える。
 やや苦笑気味に誤魔化した、と言った具合か。
 
 

世永明晴 > 「…………」

言われた言葉に、返答できずに頭をかいた。
言える言葉はあったはずなのだが、それに返答することが出来ずに、一言「……はい」とだけ、呟く。
立ち上がるその姿に会釈をした。

「……ありがとうございました」

烏丸秀 > 二人に軽く手を振り、教室を後にする。
この昼食が何をもたらすか。
そんなものは、まだ、考えても分からない。

ご案内:「教室」から烏丸秀さんが去りました。
水月エニィ >  
 烏丸を見送り、少しの時間余韻に浸る。
 何か会話をしたかもしれないし、しなかったかもしれない。
 どちらにしても次の講義もある為、移動はしないつもりだったが――

「……と、私はちょっとお花を積んでくるわ。
 また後でね。世永さん。」

 言うまでもない何かを覚えれば席を立つ。
 まだ時間もあるし、講義の前に済ませておこう。
 その様な具合で一度席を外す――切羽詰まったものでないのか、歩く速さも普通だ。
 

ご案内:「教室」から水月エニィさんが去りました。
世永明晴 > 「……」

その姿が見えなくなるまで見送った後。
ふぅ、と一つ息を吐いた。切り替えられた。
かけられた言葉に笑みを浮かべながら。
「えぇ。また、後で」

そう答える。
だけど、今だに、頭に残っているその言葉は中々消えることもなかった。
そうして、次の講義への支度をしていった。

ご案内:「教室」から世永明晴さんが去りました。