2017/04/20 のログ
宵町 彼岸 > 「ついつい散らかしちゃうんだよねぇ……
 悪い癖なんだけどぉ……なかなか治らないの」

独り言ちながらいそいそと椅子から降り、ガラクタを拾い始める。
幸いにも絵の具等はぶちまけられていな…いや、一部そこそこ惨事になっていた。
うん、あれは見なかったことにしよう。
パレットを投げつけたあたりからそっと目を逸らし見なかった振り。
元々絵画室は絵の具で汚れてる所も多いしあれは元からだそうに違いない。

「ん―……多分ここに転がってるのは大体ボクのだと思うよ。
 他に書いてた人いなかったと思うしぃ。
 あはは、何処からどう見ても月だよねぇ……でも、
 このまま浮かんでたら皆きっと、何だかつまらない感じかもしれないね。
 どれだけ映しても全然綺麗にならないもん
 それにただの月だよぉ。誰でもこれぐらいは描けるよぉ」

素直な感嘆の言葉に困ったように笑みを浮かべながら
けれどどこか満足がいっていないような言葉を漏らす。
それでも辺に飾っていない言葉が少しだけ何だか暖かく感じたのは確かだった。

真乃 真 > 「仕方ない!
 まあ、あれだよ!芸術家の人とかそういうの気にしないタイプ多そうだし!!
 最後、掃除しとけば問題ないさ!!」

それか、かなりの神経質か。どちらにしても凄い偏見だった。
まあ、どっちにしても掃除すれば問題ないよね!!

「ほうほう、全部か凄いな!」

試しに一枚広げてみるとそこにも月が!
…何が違うのだろう?これも同じように綺麗に描けてる。
そう、まるでコピーしたかのようにそっくりだ!!

「つまらない感じか…うーん?
 もうちょっと、派手に…そう!この金色の絵の具を使ってみるとか!!」

捨てられた紙を一つ広げると打ち捨てられていた明らかに未開封の金色の絵の具を出して
転がっていた誰かの筆で上から色を塗ってみる。大胆に!丁寧に!!激しく!!!
…酷いな!!これはあまりに酷いな!!
静かな景色に金色の異物感。クラシックとロックを同じホールで演奏しているみたいなごちゃごちゃ感。
こんなのが空に浮いていたら五月蠅くて五月蠅くて少なくともつまらくはなさそうだ。

「…ま、まあ、あれだ!
 誰でもそんな風に絵が描けるなんて事はないと思う!
 やっぱり、絵をかくのには技術的な力はいる!!
 だから凄いと思うよ!」

宵町 彼岸 >   
「言われてみるとそーかも?
 ものっすごいしんけーしつの人もいたけど。
 おそーじしておけばもんだいない。うん。そうだよねぇ」

うんうんと都合の良い言葉にうなずきながらお掃除を進めていく。
意外と書き殴っていたらしい。全部燃やせばよかった。
灰なら風で飛ばすだけで済んだかもしれないのに。
そんな事を思っていると一緒に掃除をしている男子生徒が
ふいに落書きのようなものを始めた。
頷いて身を起こしたそこを見ると、
それはそれは愉快な騒がしさが同居して居心地の悪そうな月の絵が。
普通なら苦笑するなりしただろう。

「……悪くない気がするよぉ?
 ほかのよりだいぶいい感じがするの。
 あは、こーぃうのも面白いねぇ」

少なくとも面白いものにしよう、もっと良くして見ようという
純粋な思いが伝わってくるようで、思わずくすりと笑みを浮かべる。
コピー機で刷ったような絵より何倍も好感を持てた。
少なくとも創造性という点では間違いなく発揮されているのだから。

「あはは、まぁ私天才だからぁ
 技術だけなら大体まねできるよぉ?
 すごいでしょー?」

まぁそれだけだと何の意味もないのだけれどと付け足すように小さく呟く。

真乃 真 > 「ものすごい神経質なのは仕方がない…。
 まあ、出来る限り片づける努力したらいいと思うよ!
 僕が許す!!」

何様だお前は。
でも、実際出来るところまで努力したらそれ以上はどうしようもないのだ!

