2015/07/01 のログ
ご案内:「屋上」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > ………。
終わったぜ……何もかも、真っ白にな……。

(放課後の屋上。ひと気のないその場所で、東雲は五体を投げ出して転がっていた。
 まだ試験一日目である。認めたくないが、一日目である。)

東雲七生 > ………次の定期考査はがんばるし……。

(何度でも言う。まだ初日、一日目、ファーストデイである。
 しかし東雲は既に諦めムードが漂っていた。

 だってもうさっぱり分からないんだもの。しかたない。)

東雲七生 > (そもそも最初から、前日の段階で試験に集中して取り組める状況では無かったのだ。
 学業の外で気がかりな事が幾つかある。気がかりというか、半分以上持ち前の好奇心の仕業ではあるのだが。)

……うー。

(しかめっ面で制服のポケットから携帯端末を取り出す。
 タッチ操作式のそれを片手ですいすいと捜査して、幾つか画面を呼び出した。)

ご案内:「屋上」にギルバートさんが現れました。
ギルバート > 同じく試験後。
手軽に風に当たるには、ここが最適と彼は知っていた。
先客がいそうだとは思っていたが、それがここまで浮かない雰囲気をかもし出しているとは。

「おつかれ。」
「どう。撃沈?」

長い前髪を垂らしながら覗き込む。

東雲七生 > (端末の液晶に映し出されたのは幾つかの写真。
 先日某カジノで撮影されたというその写真の被写体を見て、頬を赤らめて目をそらす。)

……これホントにそうなのかぁ?
とてもこんな、コスプレみたいな格好アイツがするわけ──あ。

(声と共に端末越しに覗き込んできた顔を目が合い、声を上げた。
 少し慌てた様子で端末の画面を切り、へらり、と緩い笑みを浮かべる。)

もちろん撃沈。
いやー、この分じゃ夏休みも何日か補習で潰されそうだわー。

ギルバート > 「あ、ゴメン。盗み見するつもりはなかった。」
「中身までは見てない。ホントだって。」

靴底で砂を払い、べたりと座り込む。
時折吹き込む初夏の風が、ひんやりと肌を撫でた。

「オレも似たようなもんだけど、そこまでじゃないかなー。」
「きっと。多分。……もし駄目だったら、そん時はオレも付き合うよ。」

目を細めてくすりと笑う。

「ところで、何を見てた?」
「あー……もしかして、"そういう"やつ。」

ははあ、やらしいやつだなと、一転して疑いの眼差し。

東雲七生 > 別に、見られて困る様なもんでも……あるか。あるな。

(はぁ~、と何重にも重なった溜息が自然と零れる。
 それが風に攫われるよりも早く、気だるげに少年を見遣って。)

夏のクソ暑いさなか男同士連れ立って補習受けに行ってもなあ~……。
何て言うか暑苦しさが増すだけじゃねーの。気持ちだけ有り難く受け取っとくわ。

(勘弁してくれ、とひらひら手を振って苦笑を浮かべた。
 続く問いに、頬が熱くなるのを自覚しつつ、慌てて上体を起こし)

違う違う!!確かにそういう類ではあるけど、そういうつもりで見てたんじゃなくてな!?
……ほら、何日か前歓楽街のカジノで化け物退治があったって話、聞いた事ねーか?

ギルバート > 東雲の言う話には、いくつか思い当たる節がある。
その中の大半は表向きそう公表されているだけで、その実多くは重罪人の鎮圧である。
公安の任務は人知れず。そういった作戦に少年も多く従事していた。
しかし内外合わせてそう呼ぶしかない事件もあり、それに関しては管轄外であるため彼には係わり合いのない出来事であった。

「えーっと、噂程度には。」

資料がまわってきたはずだが、生憎とこの試験に追われた過密スケジュールの渦中である。
実行部隊の自分は縁遠い話だろうと、適当に読み飛ばした記憶が蘇る。

東雲七生 > ま、カジノなんかあんま行かなさそうだもんな、お互いに。
確か学園の掲示版にも書き込みがあったらしいんだけどさ、カジノで女子二人が怪物退治ショーみたいなのしたっつって。
そのうちの一人が、どーも知り合いかもしんねえっつーんでちょっと気になって調べてみたわけよ。

