2017/04/21 のログ
ご案内:「屋上」に霜月 零さんが現れました。
霜月 零 > 「…………」

いつにもまして物憂げな表情で空を見上げつつ、ある人を待つ零。
普段なら毎日と言えるほど会っていたが、ここ最近はある事情で会えていなかった。
その相手のことが心配なのもあり、時間を見つけ出して会う約束をしたのだ。
場所が屋上なのは……人目を避けるため、である。

ご案内:「屋上」に雪城氷架さんが現れました。
雪城氷架 > 「おーい」

そんな少年の背中にかかるはどこか間延びしたような、
どこか緊張感のない声

振り返ればいつも通りすぎるほどいつも通りの、見慣れた顔があるに違いない

「お待たせ、はい差し入れ」

少女は笑顔を見せながら、冷たい缶コーヒーを一つ放り投げた

霜月 零 > 「んお、さんきゅ」

ちょっと間の抜けた顔を向けて、パシッとコーヒーを受け取る。
寧ろ、ちょっとびっくりである。もう少し落ち込んでいると思っていたのだが。

「なんだ、元気そうじゃねーか」

にか、といつも通りの顔につられるように笑顔を向ける。

雪城氷架 >  
「ごめん、何か気まずくてさ」

そう言うと少女の表情は少し苦笑を浮かべる
自分の大事を伝えきれずに、連絡が途絶えたこと
それがどこか後ろめたくて

「一応元気だよ、異能は抑えてるからちょっと生活不便になったけど。
 私の方こそ新学期まで心配かけっぱなしとか、零に怒られるかと思ってた」

笑顔は怖さの裏返しだった、ということだろうか

霜月 零 > 「そりゃーまあ、怒るって言うか心配はしたっつーの」

ふぅ、と溜息をつきつつ。毎日気が気でなかったのは事実だ。流石にそれをはっきりとは言わないが。

「でも、ま。元気ってんならよかった。俺はお前の味方だからな、氷架」

そして、笑顔を作って頭を撫でてやる。安心させるように。

雪城氷架 >  
「……なら、私も良かった」

いつもの頭なでなで
懐かしいような感じもしつつ学園3年目としてはそろそろ子供扱いっぽくてなんだか悩ましくもあるような…

「零に真っ先に相談してても良かったかもなー。
 私、今回のことは私自身が信じられなくなっちゃったからさ」

言いつつ、屋上の手すりに腰掛ける
身体が軽いから出来るのだろうが、別に怖くはないらしく脚を揺らして

「落第街なんてトコに行った私も悪いんだけど……」

霜月 零 > 子ども扱いしているわけでは無いが、癖になっている頭撫でである。これはこれで根が深いと言えるのかもしれない。

「そうだぞ、真っ先に相談してくれてもいいじゃねーか。芙蓉だっているし、水くせーぞ」

言いつつ、ちょっと手すりから落ちないか心配しつつ。いつでも動ける準備はしておく。

「それ、それだ。落第街はヤバいっつってんだろ。いや、俺が言える義理じゃねーんだけどさ……やっぱ、あそこはお前には向かねーよ」

少し怒ったような顔を見せ、落第街に行ったことをたしなめる。
あそこは危険だ。氷架のような心優しい人間だと、それがあだとなる可能性すらある。
やっぱり、出来る限り近づいて欲しくない場所だった。

雪城氷架 >  
「ん…少し、っていうかめちゃくちゃ動揺しててさ、
 正直風紀に呼ばれるまで家族にすら連絡いれてなかった」

もちろん、風紀委員に拘留されて私物を預かられていたということもあるけれど

「行きたくて行ったんじゃないんだよー。
 商店街歩いてたらなんか変わった動物見かけてさぁ、
 それ追っかけてったら気づいたら落第街だったんだよな」

子供か、とつっこまれそうだが嘘は言っていない
不可思議に迷い込んだ感覚もあった、思えばあの時点から仕組まれていたようにも…

霜月 零 > 「あー……まあ、そりゃ動揺はするよな……」

突然にそんなことになれば、まあ誰だって動揺はする。自分だって混乱するだろう。
風紀も、連絡を入れるくらいのことはさせてやってもいいじゃないか…とは思ってしまったが。

