2015/09/16 のログ
真野 真 > 慣れているなら大丈夫だろう、うん。

「そうか慣れてるなら大丈夫だ!俺も高いところは好きだ!」

そういうと加速をつけて走り込み給水塔の上まで登ってきた。
風もないのに顔のタオルがバタバタと靡く。

「やっぱり高いところはいいよな!少年!!」

観察されている視線は慣れている様子で気にも留めない。

東雲七生 > 「そ、そうっすね。」

一々叫ばないと話せないんだろうかこの人は。
七生が抱いた第一印象はそんなものであった。
別に五月蠅いというほどでも無いが、出来れば一緒に居る所を誰かに見られたくないタイプだな、と。

「……えっと、どちら様で。」

ちょっと声が固くなってる事に自分でも内心笑いながら、
給水塔の上まで来た男を見上げる。

「あ、その前に俺は東雲七生、一年っす。」

真野 真 > 高いところは良い…
なんとかと俺は高いところが好きだな。と良く言われたものだ…

「おっと俺の名前か!俺は真野真!人呼んでグレート真!!」

だれも呼ばない通り名を飛び切りカッコいいポーズで決める。
名乗りの時に後ろで爆発が起こったような錯覚を覚えるかもしれない。

「そうか東雲君か…覚えたぞ少年!」

はたして本当に覚えたのか不安にさせる調子で答える。ポーズは先ほどから微動だにしていない。

東雲七生 > 「……は、はぁ。そうっすか。」

ちょっとさっきの印象を撤回したい。うるさい。
少しだけ眉根を寄せながら相手の自己紹介に相槌を打って頷く。
結局何年生なのか分からないけど、仮に同学年としてもちょっと敬語で距離を置きたいな、と思いつつ。

「ああまあ、宜しくお願いします……。」

別に覚えて貰わなくても、全く困らないとは思っても心に秘めたままにした。
とりあえずそのポーズは、何なんだろうと首を傾げて。

真野 真 > 「おっと俺は二年だが、もっと気軽に話してもいいんだぞ!」

いつの間にかさっきとは違うポーズで答える。少し距離が近づく。

「ああ、宜しくだとも!何か困ったことがあったら俺を頼るといいぞ!」

サムズアップして東雲のほうに突き出す。少し距離が近づく。

「ふむ、なにか気になることでもあるのかな!?」

首を傾げた反応に対して聞いてくる。
真アイズは困ってる人の動作を見逃さない!(自分に対して困っているのは除く)

東雲七生 > 「いや、別に……特に無いんで……」

何を話せというんだ何を。
少しずつ距離を近づけてくる真に対して少し後ずさりつつ。

「あー……じゃあ、そのポーズ何なんです。」

それと五月蠅い、とついでに本音が零れかかったのをギリギリで踏み止まって。
溜息と共に質問を投げ掛ける。むしろ投げつける。

真野 真 > 「ポーズ、ポーズかそれはほら…」

タオルの下の調子に乗った表情が透けて見えそうなぐらいに

「カッコいいだろう?」

自分にうっとりした声だった。

「真似してもいいぞ!!」

東雲指を差すポーズをとりそう宣言する。

東雲七生 > 「……。」

ノーコメント。
さてどうしたもんかなこの先輩、と思案し始めたところで指をさされて。

「はいはい、しませんって。
 そういうのは先輩がやるから格好良いんじゃないすか。」

多少雑に流しても大丈夫だろう、とひらひらと手を振ってみたりする。

真野 真 > 「大丈夫だ!君もきっと俺みたいになれるさ!!」

今回はポーズをとらずに顔を覆っていたタオルを取り始めた。

「だって普段の僕はこんな優男なんだぜ?」

タオルを外すと柔和な顔つきの男子生徒が現れた。
声のボリュームもかなり小さくなっている。

「君もなれるさ僕のようないや、グレート真のような正義のヒーローに。」

そう静かにしかし力強く宣言する。
そもそも正義のヒーローだとか一言も言ってないけれども。

東雲七生 > 「……優男って自分で言います、普通?」

それは自分を卑下する言葉じゃない気がするのだが。
まあそれはそれで、本人がそう思ってるならそれ以上口出しする気も無い。
……なんかしても無駄な気がするし。

「いや、別に正義のヒーローとかなる気も無いんで。
 ホント、ちょっと離れて貰って良いっすか?」

両手で軽く押すようなジェスチャーと共にそんな事を申し出て。
いよいよもってどうしたものかと思案し始めた。

真野 真 > 「そうかならないかヒーロー……。」

せっかくスーパー七生ってカッコいい名前も考えたのにな…

「まあ、ヒーローは孤独なものだしな…。」

東雲から距離を取るとくるくると顔にタオルを巻き始める…。

「まあ、危険だしね仕方ないよね。でも、人に対する思いやりの心それだけで人は
 スーパーヒーローになれるってことだけ覚えておいてほしい。」

巻き終わったタオルを肩から垂らすと急に声が大きくなった。

「それがグレート真との約束だぞ!」

大分遠い距離からの決めポーズこれ以上は進むと落ちるくらいには離れている。

東雲七生 > 再び声が大きくなった真を見て、はぁ、と溜息を一つ。
ちょっとこの煩さにも慣れてきた自分が怖い。
まあでも、この人は“こういう人”なのだろうと思えばそれはそれで。

