2016/10/06 のログ
六乃坂 樹愛璃杏那 > 「も~~~~~反省しましたあ~~~~~~~わかりましたぁ~~~~~~~」
めんどくささが源泉かけ流しとばかりにドッバドバ溢れている。

異能での低レベルなイタズラ。
授業のサボタージュおよび態度不良。
生徒指導に駆けつけた男性教師にカウンター"性"徒指導を仕掛けようとしたり。
犯罪行為に染めていないだけマシではあるが、六乃坂の異能は、六乃坂の幼稚な精神構造が持つには随分危険なモノであった。

その結果――というわけかどうか、兎にも角にも。
まずは教育である。このギャルに人間としてのステージに登って貰おうと教師陣は考えた。

六乃坂のありとあらゆるペーパーテストは壊滅的点数である。
そのため時折季節外れの追試タイムが六乃坂には訪れる。今がその時であった。

しかしお外はポカポカ陽気。前からは念仏。寝ない道理が無いわけなんだなあ。
よって六乃坂は寝た。寝てしまった。


――呆れ果ててがっくりと肩を落とした女性教師。
一度ため息をつくと『職員室に行ってきます』と席を外してしまう。

……しかし成績に多大に影響するため、今度こそ逃げないように、と念には念を押された。

六乃坂 樹愛璃杏那 > 「……」
女性教師が出て行くのを目で追う。

扉の締まる音と訪れる静謐の中。とりあえずテスト用紙に目を通す。
先程見たはずなのに、初めて見たような新鮮さを六乃坂は覚えた。

……内容については簡単な、中学レベルの国語の問題だ。
常世にあっては逆にレアな代物であろう。
丸文字で書かれた六乃坂のフルネームだけが紙の上にはある。
ほんの数問を書くだけで開放されるのだ。なんと横には国語辞典のサービスつき。
しかし六乃坂には国語がわからぬ。六乃坂は絵文字と顔文字だらけで連絡を取って暮らしてきた。
六乃坂は乳のデカいバカである。写メを撮って、男と遊んで暮らしてきた。つまり今すぐフケて遊びに行きたい。


とは言っても六乃坂にだって良心というものがある。
親に言うぞ!と言われてしまえばしょうがないやるしかねえとなるのであった。しかしテストはわからない。

六乃坂 樹愛璃杏那 > いかにしてこの窮地を乗り切るか。
――六乃坂の異能"活性化"は「念じた対象を活性化する」という大雑把にして使いようによっては強力無比なものであった。
しかし持ち手がバカであるため有効に活用された試しは殆どない。

六乃坂のババロア脳味噌を活性化させたところで、瞬発力や頭の回転は早くなっても知能が高まるわけでもない。
無い袖は触れない。無い知恵は出せない。というわけである。
つまり六乃坂は窮地に立たされていた。
己の身一つで紙ペラとの戦いである。

六乃坂はとりあえず光降り注ぐ窓を携帯端末で写真を撮り(チョーτ ω 、キ レヽレヽ顔文字顔文字顔文字)とSNSにアップロードした。

六乃坂 樹愛璃杏那 > (宇宙……)
六乃坂 樹愛璃杏那 > また宇宙の真理にアクセスするところだった。
不意に六乃坂は意識を取り戻す。
ここは学校目の前にはテスト。宇宙も何もありゃしなかった。

当然の如くテストは白紙である。
……六乃坂は戯れに国語辞典をめくり始めた。

六乃坂 樹愛璃杏那 > 「やべえ……あたし天才じゃん……」
漢字読み取り問題を無法にも携帯端末のOCR機能で読みをカンニングしようとしている!

