2017/04/22 のログ
雪城氷架 >  
「…そのためには、不調の原因も探らないとな」

今までコントロールできていたものができなくなった
不安は大分小さくなったけれど、それでもまだ続いている

すっと人差し指を立てて、そのまま腕を上げて指先を天へ向ける
目を閉じて少し集中すれば、その指先に小さな炎が灯る

炎は不安定にゆらめき、その勢いも消えかけたり、突然大きな炎に膨らんだりと落ち着かない
小さなため息をついて、腕をおろすと再び肩を竦めた

「マジメだもんな、扶養。
 私から見ると零もくそまじめだけどさ」

霜月 零 > 「ああ、そっちも出来るだけ手伝う。一緒に色々探ってみよう」

こくんと頷いて、氷架の生み出した炎を見る。
……不安定で、これをそのまま大きくするのには正直不安しかない。

「(この手ので考えられるのは、スランプやイップスなんだけどな……)」

スランプは長期的に「調子が悪い」が続くだけで、時間経過で回復することも多い。
問題はイップス。元々はスポーツ用語で、何かしらのきっかけがトラウマとなり、出来るはずのことが出来なくなってしまうという心因性の障害である。
野球で、デッドボールを当ててしまった投手がいくら頑張ってもインコースに投げ込めなくなってしまったり、バスケットボールで、大事な場面でパスミスをしてしまった選手がその後何でもないパスでも体が上手く動かずに出来なくなってしまったりするのが代表的な例と言えるだろう。
だが……。

「(イップスの場合、基本的にきっかけが必要だ。スランプがミスを誘発してイップスに繋がるって話もよく聞くっちゃ聞くが……)」

この場合は、長期的不調が原因で暴走を引き起こした出来事そのものがイップスのトリガーとなり、その後のコントロールに不備をもたらしていると考えられなくもない。
が……。

「(にしても、元々の不調が唐突な割にひどすぎる。芙蓉の話も考えると、単なるスランプで片付けるのは……)」

スランプは単なる不調であることが多く、いきなり致命的に何もかも出来なくなるわけでは無い。あくまで「なんか上手くいかない」程度のものが継続する、成長が伸び悩むとかが主だ。
それにしては、元々の不調がひどく……と頭の中で考えていたところに飛んできた声に、はっと我に返る。

「アイツのは真面目……でまあ、間違っちゃいねーか。
クソマジメって……おい、なんかそれ人聞き悪くねぇ?」

ちょっとしょんぼりした表情で言葉を返す。そんなにかたっ苦しい印象があるのだろうか。

雪城氷架 >  
「私から見れば、って言ったじゃん。
 他人のために押し黙るくらい悩んでくれたりさ、くそまじめくんだよ、零は」

くすっと珍しく小さな女の子らしい笑みを浮かべて、見上げるように

「私はどっちかというと不良ちゃんだしな。
 そんなだから零のこと好きになったのかもしれないけど」

同じパズルのピースは噛み合わない
磁石も同じ極ではくっつかない
多分きっと、お互いにちょうど良かったのかもしれない

「将来は異能を活かした仕事でも目指そうかなとも思ってるし、
 卒業するまでになんとかつきとめたいな」

霜月 零 > 「そりゃーお前……悩むくらいするだろ」

流石に「惚れた相手の為なら」とははっきり口にはしないが。
それでも、零の中で氷架はやはり特別である。

「不良ちゃん……にしちゃー優しすぎると思うけどな。
そんなお前が好きなんだけど」

しかし、そういう好意ははっきり口にしてしまう零である。
本人にとっても当然すぎることだからなのかもしれないが。

「そうだな……出来れば早めに突き止めたいところだよな。今後の為にも」

この不調が継続してしまうのはよろしくない。出来れば早めに突き止めて、根本から改善したい。
……そうでないと、似たようなことが起こらないとも限らないのだから。

雪城氷架 >  
「まぁ、なんとかなるよ」

言いながら、とすっと零の胸板へ軽く拳を降ろす

「今まで心配させた分、頼りにさせてもらうつもりだしな」

こうやって真っ直ぐに気持ちを向けてくれる相手だから、安心して自分も心を許すことができる
この少年が自分を裏切るということは、絶対にないのだという確信的な思い
揺るがないものは、心を支えてくれる

「昼飯食った?
 まだなら今日は学食でも行こ、またそのうちお弁当なんかも作ってくるから」

そう言って無遠慮にその手を引っ張る

霜月 零 > 「そうだな、どんどん頼れ。一緒に何とかしていこうな」

にか、と笑う。
強い信頼を向けているのはこちらも同じ。
裏切りと言う言葉があり得ないと言えるくらいの強固な絆は、間違いなく心の支えとなってくれる。

「あー、まだだったな。そんじゃいくか。
弁当楽しみにしてるぜー?」

言いながら、素直に手を引っ張られる。
こういう遠慮のなさが、絆の証だと分かっているからこそ。

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