2015/06/10 のログ
ご案内:「教室」に有澤 零砂さんが現れました。
有澤 零砂 > 各席にパソコンが配置された、いわゆるコンピューター教室、
授業が終わり、生徒がいなくなったそこでカタカタと子気味よい音を立てながら作業をしている。
外観は生徒に振り分けられる見た目であろうが、座っているのが教卓である。
そして、制服でもないその様子から、教師に分類される人間であることは想像がつくだろう。

有澤 零砂 > 「はぁ・・・」ため息とともに、手を止める。
というのも、彼が思った以上にこの教師という職業は忙しく、作業の多いものであり、
授業が終わってからも、課題の確認、次の授業の準備に追われ、そんなわけでため息のひとつでもつかなければやってられないらしい。
「早く帰りたいですね・・・」そうつぶやき、キーを再びたたき出す。

ご案内:「教室」に『室長補佐代理』さんが現れました。
『室長補佐代理』 > がらりと、教室の扉が開いた。
授業も終わり、生徒も散り散りに帰って行った放課後。
本来、用のある生徒がそれほどいるはずもない。
そんな教室の扉をあけてはいってきたのは……黒いザンバラ髪が特徴的な長身の男。
放課後の夕暮れ時。廊下の窓から差し込む朱の逆光を受けながら、コツコツと靴音だけを鳴らして教室に入ってくる。
柱を思わせるその縦長の出で立ち。
その先端にある相貌にはりついているのは、不気味な笑みであった。

有澤 零砂 > 「ん・・・」その音に反応するように、首を扉のほうへ向ける。
「おや、この時間は授業はないはずですが。自由使用の生徒さんですか?」
すこしだけ、不思議な様子を表情に浮かべながら、たずねる。
先ほどまで響いていたタイプ音は、手を止めたために止んでいた。

『室長補佐代理』 > 「いいえ、違いますよ、教諭」
コツコツと、足音だけを響かせて近づいてくる。
制服をしっかりと着込み、コートを羽織っているにもかかわらず、不思議と衣擦れの音はしない。
右手をポケットに突っこんだまま、ゆっくりと近づいてくる。
逆光を背負っているせいか、シルエット全体が夕闇の朱に沈むように滲んでいる。
しかし、怪しく輝く左の銀の指輪だけが、やけに鮮明に見えた。
「アナタに用があるのですよ。『有澤 零砂』教諭」
そう、目前にまできたところで覗き込むように教師の目を見てから、男はまた口元だけで笑った。
その右腕の腕章は、公安委員を示すもの。
学生自治の特色が強いこの学園では、かなりの強権を誇っている組織である。

有澤 零砂 > 「ふむ、なるほど。 自分の授業を受けていた生徒だったかな、君は。」 そういいながら、思い出すようにその身なりを見つつ。
少しの思考の後『違うな』と結論付ける。 理由はシンプルだ、公安委員会所属で、印象の強い生徒を忘れるわけがない。
「なるほど、用件はなんですか? 課題未提出でなきついてきたというわけではなさそうです。」
流石に、作業しながらというわけにも行かない。
完全に体をそちらに向けてじっと視線を向けてたずねる。

『室長補佐代理』 > 「残念ながら違います、教諭」
覆い被さるように、瞳を覗き込む。
身長差からそうするしかないとはいえ、傍目から見れば入道怪異が人の子を見下ろしているかのようにも見える。
「アナタのその電子戦の腕。それを拝借させて頂きたく、参上いたしました。私、こういうものでしてね」
そういって、懐から取り出した生徒手帳は普通の生徒の持つそれとは装丁が異なるものだった。
その手帳を開いて、男は名乗る。
「公安委員会直轄第二特別教室 調査部別室 『室長補佐代理』 異能名は『主観論』、魔術名は『君の友人』」
じわりと、滲むような笑みを滴らせながら、男は続ける。
「治安維持のため、我々に御協力願いたい」

有澤 零砂 > 「ふむ、となると。」
だが、それは慣れてはいる。特にひるむ様子もなく見上げながら、
じっくりと話を聞いている。
「なるほど、ヘッドハントというやつですか。」
生徒手帳を確認し、納得した様子で頷きながら。
「しかしですね、確かにそのような心得はありますが…」
困った様子で続ける。
「教師としては新米です、掛け持ちできるほど時間も余裕もありませんよ。」
ため息をつきながら、申し訳なさそうにそう答える。