(そして昨夜本人に“それとなく”確認をしてみたのだが。
 その時の事を思い出すとひび割れメンタルが軋むので記憶の奥底に抑え込んでおくことにした。)

ギルバート > 「お前、よく一人でそんな危ない橋渡れるよね。」
「そーゆーのは風紀とかに任せておけばいいんだよ。」
「命は一つしかないから大事にしないと。」

と言うのは普段ギルバートが言われるダメ出しの一つではあるが
今この時だけは自分が言うことができて、少し得意げな顔で鼻を鳴らす。

「それにしても、カジノ通いするような知り合いなんていたんだ?」
「どんな人? やっぱり派手め?」

東雲七生 > 危ない橋も何も、家のネットで30分くらいちょこちょこしただけだぜ。
何か事も済んだ後みたいだし、別段風紀や公安が動いたって話も無かったみてーだし。

(現地に赴いたりはしていない。店を遠目に見た、程度である。
 まあそれ以上にかなりの頻度で落第街に足を運んでいるのは別件だし相手も相手だから黙ってよう、と心に決めて。)

あー、いや、別にカジノ通いするような奴じゃないと思うんだけど。
……あんまり突っ込んだこと聞ける雰囲気でも無かったし、ちょっと聞いたら「破廉恥」って言われて。

(結局思い出してしまう。ただでさえ試験で撃沈した気持ちが輪をかけて沈んでいく。)

ギルバート > 「『破廉恥』ってお前……それほんとにカジノ?」
「もっと如何わしいどこかとかじゃないの……?」

片方だけ露出した右目が、じっとりと疑惑の意思表示。

東雲七生 > 俺だって不本意だわ!!
確かにカジノ!名前はえーと……まだ掲示板に詳しい記事が残ってるから自分で確認しろ、もう!!

(疑いの眼差しから逃れる様に再び頭を地面につけて天を仰ぐ。
 けれどまあ、実際に写真を確認して破廉恥呼ばわりも已む無し、と思えてしまったのも事実だった。)

ギルバート > 「えー。オレそういうのちょっとまだ早いかなって思うし。」
「清純派で売っていきたいところもあるしー。」

けらけらとからかうように。それ以上の追求はしなかった。
片手をついて立ち上がり、再び東雲の顔を覗き込む。

「それじゃ明日の戦(いくさ)の準備をしてくるよ。」
「お互い頑張ろうな。」

ご案内:「屋上」からギルバートさんが去りました。
東雲七生 > うるせーやい、俺だって好きで調べた訳でもねーや!!
おう、じゃあな。お互い骨は拾わない覚悟くらいはしとこーぜ。

(なにが清純派だ言ってろぉ、と憎まれ口を叩きながらもひらひらと手を振る。
 そしてギルバートの気配が屋上から遠のいて行ったのを確認すると、消していた端末の画面を再び点けた。)

東雲七生 > ……目のやり場困るよなこれ……。

(液晶に映る写真のウィンドウを消し、溜息混じりに呟く。
 そして改めて端末の画面を消してポケットに戻すと、うだうだごろごろしながら試験一日目の放課後を無駄に消費するのだった──)

ご案内:「屋上」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「教室」に折神 直さんが現れました。
折神 直 > 片手にはペン。そして白紙のノートを机の上に。
――窓際の席に座り眼鏡越しに外を眺め、男は小さくため息を零す。
まるで彫像のように外を眺めたまま、一種依り難い空気を纏ったまま静かに目を伏せる。
開いた窓から風がそよぎ、グラスの上の前髪を揺らす。

折神 直 > 幾度目かのため息を零す。
開いた参考書やノートが風にはためき、それを細く長い指で押さえる。
小さく息を吐き、窓を少しだけ逆の手で閉めると、乱れた髪を同じ指で戻した。
憂鬱を隠そうともしない物憂げな表情は、ここに居ない誰かを想っているようでもあった。

風によって捲くられ、数ページ程戻ってしまったノートに記された名前を見て、再度ため息を零した。
見開かれたノートの頭から尻尾の先までを繰り返し同じ名前が埋め尽くしている。
そう……これが、今彼を悩ませていることそのものだった。少しだけ微笑む。
白紙のノートのページに折り目をつけて、その行頭に、新たに、また同じ名前を綴った。
そのページにも、同じことをするために。

「……困ったな。……勉強が、手につかないじゃないか」