2017/03/01 のログ
ご案内:「屋上」に東雲七生さんが現れました。
■東雲七生 > 言ってやった。言ってやったのだ。
とうとう言ってやったのだった。
(「俺だって男だもん、ちょっとくらいえっちなことだって興味あるよ!」)
遂に今日のクラスで、東雲七生は女子たちに言ってやったのだ。
幾ら見た目が幼いからといって、自分は周りと同じ、思春期真っ盛りの男の子だという事を。
なけなしの勇気を振り絞って言ってやったのだった。
転移荒野で得体の知れない魔物と交戦する時よりもよっぽど緊張したし、下手すれば心臓が止まりそうな程だった。
だが、言ってやったのだ。
自分は一介の男子高校生である、と。
■東雲七生 > ──しかし、
(『ちょっと男子、自分たちが非難されたからって東雲くんにこんなこと言わせなくたっていいじゃん!』)
「違うんだよなぁぁぁぁぁ!!」
結局、七生の意を決した告白は、クラス内での男女間に亀裂を齎しただけだった。
なお、男子サイドは七生の意思を尊重し、『お前は悪くない』と言ってくれた。流石の七生も泣くかと思ったくらいだった。
──他者に認めて貰えない。
一昨年の春から、時折直面する壁だったが、今回は一際高く聳え立っていた。
どうしたらクラスの女子に年相応に見て貰えるのか。
その問題に対し、一部の同級生男子から、『スカートめくりでもする?』と提案が上がったが、
今のご時世スカート捲りは逆に幼稚さに拍車を掛けてしまうのでは?と却下された。
ご案内:「屋上」にクロノさんが現れました。
■クロノ > (今日も今日とて、世界は生暖かく平和である。)
……? …ぁ、七生ー?
(一仕事終えて、息抜きに上がってきた屋上。自分の機体と同じかそれ以上に重厚な鉄扉を押し開けて、広がる視界の片隅に人影を認識して。)
■東雲七生 > 飛び級してきた小学生か、あるいはクラスのマスコットみたいな扱いなのかもしれない。
かもしれないというか、ほぼ限りなくそんな気がする。
一応健全な男子なんだけどな、と七生は小さく溜息を溢して、
「……あ、クロノ。屋上に何か用でも?」
特徴的な足音と、聞き慣れた声に振り返った。
何か整備でもしに来たのだろうか、と首を傾げる。
■クロノ > (自分が異界からこの街に来て暫く、日々少しずつ、親しく接してくれる人たちが増えてきて。日増しに温かくなる春の日差しのように、鋼鉄の胸がほんわかと温かくなるのを感じつつ。)
…ん? ……んー、息抜き?かな。仕事上がり。
(んんー、とのびのび深呼吸する男の子ロボットは、胸のエンジンを勢いよくヴゥン、と唸らせて。)
…七生は?
(2月のあれが過ぎ去って、気づけばそろそろ男の子の番。目の前の彼には忙しい季節の到来か、とか思いつつ尋ねてみる。)
■東雲七生 > 「息抜き、かぁ。そっか、お疲れ様!」
にっ、と笑みを浮かべると労いの言葉を掛ける。
自分たちが授業を受けている間、そして自分たちが放課を迎えてからも仕事をしてるんだよなあ、と改めて実感しつつ。
「俺?……俺は別に、暇潰してたとこ。
バイトもないし、部活とかは元々入ってないしさ。」
訓練施設に行く気分でも無かったから、と肩を竦める。
ホワイトデーに関する事には特にコメントは無い。そもそもバレンタインでもどちらかといえば渡す側、だったのだ。
■クロノ > …んっふふ、ありがと。
(彼に労ってもらって、ちょっと照れ臭そうに、漏れるような笑み。ギュンギュンと駆動部品を唸らせながら両肩をぐるぐる回して、凝りを解すような仕草。)
…そ。そっか。…っふふふ、最近の七生、 …なんか楽しそうだね。学校と、生活の方は順調?
(保健室顔馴染みの面々からも、風の噂で聞こえてくるちょっとした騒ぎ。そりゃぁ、彼だって多感な年頃の男の子なんだし…と妙に納得しつつそんな噂話を聞いていた養護教諭だったけど。)
■東雲七生 > 「そーかな?いや、楽しいことは楽しいけどさ。
順調順調、この調子なら無事に三年生に進級出来そうかな!」
にひひ、と少しだけ自信をにじませて胸を張る。
自分に関する噂が流れている事など露知らず、にこにこと笑みを浮かべたまま、
「クロノの方は?仕事以外で何か困った事とかは無い?」
■クロノ > …そぅ、それはよかった……。 …じゃなくってさ。
(自分よりも年上になったけど、まだちょっと自分よりは背丈の小さい彼の、色鮮やかなその髪をわしゃわしゃ撫でようと伸ばす金属の手。)
…大丈夫?なんか変なことに巻き込まれてない?
(彼を巡る、二分した勢力のちょっとした対立。その理由を聞けば微笑ましくて可愛いものでしかないんだけど、当の本人の希望はどうなのだろう、と。)
…? 僕は、おかげさまで元気に楽しく過ごせてるよ。…ただ、魔術にも異能にも縁のない機械の僕じゃ、どうにもできない事もあって…どうしたらいいのかな、とか考える事もあるけど。
(魔力由来の負傷とか、異能の暴走事案とか。そういうものにはからっきし無縁な機械は、己の無力さに少し思うところがあるようだ。)
■東雲七生 > 「え?変な事に?
ないない、別に巻き込まれてないよ、何の心配だよそりゃ。」
髪を撫でられ、驚いた様に身を竦めつつ。
話を聞いてくすくすと笑いながら、僅かに首を振る。
どこまで話が広がっているのかは見当もつかないが、結局のところ他者からの印象の話なので七生自身に出来る事は殆ど何も無い。
「ふーん……どうにもできないって事は無いと思うけど。
俺が知ってる先生の中に、魔術も使えないし異能も持ってない、本当にふっつーの先生が居るけどさ。
その人は、その人なりに、俺らみたいな異能を持ってる生徒と向き合おうとしてるし。」
異能の有無や魔術の才能の有無、それらを区別しない、そういう姿勢。
ある意味では七生が最も尊敬している姿を思い返しながら、笑みを浮かべる。
「どうにもできないって事は、まずないんじゃねえかなあ。」
■クロノ > …あっははは、そっか。…ぅん。安心した。…いや、七生が平気っていうなら、心配ない…かな。
…もし、僕に手伝えることがあったら、僕も応援するから、さ。
(彼の返答に、男の子は少し安心したように笑う。そして付け足す一言は、何故かそっと彼に耳打ちするように小声で、彼の耳元で。)
……そぅ、かな。そうだと…いいな。…僕は、異能とか魔術に対して、純粋に科学的観点からの興味があるんだ。…それが怖いとか、そういう風に思うことは無いけど。
…ただ、僕自身にそれらに対処する術を見つけないと…今後、誰かが苦しんだり、悲しい思いをするのを止められないんじゃないかな、って思うこともある。
(医師として、養護教諭として。鍛えればある程度までは筋力もつくし、目指したい能力をそこそこ伸ばせる生身と違って、機械の体は部品を取り替えない限り、ただひたすら、動けば動くほど劣化していくだけで、成長することはない。)