「まあ、はい。分かりました。
 それで、ええと……先輩は何でそんなタオル巻いてるんすか?」

大体答えの見当はついているけれど。
何故タオルなのか、それがちょっと気になったので訊ねてみる。

真野 真 > 「いや、恥ずかしいだろこんなの顔隠さなくちゃ…」

こんな恥ずかしいこと顔を隠さずにできるものか。

「昔はマフラーを巻いてたんだがチクチクするし暑くて汗をかくんだよ!
 その点タオルは汗が拭けるからいいだろ!?」

あとこのタオルは特殊な繊維で編まれており水分をよく吸いしかもとても丈夫
そしてこのタオルとても長い。

「東雲少年もいるかいこのタオル?」

東雲七生 > 「いらないっす。」

即答だった。
実際問題タオルなら十分間に合ってるってほど持っているし、
そもそも長過ぎて使う場所に困る。顔を隠す必要性もあまり感じた事は無い。
強いて言えば落第街を散歩するときに顔は隠すが、逆に人目を引きそうだ。

「まあ、理由は大体分かりました。
 ……ていうか恥ずかしいと思ってんすか。」

なら何故やるんだ。
思わず言いかけた言葉を、慌てて飲み込んだ。

真野 真 > 「そ、そうか!」

こんなに即答されるなんて内心ショックだった。

「ほら、俺の顔ってやわらか系のイケメンだからそのままだと違和感があるだろ?」

自分でも意味分からない言葉を述べながら答える。
(やわらか系イケメンってなんだろう。)

「もっと固い系の顔なら恥ずかしくなかったんだが…。」

東雲七生 > 「はい、いらないっす。」

間に合ってますんで。
絶対の態度で首を横に振る。いらない。

「……何て言うか。」

普通に喋っててもウザいなこの人!と叫びそうになるのをぐっと堪えて。
その代りに溜息を軽く吐いてから、ジト目で真を見る。

「先輩がそのヒーローを自称してんのって、単に格好良いからってだけなんすか?
 思いやりの心さえあれば良い、って言ってましたけど。
 誰かを思いやるのに顔なんか1ミリも関係ねーと思いますよ、俺。」

そういう事なら、なおさらヒーローなんて御免被ります。
きっぱりとそう言い切って、少しぬるくなった炭酸ジュースを呷った。

真野 真 > その言葉を聞いた時重たい鉄の塊で頭をぶん殴られたような衝撃が走った。

「そうだな…確かに俺は困ってる人助ける俺カッコいいってそんな心を持っていたのかも知れない。
 だけどそのとおりだ君の言う通り思いやりの心それさえあればいいんだよな。
 なんて愚かな男なんだ俺、いや僕は。」

タオルを脱ぎ捨てようとするその長いタオルは上手く脱げず中途半端に顔にかかっている。

「だが、君の言葉のおかげで目が覚めた!」

脱ぎ捨てることをあきらめてタオルをずらし首に巻く。

「今日、ここで僕が東雲君いや東雲師匠と出会わなければ僕はこのままヒーローごっこの屑野郎だった
 だろう。」

 目に涙を浮かべがら礼を言う。

「本当にありがとう、いやありがとうございました。」

東雲七生 > 「えっ、いや……。」

……暑苦しい。
自分も似たようなタイプだとは思うけれど、客観的に見せられると反省するところがいっぱいあるな。
そんな事を冷静に考えながら、真の言葉に軽く頷いて。

「とりあえず師匠とか、呼ばなくていいっすから。
 つーか泣くほどの事っすかね!?
 そんな畏まらないで欲しいんすけど、えっと、何だコレ。」

現状に対して言葉が無い。
取り敢えず道を外しかけて居た先輩の路線を戻すことに成功した、らしいが。
……正直、結構どうでも良いなと思ったのは胸に秘めておくとして。

「……とりあえず先輩が愚かなのはよく分かったんで、これから頑張ってください。」

貶してるのか応援してるのか、よく分からない言葉をかける。

真野 真 > 「分かりました!ししょu、いや東雲さん!」

東雲に向けるのは完全な尊敬の眼差し。

「はい!東雲さんこれからは自分認められるまでグレート真は封印してただの真野真として頑張ります!」

そう言うが早いか遠く学生街に困っている人を見つけた真は

「む!あんなところに困ってる人が!!師匠行ってきます!」

給水塔から加速をつけて飛び降りたこの勢いなら一番下まで飛べるだろう。

「新しくなった真野真をみせてやるぜ!!」

そんな声が放課後の校舎に大きく響きながら遠ざかっていった。

ご案内:「屋上」から真野 真さんが去りました。
東雲七生 > 「ああ、えっと……まあ、頑張って。」

言葉に窮したまま訳も分からないままに頷いておく。
勢いだけで生きてるのも、小さい悩みとか全く無くて楽しそうだな、と思いそうになって慌てて首を振った。

「結局師匠って呼ぶんかーい……

 って行っちゃったよオイ……。」

遠ざかって行く声に笑うに笑えない、何とも複雑な表情を浮かべて。
とりあえず、今の先輩が他の誰かにあの調子で迷惑かけない事を人知れず祈っておいた。

多分、女子とかに凄く邪険にされるタイプだと、思うので。

東雲七生 > ──そしてまた、夕暮の屋上に一人。

何だか嵐の様な先輩との邂逅で、直前まで自分が何を考えていたのかすっかり飛んでしまった。
まあ、ちょうど良かったのかもしれない。
どうせ考えたところでまともな結論が出せる気もしないんだし。
ふぅ、と短く息を吐いて大きく両足を振り上げ、少しの勢いをつけて給水塔から飛び降りた。

普段垂直跳びでも届く様な高さの着地に、失敗する筈も無く。
一度、大きく伸びをすると背骨が鳴って、あふ、と変な声まで漏れた。

「さーてと、んじゃ帰りますかぁ。」

少しだけ気分が晴れやかなのはきっと、あの先輩の勢いに吹き飛ばされたからだろう。
真野先輩。2年生には面白い先輩が一杯居るな、と思いながら。

七生は屋上を後にした──
 

ご案内:「屋上」から東雲七生さんが去りました。