2016/09/27 のログ
デーダイン > 「―――『うわ』

とはなんだッッ!!!
まるで…まるで、不審者や変質者を見たみたいに反応しおってからに…!!」

どぅん。デーダインの手袋の拳が机に叩き付けられる。
声の暑苦しさ、3割増し。
とはいえ、敢えて言うがこれに関しては相手側に絶対に非はないのである。
仮面、ローブ、フード、赤マント。もはやこれ以上ないってくらい変なヤツだ。

「ああ、いや。私の方こそ。気にしなくていいぞ。」

けれど、すぐ先生って分かってくれた様なので、暑苦しさの増量がひっこんだ。

「ははぁ……なるほど。

ウム、そういうことか…そのことなのだが……。」

その授業、なんていう巡りあわせなのか、この私がやるんだよなぁ……。
そう、さっき授業の押し付けの置き紙を見たばかりで、次の授業を、
グラウンドでするか、体育館でするか、そもそも何をするか、それさえ決めていないのだ。
適当な事を言っても良くないし、自分が担当だって後で結局分かるだろうから、
黙っておく事もない、か。

「少女よ!少し説明の時間を貰って構わないだろうか!

先ほど言った通り、末山修一は暫く持ち場を離れる。
そして、体育の代理の教師が次の一コマをさっき押し付け…もとい、やるわけだ。

―――それで、その代理が何を隠そう私、デーダインなのだ!!!

が………

まだ、何をやるか全く決めて居らんのだ。」

大袈裟に自分自身を指さすデーダイン。それから、両方の手袋を広げて、やれやれと。
仮面に表情はない、しかし、何だか声は困っているって感じがありありと表面に出ている。

「恥ずかしいながら、体育の授業の代理は初めてなもので…。
言い訳がましくてすまないが、まだ何が必要とも決めておらん、というわけだ。

末山のヤツは私に丸投げしおったが…一体、何をやったら良いのだろう?
例えば…そう、貴様の好きな、もとい、良いと思う種目を教えてくれんか。例えばだが。」

正直に現状を白状するデーダイン。聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥、とは言ったもので、
良く知らないので、これも機会とかの末山の授業を受けているという生徒自身に、話を聞いてみようかと言う算段。

加冷さち子 >  
「ひぃっ!?」

 職員室に木霊す悲鳴。
 加冷さち子はただの女の子だ。
 唐突に暴力の色が見えれば怯えてしまい、尻もちをついた。

「……え、ええ。」

 気を取り直して立ち上がり、頷く。

「そ、そうですか。
 先生が代理を務めるものの、予定は未定。……デーダイン先生って言うんですね。」

 困惑した素振りを伴う言葉から概ねを理解する。
 逆に何をすれば良いのかと尋ねられれば、口を閉じて考える。
 
「……私も前回休んでしまったので、適切であるかは分かりませんが……
 ………キャッチボール・ドッジボールなどの柔らかいボールだけで出来る球技はどうでしょうか?
 テニスなどの細かい道具を使うものよりは事故が少なく、やりやすいと思います。」

 簡単な所見を口にする。
 準備運動などは生徒の誰かが音頭を取れば出来るだろうと思い、口にはしない。 
 座学については知識が無ければ難しいだろう

(って、何の先生なんでしょう?
 とにかく怪しいので呪術とかそっちでしょうか。)