「やべ~~……」
書き……書き……

亀と兎も競争を止めて実家に帰ってしまいそうな速度で問題を解き始めた……

ご案内:「教室」にルベールさんが現れました。
六乃坂 樹愛璃杏那 > 漢字の読み仮名を書いた後は文章題。
ごく普通の道徳的な小説と、これまたよくある「この時のAの気持ちを述べよ」という設問。

六乃坂なんと真面目に読む。きっと何処かで星の動きでもずれたのか、なんとこの六乃坂が真面目に文章を読み始めた。
たっぷりと――およそ3分に満たない程度であるが――読んだ後、記入した答え。導き出した解。

「ヤバい」

ヤバかった。

ルベール > 「わかった、わかったから! 今度は授業中に寝ないってば!」

 一年として入学した異邦人。金髪長身の女はお叱りを受けていた。
 1時間目、睡眠。 2時間目、魂が抜ける。
 3時間目、体育。柔道を学んでひたすら同じクラスの男子を投げ飛ばす。
 4時間目、その疲れをいやすために安らかに休憩。
 5時間目、昼休みにサッカーをし過ぎてそのまま戻って来ず。
 6時間目、先生に耳を掴んで引きずられて長時間のお説教をもらう。
 現在、その分のお仕置き中である。

 がららっ、と扉が開けば、ととと、とその中に突き飛ばすように入れられて。

「……お、先客。」

 よー、と片手をあげてご挨拶。
 おなじ一年だったはずだ。仲間がいた、と安心する笑顔を向けて。

 どさ、っと樹愛璃杏那の机の横にひたすら計算問題の書かれたプリントを置かれて、そこに座らされる金髪。

六乃坂 樹愛璃杏那 > 物音を感じればまるで最初から見ていませんでした存じ上げませぬとでも言いたげに素早く机の端に携帯を置いた。
ドジャリと音を立てる携帯ストラップたちは多分扉の開く音で誤魔化されたのだろう。

「? チョエーッス~~」
そしらぬ顔で視線を向けて品性と知性に欠けた挨拶を返す。
新しく入って来た"同士"の髪の毛は見事な金髪。なるほどお仲間であろうと安心して――
「っべウケる、チョー積まれてんじゃん、これ終わんの?」
机に積まれたプリントを見て指差しながら、歯を見せて楽しそうに笑っている。

そして流れるように教師から私語を慎むようにと指摘を受ける。
「へーーーーーい」
不満を隠そうともしない不真面目な返事を教師に返すギャルだった。

ルベール > 「ちょえーっす…」

 不思議な挨拶に一瞬硬直して、不思議な挨拶を返す。
 なるほどこれがこの世界での挨拶の一種………。
 軽い挨拶に安心したようにあー、っと面倒そうに腕を伸ばして。

「……いやー、終わらないっての、見てよこれ。」

 ほらこれ、とプリントを見せる。
 かけ算のひっ算が並んだプリントは、最初は2桁からスタートしているが。
 彼女の努力を無為にする凶悪な刺客が潜んでいた。


 小数点。


 数多の生徒を殺害してきた凶悪な奴が、一個ずれている。

「……これ死ぬほど苦手なんはいはいはーい喋りませーん。」

 指摘を受けながらこちらも適当に返事を返して、教師が出ていくのを待つ。
 ……うがー、と髪の毛を書きながらペンを噛む。
 竹を割ったような気質と竹を割ったような頭だ。

六乃坂 樹愛璃杏那 > ちょっとした珍しい民族かな?といった六乃坂のヘアスタイルと美しい日本語をスクラップアンドスクラップしたような崩れた言語。
この場にいる二人のどちらが異邦人かと聞かれればきっといい勝負でデッドヒートを繰り広げたであろう。

教師が出て行くや否や差し出されたプリントを見て、暫く眺める。
掛け算、なるほど。知ってる概念だ。
……そして小数点を見るや否や、うへぇと顔を顰めた。

「っは~~~エグいわ~~~~。なにこれこの点マジいらないよね~~~」
常世島においてこの瞬間随一であろう低レベルの同意であった。

「あ~~~でもケーサン?まだいーじゃん、ケータイで出来るじゃ~ん?」
なぜ計算という言葉すら疑問形なのかは多分誰にもわからないが、そう言って己の携帯端末をひらひらと振ってみせた。
携帯の三倍ほどあるわけの分からぬストラップ類が重厚な音を立てる。

