2017/01/10 のログ
錐葉 咲 > 音が途絶えた・・・。日中は周囲が五月蝿い為に
この静まり返った夜にピアノの音は聞こえたのだろうか。

一室から変える言葉に若干戸惑う、かもしれない・・・?
と、いう言葉に不思議そうに首を少し傾げた。
扉に手をかけて

「入るぞ」

一言だけ告げて返答が来る前に扉を開ける、
視界に入ったのは一人、暗がりで月明かりのみの為、
はっきりとした姿の認知は難しい物の、
声と見える範囲では女性だろうか・・・。
教室の中へ足を踏み入れれば、
双眸を其方のほうへ向けて。

「何故こんな時間に・・・?あんた、誰だ?
っていうか、電気つけていい?」

暗い教室でわからない相手、
電気のスイッチに手を沿え其方のほうを見て。

咲月 美弥 > 「こんなにも月が奇麗な夜だもの。人が誘われても不思議ではない……か。
 ごめんなさい。耳障りなものを聞かせてしまったかもしれないわね」

前半は半ば独り言で、後半だけを目前の相手に向け投げかけながら微笑む。
音楽室というのは何故か怪談が多いが幸いにもこの部屋には肖像画はかけられていない。
危なく勝手に鳴るピアノの怪談が出来上がるところだったかもしれないけれど
今のところ気まぐれな生徒が深夜に忍び込んだ……程度の話になるだろう。

「ああ、そういえば明かりがついていないんだったわね。
 明りのスイッチならその隣よ。それは換気扇」

暗に好きにすればいいと伝え、のんびりと明かりがつくのを待つ。
部屋に明かりがともれば曲の雰囲気とはまた違った挑発的な姿が目に入るかもしれない。
ピアノの前の椅子に腰かけ、足を組んだまま微笑む姿は先ほどの歌声と
打って変わって面白げな色をその瞳に宿していて。

「まさか”ヒト”が来るとは思わなかったものだから。
 貴方は夜間部の人?もしかして授業でこの部屋を使うとか……
 そうならお邪魔虫にならないうちに立ち退くけれど。
 ついでに私がここにいたことは黙っておいてもらえると嬉しいわ?」

さりげなく所在をとう問いかけを流し、
ウィンクするように悪戯な表情を浮かべながら
人差し指をたて、自身の唇にそっと当てる。

錐葉 咲 > 「気にするな、耳障りなんて物じゃなかったしな。
ま、この感じからして幽霊とかじゃなくてよかったよ、触れないものは対処しようがないからな。」

ピアノの腕前はある、素人が聞いてもそう感じるのだから。
聞いて恥かしいレベルではないのに不思議だった。
寝不足にもなるだろうし・・・。

「・・・!・・・、うるさいな、換気扇も回したかったんだよ。
気分が変わったから電気だけにしておいてやるさ。」

私としたことが全く・・・、と脳内で呟く、
ぽりぽりと片手で頬をかき強引な言い訳を呟けば、
反対側のスイッチをもう片方の手で押す。

明るくなった室内で相手の姿を認識する。
少しだけ驚いたのか眼が僅かに動く。

「驚いたな、繊細な歌と音楽だったから
もっと大人しそうなやつだと思ったっての。」

相手の容姿も表情もどちらかというと挑発的、
音楽って不思議なもんだなと安易な考えで済ませた。
その面白げな視線を向ける相手からの言葉に対し・・・。

「夜間部?なんだそれ、別にお邪魔でもなければ、
あんたのこと誰かにバラすこともしねーよ。
っていうか、ばらしたところで私にメリットないしな?
それよりも、引っかかる言葉だな。
《ヒトがくるとは》って、まるであんたがヒトじゃないって言ってるみたいだっての」

妖艶さが見える相手、確かに見栄え的にきれいな容姿をしている、
まぁ・・・、私とは間逆だな、なんて心で呟く。

咲月 美弥 > 「ありがとう。これでも結構練習したのよ?
 ……確かに触れないものは面倒よね。
 物理で対処できないし」

例えばかすかに立ち込める甘い香りとか。
今は抑えているし、この学園で独り歩きするような相手であれば平気かもしれないけれど。

「ふふ、もっとこう儚げなこの方が似合うわよね。
 庭園でのんびりと過ごすような……そんなお淑やかな子とか。
 ……ああ良いのよ?気にしないで?
 似合わないってよく言われるもの。特に繊細なものは」

特に気にしていないと笑いながら手を振る。

「夜間部って……夜中にいろいろな事情で授業を受けに来る人達のクラスよ。
 アルバイトとかお仕事とか……学生と一括りにいっても事情は様々だもの。
 そういった人達も結構面白いわよ?」

