2015/07/25 のログ
ご案内:「ロビー」に獅南蒼二さんが現れました。
■獅南蒼二 > 魔術学概論Ⅱは、概論Ⅰで学習した“魔力”と“術式”の関係性や人体,精神と魔力の親和性をさらに発展させ,
魔力を現象に変換する際の術式構成やそれによってもたらされる指向性に関する抗議から始まる。
ここで大部分の生徒が一度挫折を味わうのだが、それは何も、魔術を使えない一般生徒だけに限らない。
生まれつき魔術に長けた生徒もまた、その概念を理解するのは非常に困難である。
それは、才能あふれる野球選手が150kmのストレートを投げる事はできても、その時の力の加え方や腕の回転軸その他全ての動作を説明する事ができないのと同じようなものだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
レポートにさっと目を通し、苦笑する。多くの生徒が苦しんでいる様子が伝わってきた。
ここから這い上がるためには努力と研鑽が必要不可欠である。
・・・・・・今期は何人残るのだろう。
■獅南蒼二 > そして、今期は獅南の「魔術学演習」の授業が休講となっている。
その代わりに今期の最後に集中抗議として「魔術学実地演習」を行うと、生徒には説明した。
一方で学園には,「魔力の生産」に係る研究のためと説明している。
実際、獅南は自分の研究室へ篭ることが多くなっていた。
だから、こんな場所でこの男の姿を見るのは、最近では珍しいことである。
「・・・・・・この3名は素晴らしい素質を持っているな。」
レポートの中から良く書けているものを3枚選別し、小さくそう呟いた。
尤も、前述のように、それが即ち、魔術師として優れた素質なのかと言うと、そうとは言いきれない。
■獅南蒼二 > 3枚レポートをもう一度読み直せば、ファイルへと仕舞い込み,鞄へと戻す。
それから、ソファに体重を預けて、小さく息を吐く。
鞄から別のファイルを取り出せば、それをテーブルの上に広げてペンを乗せた。
魔力を生産するための術式の構成は,やや暗礁に乗り上げている。
尤も、元より既存の魔術学ではこうなることが目に見えていた。
簡単な話が、太陽光発電と同じようなものである・・・事象から魔力を抽出し、それを蓄積する。
既存の魔術学でも抽出すること自体は可能だが、その効率は著しく悪い。
ご案内:「ロビー」にメグミさんが現れました。
■メグミ > 「ふぅ……」
ある一つ補講を終え、ロビーへと足を運ぶ。
ふと、覚えのある講師がロビーでレポートに目を通している。
それに気付けば、声を掛けた。
「こんにちは。獅南先生。」
■獅南蒼二 > レポートを見終えた白衣の教師は、ファイルを真剣な表情で見つめていた。
恐らくメグミの位置からならその内容も見えるだろうが・・・そこに書き込まれているのは,眩暈がしそうなくらい複雑な魔法陣。
魔法陣なのか計算式なのか分からなくなる程度に複雑である。
「・・・・・・・・・・・・・・・ん?」
どれくらい真剣だったかと言えば、声をかけられたのに気付くまでに若干時間がかかるくらい。
少女が声をかけてから数秒の間の後に、獅南は視線を上げた。
「あぁ・・・・・・お前か。何か質問でも持ってきたのか?」
顔を見れば、すぐに人物を特定で来たようだった。
それは、貴方が、この教師にとって優秀な生徒なのだということの表れなのかもしれない。
■メグミ > 「いえ、この様な所では珍しいな。と云うのと、
先日療養を終えて常世学園に復帰致しましたので、改めて挨拶を。
ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願いしますね。」
ぺこりと頭を下げる。
思い返してみれば、久々に見る顔かもしれない。
……ちらり、と、レポート用紙の中身を興味本位で覗く。
緻密に書き込まれた魔法陣の術式が、とりあえず魔力をどうこうするものである事は見て取れた様だ。
視線をレポートから獅南に戻し、やはり興味本位で尋ねる。
「……魔力のそのものの自動増幅、あるいは大規模な魔力の操作でしょうか。
やはりと言いますか、相当細かい術式を考案していらっしゃる様ですが……」
■獅南蒼二 > 「次の授業時間がすぐなのでな・・・研究室に戻るのが億劫だっただけだ。」
なんて肩を竦めながら、続けられた言葉を聞き、小さく頷く。
「話は聞いているよ・・・随分と、無茶をしでかしたそうじゃないか?」
言葉とは裏腹に、表情は楽しげだった。
「無事で何よりだった・・・と言っておこう。後で武勇伝でも聞かせてもらおうか。」
それから、少女が一瞥しただけでその魔法陣の概要をつかめば、僅かに目を細める。
やはり、優秀な生徒だ。
「・・・・・・増幅ではなく、生産だ。
太陽光や月光、その他様々な自然事象から魔力を抽出し蓄積する。」
それも、かなり大きな規模であることは、少女が見て取った通りである。
「・・・あぁ、安全装置だけでこの有様だ。」
魔法陣なのか幾何学模様なのか、それとも数式なのか、デッサンなのか、もう訳がわからない。
様々な魔法言語、象形、ありとあらゆる要素が複雑に絡み合っている。
■メグミ > 「語る程でもありませんよ。
……獅南先生もお忙しそうですが、ご健康そうで何よりです。」
恥ずかしい思い出を誤魔化すように、軽く苦笑をしてみせた。
その後に話題の先を切り替えて、ぺこりと一礼。
「……ああ、生産、の方でしたか。
魔力に対し、ここまで強く管制を働かせるとなると増幅かとも思いましたが、安全装置部分ならば納得ですね。」
うん、と頷いて再びレポート用紙を見る。
魔力生産術式の安全装置として見てやれば、先程では推測でしか及ばなかった式の一部に理解が及ぶ。
なるほど、と、頷いた。
改めて目の前の講師の高い実力を窺い知る。
魔術師としての好奇心を刺激されれば、脳内であれやこれやと術式を考察した所で――ふと、思い至った。
「……それにしても、そんなに大きな術式、一体何に使うんですか?