「変わった動物、なあ……どんなのだ?
と、それともう一つ。異能の方は、抑えてるって言ってるけどどーなったんだ?暴走したのか?」

言いつつ、状況を自分の中で思い出す。
コントロールが上手くできていなかった、と言うのは把握しているが……それにも原因があったのだろうか。

雪城氷架 >  
あの時氷架にかかっていたのは殺人容疑も含めてのこと
自由に外と連絡が取れないのは仕方のないことだったのかもしれない

「えっと…なんか、小さくで丸い、見たことない毛色だったな」

なんだったんだろあれ、と空を見ながら足をぷらぷらと遊ばせる

「ん……落第街で襲われたんだよ。
 ゾンビみたいなのに、そんで威嚇しようと思って異能使ったら、全然燃えなくって。
 ───怖かったのもあったけど、つい本気で抵抗したら、出ちゃった、アレ」

アレとは
まぁ色々と事件の話題にもなったであろう、炎の巨人の再来

そして、その後の焼け跡から学園の制服らしき燃え残りが見つかったこと、
それが氷架に殺人容疑がかかった理由でもあったことを続けて話す

霜月 零 > 「なんだそりゃ……」

毛玉。それだけでは何ともよくわからない。判別するには要素が足りないというべきか。

「ゾンビ……?そりゃあ、そっちの方も問題じゃねーか?そんなのがいるって証言も風紀が動くべき事案だろ。
ってのは置いといても、やっぱりその状況だと疑いは掛かっちまうか……」

うーん、と考える。状況だけ見れば、故意でないにせよやってしまったと判断されるのも仕方ない、気もする。
とは言え、状況が不自然に整いすぎているのが気になった。

雪城氷架 > 「…まぁ、普通は混乱してただとか、気が動転してただとか、いうよな。
 私だってそう思う」

恐怖心からゾンビのような恐怖の象徴に見えていただけで、異能者の二級生徒だったんじゃないか?と
段々と自分でもそう思うようになっていってしまったのだが

「でも、あの事件で死んだ人は誰もいないって聞けたから、
 大丈夫、今はもうずっと落ち着いてるよ。
 まだちょっと寮の方には戻ってなくて、括流の職員寮の部屋で寝泊まりしてるけど」

そう言って手すりからぽんっと飛び降りる
無事屋上に着地

霜月 零 > 「となると、問題は「ゾンビのように見えた理由」だけどな……いくらこえぇっつっても、普通の二級学生をゾンビと誤認するのはおかしい」

腕を組んで考える。
確かに、素人なら特に、恐怖心のあまり相手をより強大に、より醜悪に認識してしまうことはままある。
だが、それにしても、人をいきなり恐怖心からとは言えゾンビと誤認するのはレアケースに思えるし、あるとしても精神的にかなり参っている時だろう。
本当に氷架が参っていた可能性もあるが……

「(ソイツの異能なのか、別の要因があるのか。判断つかねーな)」

根源接続は武典再生しか現状使えず、この手の捜査には一切応用できない。
その事実に歯噛みしつつも、それを見せないように表情を作る。

「ま、死んだ奴がいねーんなら何よりだけどな。
それに、括流先生の部屋ならまあ、安心できるだろ」

保険教員の括流先生であれば、そう言ったメンタルのケアも可能だろう。家族同然の仲である以上、気を許せるというのも大事だ。
……飛び降りた時ちょっと心配だったのは内緒。