どうでも良い歓談をはさみながら少しだけ首をかしげる。
確かにメリットはない。
それに目前の相手はそういった噂話が好きそうなタイプでもなさそうだ。
また風紀委員に見つかって追い回される羽目は今回は回避できそうで何よりと
内心一つ安堵のため息をつく。

「あら、だってほら、よく言うでしょう?
 肖像画の目が光ったり一段階段が増えている階段を上って異世界に行ったり
 血まみれの少女がピアノを弾いている場面に出くわしたりとか。
 夜の学校ってなぜか噂が絶えないもの」

そんな内心を露見せず、くすくすと笑みをこぼしながら揶揄う様に言葉を連ねる。
聞く人によっては完全に与太話だけれど、
実はそのいずれも起きうるのだからこの学園は質が悪い。
冗談に聞こえる冗談みたいな場所なのだかから。
もちろん自己申告はしないけれど自身もその類という自覚はあって。

錐葉 咲 > 「練習の成果が伺えるっての、
まー、ほんとに素人の意見だから当てにされちゃ困るけどな。っはは。」

お礼をいわれて悪い気はしなかったのだろう、僅かに乾いた笑い声を呟やいた。

「気になんかしてねーよ、
そーだな、音楽に合ったやつが弾くのもいいけど、
あたしはあんたみたいな意外性が合っても面白いと思うっての。」

場慣れしたのか、腕を組み姿勢を楽にするよう、
壁を背もたれさせ楽に立つ。

「へーぇ・・・、夜間部、そんなモンがこの学園に合ったんだな。
夜間に仕事ね、まーあたしもそういう類になるのかな。
その夜間部ってのには入ってないけど。
面白いっていうなら、あってみたい気もするっての。」

半ば興味ありげに返答する。
うわさが広まれば恐らく相手には良くないのだろう。
夜間部、恐らく昼間では余り良い印象はないのだろうなと予想を立てた。

「確かによく言うが・・・
あんたみたいなのが沢山いるからじゃないのか?
うわさってのはそんなモンだろ。
っていう物の、それが実際に起こり打つ可能性も0じゃないよな。
この世界だから。」

相手の存在を明かさないところを見ると恐らく話したくない面なのだろう。
敢えて深入りすることはさけておいた。

少しの間が空き、ふと気がつく。

「・・・?なんだろうな・・・、甘いにおい?
これもあんたか?」
気づくか気づかないかぐらいの甘いにおいに気がつく、
相手の容姿からして香水をつけててもおかしくないかな、と思いつつ聞いてみた。

咲月 美弥 > 「褒められて悪い気はしないわ。
 音楽に苦労とも素人もないって昔誰かが言っていたわ。
 詳しい詳しくないはあるけどね」

ちなみに詳しい人はあまり得意ではない。
感性任せで生きているところがある彼女にとっては知りたいのは細かいところではないし。

「椅子ならそこのチェロのそばにあるわよ?
 ケースで隠れて見えにくいけれど。
 ええ、一応ね?夜間のほうが楽っていう人も中に入るようだけれど」

噂話は歓談には手軽でいい。
昼に学校に来たくないという生徒も一定数いるわけで、
その中には昼間日に当たるとしんどいという生徒もいたりする。
……とはいえ実はそちらにも所属していないのだけれど。

「あら、多少ミステリアスなほうが受けがいいでしょう?
 オンナノコも噂話も、そのどちらも。
 とはいえ、一昔前なら噂はあくまで噂だったけれど、
 ここは何でもあり……だものねぇ
 それでこんな時間にこんな場所でどうしたの?
 私が言うのもなんだけど、夜に独り歩きなんて危ないわよ?」

小さくため息をつく。これでは生きやすくなったのか生きにくくなったのかわからない。
どちらにしろ大手を振って生きていけるものでもないけれど。
そうして相手が何気なく口にした問いにややあきらめたような表情を浮かべる。

「そうね、そんなものかしら。
 愛用の香水を使ってずいぶん長いから……
 体にしみこんでしまったのかもしれないわ」

珍しく言葉を濁す。
それは夜魔の発する誘惑の香りで……
耐性がない相手に無計画に吸わせてしまうと大変なことになる。
身をもってそれをよく知っている彼女はできるだけそれを抑えてはいるけれど……
それでも抑えきれない残り香がどうしても漂ってしまって。
それは甘く、例えるなら薔薇の香りによく似ていた。

