2017/12/29 のログ
岡崎燐太郎 > しかし、薄々感じてはいたがやはり島に残った者の絶対数が少ないのだろう。
この時間帯にも関わらず食堂への客足は目に見えて減っている。
食堂を含めた校内の施設、および街の商店はほとんどが通常運営であるため、
現状これといって不便は感じていない。

「ん……まぁ、この状況じゃあな」

注文した料理の完成の合図が鳴る。
いつもと比べて早い客捌きに、暇そうな厨房を想像しては思わず苦笑を漏らした。
カウンターに置かれたラーメンをお盆ごと席に運ぶ。醤油である。
再び腰を下ろし二本一対の割り箸を汁に突っ込む。
麺だけを持ち上げ口へ運ぶと厨房から漏れ出していた匂いが鼻腔にも広がった。

さてこれで心は満たされるが人気のなさによる寂しさは紛れることはない。
まあ新年を迎えるころに一人過ごそうなどと考えるとすればそれは、
単なる怠け者か、ただの奇特な人間か、あるいは――
もっとも怠惰を決め込む事を選択した己は誇れたものではないが。

岡崎燐太郎 > 屋内は暖房が効いているので寒いわけではないが、
湯気の立つ麺を食していると自然と身体は温まってくる。
黙々と進めていた箸を一旦止め、フレーバーを変える調味料を手に取る。
それらを器に振ってはまた箸を進め、そうして気ままに昼食のひと時を過ごしていく。

「……うん、いつの間に」

食事を終えてごちそうさまと器に向けた瞳で外を見やれば、
真っ白い空からしんしんと冬の訪れが降り注いでいた。
さらに遠くには青空と陽が顔をのぞかせているし、銀世界を見ることはないだろう。

返却口に空の器とお盆を置き、ささやかな喧噪の残る食堂を後にする。

ご案内:「食堂」から岡崎燐太郎さんが去りました。