「え!マジで!?そうかな?でも、そう言われたらそんな気もしてきた!!」

確かにそう言われたら何か上手く描けてる気がしてきた!!
…でもその上手描けてる気がする部分は真が描いた部分ではない!

「実際凄いし、意味がない事はないと思うけど…。
 そう、意味はあるよ!君が絵を描いてなかったらこの僕の作品!
 いや、君との合作だね!これも出来る事はなかったよ!!」

無駄にカッコいいポーズを取りながらそんな事を言う。
上から絵の具を塗りたくったくらいで合作とは!
恐らくこの男の面の皮は何重にもなっているのだろう!

だが、彼女が面白いと評したその騒がしくなった月の画は彼女がここで画を書いてなければ生まれることは無かっただろう。
そう、足りない事も何かのきっかけになるのだ!

「…いや、合作かどうかはともかくだけどね!」

流石に合作というのは申し訳なくなったのか改める。

宵町 彼岸 >   
「ゆーるさーれたーぁ
 やったぜー?」

けらけらと笑いながら大仰な言葉に笑みを浮かべながら頷く。
変に記録や記憶を呼んでしまう彼女にとってどんな絵でも
それはその人だけの色になりえた。
その下地が奇麗だろうとそうでなかろうと特に気にするタイプでもない。

「あはは、気に入ったなら適当に持って帰って良いよぉ?
 どーせすてちゃう絵だしぃ、自分作!って飾っちゃえるかもだよぉ」

それはそれで騒がしくてアートだろう。
何がきっかけでアートになるかはなかなかわからない物だと
ぼんやりと心の隅で思う。

「そんなに気にしなくてもいいのにぃ?
 合作でいいんじゃないかなぁ?ところで名前聞いていい?
 多分知り合いだと思うんだけどぉ」

合作扱いにするにしろしないにしろ
名前だけでも聞いてだれか特定しておかなければ。

真乃 真 > 「イエイ!やったぜ!」

必殺やったぜ返し。
真以外の人が許すかどうかはともかく…。

「本当かい!?
 じゃあ家にもって帰ってクリアファイルに挟んで目立つところに置いとくよ!!」

流石に額に入れて飾るほどでもない。
紙は既にクシャクシャだし。台無しにするような金色だし。
でも、そのまま捨てられるのもなんとなく寂しい。

「ああ、一回どこかで合ってたね!和元さんと一緒に居る時に!そう!異邦人街だ!
 あの時は自己紹介出来てなかったっけ?出来てなかったね!!
 じゃあ改めて!僕の名前は真乃真!!君の名前は!?」

無駄にカッコいいポーズで言う。
そう、確か前に変な異邦人街の店で会っていた。
…忘れてたわけじゃあないぜ!

宵町 彼岸 > 「ぃぇーぃ」

いつものゆっるーぃテンションがだいぶ戻ってきつつある。
ハイテンションにはハイテンションのままノリだけでついていってみたり。
大丈夫。だいたいなんとかなるなる。

「そーぉ?そんなに気に入ったならよかったーのかなぁ?かなぁ?」

少し意外なほど反応が良かった。
まぁそのまま忘れるなり捨てるなりしてしまっても別に問題ないし
社交辞令かもしれない。いちいち気にしてしまうような性格でもないけれど。

「……んー。まこと、まことね?
 ボク、人の事すぐわからないからぁ……
 今度会ったときすぐにそうってわかんないかもだけど、
 その時は名前教えてくれたら嬉しいなっ
 そしたらすぐ思い出せるからぁ」