錐葉 咲 > 「へーぇ、音楽には玄人も素人も無いか・・・。
ま、確かに自由だしな。決まったルールもないし。
んで、私は詳しくない、なんつーか、聴き映えで楽しみたいしな。
・・あー。親切にさんきゅ、
でもまぁ、立ってるほーが楽なんだよ。」

立ってる方が咄嗟の動きに対応できる、
日ごろの生活から癖がついていてそれはもう抜けることが無い。
理由を濁して提案に言葉を返す。

「っはは、まるで自分のこといってるみたいじゃねーか。
私の中ではあんたも十分ミステリアスだっての。
こんな夜中に真っ暗なこの場所でピアノを弾くってね。
・・・私か?あー、ワスレモノだよ、ワスレモノ。
そーだな、夜の一人歩きは危ない、確かにな・・・」

この世界では夜に起きる事件も少なくは無い、
治安の悪い場所へ行けば比例して頻度も増えるぐらいだ。
そして私自身も・・・。まぁ、いいか、目の前の相手は対象ではないのだから。

自分の問いかけに変化を見せる相手の表情、
なんだろうか、半ば先程の悪戯な感覚がないように見える。

「ただの香水じゃない、ってか?
 染み込むほど使うなんて、普通じゃないっての。
 初対面の私だ、離せなければ無理に聞かないしな。
 あー、なんでもないって可能性もあるか。」

少しだけ相手の事情に踏み込んでみる、
なんだろうか、不思議と相手が気になってしまうところがある。
僅かに香る甘いにおい、鼻の感覚に神経が研ぎ澄まされて
今ははっきりと嗅ぎ取ることができた。

咲月 美弥 > 「楽ならそのほうがいいわね。
 どうにも気になったものだから。
 無理していないのなら其れはそれで良いのよ」

ほぼ無意識ながら片手で自身の髪をくるくると手遊びしつつ了承の意を返した。
立っているほうが楽という話は意外とよく聞くし、彼女もそういった内の一人なのだろう。

「ふふ、誉め言葉と受け取っておくわね?
 だってこんなにも空も月も綺麗なのだもの。
 ピアノの一つも弾きたくなるじゃない?
 それでワスレモノ探しの子を驚かせてしまったようだけれど」

少しだけ両手を広げて微笑む。
なかなか同意しづらい内容かもしれないけれど
彼女の中では自然な繋がりを持っていたりする。

「香水は程よく……程度がベストなのだけれど
 程度がわかってなかったのよ。自分でもね。
 特に自分は気が付きにくいものだもの。こういうものって」

ふっと笑みを浮かべて軽口に戻る。
少なくとも今のところ影響された様子はなさそうで、少しだけ安堵している。
夜魔の多くが独特な香気をそれぞれ持っているけれど、そのいずれもが
人にはあまり良い影響を与えるものではないのだから……干渉されないに越したことはない。

「……まぁ独自配合のもの、程度に思ってもらえたら
 一番わかりやすいと思うわ。
 それにもし聞いてしまうと色々見ないふりもできなくなっちゃうかもしれないわよ?」

くすくすと笑い声を含ませながら見た目通り挑発的な声を放つ。
けれどそれは特に不快感を与えるというよりもただ面白がっているような響きで。

「ワスレモノ、見つからなかったの?
 こんなところまで来ちゃうなんて見つけにくいものなのかしら」

そのまま小さく首をかしげる。

錐葉 咲 > 「そりゃ少しは驚いたっての。
 まー、こんな時間だからな・・・。
 あぁ・・・、あんた音楽性は似つかないけど、
 そういうロマンチックな一面は合ってるな。
 月明かりでピアノなんて、中々いないと思うっての。」

変わったやつ、といった印象の為か、
話のつながりには不思議におもわなかった。

「自分が思ってる以上に香水ってにおうらしいしな、
 私はつけねーからあんまり良くわからないけど。」

色気なんてものは一切無い自分、
相手のような女子力?てきなものに一切関心が無いために
その回答はあくまで勘での回答。

「独自の配合ねぇ・・・。」

腕を組んだまま眼を閉じる、
暫くして考えをまとめたのか、
ふぅっと小さく吐息をついて再び相手に視線を向ける、
相手は私が探しているような相手ではないと、
半ば心で信じながら

「もし、聞いてしまったら、見ないふりもできなくなっちゃう・・・じゃなくて、できなくなる。の間違いじゃないのか?