ルベール >  こちらはナチュラル金髪と長身なくらいで、見た目的にはある意味単なるアメリカンなアメリカ人にしか見えない。
 バーベキューででかい肉焼きそうなタイプである。 きっと焼く。

「……だよなー!
 店に物を買いにいって1.5個下さいとか絶対言わないしさー。」
 話が分かる相手で良かった、と安心しつつも、相手の取り出したそれを見て、ぽん、と手を叩く。

「それ欲しいんだよ。連絡が取りあえるんだろ?
 っていうか計算もできるのそれ。いいなそれ、欲しい。
 ……いや、最近ここに来てさ。まだ持ってないんだよねぇ……」
 じゃらじゃらと音を立てる携帯を、目を輝かせて見る女。

 御年24である。

六乃坂 樹愛璃杏那 > 低レベルの会話、満開である。
「ホントだよ~~今日3.5人来るんで!!とか言われてもは???ってなるじゃん、意味わかんね~~」
いらねえ~~と人類の叡智に暴言を吐いて居たが携帯端末の話になると――

「えっ!?マジ?!ケータイ持ってないの?ヤバくない!?スッゲ!」
自分の日常に深く食い込んだツールを持ってない人間。
それもまだ若い人間が持っていないというのは六乃坂にとって想像の範疇外であった。
バカにするとかそういった意味合いはなく、単純な驚きのみであった。

「それマジヤベーって!ケータイ超便利だから!ここでもクーポンとか使えるんだよ?
 ぜってー持ったほうがいいって~連絡取れないの不便だべ?」
視線を天に彷徨わせ腕を組み――
「あ~~~っと多分商店街とか学生通りかな?あのへんならフツーに売ってっしょ!
 あたしここの外で買ったやつだけどね~~多分あるある。」

赤い保護カバーに包まれた携帯端末で、常世内部の店を検索しつつ喋る。

ルベール >  ここが教育機関であることを綺麗さっぱり忘れさせるような会話を繰り広げ、相手が驚くのをみれば、え、やっぱそうなの、と一瞬たじろぐ。
 見る人見る人使っていたから、なんとなく当たり前のツールだということは感じていたのだ。

「……やっぱりヤバい? 持ってないのはヤバい?
 そっかあ、やっぱりヤバいかあ………………」
 相手が驚きながら持った方がいい、と力説してくれれば、うーん、と腕を組んで悩む仕草。
 今、島で一番ヤバいって単語が飛び交ってる。

「……! 思いついちゃったわ、私天才だわ。
 このまま抜け出してそれ買って、それでこの計算を叩き潰す!
 ………商店街ねー、おすすめとかあるん?」
 ギラッ、と目を光らせてアイデアを披露しながら、相手の話をふんふん、と聞いて計算用紙の裏にメモ。
 どうやら目の前の同学年の生徒は詳しいらしい。携帯のセンセイである。

六乃坂 樹愛璃杏那 > うんうんと首肯する六乃坂。
「ヤバいヤバイ!超ヤバいって!」
ヤバいはギャルの万能圧縮言語である。
持っていないと不便である、いろんなことに使える、便利なツールである。
そういった説明は無く、完全にフィーリングで説明しようとしているし多分通じる空間であった。

ルベールの無法極まりないアイデアには六乃坂も思わず
「は~~~~パネぇ、かなり冴えてるわ。」
同意であった。
六乃坂にとってはテストよりも携帯を持っていない事のほうがよほど緊急であるらしい。

「おすすめはね~~やっぱ持ちやすい奴だよね。ガワはさー、ちょっとダサくてもこれ、カバーとかデコって誤魔化せるからさ~」
どこのメーカーとか機種とかそういったレベルではなかった。
「商店街のそうだね~とりあえずでっかいとこ行こう!店員さんがメッチャ見せてくれるから。」
わからない事は人に聞く。授業以外ではその心がけの出来ている人間であった。