 ともあれ。

「何時から休むつもりだったのかは分かりませんが……
 少なくともまだ始まったばかりなので、やり途中の授業は無い……と思いたいです。

 ……デーダイン先生的に一番やりやすいのは、ひたすら走らせる事かもしれませんが……」

 そうなったら休もう。
 気乗りしなさそうに案を加える。
  

デーダイン > 「ああっ!すまない。少々声を荒げすぎてしまった…いかんいかん。」

転びかける様子を見れば、たちまち謝ると共に席から飛び跳ねる様に加冷さち子の方へと飛んでいく。

「申し訳ない…怪我はないか。ふう……すまない。」

幾度か頭、というか仮面を上下して。

「うむ。私はデーダインというものだ!
長いのでダイン先生、もしくはダイン様と気軽に呼んでくれたまえ!」

自らの呼び名を高らかに語る。後者はどう考えても気軽ではないが。

「…因みに!担当科目は魔法系列を一式と、黒魔術を教えている!」

予想は、当たらずも遠からず。
呪術も黒魔術も通じるものがあるし、間違いではないのかも。

「…ああ、そうだったな。すまない。

ふむ。なるほど…キャッチボールにドッジボール…か。
どちらもシンプルでいいと思う、フム……ドッジボール、それにしてみようッッ!!」

もとから、良い考えはなかったのだ。
加冷さち子が言った通り、道具はボールだけで、怪我の心配もない。
準備は然程もかからずに、体育の醍醐味である競争も出来る。

「まぁ、猪突猛進を人間にしたみたいなやつだからな、末山は。
ともあれ、ヤツは教師としてはマトモだ!休んだ事や、それを取り返しに職員室まで質問に来たことは、
勿論私から末山のヤツに伝えておくぞッ!!

……ハッハッハッハ、ただ走らせるだけではつまらん。
第一ッ!!そんな授業絶対受けたくないだろう!?
そんな授業なら、私は休むぞッッ!!少女よ!!」

ついで付け足された提案に大笑いするデーダイン。
授業には、楽しさがなければならない。

「ただ、走らせるだけでは…

―――おお!そうだ!それならこうしよう!!」

デーダインの頭から黒ーい電球マークが飛び出して、消える。
ぽむんとやけに気の抜けた音で手袋同士を叩き合わせ―――

「ドッジボールで負けたチームは、グラウンドを20周走るッ!!
勝ったチームは…そうだな!先生の奢りで飲み物飲み放題ッッ!!!」

両方の手袋の人差し指を立てて、加冷さち子に向ける。
仮面に表情はない。しかし、何処からかドヤァアアアアン!と効果音が聞こえてきそうな程に声と仕草に自信がみなぎっていた。
とんでもない死闘、スパルタドッジボールである。

「それで、ドッジボールというのは、やはりグラウンドでやるものなのだろうか。
するとグラウンドシューズと体操服が必要、って事で良いかね?」

加冷さち子 >  
「心に怪我を負いました。先生。」

 訴えるように睨み、頬を膨らます。
 下手に出たデーダインに対し、素直に不満をぶちまけた。

「魔法・黒魔術。……ああ、なんだかいかにもって感じですね。納得しました。」

 言われてみれば納得して頷く。
 細かい事はともかく、だいたいあっていた。

 しかし、爆笑の後に導き出された次なる解答には。

「……えぇ。」

 心底げんなりした様な声を出す。
 何て言うか、こう、かの体育教師が代理を頼んだだけあると言うか、
 この先生が言うマトモがとても不安になると言うか――

「類は友を呼ぶ……ではなくて、ええ、はい。
 多分それで問題ないと思います。」

 休もう。
 内心で決意を固めた。 
 

デーダイン > 「こ、心に…それはいかんな、どうすれば治るだろうか?」

仮面の鼻の頭の辺りに人差し指を添えて一考する。
結構真面目に心の怪我とやらのケアの方法を考えてるのかも。

「………何がどう『いかにも』なのだね。
まぁ……その、いかにもブラックなイメージであるだろう!」

頭から足まで、何処を取っても不明瞭さしかない点では。

「うぐぐ…まぁまて、冗談だ、半分くらい。」

ちょっと自信あったのに、わー!っていう反応ではなかった。
それが、デーダインには率直にかなり残念だった。
悔し気に唸るような声を出して…。

「末山のヤツと一緒にされては困るッッ!!

ドッジボールというのは決定した、いやしかし。
勿論そんな走らせるとかいう野暮な事はせん!
苦痛でしかないからな!
私はマラソンの存在意義というのがこの世界のだいたい7番目くらいに分からんッ!