明らかに、個人用の規模としては大きすぎて扱いが難しい気がしますが……」
■獅南蒼二 > 「オーバーロードを起こせばこの島ごと、地図から消えてしまうだろうからな。」
さらりと怖い事を言って、苦笑した。
「あぁ・・・正直に言って、明確な使い方は考えていないな。
電力のように魔力を供給する事もできるだろうし,高出力のスクロールを作ることも、
魔導具を量産することも、高出力の魔力兵器を作ることも勿論出来る。」
体内に無尽蔵な魔力を湛えた人間は稀である。
この術式が完成すれば…実用化できれば、それを万人のものとすることさえ可能だ。
個人で魔術を発動するための魔力供給源として見ればあまりにも出力過多だが、それが個人用でないとすれば・・・
■メグミ > 考えただけ、と聞けばやや苦めの再び苦笑を見せる。
「……まるで原子力発電ですね。
でも、魔力をエネルギーとして安定供給出来るなら、誰もが魔力に不自由しなくはなりますか……」
ふむ、と、一つ思案する。
獅南先生の『教育方針』は知らぬ訳ではないし、異能を持たぬが故に、
彼の講義のいくつかを受講する事が出来ている。
……その中の戦闘術や護身術に関しては、動きがちょっとイマイチなのだが。
読みは良いが、運動は得意ではないらしい。
「確かに、誰もが無尽蔵の魔力を持てる訳では、ありませんからね。」
■獅南蒼二 > 「そういう事だ…努力と研鑽によって術式を構築し魔力を制御できるだけの技能を身に付けても、魔力がなければ何も出来ん。
尤も、この研究で齎されるのは純粋な魔力のみ・・・・・・それを扱うには相応の知識と技能が必要になるだろうな。」
誰もが不自由しなくなる・・・という表現は、ある意味で不十分だろう。
努力と研鑽によってのみ、誰もが魔力を扱える環境を作り出す。
努力を忌避するものにとってそれは、危険なエネルギーの塊でしか無い。
「まぁ、努力によって改善されるものと、そうでないものが、世の中には存在するようだが、な?」
視線をメグミへと向けて、苦笑した。
成績は常に優秀なレベル。だが、戦闘術になると途端に急降下する。
運動能力が高くないことは、この教師も、勿論知っているようだ。
■メグミ > 「そうでしょうね。
一つ間違えれば、常世島ごとドカン、です。」
……茶化した言葉だが、視線と表情はやや真剣なそれだろう。
「――幾らリソースがあれど、扱うには相応の知識と技術が要る。
それは何事に於いても変わらず、魔術に関しても例外ではない、ですよね。」
そう言ってみせるものの、獅南の苦笑が見えれば、頬を掻いて苦笑い。
先程のどれよりも緩めの苦笑を返せば、空気が緩む。
「あはは……どうにも頭では分かっていても身体がついていかないみたいでして。
どうにも、わたしは魔術、召喚師向きみたいです。」
■獅南蒼二 > 「それどころか、蓄積する量によっては世界が終わるのではないかな?