『室長補佐代理』 > 「何も公安委員会に所属しろといっているわけではありませんよ」
ブリキ細工が軋むような笑声を漏らしながら、手帳を懐に仕舞い、男は続ける。
「それに、アナタは教師である以上。いずれにせよ、協力せずにはいられない」
そういって、また懐から取り出した資料を渡す。
簡単な書類である。
「新任であるアナタは知らないかもしれませんが、実は先日までこの学園の公安委員会と風紀委員会は反目していましてね。まぁ、それを扇動した首謀者は既に『処分』されましたので、今は互いに共存共栄といったところなのですが……お陰様で全体的に情報交換の必要が増えすぎてしまい、チャンネルが以前より緩みやすくなっている。結果として、そういう事件が起きることが増えましてね」
渡された資料にかかれている事案は……流出した公安や風紀の情報を逆手にとった犯罪の数々だ。
抜き打ち調査の情報などが特に洩れれば、犯罪組織への先制攻撃は難しくなる。
そうなれば、当然生活を脅かされるのは……何の罪もない一般生徒たちだ。
「我々のような調査部の人間からすれば、まぁ仕事にそれほど差し障りはないんですがね。それでも、心苦しいことにかわりはない……出来れば、御協力できませんかね? 一般警邏などのセキュリティ強化の面で」

有澤 零砂 > 「なるほど、まぁ、確かに。」
資料に目を通しながら、少しあきらめ気味に答える。
「なるほど、厄介なタイミングで来てしまったらしい。」
資料に目を通しつつも、処分という単語に少しだけ怖いな、と思いつつ。
「まぁ、治安がよくなるのはこちらとしても万々歳です。 実際この外見だと、ひ弱な生徒だと思って絡んでくる柄の悪い人もいますし。」
資料を読み進めると、あまりいい気分ではないという感情が表情に浮かんでいる。
「ただ、あくまで本職はこちらです。
ゆえに異能による介入にまで完璧に対応、ということはできません。
片手間で特化能力者に勝てるほど僕は自分が優秀だとは思ってませんからね。」
資料をいったん整えてから返し。
「受けてもいいですよ、ただ・・・」
にっこりと笑って、答える。
「一応聞いておきますが、セキュリティ関連を任せれるほど、僕は信用に足る人物なんでしょうか。
もしかしたら、実は裏で柄の悪い生徒とつながっている、などという可能性は考えられましたか?
まぁ、下調べがすんでなお、僕が信用にたるというのなら、問題はないのですが。」
真剣な表情で、じっと目を見て、試すような視線を浴びせかけながらたずねた。

『室長補佐代理』 > そう、懸念ともとられる『心配』を口にされれば、男は殊更深く微笑む。
逆光の中、相貌の内で際立つ弧月のような笑みだけが、闇の中浮かび上がった。
「あなたは、目前で無辜の民が徒に斃れることを看過出来ない方だと聞きました。だとすれば、それだけでも我々からすれば全幅の信頼を寄せるに足ります」
曖昧でありながら決定的なそれを耳元で囁き、返された資料は、受け取らずにテーブルに置く。
「可能性を論じる事は悪魔の証明だ。全ての可能性は極論でいえば『あり得る』としかいえない……だが、人はそれを全て懸念することは杞憂と呼びます。アナタに対するそれも、きっとそれであると我々は……『信じて』いますよ」
意味深に、さらに追加の資料をテーブルにおいた。
「私たちも、出来れば優秀な人材の『処分』はしたくないのです。それを重々御理解頂きたい」

有澤 零砂 > 「なるほど、なるほどそこまでわかっていますか。
そういわれると、これ以上のそれは必要ないでしょう。」
ため息をつく、そして相手が敵に回すと相当厄介な人物であるということも理解する。
「しかし、流石にやり手ですね。 そこまでわかっているとは。 情報戦も、計算も相当のようだ。」
感心した様子で、少し視線をそらし。
「まぁ、僕も馬鹿ではないです。
信用というものの重要性は理解していますし、
それを無碍にするとどうなるかもわかります。」
覚悟を決めたように向き直って。
「だから、僕もこう答えましょうか。 あなたを、いや、あなた方を『信じますよ』。」
ニッコリと含みがない笑顔で答える。 この状況に似つかないほど純粋な表情で。