小動物めいた動きで忘れてしまう事を告げる。
厳密には目の前の人物を判別できないというだけなのだけれど。

「あー…えと、うん。
 ちょっと待ってね……?思い出すからぁ。
 ……あ、そだ。カナタ、カナタだよぉ。ボクの名前ぇ」

そうして笑顔のまま少し傾いてたっぷり数秒固まった後
自分の名前をやっと思い出し伝えていく。

真乃 真 > 「うん、それにしても見れば見るほど…
 味があるな!!」

便利な言葉だ!
…きっと、しばらくして見返したら悶絶するのだろう。
こんな色塗らなきゃ良かった!とか思うかもしれない。
目立たない場所に置くかもしれない。埃をかぶっているかもしれない。
でも、きっと捨てる事はないだろう。

「分かった!今度あったら名前を伝えればいいんだな!
 任せろ!自己紹介は得意分野だ!!」

無駄にカッコいいポーズを取りながら言う。
…会うたびにこれをしてから名を名乗るのかもしれない。

「…そういえば前あった時は思い出せてなかったね名前!!
 うん!今回は思い出せて良かった!!
 カナタか!OK分かった!覚えた!」

前会った時は自分の名前も忘れている感じだったが今回は思い出せている!!
ちょっと頑張った感じはあるが思い出せているなら前回より大分良い!!

「…おっともうこんな時間か!!そろそろ僕は帰ろうかな!!」

時計を見れば時間は思っていたより進んでいた。
急いで帰るほどでもないが帰る時間には丁度いい。

宵町 彼岸 >   
「かめばかむほどー、味が出るぅ。
 スルメイカかなぁ?そういえばピーマンって海産物だよねぇ…
 どーでもいっかぁ」

この世で最も困ったときに使われるであろう誉め言葉を聞き流しつつ
このヒトはこれはこれで本気なんだろうなぁとぼんやり思う。
ある意味、とても一生懸命に生きていて、それが少しだけ羨ましい。

「どーしても区別付かないんだよねぇ……
 皆どうして区別できるんだろぉ。あ、名札付けててくれても良ーよぉ?
 そしたらそれ読んで思い出すからぁ」

前回の事は特に覚えてない。
というより自分に関する事はほとんど忘れてしまっているけれど
平素はその事すら忘れてしまっているのだから違和感すら持たない。
我ながら壊れてると思うけれど……これで案外日常生活が送れるのだから
現代社会は案外便利にできているものだと思う。

「うんー。帰ろっかぁ。
 あんまり夜遅いと寮監さんに怒られちゃうもん。
 よふかしはよくありませーんって。
 お肌の天敵だもんねぇ」

ふにゃりと笑うと足を一閃し、画架を一足で蹴り畳み、宙でつかむ。
絵描きにあるまじき行動だけれど、地味に細かい所で無精者なのだから
いちいち取り繕っても仕方がない。

「じゃーねぇ。
 次会うのはいつか分かんないけどぉ……」

おやすみなさい。そう口の形だけで告げると
画材道具だけ持ってまるで雲間に隠れる月のように
音もなく去っていって。

真乃 真 > 「ピーマンが海産物?」

どういう事だろう?
凄く気になったのにどうでもいっかで流されてしまった。
気になる…。

「普通にこう、顔とか違うと思うし!
 他か…まあ人によっていろいろあると思うよ!!」

見分けがつかない事はないと思う。
街にいる人は一目見れば違う人ばかりだし、見た目が似てても全然違うかったりする。

「まあ、お肌は多分まだ行けるよ!
 でも、夜中に歩くのは危ないしね!!」

お肌はきっといける。見た感じいけそうな気はする!
この時期に無理したらうんぬんとか言われたらどうか知らないけども。

「ああ、それじゃあまた!
 気を付けて帰りなよ!!」

いつの間にかカナタはいなくなって一人部屋に取り残された。

「…さてと帰るか!…あれ?この床についてるのって…絵の具だな…。」

…次の日、この教室の床は普段よりも大分綺麗になっていたらしい。

ご案内:「教室」から真乃 真さんが去りました。
ご案内:「教室」から宵町 彼岸さんが去りました。