2015/09/20 のログ
ご案内:「職員室」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > この男が授業を【休講】とすることは、非常に珍しい事態だった。
仮に海外への出張が入っていたとしても、必ず事前に補填のための課外授業を行う。
そうして、授業は確実に積み重ねられていくものだ。

「………………。」

だが今日は、彼が教室に現れることは無かった。
午後2時ごろからの授業だったが、連絡が回ったのも正午である。
行き渡らず、無人の教室を訪れた生徒も居た事だろう。
……ホワイトボードには一言だけ、諸事情により休講。補填は追って連絡する。
と書かれていたはずだ。

獅南蒼二 > 教師はと言えば、珍しく職員室の自席に座り,埃の被ったコンピューターを操作していた。
学園の情報ネットワークにアクセスし,自身の職員番号とパスワードを入力する。
職員録や生徒名簿を開き、必要な情報を選び出し、それをメモしていく。

「………………。」

1人の教師と、1人の女生徒。
管理者権限の無い獅南では閲覧できる情報などたかが知れているが、彼は一通り目を通して、小さく頷いた。

湯気を立てる珈琲を一口すすり……椅子に背をもたれて、息を吐く。

獅南蒼二 > 慎重なこの男は,ファイルを閲覧するほかに一切の操作をしなかった。
さらに,名簿順,さらにランダムなファイルの閲覧を挟み,閲覧のログから目的の人物を探ることが困難な状況を作り出した。
………得られた情報は、全くと言っていいほど価値の無いものであったが。

小さく息を吐く。
状況から見て、これ以上探りを入れるのは困難であり、危険な賭けだ。
ならば、クローデットの手腕を信じたいところである。
しかし、彼女は優秀な魔術師ではあるが、優秀なエージョンとであるという噂は聞いた事がない。

優位に立つのであれば、迷いなく先手を打つべきだ。
だが、その為には大義名分が必要である。さて、どう動くべきだろうか。

ご案内:「職員室」に鏑木 ヤエさんが現れました。
鏑木 ヤエ > 「しっつれいしまーす」

(ずかずかと甘ったるい声をブチ撒けながらもこもことした女生徒が顔を出す。
 珍しく時間通りに獅南の授業に間に合ったかと思えばホワイトボードの休講の文字。
 はあ、と深く溜息を吐きながらも他の教師に彼がどうしたものかと問うてみようと顔を出した)

(その矢先)

「獅南蒼二の授業が休講って、やえ折角間に合いそうだったの───、って。
 本人いやがるじゃねーですか。
 サボりは感心しねーですよ、やえが言うなって話ですけど」

(見掛けた講義をしているはずの見知った顔に図々しくも声を掛ける)

獅南蒼二 > 聞き覚えのある声。
いや、まぁ、声そのものは特徴的ではないのだが、その特徴的な、間延びした喋り方。
貴方が扉をあければ、そこには…授業時間であるからか、ほぼ無人の職員室。
数名の教師がそれぞれの作業をしていて…その中に、白衣の男の姿。

「なんだ、連絡は届かなかったか?
 お前なら両手を上げて喜ぶのではと思ったのだがなぁ。」

事も無げに笑って、少女にそうとだけ言葉を返す。
カップを片手に持ったまま、椅子を回転させて貴方の方へ向き直った。

鏑木 ヤエ > 「んな訳ねーでしょうて」

(人影の疎らな職員室を堂々と進んでいく。
 ちらりと教師の机を覗き見ながらゆったりと白衣の彼の傍まで歩み寄る。
 それから困ったように、呆れたような声を上げた)

「折角真面目に授業受けに来たときに限って休講って嬉しい訳ねーでしょう。
 なあんでこんなところで油売ってやがるんですか。
 職務放棄、っていうか給料泥棒とか言われますよ。言っちゃいますよ。
 やえの学費を返してくださいな」

(喧しく幾つか言葉を並べて、その後。
 はあ、と深いため息にひと呼吸を添えたその直後に)

「で、なんで真面目に毎回休み前に補講の連絡まで入れてるような獅南蒼二が。
 職員室で時間潰してやがるんですかね。
 授業できねー理由のひとつやふたつでもあるんじゃねーですか」

