2017/10/18 のログ
岡崎 燐太郎 > 校内において限られた時間を潰すとなればおのずと場所は限定される。
そのうちの一つとしてこの教室棟の屋上があり、ここに足を運んだのも選択肢の中から選んだ結果だ。

「そうか。まー、寒くないならいいけどさ」

本人がそう言うなら何よりで、他人が危惧すべきことではない。
再び空を見上げてさらに言葉を続ける。

「あまり良い空色じゃないな……今日の予報、なんて言ってたかな……」

制服の袖から覗く鈍い銀色の光を返す指で顎を撫で、んーと唸りながら天気予報の記憶をたどる。

ご案内:「屋上」に和元月香さんが現れました。
和元月香 > 「.......」

ふ、と視線を相手へ定める。
...あまり印象に残らない、凡庸な姿形。

自分もそうだろうが、と思いながらふと
制服の裾から見えた銀の光に目を留めて。

「.....曇り後雨、だったような?」

そんなことを呟きながら、彼の腕を興味深けにじっと見つめる。

岡崎 燐太郎 > 「あー……じゃあ帰る頃には降ってきてるな。傘忘れたのに……」

しまったという感情が素直に顔に浮かび出る。

「まあありがとうな……うん? どうした?」

うなだれる寸前で礼を告げたところで、自身の腕に視線が据えられていることに気付く。
特異な腕に自覚こそあったがこれが平時であるため、口から出たのは月並みな疑問符だった。

ご案内:「屋上」に和元月香さんが現れました。
和元月香 > 「傘一応あるけど、相合傘でもして帰る?」

柵から離れ、相手の隣に勝手に腰かける。
そのまま無表情のまま、しかし愉しそうに。
表情と声色があっていない。

隣に腰かけたまま、無遠慮に腕をじろじろと眺め。
その瞳には、きらきらと星が輝くようだろう。

「...かっこいいね!」

まるで小学生のような弾んだ声。
無表情のままだが。

岡崎 燐太郎 > 「えっ……いいのか。滅多なことじゃできないし、本気なら乗るけど」

一瞬動揺はしたがからかい半分での発言だろうと、つい冗談めかして返してしまう。
隣に移動したのに合わせて改めて体を向き直らせて。

なみなみと注がれる視線に照れくささを覚え、それを誤魔化すようにその手を真ん前に伸ばす。

「だろ? 俺の自慢の腕だ。触ってみる?」

ふふんと僅かばかり胸を張る。
その後接触を促すように手のひらを空に向けて控え目に差し出した。

和元月香 > 「私はいいよ。...マジでやりたい?」

自分は別にいいけど、と呟いて。
無表情が、思わず小さな笑みに変わる。
特にそういったものにときめきを感じるわけではないけれど。

「!....硬いね....」

ゆっくりと撫でるように義手に触れると、
魔力の通りを感じ、少しだけ目を見開く。
しかし知り合いにも不思議な義手をした男がいたことを
思い出し、割と珍しくないのかと考える。

岡崎 燐太郎 > 「うん……まあ……」

返答を濁す。相手に邪な考えはなさそうだし自分にもそんな気などない。
それに常人ではないとはいえ、いたずらに身体を冷やせば風邪は引く。ここは言葉に甘えた方が良いか。

「スキンは張ってないからな。見たまんま鉄の腕だよ。」

手首まで見せるように袖を捲り五指を開いたり閉じたりしてみせる。
その動きは人体のそれと遜色ない自然な動作。それだけでどれだけ精緻に作られているかがわかる。

「……珍しいか?」

隻腕の者はここではさほど珍しくないどいえど、この義手に関して言えばその機能だけでも他に類を見ないものだろう。
興味ありげに触れているのを見てその感想が気になりふと聞いた。