そうだなァ…。
では、逆にどうすれば白熱した試合になると思うか?」

その内心などいざ知らず、授業をより熱くするにはどうすべきか、再び問いを投げる。

加冷さち子 > 「冗談です。 ちょっとした仕返しでした。」

 悩んだ素振りを見てからしれっと言ってのける。
 真顔でそう言った故に、真意は読み取れない かもしれない。

「ブラックでオカルトです。ダイン先生。
 その割にはテンションが高いですけれど。」

 じめじめ、と言った感想は覚えない。
 洗濯物が乾きそうなぐらいにはテンションの高いノリ。
 加冷さち子はそう思った。

「20週はちょっとないです。とてもないです。
 マラソンの存在意義には私も同意ですけど………
 ………ごめんなさい。やっぱ浮かびません。男の子の気持ちとかちょっとわかんないです。」

 白熱する。
 熱くする。

 女の子としてはどうにも良く分からないものだ。
 素直に分からないと答える事にする。

(調べ………るのも微妙ですね………
 先生の前でスマホ取り出すのもヤですし………)

 冗談半分と聞けば安堵はするものの、それはそれでわからない。
 加冷さち子は困っている顔を浮かべている。
 
 

デーダイン > 「………そうか。ちゃっかり、騙されてしまったぞ!
だが、心を怪我していないなら何よりだ。」

良かった良かったと目に見えて安堵するデーダイン。
すんなり冗談ってコトを信じ込んだようだが…。

「ハッハッハ、そんなに褒めないでくれたまえ。
お調子者だとはよく言われるし自覚はしている。
だがまぁ、こんなんでなければ黒魔術を教えると言っても釈然とせんだろう。」

褒めているわけでもなさそうだが、なんだか誇らしそうだ。

「………私も流石に走れって言われたらイヤだわそれ。
ふーむ。少女は少女ゆえに、燃え上がる感覚はあまり親しくないのだな。」

そういえば、加冷さち子と話していて気付けば、
テンションが常に普通もしくはそれより下のラインで一定している気がする。

「ああ、すまなかったッ!!
どうやら、悩ませてしまった様だ…。
そも、この間休んでいた生徒にアレコレ聞いてしまったのも酷だったろう。」

出てこない答え、それを強要することもないし、
唐突に話したのに考えてくれて、話に乗ってくれただけ良かったのだ。

「授業の連絡については、後日、程なく追ってさせてもらう!
次の体育の授業は、野外で行う。その心づもりで居てくれ!!

―――おっと、そろそろ午後の授業だな。」

やらないとならない事は、末山修一の置手紙のせいで遅れたが、それくらいの遅れはすぐ取り戻せる。
兎も角、次の授業が始まるには良い時間になった。
時計の針の動きに併せて、少しだけ残っていた教員の数も、更に減っていく。

「私も行かないとな。
貴様も次のコマがあるならそろそろ赴くと良いだろう。
あれこれ戸惑わせて悪かった!

詫びと言っては何だが、次の体育の授業を楽しみにしているが良いッ!!
末山修一のヤツより熱くて面白い授業をしてやるわ!!!

―――それではな!」

休もうと決め込んでいたりした加冷さち子へと大声で宣言をするその様は、滑稽かもしれない。
赤いマントをはためかせ、びゅおんと勢いよく手袋を振って。
職員室を後にするだろう。

ご案内:「職員室」からデーダインさんが去りました。
加冷さち子 >  
「あ、はい。また。授業楽しみにしてますね。」

 小さくうなずき、赤いマントをはためかせる教師を見送った。
 強い宣言には大分棒読み気味に答えていた。大分わざとらしい。

「………変な先生でした。」

 ………真顔でぽつりとつぶやく。
 でも周囲の教師はあの先生を不審がっていなかった。ので、とりあえずそう言う先生と言うことだと思っておく事にした。

 そして確かにもうすぐ次の授業が始まる。
 午後の授業の存在を思い出せば、「失礼しました」と頭を下げて扉を閉める。
 やや小走りに次の授業へと赴くだろう。

(………出るだけ出てみましょうか、あの先生の体育授業。)
  
 

ご案内:「職員室」から加冷さち子さんが去りました。