2017/11/04 のログ
■HMT-15 > 「そういえば今日は満月なのか。」
今までは見下ろしてしかなかったロボットが
今日初めて屋上を照らす夜空へ目を向ける。
快晴だからこそ良く見える真ん丸のお月様。
それは太陽の光を受け青白く光っている。
「文献によれば人間はあの模様をウサギやカニと捉えるらしいが
実に不思議だ、月の環境は生物が住むには適さない。
しかしあの衛星に旗を立てた事については感心せざるを得ない。」
伝統や言い伝えなど度外視なロボットは
高倍率のズームで月を眺め
自問自答を繰り広げながらフシュウウと排気する。
外気温のせいかその排気は蒸気となりたちまち
夜空へと昇っていく。
するといきなり不気味な電子音が一つ鳴ると共に
そのロボットは動きを止め
「・・・任務を受理、内容を確認、了解。」
先程までと様子が一転して変わる。
極めて淡々と冷たく単語を吐けば
今までのんびりしていたとは思えないほど
甲高いモーター音が鳴り響く。
同時に油圧機構からもパワーが出力され
辺りの物を利用して軽く駆け上がりフェンスを乗り越え
夜の闇へとその姿を消す。
ご案内:「屋上」からHMT-15さんが去りました。