私と反してよく動く相手の表情、
確信は無いものの相手にちょっとばかりカマをかけてみた。
腕を組む姿勢、相手を見つめる視線を変えることなく。

「ちなみに、ワスレモノはまだみつかってねーよ。
・・・見つけにくいっていったら見つけにくいかな、
今回はたぶん、見つからない。」

何かを言うことは無い、そのモノを教えることなく曖昧に言葉を濁した。

咲月 美弥 > 「こんな時間だものねぇ……」

空を見上げながら満足げに呟く。
人の姿をとれるのは大体夕方から朝までなのだから
彼女にとってはある意味昼のような感覚でも
ヒトにとってはそうではないと言う事はとてもよく理解している。
彼女もかつて人と共に在ったのだから。

「あら、興味があるなら自分に合う物を探して見たら如何?
 ちょっとした香りはささやかな魔法みたいなものよ?
 少しだけ勇気づけてくれる……ね
 縁がないなんてもったいないわ」

少し明るい声色で誘うように提案してみるものの
まるで伺うような言葉に妖艶な笑みを浮かべる。

「知らなかったころには戻れない。そうでしょう?
 なかには知ってなお見て見ぬ振りができる人もいるけれど……
 心のどこかに澱のように残り続ける事には抗えないもの。
 知るってそういうことでしょう?」

ただ知ることで心が壊れることもある。
見て見ぬ振りできなくなることもある。
ならば知らないほうが幸せだと彼女はそう思う。

「あらあら、なんだか見つかってほしくないみたいな口ぶりじゃない。
 ただまぁ、聞かれたくないみたいだからそういうものだと思っておくわね?
 あまり踏み入ったことには踏み込まないようにしているの」

あえて口にする。
ある意味思いやりで、同時にそれ以上踏み込めなくなるような
そんな言葉であるとわかっていても。
きっと相手はそれを望んでいると思うから。

錐葉 咲 > 「私が香水?・・・はは、冗談。
 縁が無いなんてもんじゃない、
 しいて言えば付ける必要性も無いっていったとこかな。
 記憶を無くせる魔法があるならかけてほしいって
 おねがいするかもな、なんてね。」

冗談交じりに悪戯な笑みを浮べた。
今更香水なんて物を?想像したら笑えてくる。

「難しいこというもんだな、記憶が残り続けるってとこは 
 まぁ、そのとおりだとしかいえないな、
 思い当たる節が多々あって返す言葉もねぇってね。」

相手を知る必要があるからこそ
苦しい立場なることがあるのかもしれないなと、
なんだか実感させられた。
かといって、自分の成す事に抗えない。

「それがいい、あたしが最初に言った言葉と一緒、
あんたにとってメリットは一切無いからな。
《ワスレモノ》はここに無いことがわかったから、
ま、あたしは御暇するとするよ。
ピアノの演奏、邪魔したな、じゃーな。」

もたれていた背中を離して、扉へと向かい、外へと出て行った。

咲月 美弥 > 「人が想像しうるものはすべて現実になる……
 とある小説家の一言だけれど、意外とありうるかもしれないわよ?
 それに、ね」

小さく笑みを浮かべると同時に
少しだけ寂しそうな表情が混じる。

「自身の可能性を初めから無いって切り捨ててはだめよ。
 在り方を縛る生き方はとても苦しいもの。
 あなたがそれをあえて選ぶなら……おせっかいかもしれないけれど」

そんな忠告めいた雰囲気は一瞬。
すぐにまたいたずらめいた表情に戻る。

「女の子らしいあなたも素敵だと思うわ。きっとね。
 甘い香りよりは清涼系の香りが好みそうだけれど……
 意外と新しい自分に出会えるかもしれないわ。
 そうなりたいと思ったら相談してくれてもよくってよ?」

冗談めいた口調でのんびりと言葉を返していく。
難しい話など特に必要とされていないし
それに実際目前の彼女はちゃんとすればかなり可愛くなるとも思う。
素材はいいのだからもったいない限りだ。

踵を返し、去っていく背中に、何だかとても優しい響きで声が投げかけられた。
それは最初響いていたピアノと歌を彷彿とさせるような、そんな声色。

「さようなら。
 寂しがり屋の探し人さん。
 あなたの探しているものとは別のサガシモノ
 いつか見つかることを願っているわ」

それを最後に部屋の明かりがひとりでに消える。
もしも振り返ったなら楽譜も人影もきれいに消え去った室内に
ただ静かに差し込む月明かりに照らされたピアノが目に入るだろう。
それはただただ静かな情景で、まるでそこに誰かがいたなんて
短い夢であったかのように映るかもしれない。

ご案内:「教室」から咲月 美弥さんが去りました。
ご案内:「教室」から錐葉 咲さんが去りました。