獅南蒼二 > 「それはすまないことをした。
 私の10年に1度の怠惰と、お前の10年に1度の勤勉が合致してしまったようだな。」
くくく、と楽しげに笑って、
「まぁ、今日の事は私が謝ろう。だが、それならまずは学費分しっかりと授業に出るよう心掛けろ。」
まくしたてる少女の言葉は軽く流す。真摯に受け止めるべき部分と流すべき部分を、もはや完全に分けているようで…

「何だ、しっかりと連絡は確認しているのか。
 …そうだな、その話をする前に、立っていないで座ったらどうだ?」
…貴方に向ける表情は、真剣そのものだった。

鏑木 ヤエ > (軽口に返された真面目な表情に一瞬だけ戸惑いを見せた。
 直ぐにそれも何時もの曖昧な表情に戻るも、彼女の中で違和感は生きていた。
 座るのを勧められれば、彼の机の横の席から椅子をかっ攫う。
 眉を幾らか下げて、また一度開けば喧しい口を開く)

「ははあん。
 休講の理由を説明してもらえるならありがてー限りですね。
 やえの知りたいことを教えてくれるセンセーは好きですよ」

(楽しげに笑う。
 萌え袖と化したカーディガンの裾をちょいちょいと引っ張りながら足を組んだ)

「で、なんだってんですかね」

獅南蒼二 > コンピューターを操作し、ネット上から幾つかの新聞記事を拾い上げる。
それらはすべて、イギリスでテロ組織の一斉摘発が行われた、という内容のものだった。

「ただ、教えてやるのも面白くない……簡単な課題を出そう。
 この記事を見てどう感じる?」

何の変哲も無い記事だ。
そこには≪レコンキスタ≫と呼ばれるイギリスのテロ組織が空軍特殊部隊によって一斉摘発されたという事実が書かれている。
三ヶ所の地下拠点に同時に突入し、突入側がほぼ一方的な勝利を収めたという。

鏑木 ヤエ > 「ツマンネー、ですかね。
 ありきたりな物語はやえは好きじゃねーんですよ。

 ………というか。テロリストならばれねーようにやれってんですよ。
 かみさまとオンナジですよ、水面下で動くからテロになるんでしょうて。

 《レコンキスタ》。ああ、名前は知ってますよ。昔はとっても栄えてやがったと。
 やえの昔いた国でもよく名前は挙がってました。
 遂に摘発されやがったんですねえ。で、これがなんだってんです。
 今更何か悪い事でもしたんです?
 やえは外のジジョーにはそこまで詳しくねーモンですから」

(「よくある話じゃねーですか」、と付け足した。
 じい、と記事を読みこむもそれ以上の感情は湧いてくることはなかった。
 何故彼が自分にこの記事を見せ、意見を求めたのか。
 小首を傾げた)

獅南蒼二 > 少女の言葉に、獅南は楽しげに笑った。
「お前に自覚は無いかもしれんが、実に良い感性をしているな。」
それから、記事を閉じて、視線を貴方へと向ける。

「切っ掛けとなった事件はあるが……お前の言葉を借りるのならば、どうして“ばれた”んだろうな?」

タン、とキーを叩けば、“きっかけ”となったハイジャック未遂事件の記事が表示された。
事件発生の日付は、9月11日。先ほどの、一斉摘発の記事は、それからわずか数日後。

「地下組織化したテロリスト集団を数日で燻り出し、国内から一夜にして一掃する…なんて、映画でもあり得ない設定だとは思わんか?」

よくある話にこそ、面白い裏事情があったりするものだぞ?なんて、肩を竦めて笑う。

鏑木 ヤエ > 「感性で飯が食えたらよかったんですけどね。そりゃドーモ」

(目を閉じて肩を竦めた。
 珍しく口元に微笑が浮かんだようにも見えるかもしれない)

「ははあん。これまた9月11日とは趣味の悪い。
 先ずやえが間違ってる、と思うのはハイジャック未遂ですね。
 それを何故《レコンキスタ》が行うに至ったのか?
 やえの知っている限りでは魔術的な組織だった、と思うんですけど。
 それから何故ハイジャックに至るのか。その時点で分かりやしません」