ルベール > 「やっぱヤバい? マジかヤバいのかあ……」
 やべぇ、と困った顔を浮かべながら理解をする。
 フィーリングで理解を求めてくる相手との相性はすこぶるよかった。
 あとヤバい、って語感もなんか彼女の気質にすこぶる合っていた。
 中二病を脱却してギャルへと進化しています。

「……でっしょー?
 教えてくれた時からなんとか使えないかなって考えてたんだよね。
 やっぱさ、使えるもんを上手く使って切り抜けるのが教育って奴?」
 どや顔は彼女の十八番である。誉められて満足げに胸を張る。
 脳に行く栄養分は全て身体を動かすエネルギーと胸に行ったらしい。

「商店街のでっかいとこね。なるほど。
 いろいろ見せてくれるもののなかから持ちやすいやつね。
 助かるわー………学校っていっても、こういう大事なことだーれも教えてくれないんだからさ。
 ……あ、私ルベール。ルビィでいいよ。」
 先生が聞いていたら泣くようなことを言いつつ、さんきゅー、と手を持ち上げてハイタッチをかわそうと。

六乃坂 樹愛璃杏那 > 目の前の金髪ガールが厨二病患いもとい炎の魔法剣士だったという事は全く知らない。
少し自分よりは年上かもしれないが、この学園には色んな人間がいる……
そう、多分留年したのだろう。六乃坂はそういう理解をした。

「やっべ~~~やっぱ使えるもんは使ったもん勝ちだわ!」
力強い同意。教師陣が見たら絶望して職を辞し兼ねないクソバカインパクトである。
六乃坂もまた、知能が乳に向かった人間であった。

「そーそー、あと落としたら画面マジ割れっからそこヤバい。保護シートってやつ買ったほうがいい。
 あーとーなんか生徒科……?なんだっけ忘れた。
 どっかに申請出したらケータイのお金なんとかなるらしいよ?
 ここんとこあたしよく知らないんだよね。外の奴だから実家のママっちが払ってくれてんの。」
異邦人には免除だの何だのが有るらしいが、その部分をまったく忘却しつつの説明だ。
詳しくない部分については数倍フワッフワの説明である。

「だよね~ケータイないとぜってー困るって。なんかそういうのちゃんと授業でやってほしい。」
真面目な顔で教育機関を勘違いした発言だ。
「ルベール、オッケ~ルビっち~~あたし樹愛璃杏那っつーの、ジュリとかアンナとか、ま~好きに呼んでよ。」
はいはいと笑いながら即座に呼びやすく変換してイエ~イと明るく元気よくノリよくハイタッチを返す。

ルベール > 目の前の不思議な言語を扱う異邦人はいったいどこの世界から来たのだろう。
いや、気にするまい。過去は問わないと決めたのだ。自分も後ろ暗いし。
相手が生粋のこの世界の人間であることに気が付くまでは、まだ多くの時間がかかるのだが、後々の話だ。

「だよなー、やっぱ使えるもんを上手く使う力が大事だよなー
 ま、そういう意味ではこの補習で私も成長してるってことだな。」
 この部屋の平均知能指数が急激に低下している。
 最初から0だとは言うまい。

「あー、なるほど? 結構脆い感じ? じゃあ注意しなきゃいけねーな。
 ………え、マジ情報? おっけー分かったなんとかする。なんとかなるだろ。」
 段々ノリに併走できるようになっていきながら、耐熱機能あるかな、なんてぼんやり頭に浮かんで。
 相手のふわふわな説明に対して、無根拠な自信をズバッと言い切る。
 なんとかすりゃあなんとかなる。彼女のモットーである。

「ジュリーありがとー! いやほんとセンセだわ。
 ジュリセンセーさんきゅー!」
 イエーイ、とハイタッチ。感謝を素直に示しつつ、今度は逆にこちらが相手の問題を覗き込み。