『室長補佐代理』 > 「いえいえ、私はタダのどこにでもいる、替わりがきく人間ですよ。それ以上でもそれ以下でもない」
そういって、一歩身を引くと、一枚のIDカードを取り出して渡す。
「公安のセキュリティ協力者IDです。全権を任せるわけではありませんが、それでも大分それで好き勝手ができるはずですよ。『上手く』つかってください」
そういうと、踵を返し、また最初のように硬質な靴音だけを響かせて、去っていく。
「それでは――良い仕事を」

ご案内:「教室」から『室長補佐代理』さんが去りました。
有澤 零砂 > 「こんな優秀な人が、どこにでもいたら僕は一体なんなのやら。」
受け取ったIDカードを眺め、困った様子でつぶやく。
「まぁ、受けた以上はきっちりやって、きっちりと答えるとしましょう。」
大事そうにカードをしまいながら手を止めていた作業にかかるため、PCに体をむけ。
「しかし、どうやら、平穏無事に教師生活は突破で着なさそうですね。
本当に、我ながら損な性格だ。」
自嘲気味に笑いながら、だが迷いのない表情で。
「いいでしょう、やるからには楽しむとしましょうか。
のんびり教師生活だと、腕がなまってもいけませんからね。」
そういいながら、再び作業に戻る。 カタカタカタ、と音を立てながら。

有澤 零砂 > そのまま、しばらくして、キーの音が止み。
パソコンの電源を落とす際の音楽が流れ、教室の電気が消えて。
ドアの閉じる音の後、その場を静寂だけが支配した。

ご案内:「教室」から有澤 零砂さんが去りました。
ご案内:「屋上」に遠条寺菖蒲さんが現れました。
遠条寺菖蒲 > 夜の屋上で風に髪の毛を游ばれて、それを心地よく感じる。
屋上から見える街並みは菖蒲にとってこれまでただの景色であり、写真や絵画と言った画面の向こうの世界。
そのはずだったのだが、ここ数日で世界はガラリと変わりはじめた。
島の全体から見ればまだまだ訪れていない場所の方が多い。
それでもわずかでも覗いた世界が余りにも明るかったから、

この景色を前よりも美しく尊いものに感じる。

手の内にある缶飲料のアイスココアを一口飲みフェンスから少し離れてベンチに腰を下ろす。

「こんなにここって広かったんだ……」

誰に言うわけでもなくそう言葉を漏らした。

遠条寺菖蒲 > 夜の闇は光を飲み込むように深いけれど、人々の輝きはそれに抗うように眩く煌めく。
そこには温もりを感じるとさえ、今の菖蒲には感じる。
きっとまだまだこれから色々あることだろう。
色々な人とともこれから出会うだろうし、友人のように笑い合う相手もそのうち出来るかも知れない。
これまではそんな事を考える余裕もなかったものだが、今の菖蒲にはその余裕が生まれ始めている。
今までの行動を制限され縛られていた世界にはもう、戻れない。

ご案内:「屋上」にラヴィニアさんが現れました。
ラヴィニア > 「あら」

わずかな音とともに一声。
屋上空間を囲うフェンスに“降りてきた”その姿は、スリットの入った真っ黒なロングスカートをはためかせ、同じく黒いヴェールをしているために闇に半分溶けて見える。
わずかに驚いたように、屋上にいる遠条寺へ浅く眉を上げた。

遠条寺菖蒲 > ラヴィニアの声を聞いてゆっくりとそちらを向く。
驚いたような顔を僅かに浮かべてフェンスの上に器用に立つ少女を見る。

「……あ、あの!」

幻想的だと思った。
闇に紛れるようなその立ち姿がどこか魅力的に映って。
だから、

「あ、危ないですよ!」

そう思ったことを口にした。

ラヴィニア > ぱちくりと眼をしばたたかせ、一瞬の沈黙がある。
あまりにも外れているが、あまりにも正しい指摘。
黒髪を闇に流して、宝石のような瞳でこちらを見ている年上の女生徒。

「ぷ」

直後、軽く吹き出すと、ひょいと遠条寺の側に飛び降りる。

「ぁは……いえ、確かにそうですわね。危険ですわ。ありがとうございますお姉さま。夜分御機嫌よう」

着地するとそのままわずかに体を傾けスカートの端を軽く持って頭を下げた。

遠条寺菖蒲 > ヴェールによって隠れた顔がどのように変化したのかはその時、よく見えなかったが、
そんなに悪い雰囲気じゃないのは感じ取る。
軽々と跳んで自分の方へ来る少女に危ないって言ってるのに、なんて心配を抱く菖蒲だった。
ラヴィニアの挨拶に対して僅かに頭を下げて答える。