(ふう、と息を吐いてまた言葉を継ぐ。
 もう言葉を選んではいない。思った疑問を、そのままに彼に投げかけるのだ)

「現実は小説よりも奇なり、ってヤツですかね。
 正直ドラマにしても急展開すぎて視聴打ち切りですよ。
 視聴率低下でスポンサーもお金払うのやめるレベルですよ、そんなの。

 答えを教えては貰えるんですかね、"センセイ"」

獅南蒼二 > 微笑を見やり、お前なら気に入ると思ったよ。なんて、肩を竦めて笑う。

「さてな、テロリストの考えることまでは分からん。
 気になるのなら記事でも集めてみることだ…専門家が好き勝手にしゃべっていてなかなか笑えるよ。
 まぁ、私のような才能の無い魔術師の視点から言わせてもらえば、魔術よりも効率が良い方法は何かと存在する…ということかな。」

カップを机の上に置いてから、ヤエの言葉に、小さく肩を竦めて…

「残念だが、私もその答えを探している。
 だが、お前の言う通り、こんなストーリーはナンセンスだ。
 命を賭した潜入捜査も、技術の粋を集めた科学捜査も、金で命を買う裏取引も、
 テロリストと警察官や国家の、手に汗握る攻防も無しに…唐突に“終わって”しまう。」

「……さて、誰がこんなクソつまらないストーリーにしてしまったんだろうな?」

鏑木 ヤエ > 「なるほど。
 ならやえはひとつシツモンさせてもらって構いませんかね。
 何故才能の無い魔術師を自称する獅南蒼二がこの組織のことを調べてるんですかね。
 それに加えて───」

(ふ、と目を細めた。
 色の濃い紫水晶が目前の教師の瞳をじとりと捉える。
 挑戦するように。それともどこか喧嘩を売るように)

「なあんで。そんなにザンネンそうなんですか、獅南蒼二」

(足を組み直す。赤いカーディガンの袖を少しばかりたくし上げた)

「なんだかザンネンそうにしかやえに見えねーんですよ。
 クソほどにツマンネーこのオハナシを、そんなにザンネンそうにしてるんですか。
 別に一般市民ならばテロ組織が壊滅した、と喜ぶところでしょうて」

(上目遣いに、彼の顔をじろりと睨んだ)

獅南蒼二 > 少女の言葉は実に妥当であった。
獅南が一介の教師であるのならば、テロ組織などに興味を向ける道理は無い。
だが、その挑戦的な視線にも、獅南は楽しげな笑いを返すのみ。

「先に2つ目の質問に答えよう…答えは、単純なことだ。
 以前イギリスの魔術学会で≪レコンキスタ≫に所属する魔術師と会う機会があってな。
 私など問題にならんほど、非常に優秀な魔術師で…家族思いな男だった。
 そんな男が、こんな形で命を落としたのだ……本当に、残念だよ。」

小さく、ため息を吐く。男は嘘を吐いてなどいなかった。言葉にも表情にも、違和感は感じられないだろう。

「1つ目の質問に答えるのなら……この間の話を思い出してほしい。
 魔術学を極めた組織がいかにして壊滅したのか…私にとってそれは、非常に重大なテーマだと思わんか?」

鏑木 ヤエ > 「異能の所為だ、とでも言う心算ですかね。
 こないだの話も含めてまあ随分と異能が嫌いみたいですし。
 そうして世界から異能者を──、なんて言わねーですよね」

(伺うように、幾らかきつかった視線を緩く向けた。
 腕を組んで、唸るように思案を巡らす。
 哲学的な答えのない問いを考えるのは好みだったが今は違う。
 考えれば答えの出てしまう問いを前にしているのだ)

「ザンネンも何も、家族思いで非常に優秀な魔術師だったらば。
 《レコンキスタ》に所属しなけりゃよかった訳じゃねーですかね。
 自衛が出来たと思うんですよ。ハナからそんな危ない橋を渡らなければいいでしょうて。
 自業自得、って言葉があるじゃねーですか。
 危ないってわかっててそこに飛び込んだのであればトウゼンの報いですよ」