雪城氷架 > 「誰かに仕組まれたんじゃないかって風紀も言ってくるけど、
 思い当たんないんだよなぁ…私そんなに恨み買うようなことした覚えないし」

そう言って肩を竦める

「でもまぁ…大火事起こしちゃったしそれはそれで、こってり怒られたけどさ。
 保護観察ってことで学校には出てこれるようにはなったよ」

真相がわかるまでは、そのへんの指導のみだった
不意に異能の力がコントロール不能になるのは以前からなので、特に異能を抑えることにも異論はなく

「零のほうは何か変わったこととかなかったのか?
 しょっちゅう連絡とってたのがぱたっとなくなっちゃったし、そっちも心配。
 浮気とか」

にやけ顔で言っているのは、まぁまぁ冗談なのだろう

霜月 零 > 「……心当たりは、あるっちゃああるな」

真面目な顔で口にする。
聞かせることに躊躇いもあったが、それよりもこういう危険があるというのを理解してもらった方がいいかもしれないと判断して。

「氷架の力は、強い。俺の「根源接続」も大概だが、氷架の異能はもっと直接的な分、欲しがる奴もいるだろう。
……俺が前使った「凍月」な。ウチに伝わる霊剣なんだけど。アレ、何度か盗まれそうになってんだ。
凍月の使い手だった当主が亡くなって、凍月の持つ力を手にしたいって思ったやつが何人も盗みに来たらしい。俺も何度かそういう奴の対処に回ったことがある。
強い力ってのは人を惹きつける。氷架は、もう少し自衛の術を練習した方がいいかもしれねーな」

特に、氷架に限らず、基本異能と言うのはワンオフだ。修行して同類のものが手に入るわけでは無い。
そこにモノがあって、常道では自分の手に入らない。
なら、そのモノを我が物にしてしまおう……そう考える輩はいてもおかしくない。
それに、自衛術の稽古は、異能のコントロールにも役立つはずだ。
……それ自体が許可されるかが謎ではあるが。

「ま、何があっても守ってやるけどな、と。
俺の方はなんもねーよ、思う所があって修行増やしたくらい。
浮気はねーっての!ありえねぇって!」

最後は少し顔を赤くして必死そうに。冗談と分かりつつも、強く否定してしまう辺りはまだまだ若い。

雪城氷架 >  
「強い力が人を惹きつける、ってよく聞くけど、私の場合逆だったしな。実感沸かない。
 この学園に来るまで友達とか一人もいなかったし、むしろみんな避けたよ。
 多分、私だってなんか怖いくらい強い異能持ってるヤツは怖くて近寄れないと思う」

けれど言いたいことはわかる
そういうモノを求める人間もいたことを知っているし、何よりも自分の父親がそうだ

「護身術とか?言っとくけど私ぜんっぜん力ないぞ」

制服の袖を捲くってみせる
正直軽く捻ったら折れてしまいそうなぐらいの細さだ

「まぁ優秀なスパイがいるからそのへんは信頼してるよ」

当然、そちらの妹のことである

霜月 零 > 「強い力を恐れる、っつーのも普通だしなあ……まあ、感覚領域の違いっつーか」

零は、生まれからして武人であり、そのように育てられてきた前提があるため、通常の人間とはいささか感覚にズレがある。
零にしてみれば、やはり「強い力を求める」精神性の方が理解しやすいのだ。環境の違いともいえるだろう。

「んー……合気柔術を練習してもいいけど、出来れば氷架の場合は異能だな。
異能をもっとタイトにコントロール出来れば……練習自体の許可があるかがわかんねーけど」

大きな力を持つ以上、それをコントロールできないことは不幸に直結する。
自分の力に振り回されて自滅の道を歩んでしまった術者の話など、枚挙にいとまがないのだから。

「スパイってな……アイツはアイツで、根っからの風紀だぞ?」

苦笑しつつ。まあ、いざとなったら芙蓉の場合、氷架を取るだろうが。
正義を愛すると同時、情の深い奴なのである。