ロバート・オッペンハイマーになった気分だよ。」
原爆の父と呼ばれた科学者の名前を出す程度には、その危険性も認知しているようだ。
だが、この男は研究者である。危険であるから、という理由で研究を停止するような男ではない。
それに、この研究は・・・
「・・・・・・それに、破壊だけが目的では無い。
文化も、生活も、医療も、魔力によって大きく向上させることができるはずだ。」
・・・無論、それは使用する者次第ではあるが、魔術の可能性を広げることは間違いない。
「ならばそれを、魔力や術式、お前の得意な召還術を使ってどう補強するか。
苦手なものを苦手だと捨て置くのは思考の放棄でしかない。
・・・・・・・それではまだまだ、優秀な成績はやれんな?」
楽しげに笑って、ファイルを閉じて立ち上がる・・・それから、自販機へと移動して、
「何か飲むか?」
と聞いてみよう。
■メグミ > 「……ええ、正しく使えばパラダイムシフトすら引き起こせるかもしれません。」
魔力の大量生産術式。
とてつもない可能性を持つ術式に思いを馳せ、そう締めくくり。
「当然で前提です。伊達に風紀委員をやっていませんから。
これでも私、風紀委員なんですよ。忘れちゃいました?」
自信ありげに言って除ければ、
くす、と、悪戯げに微笑んでみせる。
「何なら試してみます? ふふっ、獅南先生はこれから授業ですし、冗談ですけれど。
……あ、いいんですか?それじゃあ、緑茶が欲しいですね。
」
■獅南蒼二 > 「この技術が完成すれば大儲けできるかもしれんな?
そうすれば、仕事などしなくても優雅に暮らせるんだが。」
冗談交じりでそんな風に笑って、それから、自販機で飲みきりサイズの緑茶を購入。
メグミの表情を見て、言葉を聞けば・・・ふむ、と小さく頷き、
「すまんが正直完全に忘れていたよ…お前が風紀委員か。
頼りないとは言わんが、似合うとは言い難いな?」
試してみます?と言われれば、意地悪に笑って・・・
「そうだな、そのうち成果を見せてもらおうか・・・ほれっ。」
緑茶を、背中越しにひょい、と突然投げた。
コントロールは良いので、ちゃんとメグミの胸に向かって飛んでいくだろう。
反射神経と運動神経のテストである。抜き打ちにも程がある。
■メグミ > 「わっ」
云うだけあって、察知はしていたのだろう。
視線でこそ緑茶を追うものの、キャッチする事は能わず。
緑茶は胸に弾かれ、テーブルの上に転がる。
「……もう、セクハラで訴えてしまいますよ?」
■獅南蒼二 > 「・・・不合格だ。」
楽しげに笑って、こちらは無糖の珈琲を購入した。
「胸に向かって投げるのはキャッチボールの基本だろう?
残念だが、この場合は受け止められないのが悪い。
それに、訴えるならそのペットボトルを訴えるんだな。」
なんて言いつつ、ソファへ戻って、腰を下す。
■メグミ > 「もう、先生ったら……」
ちょっとふくれっ面気味で、そっぽを向いてみせる。
とは言え本気で怒っている訳ではないらしく、すぐに向き直った。
「……先生って、何だかんだで付き合い良いですよね。
一見すると、魔術一筋って感じで結構無愛想な感じですけれど。」
■獅南蒼二 > 「次は受け止められるように練習しておくことだな。」
なんて言いつつ、続けられたメグミの言葉には苦笑顔。
あまりそんな風に言われることも、無いのだろう。
「・・・褒め言葉として受け取っていいのか迷う所だな。」
変人扱いされていたり、怖がられていたり、妙な噂があったり、
さらに言えばマッドサイエンティストっぽい研究をしていたりする。
けれど、一部の生徒から、父の如く慕われているのも事実である。
「まぁ、そうでもなければ教師などやっていられん、とも言えるか?」
■メグミ > 「かもしれませんね。」
くす、と、微笑んで見せる。
それはきっと、下心のない純粋な少女としての笑みだろう。
「……と、私はそろそろ行きますね。
先生もそろそろ授業でしょうから、邪魔しすぎちゃ悪いですから。」
■獅南蒼二 > 「あぁ…まだ病み上がりなのだろう、あまり無理はするなよ。」
最後にそうとだけ忠告し、珈琲の蓋を開けた。
言い方はともかく、この忠告も、優しさと取れなくもない。
くっとそれを飲み干してから、静かに立ち上がり・・・。
「・・・またな。」
そうとだけ言って、鞄を片手に教室の方へと、歩き出した。
■メグミ > 「ありがとうございます。獅南先生。
大丈夫です。ちゃーんと、無理はしませんから。」
歩き出す。
途中で振り向き、純粋な笑みをもう一度向ける。
「ええ、また逢いましょう。獅南先生。」
ご案内:「ロビー」からメグミさんが去りました。
ご案内:「ロビー」から獅南蒼二さんが去りました。