「……うわ、何これ、テスト?」
 困難に立ち向かっていることに瞳を瞬かせ、じっと覗く。
 自分の分は携帯で片付けることにした。

六乃坂 樹愛璃杏那 > お互いに勘違いしつつ話は進む。
あまり"こういう系"の生徒は見なかったため、六乃坂は素直にこの出会いに感謝していた。
そして多分お互いのことを知っても「ヤベエ」とかその辺で済んでしまうだろう――

「補習ヤベ~……身になってる……」
なっていない。
この場は圧倒的低INTの濁流であった。


「ま~結構丈夫だけど結構割れるね。なんか運悪いと割れる。まーいけるっしょ!」
無根拠に無根拠を重ねる。無鉄砲そのもの若者のノリである。
「オッケオッケ、センセーとか照れるわ~~
 あっそうだマジケータイ買ったら連絡先教えてよね~、あ~これあたしのメアド”あげるわ!これで連絡取れる取れる!」
言うが早いかテスト用紙の空きスペースにアドレスをササッと書いてあろうことか端っことはいえテスト用紙を千切って相手の机の上にほいっと差し出した。

「あ~そういえばテストだわ……」
言われて思い出した現実である。
「なんか漢字とか……まあノリでいけるっしょ」
そう言って解答用紙に生み出されたのは新しい漢字である。
存在を忘れられた国語辞典はもはやインテリアにもなっていなかった。

ルベール >  同じく、こちらも感謝していた。もし知ったとしても、この世界も広いんだな、って意味での「やべえ」で終わってしまうのだろう。

「だろー? ほらほら、無人島とかで生き残る奴に似てない?
 あるものでなんとかするっていうあれ。
 私生き残れちゃうなー。」
 褒められると天狗になる才能だけは抜群にあった。
 INTを伸ばす才n いや、天を掴もうとしても掴めないのだ。

「オッケー、運なら自信があるからきっとだいじょーぶ。
 あ、いいの? じゃあセンセーに連絡しなきゃね。
 ほら、いろんなことできるって聞いたから、教えてもらわないといけないし。」
 さんきゅー、とテスト用紙を受け取る。テストを千切る行為に何の違和感も無い。

「………文章読むのって眠くならない?」
 えーっと、と、同じように読み進めることにする。
 この文章で一番作者が伝えたいものを漢字二文字で書け。……なんだこれ。
 友情物語を一緒になって読んで、頭を抑えてうーん、と唸る。

「山田じゃね。」
 主人公の名前を指した。

六乃坂 樹愛璃杏那 > 「あ~あるある、ヤッベ超強い!
 無人島ヤバいでしょ~~!!」
雑に同意して賞賛する。
しかし本当にそう思っているのだからどうしようもない。
無人島=ヤバい
そこで生き残れる=マジヤバイし強い
である。まっすぐバカである。

「じゃあイケっしょイケるイケる。マジご飯でも食べいこ……
 なるなる。文章読むのめっちゃめんどくさいわ……」
そう言いながら数分前、教師に文章題を音読されながらガッツリ寝た事を六乃坂はすっかり忘れていた。
それでも横で読む人間がいるのだから自分もと読み進め、よくあるいい話をフワフワ読み進め――

「天才かよ」
ルベールの指摘が天雷の如く降り立った!確かにこの話は山田の話だ!!
六乃坂は強い確信を持って名前を書き入れた。
もちろん不正解であるがその事実をこの二人が今知る由も無かった。

ルベール > 「任せなー、私身体だけは強いからさ。
 力仕事で困ったら連絡してよ。 無人島だろーが何だろーが何とかなるって。」
 無人島で生き残る生命力は確かにあるかもしれない。
 胸をどーん、と叩いて自慢げに言い放つ。
 実際に強さはあるのだが、頭はとっても残念な女子(24)。

