2015/07/06 のログ
ご案内:「屋上」に桜井 雄二さんが現れました。
■桜井 雄二 > 夕方。屋上に捨てられているゴミを回収している男が一人。
「む……ガムを吐き捨てた奴がいるのか、けしからん」
黒くなって固まったら一大事だ。手早くヘラのようなものとガム用薬剤で取り除く。
この島は美しい。夕暮れの街並みを見れば、より強くそう思う。
だからこの美しさを維持するために働かなければ。
■桜井 雄二 > 投棄されていたお菓子の袋を回収したら屋上の清掃は全部おしまい。
廊下の窓拭き地獄や連続教室掃除地獄に比べれば楽なほうだ。
大きく伸びをして屋上の手すりに掴まる。
「綺麗だな……掃除子さんも連れてくればよかった」
掃除子さんとは彼の相棒である掃除メカだ。
人間大であっても人型ではないメカメカしいメカをそれでも彼は大事に扱っている。
掃除道具を下ろして空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
ご案内:「屋上」にクラスカさんが現れました。
■クラスカ > (屋上掃除は憂鬱だ)
(単なるゴミの回収だけならいざ知らず、ガムという悪魔の落とし物が景観を損ない、更に仕事の手間まで増やしてくれる)
(また不毛な戦いが始まるのか、と気持ちを沈ませながら扉を開けると)
あれ、桜井先輩?今日当番でしたっけ。
(学園の敷地を一望している生活委員会の先客の姿に、目を丸くした)
■桜井 雄二 > 声をかけられて振り返れば、そこには生活委員会の仲間。
「……ん? クラスカか。いや、今日は俺がここの…」
と、言いかけて凄まじい勢いでシフト表を見た。
「あ、ああああ………!!」
がっくりと膝をつく。
「すまん、シフト見間違えてた………」
街並みを眺めていた清々しい気持ちが一瞬で絶望に染まる桜井だった。
■クラスカ > (自分の仕事を先輩が代行してくれた以上、とりあえず今日の業務はナシだ)
(手に下げていた掃除道具一式を下げると、屋上の手摺の側まで歩き、桜井の傍に寄る)
(困ったような、唇をヘの字に曲げた表情で、気分を害してしまったことへの弁解を始めた)
いやすいません、水差しちゃったみたいで。
大丈夫ですよ、僕が次のシフト変わりますから。ほら試験期間も終わるし?遊ぶチャンスですよ。
海開きもありますしね?誰かいい女性の人とアバンチュールに繰りだすのはどうでしょう!
(『いい女性』についての他意があるような、ないような)
(桜井の交友関係の噂くらいは耳に入っていたが)
■桜井 雄二 > 目の前の少年は優しく声をかけてくれる。
本来なら何やってるんだ、と言われても仕方のないことだ。
桜井は縋るように顔を上げた。
「ああ、ありがとうクラスカ……申し訳ない…」
「海開き………な、なぁ、クラスカ」
「少し相談があるんだ………」
咳払いをしながら相手の顔を見た。
「その、仲の良い女性と一緒に海に行くことになってだな?」
「俺、海でデートなんて初めてだから何を気をつけていいのかがわからないんだ…」
「クラスカ、何か注意点があったら教えてくれ」
恥も外聞もなく後輩にそういうことを聞く桜井だった。
■クラスカ > そもそも僕が来なかったら、先輩も後で気付いてダメージ少なかったでしょうし。
誰も悪くない、って結論で手を打ちましょう。
(ハイハイ終わり、と手を振り)
はい、何でも。僕に答えられる……ことなら……。
(最初は笑顔で。次に真顔で、最後は前髪の上から分かる程度には思いきり眉を曲げて)
(桜井の真摯な願いを最後まで聞き届けた)
海、海ですよね。
(ふんふん、と質問の意図を再確認。異性とのデートについて尋ねたいことは明白)
(だが悲しいかな、一般の男女交際については、世間一般の初な少年程度の知識しか持ちえていない)
(その上で回答を出すとすれば―)
えーすいません、僕も自慢じゃありませんが彼女もいないしそんな女遊びとは縁遠いので、かなり私見と願望入りますが。
僭越ながら回答させていただきます。
(もしデートが失敗に終われば、ぶんなぐられること程度は覚悟しておこう)
まず一つ。その仲のいい女性の人と一緒に水着とか選びました?
選んでた場合第一のハードルはクリアでしょう。
■桜井 雄二 > なんで彼は話の終わり頃に思い切り眉毛を曲げたのだろう。
感情の機微に疎い桜井でもなんかマズいことを聞いたかと不安になる。
「う、海。海だ。海なんだ」
挙動不審になる桜井。嗚呼、これが先輩である。
「女遊びと言われるとなんだか俺が女生徒を毒牙にかけているような感じだな…」
「頼む、クラスカの意見を聞かせてくれ…!」
手すりに手をかけたまま相手に意見を求める。
「………一緒に彼女の水着を選んだ」
「こう…星条旗ビキニが選択肢に入ってたからそれを選んだ」
「これでハードルはクリアしたことになるのか……!?」
必死。かなり必死。めっちゃ必死。
■クラスカ > (先輩が女性経験に疎かろうが、どうして笑えようか)
(桜井のような生真面目な生徒ですら、懇意にしている女性と海へ行くという一大イベントを起こそうとしている)
(それに比べて自分のザマはどうだ)
(自分の殻に閉じこもって小さく纏まってないか?)
言葉のあやです、気になさらず。
女遊びというのは所謂食っては捨ての鬼畜の所業なので、桜井先輩とはまったくもって異なります。
そんな男は一般的には「クズ」の烙印を押されますからね。
気を取り直して。
一緒に?ビキニを?彼女が選択肢に挙げていた?
(ワードをいくつか拾い上げる。言葉に詰まると、次からの反応は早い)
100点、花マルでバッチシです。
まず女性というのはですね、相手の「共感」を欲しがるものなんです。
自分の感性を理解してほしい、趣味を知ってほしい、的な。
だから彼女の選んだ水着を後押ししてあげたってことは、その相手方は桜井先輩を
『自分の考えを尊重してくれる人なんだな』
といい感情を持ってくれてるのは間違いないです、はい。
(早口でまくし立てると、粗探しをされないうちに質問を次に移す)
えーと次。桜井先輩、お小遣いは大丈夫ですか?
生活委員の給料もあるし、先輩に限ってカジノで負けたりはしてないと信じてますが。
■桜井 雄二 > ドキドキしながら相手の言葉を待つ。
なんだか自分の行動が後輩に査定されているような気分だ。
悪い気分ではないけれど。心臓には悪い。
「あ、ああ……その手のクズ男ではないな、俺は三千歳泪一筋だから…」
「……気を取り直して」
思わず名前を出してしまったがその場の雰囲気に押されて気付かない。
相手の言葉を鸚鵡返しに呟いて次の会話へ。
「そうだ、一緒に水着を選んで……彼女が選択肢に上げていたものを選んだ」
そわそわ、落ち着かない。自分の行動は何点なのだろう?
「な……なるほど…!」
クラスカの早口の合間にポケットからNo.9と書かれた分厚いメモ帳を取り出す。
それに素早く相手の言葉を書き記していく。
「共感か……考えを尊重…興味深い……」
だんだん日本語が怪しくなってきた桜井だった。
「ああ、所持金は余裕がある」
「生活委員会を真面目にやっているし、カジノには行ったことがない」
小首を傾げる。
「……ひょっとして次のポイントはお小遣い、なのか?」