(ゆらりと頭を上げた。
 彼の残念そうな、物憂げな表情が目に入る。それを何を思うでもなく、ただ見ていた)

獅南蒼二 > 「さて、どうだろうな?
 少なくとも、尋常の存在ではない、理不尽な力が働いていることは間違いない。」
小さく頷いてから、少女の言葉に、肩を竦めた。
「ははは、もし、そうだとしたらどうする?」
視線は少女へと真っ直ぐに向ける…この少女なら、正直に答えるだろう。
そんな確信があった。それがこの少女の異能に起因しているかどうかは、定かでないが。

「当然の報いと言うのならばその通りだ。彼らはテロリストなのだからな。
 だが…さて、渦中へ飛び込まぬことを自衛と呼んで良いのかどうか。」
カップのコーヒーを飲み干して、それから、視線を貴方から外す。
もうその瞳には、どのような感情もこもらず、読み取ることはできない。
「元よりこの世界は秩序を失った状態にある。
 世界を知れば知るほどに、明日、誰が消えるか分からん不安定な状態だと、痛感させられる。
 ……不幸が降りかからぬよう怯えて暮らすのが自衛か、それとも、秩序を回復するために行動するのが自衛か。」

「お前の考え方は、前者なのかな?」

鏑木 ヤエ > 「やえが一発ここで獅南蒼二をぶん殴りますよ。
 やえは言葉がうまくねーですから。拳は何時の時代だって正直でしょうて。
 ただやえの気持ちを伝えてーですよ、やえだけでなく。
 ほかにも獅南蒼二を待ち望んでる生徒は多いですからね。
 異能があるから、で嫌われたらたまったモンじゃないでしょう。

 異能を持っていようが持っていまいがオンナジですよ、生徒と教師です」

(異能があろうがなかろうが、鏑木彌重は同じ答えを返しただろう。
 愚直で正直で嘘の吐けない自分のことが大嫌いで大好きである故に、)

「確かにそのふたつともが自衛だというのは頷けます。
 やえは、自分が傷つかないように怪我しないように生きるのが自衛だと思います。
 自分の身のひとつでも守れねーようならば秩序だって守れやしませんから。

 このフアンテーで明日の飯も定かでないような世界なんだったとしたら。
 自分のことを一番よく解っているのは自分なのと同じで。
 自分が怪我しないように賢く動けるのも自分だけなんですよ。
 待ってて誰かが守ってくれることもないでしょうて」

(言葉を飾らないし、言葉を騙ることもない)

獅南蒼二 > 少女の言葉に、獅南は小さく頷いた。
「時折、お前は真面目なのか不真面目なのか分からなくなる時があるな。」
目を瞑って、僅かに苦笑しつつ、言葉を漏らす。
理不尽な力を持つ異能者は、それを私利私欲のために行使する者は…須らく、排斥されるべきだ。
だが、それなら、力を持たぬ異能者はどうなのか。≪レコンキスタ≫はそれを語らない。
「…お前には殴られるかも知れんが、好くも嫌うも、当人次第だ。
 だが少なくとも、こうして、お前と話しているのは面白い。」
だからこそ、獅南は魔術学によって異能を圧倒することを目指す。
異能者を排斥する必要性すら無くなるほどに、魔術学が異能を凌駕すればよい。
異能者に優位性が無くなれば、一方的な理不尽は解消され、多くの血が流れるだろうが、その後に世界は秩序をとりもどすだろう。

「お前は、自分以外に何も信用しようとはしないのか?
 自分をよく解っていると言うが…主観的な判断だけだろう、本当にそうなのか?」

「私は魔術学を信じる……お前は、お前自身の、何を信じるんだ?」

鏑木 ヤエ > (「ああ、なるほど」と。
 彼女は胸中で一人、納得したように溜息を吐いた。
 彼が心酔し、ある意味でも信仰にも似たそれを向ける対象。
 自分自身のかみさまに対するそれが彼にとっては魔術学と異能なのか、と)