「あ、いいねいいね。んじゃ今度行こうよ。
 まだこの辺り知らないから、いろいろ行ってみたいとは思ってたんだよね。
 せっかくだし、ちゃちゃっと読んで一緒に帰ろーよ。」
 こちらは1ミリも手を付けていないのだけれど、気にするなよ、くらいの空気を出しながら一緒に読み始める。
 たぶんこっからダッシュで行けば商店街はすぐに間に合うだろうし。

「……かも?」
 相手が同意してくれれば、どうよ、ってドヤ顔を見せつけて、イエーイ! とまたハイタッチ。
 補習とかテストのはずなのに、ずっとうるさい教室。

六乃坂 樹愛璃杏那 > 「マジで~!あたしの異能さ、そういうのと相性いいと思うよ!
 なんかパワーとか上げんの。」
あっさりと自分の異能をバラすが自分の異能ですらフワフワの理解であるため説明も雑極まりない。

「オッケオッケ~~あとこのブンショーだけだから余裕っしょ。」
ルベールの課題は山積みだが「多いから後でやればいいだろう」という謎の判断をして、
先に量の少ないほうを終わらせればもうふたりともクリアという謎の共有思考に至っていた。

「だって一番でてんのこいつだもんね~~!イエ~~~」
空き教室に明るい声が響く。
静かにやるべき課題であるが、もちろんそんな事頭に及ぶわけがなかった。
「あとはぁ~~~……この文章が示す……あ、これは解るわ」
そして書き込まれる「田中がとてもヤバかった」の文字。
六乃坂は真顔でそれを書き終えた。

ルベール > 「そういうのなの? 私は火とかつけられるから、これで無人島制覇できるじゃんか。」
 同じくこちらの魔力もバラす。気にしたことが無い。
 無人島は火が大事、それをつけられてしかもパワーアップできるなら無敵じゃん。

「………なるほどねぇ、確かに田中がめっちゃ出てくるもんな。
 一番出てる山田の主人公感食っちゃうくらい出てくるもんなー。
 そういうもんかー……」
 なぁるほどー、と腕を組んでその言葉をうんうんと頷きながら納得していく。
 フィーリング納得。
 国語の課題を真正面から殴り倒すごとく片付ける相手に畏敬の念を禁じ得ない。

「これだけやったら終わり?
 やるなぁ、私一人だったら途中で寝ちゃって、全然終わらないとこだったわ。」
 これは割と事実なので、すげーなー、って素直に言葉を吐き出す。

六乃坂 樹愛璃杏那 > 「えっ火出るのヤッベ、超便利じゃん!
 なんかあのゴリゴリやる……アレやんないでいいの?スゲエ!」
火おこしの原始的なジェスチャー。
無人島での生活に欠かせないイメージである火が簡単に出る。
賞賛と驚きの眼差しをしげしげと送っている。

「これ多分そうっしょ~~ここで田中ってめっちゃ言ってるからさ。」
ド単純な判定であった。
山田が主役というのも最初に出てきたからという雑判断であった。
高等教育というものを真正面から棒で殴るような蛮性である。

「終わった終わった。ここに置いておけばオッケーっしょ!
 あ~~あたしさっきめっちゃ寝ちゃったわ。しかもセンセーの前で寝ちゃったんだよね、ウケる。
 終わったし商店街行っちゃおうか~!」
片方終わったらふたりともオッケーという謎理論だ。

ルベール > 「めっちゃ出る。出過ぎて困るくらい出る。
 すごいっしょー、ライターっての? 一生いらないんだから。」
 素直な賞賛を浴びれば、んふふーん、と満足げ。
 褒めるし褒められる、理想的な関係がここにあった。
 惜しむらくは知能指数が抜け落ちていることだけだった。

「3行で3回も田中出てるから間違いないと思うわ。
 だってほら、山田だって最初にこのペースで来てるし。」
 先ほどの問の答えが山田であるという確信を元に推理する。
 流石は元本物の蛮族と呼ばれた女戦士だった。