和元月香 > とりあえず相合傘で帰ることが決定した。
教室に置き忘れた傘のことを考えながら、
月香はふわぁ、と小さく欠伸をした。

「凄いねぇ...。なんか...すごい値段張りそう...」

目を輝かせながら、自然な動きをする腕を隅々まで見る月香。
魔術がいくつか組み込まれているのを目敏く見つける。
...それも込めて、少々下世話な言葉であった。

「...?そんなことないみたいだよ?
私の知り合いにも、変な義手つけてるやついるし」

不思議そうにしながらも、横に首を振って否定する。
素直にかっこいいだけだと笑みを浮かべて。

「この島じゃ本土で珍しいのもみんなふつうだからね」

岡崎 燐太郎 > 「値段は……覚えてないけど、大した物じゃないよ」

一見謙遜にも聞こえるが医療用として作られる義手と違い魔術的な要素が多く一概に言えないというのが本音だった。

「んーそうか? ま、俺が知るより結構多いってことかな」

校内や街中を歩いているだけじゃあまり見ないけど、自分が知らないだけで似たような者はいるのだろう。
奇妙な目で見られることに慣れているがこうも素直に関心を抱かれるとやはり嬉しさと気恥ずかしさがある。

「ま、俺より変な奴はもっといるからな。ここで過ごしているとよく分かる」

口元に笑みを作りながら記憶の中の変人たち浮かべてそう加える。
そして両腕を上に突き出して伸びをした。

和元月香 > 「そうなの?...じゃあ私も義手に変えよっかな。
ロケットパンチしてみたい」

右手をわきわきとさせながら、
何をとち狂ったかとんでもないことを言い出した。
眠気で判断力が落ちている...つまり本音、なのだが。

「私が知っている限りは君除いて1人しか居ないけどね」

上げて落とすスタイルである。
さらりと言ってのけながらも、その表情は穏やかで。

「.....だから楽しいんだよね、ここ」

口の端を釣り上げて、にやりと笑う。
悪役みたいな笑い方をした割には、
次に出した欠伸はとても呑気で大きなものだった。

ご案内:「屋上」に和元月香さんが現れました。
岡崎 燐太郎 > 「やめとけって。結局、生身が一番ってなるぞ?」

ハハっと、笑いを交えてトンデモな提案を止める。
今まさに義手である身が言う分多少説得力は増すだろうか。
最後にあとロケットパンチは無理と付け加えて。

「そうだなぁ……平凡に暮らしていても飽きは来ないし。それが日常になって退屈にはなるだけどね」

苦笑。それでいて歯を見せる幼い子供のような笑顔を向ける。

「またあくび。眠いのか?」

観察眼というのだろうか。先ほどから幾度としている合図を指摘した。
眠気の真偽はともかく、そろそろ潰す暇もなくなってきた頃合いだ。
捲り上げた袖を戻すとゆっくりとその腰を上げる。

和元月香 > 「.....確かにねぇ」

何を思い出したのか、ぎゅっと眉を顰めて頷いた。
しかしロケットパンチは諦められないらしく、しゅっしゅとパンチを繰り出しながら。

「退屈は敵だよー...。
なにもかも腐っちゃうからね」

一番好きになれない言葉に、へらりと笑って返す。
忌々しいわけでも、嫌いでもないけれど。
決して好きになれないだろう。

「んー...。
きのう...深夜アニメぶっ通しで観てたから...」

生返事とともに頷く。
ゆっくりと立ち上がって目を幼い仕草で擦る。
とにかく眠いらしい。

岡崎 燐太郎 > 「はっ、その通りだ。」

退屈が好きだという人間はそう多くない。
もし自ら退屈を望む者がいたらよほど奇特な人だろう。

「夜更かしか。女子はそういうの気にするんじゃねーの?」

ぱっと見ても整った顔立ち体つきだ。
女性ならそれらを維持するために何かと気にかけているのかと。
もっとも深夜でも必要とあれば活動を始める自分が言えた義理ではないが。だが男の身で美を意識する必要がないというのもある。

「さて、そろそろ行くとするかー。……あ、傘の件、お願いするよ」

立ち上がると扉に向かって歩き出す。その途中で思い出したように、今度ははっきりと願いを告げて。

和元月香 > 「ん。その点この島はいいね。
ずっと退屈しない。永住したいくらいだよ」

軽口を叩くような口振りだが、
内心は本気だったりする。

「あんまり気にしないよ?」

けろりとした表情で、そう言う。
スキンケアなんてろくにしていない。
確実に世の中の女性の大半を敵に回しただろう。

「....りょーかい」

ゆっくりと頷いて、少し考えてから
相手の後ろにぴったりと張り付くようについていく。

ご案内:「屋上」から和元月香さんが去りました。
ご案内:「屋上」から岡崎 燐太郎さんが去りました。