2016/10/29 のログ
ご案内:「教室」にルギウス先生さんが現れました。
ご案内:「教室」に谷蜂檻葉さんが現れました。
ルギウス先生 > 胡散臭い人物が教鞭をとっている。

「ハロウィンは、宗教の成り立ちという観点から見ると非常に面白い行事です。
 死者が帰ってきて悪魔も闊歩する。
 まぁアレですね、物騒なお盆みたいなものです」

谷蜂檻葉 > 静かに、それを聞いている―――ように見えて手元の資料に挟まっているモノは別の授業のソレだ。

話半分に、興味を引くその瞬間に意識が向く程度の真面目さで谷蜂は机に向かっていた。
気楽に受けられる授業は好みで取っているものであり『試験時期』がもう直と近づいている為に、
彼女の授業態度は真面目に不真面目。 難易度順に組み上げられた”自習スケジュール”に合わせて動いている。

ルギウス先生 > 「本来は古ケルトの収穫祭と魔除けではあるらしいですがねぇ。
 ああ、これ海を越えたアメリカ大陸あたりで流行ってますが十字架掲げてる四文字様の宗教の行事じゃないんで気をつけてくださいねぇ?」

相変わらず、この教師は板書をしない。
くわえて話したいことを適当に話し続ける講義なので難易度はまぁ、高いほうではあるだろう。
加えて、成績はレポートオンリー。
それも採点方式は非常に厳しい。つまり、講義には人気が無い。

「さて、古代ケルト人といえばウィッチクラフトなんてものがあります。
 縮めてウィッカと言うのですが……皆さんは、精霊や妖精に興味はありますかねぇ?」

谷蜂檻葉 > ルギウスの授業テーマは、奇抜―――のようできちんと『基礎』がある。
故にテーマを走り書きし、彼が”盛り上げる”部分でノートを取れば後は「ねぐら」に行けば後から稼げる。

それが、檻葉のルギウス授業評であった。

当然、それでも深いテーマ部分は本当に彼が趣味で話すこぼれ話になるので点数にならずに単位が取れる少し上のライン程度だが、ともあれ問題はない。


(……妖精。)

ピク、と長髪に隠れた僅かに尖った耳が反応する。

ルギウス先生 > 「性質にもよりますが、信仰という観点においては『彼ら』も神と成りえます。
 この場合の神は 人ではない超常存在 という括りではありますが」

少し笑みが深くなった。注視していないとわからないレベルではあるのだが。

「超常存在も、ものすごく大雑把に分けてしまえば2パターンほどしかありません。
 ・人間に益をもたらすもの
 ・人間を害するもの
 前者を神と呼び、後者を魔と呼ぶ。
 さて、それでは……『妖精』はどちら側になるのでしょうね?

 話を聞きながら地味に内職してらっしゃる、そこの方 わかりますか?」

谷蜂檻葉 > 「!」

唐突に視線がふっと此方に飛ぶ。 バレてる。
まぁ、『解っているだろうな』と思いながらやっているあたりこの生徒"オリハ"は随分と図太い。

「……『どちらでもない』、です。」

びく、とそれでも肩は跳ねたが檻葉の返答は淀みはなかった。

「彼らは『自然』、普遍にある中立の霊体であり、時に益をもたらし、時に害をなす。
 ですので、妖精と一口に言うと中立であり 神でもなく魔とも呼べない存在かと。

 ……まぁ、その多くは人と共に在り語り継がれ益をもたらしてきたので、
 強いて言うなら善性と呼んでも差し支えないと思います。害もまた、訓話として仕来りを創る礎にもなりますし。」

ゆっくりと、幾つか言葉を選びながら語り終えると。 いいですか? と言うように視線をまた資料に落とす。

ルギウス先生 > 「完璧な解答ですねぇ、流石です」

ゆるーい拍手を送る。

「『彼ら』はただあるだけ。
 言い換えれば、習性を理解した人間が利用しているとも言えるでしょう。
 古代における経験則から理解している当時の自然との付き合い方が 古代宗教の祭事 となるわけですね」

ふむ と 少し考える。

「妖精に関していえば、仕事を手伝ってもらってミルクを与えるといったギブ&テイクが目立つ事も多いのですねぇ。
 後は、家に着く妖精や、死を知らせるモノも。
 最後の方は嫌われ役ですが―――。
 嫌われる ということは、それを避ける為の方法もまた、考えられてきました」