「それめっちゃ怒られたでしょー。ま、そういう時は甘いもんでもたべるのが一番!
 よーっし、んじゃ一緒にいこーかー! おしまーい!」
 微塵も終わっていないが解放感に溢れて、プリントの束を鞄にねじ込む。
 その瞳に一点の曇りも無い。

六乃坂 樹愛璃杏那 > 「いいな~~花火したい時とかチョー便利じゃん!
 そんであたしの異能で強化したらヤベエわ!キャンプファイヤーできる!」
ライターと縁遠いぐらいに火がでるのかあ、と知らないことを疑問にも思わない。
そしてこの異能が組み合わさってしまう時があればそれは確実に、ヤバい。

「それな。
 いや~やっぱ他の人がいると早いわ~。めっちゃわかる。」
わかってないしそれってもう田中が主人公じゃねえの?という指摘をする高度な知性を持った人間はここにはいない。
蛮族と同レベルの蛮族脳。見たままを直入力する地獄のバカロードである。

「よーし終わった終わった!いいねー行こう!この時間カフェ空いてるかな~」
開放感に満ちながら立ち上がって、教壇に雑にプリントを置く。
疑う余地もない、我々は悪しき課題を協力して終わらせたのだ!

ルベール > 「任せといてー。なんだって燃やしてやるからさ。
 あ、もしかして強化したらさ、燃えるゴミとかもいけるんじゃない?
 出さなくてもよくない?」
 荒野で殴り合いをした時には地面を溶かすレベルまでパワーを出せた炎を更に強化してキャンプファイヤーとゴミ焼却をしようと考えるこのアイデア力。
 空前絶後の大火事がこの学園を……いや、この島を襲うかもしれない。
 誰か止めるんだ。

「だろー?
 2つあったらいい感じだよね。テレビでもケータイにカメラ2つつくって言ってたし。」
 最先端の技術と己の脳を同列に語る蛮族。
 テレビだけはよく見てる。目新しいそれは彼女の興味を強く引いているようだ。

「いいとこ知ってるの? ジュリーセンセは何でも知ってるのなー。
 よっし、じゃあいこいこ。 ケータイ見てカフェ行ってー。」
 愛すべき先生ができたことを喜びながら、手を握っていこーぜー、って笑う。
 本物の先生が来る前に脱出したほーがいいしな、なんてぺろ、と舌を出し。

六乃坂 樹愛璃杏那 > 「あ、イケるやべえ、超エコ~い!」
なんとも軽く言うが六乃坂の強化は――勢いである。
ノリにのったテンションでもし超火力をさらに強化してしまったら――
ゴミどころか灰も残らない。
今ここに常世学園新たな脅威が生まれた……のかもしれない。

「ね~~。へ~カメラ付くんだ~」
自撮りしなかがら相手も取れるのかな~なんてフワフワした思考。
増えるってことはいいことなんだろうなあ、程度の想像力だった。

「イエ~~イ行こ行こ!へへ、センセ来たら採点するまで残されちゃいそうだし、急いでいっちゃお~!」
ゲラゲラと笑って手を握る。楽しげな青春の一ページである。


もぬけの殻になった教室と、珍答奇答まみれのテスト。そして見当たらないルベールの課題――
数分後にそれら全てを見た教師が悲鳴を上げたのか、苦悶の声を上げたのか。
二人は知る由もない――

ご案内:「教室」から六乃坂 樹愛璃杏那さんが去りました。
ルベール > 「でっしょー?
 よっしゃ、いこいこー!」

 いい笑顔で街へと繰り出す二人。
 明日には携帯を手に入れて、その扱いにかまけすぎて課題は全部忘れるのだろう。

 不幸なことは、大惨事になる能力の組み合わせ二人がどちらも短絡的に使ってしまいそうなこと。
 幸運なことは、どっちもきっと火力を上げて何かする、なんてことは明日には忘れていることだろう。

ご案内:「教室」からルベールさんが去りました。