「──自分以外に、ですか」

(問われたそれは随分と、それまた杭のように彼女の思案を抉った。
 深く、もともとあったものを押しのけるかのようにしてそれは彼女に深く刺さる)

「やえはかみさまを信用しています。
 やえだけの、やえを許してくれるかみさまを。
 誰よりも優れて優しくて、誰よりもやえを見ていてくれるヴォグを。
 やえが自分をわかっていなくてもかみさまはわかっていてくれるんです」

(「だから、問題はないんです」、と。
 曖昧な表情を浮かべたのち、にへらと笑顔を浮かべた。
 彼女にしては珍しい、色の鮮やかな笑顔を)

「やえはやえのかみさまを信じます。祈るんです。
 果たして獅南蒼二のお友達はどんなかみさまに祈ってたんでしょうか。
 それとも魔術学を信じていたのでしょうか。
 死んだ《レコンキスタ》の人間も。死んだテロの被害者も」

(ふんわりと、見た目にしっかりと合った笑顔を浮かべた)

獅南蒼二 > 「“かみさま”か…。」
魔術学的にも、自然科学的にも、それは決して存在を肯定されぬもの。
それでいて、多くの人間の指針となり、支えとなり、時に、血を流す原因ともなる。
だが、少女の語る“かみさま”は、どうも、一般的なものとは違うように聞こえた。
そして、少女の見せた曖昧な表情、その一瞬の思考の硬直が、獅子南の違和感を増大させる。

「……まさに全知全能、だな。
 そんなかみさまが居るのなら、決して信仰を捨てないことだ。」

少女の語る“かみさま”とは逃避が作り出した虚像なのか、それとも、形を持つ存在なのか。
判断をすることはできなかったが、他者の信仰を否定するほどねじ曲がってもいない。
「…誰にでも“かみさま”はついているのかも知れんな。
 ただ、その形が違うだけだ。私の友人は……どうだろうな。
 せめてお前と同じように、何かを信じたまま死ねたのだろうと、信じることにするよ。」


「さて、そろそろ次の授業が始まる時間だが……まさか、逃げ出したりはしないだろうな?」

鏑木 ヤエ > 「やえはこれから獅南蒼二が何をするのかも知りません。
 知らないし、きっと知ることもなければそれを否定することもしないでしょう。
 それでも──」

(ふ、と表情を戻した。
 彼女の語る"かみさま"は魔術学的にも自然科学的にも勿論。
 彼女以外に肯定されることはない。遠い遠い異国のかみさま)

「身体には気を付けてくださいね、単位貰わねーといけないので。
 最近頑張って目覚ましも掛けてんですから。
 休講が続くようだとやえマジでキレますからね。
 折角やる気のねー生徒がやる気になってるんですから」

(ぎし、と音を立てて椅子から腰を上げた。
 まくっていた袖も元に戻して、なんでもないように伸びをひとつ)

「信仰というのは幸せなものです。
 死んだすべてのニンゲンに幸せな終わりがあったことを祈ってます。

 ある意味獅南蒼二にとってもかみさまみたいなものでしょう、魔術学は」

(ふわりともこもこの羊毛のようなミルクティ色の髪を揺らした。
 振り返り様に彼の顔をじい、と見つめてまた薄笑いを浮かべる)

「逃げやしませんよ、やえはガクセーですから。
 何時だってここで教師の授業の再開を待つのが生徒のお仕事でしょうて」

(「それでは」、と。踵を返した)

ご案内:「職員室」から鏑木 ヤエさんが去りました。
獅南蒼二 > 「ははは、お前に学ぶ意欲があるのなら…単位はお前の力でもぎ取ることだ。
 何、さっきも言っただろう…10年に一度だ、次は無いよ。」
小さく肩を竦めて…少女の瞳を、見つめる。
きっと“かみさま”はこの少女にしか理解できない存在なのだろう。
だから、何と言うことは無い。
信仰が幸せだとは思わない。
だが、自分にとって、魔術学が救いであるのは確かだ。
魔術学が存在しなければ………どうなっていたのだろう。

「…なるべく早く再開しよう。お前のような、熱心な生徒が居るのなら、な。」

ご案内:「職員室」から獅南蒼二さんが去りました。