「こんばんわ、良かった。今日はそれなりに風が強いからちょっと見てて心臓に悪かったんですよ?」

スカートもだいぶ風に揺れていたし男子学生が屋上にいたら目に毒だったかもしれないなんて考えた。

「私は遠条寺菖蒲(えんじょうじあやめ)です。てっきり屋上には私一人かと思っていたのでちょっと驚いちゃいました」

自己紹介と共に軽く笑ってラヴィニアに言う。

ラヴィニア > 胸元で軽く手を組み、わずかに首を傾げるようにして

「ご心配をおかけしてしまったようで、申し訳ございませんわ。
遠条寺お姉さまですね。ラヴィニアです、よろしくお願い致します」

笑顔へ、口元が軽く釣り上がるように笑みを返す。
そうして挨拶を終えると、軽く周りを見渡してみせた。

「それにしても、お姉さまの方もこのような時間にどうなさいましたか?
わたくしは丁度帰宅でして……あ、学園備え付けの教会堂をご存知ですか?あちらに住まわせて頂いているのですが」

遠条寺菖蒲 > 「こちらこそよろしくお願いしますねラヴィニアさん」

名前を覚えるように口に出す。

「教会ですか?大体の場所は記憶してますが実際には行ったことがないので案内としては少し不安になりますけど……。
私はちょっと委員会の仕事終わりで帰る前に夜景でもと思って、というところです」

そう言って視線を街の光へと向けた。
どこか憧れを抱く子供用な瞳をして。
視線を戻して

「不安はありますが、良ければ案内しましょうか?」

と道案内をしましょうかと提案をした。

ラヴィニア > 「あら、委員のお仕事ですか。お疲れ様ですわ。何をなさっておられるのかしら……」

そう問い返しながら、遠条寺の最後の言葉を反芻する。
帰る道は当然わかっている。何の迷いもない。
とはいえ、好意を無碍にするのは人の善い行いではないし、何より面白そうだ。
そうソレッラ(シスター)・ラヴィニスは考える。
修道院ぐらしではこのような機会はなかった。
夜景の光を反射して星空のように輝く瞳。先輩にあたる人物と同道するのも楽しかろう。
再び口元に笑みを浮かべる。

「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきますわ。
しかしお邪魔ではありませんか?」

遠条寺菖蒲 > 「えっと、その生徒会の役員を少々」

はにかんでそういう。そこには委員会の名前を出すことへのちょっとした躊躇いがあったように思えるかもしれない。

「いえ、私も帰るところですから少し寄り道をする程度と考えればさして問題はありませんよ」

それにこうして誰かと言葉を交わすのは楽しい、と言う台詞はちょっと恥ずかしくて口から出なかった。

「それと、夜に黒いヴェールって、その趣味をとやかく言われるのは不快かも知れませんが、視界悪くないですか?」

オドオドとした様子でそう尋ねてみる。

ラヴィニア > 問題はない、という言葉に軽く会釈して感謝の意を示す。
そしてそのまま頭の修道女のヴェールから顔へと垂れた薄布を指で押し開くように上げた。
奥からオレンジ色の瞳が覗く。

「少し」

答えて、悪戯をするような目を向ける。

「深い意味はございませんわ。故郷にいた頃の衣装なものですから」

遠条寺菖蒲 > 礼儀正しい子だ、と感じて自分もシャキッとしないととお姉さまと呼ばれているので少し気合を入れようとするもどこに力を入れるべきか悩み身振りが一瞬不可解になった。

ラヴィニアの顔を見て、思ったのは似合っていると言う感想だった。
金髪でオレンジ色の瞳とあたたかみを感じる見た目に黒い格好というのはなんだか見た目から感じる温度差を程よいものだと思えて少し見とれる。
そもそも余りコレまで人と交友がなかったがゆえにマジマジと人の顔を見てるのも数少ない経験である。

「似合っていると思うわ。でもきっとドレスなどの方が可愛らしいのでしょうね」

今の格好も悪くはないのだけれど、きっとこの少女はドレスなんか来たら人形のように可愛らしいのだろうと菖蒲は思って自分の手を合わせて想像した。