教卓の下から、色が変化した薬草を取り出す。
何というかくすんだ藍色の草。

「ウィッカは主に薬草学・妖精学にも通じていますが精霊信仰という側面もまたあります」

あ、明確に笑った。

「さて、皆さん。毎回レポートにも飽きたでしょう?
 今回はレポートのかわりに、ウィッチクラフトしたものを提出してください。
 ベクトル・技法の是非は問いません。呪殺だろうが祝福であろうがオールオッケーですので作って提出するように。
 折角ですのでハロウィンにちなんだモノは特別加点しておきますよ」

谷蜂檻葉 > ふんす、と少しだけ得意げに鼻を鳴らして筆をはしらせる。
―――よし、後は授業の中で加筆しておけばいい。

いそいそと、別授業のソレを鞄にしまい込むと改めてルギウスの授業に耳を傾ける。

現象であり、一存在でもある妖精との付き合い方は『自然現象』と変わらない。
逆らうことは不利益を齎し、時に神秘の開拓を意味する。

それらは常に利益と不利益を両面に宿している。 どちらを強調してみるのかは、結局人間次第だ。


(ウィッチクラフト《魔女術》、かぁ……。)

現代式の化学反応じみた魔術の原点。 古式調剤術、と言い換えてもいいかもしれない。

「質問ですけれど」

とりあえず

「期限、いつですか?」

ある意味、生徒たちに最も重要なファクターに周りの視線も鋭く光る。

ルギウス先生 > 「提出期限は……少し、甘めに見繕って来週中としましょう。
 ああ、技法によっては間に合わないと思う方は先に連絡をくださいねぇ?
 その為の延長期間であるなら考慮しますので」

タイミングよろしく終業の鐘が鳴る。

「ウィッチクラフトと言いましたが、先にも述べた通り技法も問いませんので。
 神道であろうが、仙術であろうが構いません。
 今日の講義内容をきちんと理解していれば、提出するべきモノの方向性は間違えないでしょうからねぇ」

喋りつかれた と手元の水を飲む。

「他に質問があるならどうぞ」

谷蜂檻葉 > 期限さえ分かれば問題ない。とばかりに生徒たちがガヤガヤと話し合いながら次々に立ち上がって、別の授業――もしくは今回の特殊レポートの『素材集め』に教室を出て行く。


なにせ、このルギウスのいう「オールオッケー」は本当に『オールオッケー』だからだ。
それ以上の質問は必要がないと皆心の中にしっかりと刻み込んでいる。

このオールオッケーは「面白ければそれで良し」「頭のおかしさは問わない」に近い解釈が一番早い。
こいつは何を言っているんだ。と思うかもしれないが皆凡そそういう認識である。

何を言っているんだ。


閑話休題。

檻葉は三年生ということもあって、基礎的な単位は凡そ取り終えて現状興味のある科目と自分の異能に関わるいくつかの授業を取っているだけで基本的に空き時間が多い。

それでいて内職までやるのは何故か、と言えば

(―――良し、図書館行こう。)

ガタンと鞄を取ると、さっさと「ねぐら」に帰ろうとばかりに出入り口へ向かう。

ルギウス先生 > 去り際に声をかけておく。

「ああ、谷蜂さん。
 貴女の『ご友人』のお力を借りるのは程々にお願いしますね?
 何せ彼らをどうこうする知恵 を提出していただきますので」

口元には細葉巻。
教室で吸うつもりだろうか。

なお、閑話休題の内容は概ね正しい と 補強しておく。

谷蜂檻葉 > 「―――わ、解ってます……よ?」

ピタ、と脚が少し鈍って味のある表情で顔だけ向けると彼の言葉に頷く。頷けてない。

顔にデカデカと『面倒な真似をォ……』と書いてあるが一言も言っていない。顔には書いてある。


ともあれ、彼女にはもう一つ別の”ツテ”があった。
ハロウィンだからこそ出来る、妖精魔術の裏技。

『原義的には妖精じゃないから問題ないよねオールオッケー』とルールを盾にして堂々とアンフェアをするつもり満々である。何を企んでいるんだこいつは。 だって先生が許可したんだ。


「―――それでは先生、また来週っ。」

そうして、これ以上枷をつけられて堪るかと言わんばかりにペースをあげると、
廊下の窓を開くと背翅を展開してショートカット。一直線に図書館へ飛んでいった。

ご案内:「教室」から谷蜂檻葉さんが去りました。
ルギウス先生 > 「ええ、また来週」

ゲームにはルールが必要だ。
全員が同じスタート地点である必要は無いが、たどる過程は同じないと授業としては困る。

「まぁ、ルールの範囲内なら何やってもいいんですがねぇ?」

楽しそうに笑って ルールそのものを無視する男も教壇から歩き去る。

ご案内:「教室」からルギウス先生さんが去りました。