2017/07/22 のログ
ご案内:「保健室」に暁 名無さんが現れました。
■暁 名無 > 「ふーむ……日差しがきっついな」
今日も今日とて仮設研究室こと保健室のベッドの上で仕事をする俺である。
クーラーによる室温の下げ過ぎも控えたので、体調もすこぶる宜しい。
そんなわけで、ノートパソコンにて調べ物の真っ最中だ。
「……となると、だ。はぁー、まーた面倒そうな。」
ご案内:「保健室」に尋輪海月さんが現れました。
■尋輪海月 > ――コン、コン、コン。
保健室の扉を、礼儀正しく三回叩く音。そしてゆっくりと引き戸の扉を開けて、女生徒が一人、涼しい室内へとその足を踏み入らせた。
「……失礼、します」
けほ、と、咳混じりに入ってくるその女生徒は、外は間違いなく蒸し暑いこの季節に、余りにも不釣り合いに着込んだ、冬用の制服姿。冷え性だってそこまでは着込まないような格好で、入ってきて一番に、先客らしき貴方を見、片足だけ踏み入った形で、凍りついていた。
■暁 名無 > 「おう、保健の先生なら今担当別職員集会だ。あと1時間ほど戻って来ないぞ。」
そして見ての通り俺は忙しさの真っ只中に居る。
とはいえここは保健室。あくまでベッドのある一角を借り受けているだけの身で、
他の利用者が来た時は極力邪魔にならない様にと何重にも釘を刺されている。
「一応聞いとくが、用件は?
他人の手を借りたいほどでもないなら、大まかな機材の一くらいなら教えられるぞ──どうした?」
入り口で足を止めている利用者へと俺は顔を向ける。
明らかに戸惑っているようだが、まあ無理もないと思う。なんせ保健室に明らかに健康体の男が一人、ベッドを一つ占領して資料の山に埋もれノーパソ叩いているから。俺でも引く。
■尋輪海月 > 「……用件は、別に……」
そちらの姿を見つめる黒い眼(薄っすらと縁が紅いようにみえるのは、何かコンタクトでも入れているように見える。
一方尋ねられた事に対し、少しだけ口籠ったような後、ゆっくりと首を振って。
「……包帯とか、絆創膏とか、あと、消毒液とオ○ナインを、借りに……」
前髪の隙間から、ぼんやりと伺う眼。手で少しだけ眼を隠すようにしながら、そんな事を。見えるその手には、包帯やら絆創膏やらが、地の肌が見えない位にまで貼り付けられている。
それだけなら、ただのちょっと頭の痛い思春期症候群による封印にも伺えるが、滲んでいる赤色を見るに、そういう訳ではないらしい。
そちらから一定の距離を置くようにして、そのまま、薬棚を探している。
■暁 名無 > 「あー、それならそう、その棚の……ええと、その棚だ。
まあ探してみりゃ見つかんだろ。うんうん、お大事に!」
我ながらあまりにもあんまりな態度だと思う。
もしここに既知の生徒などが居れば批難囂々だろう。まあ居ないんだけど。
ノートパソコンの画面と、薬棚を探す姿とを交互に見つつ、さてどうしたものかと考えてみる。
何か出来る事があれば、とは思ってもみるが、何分正規の保健室利用者にしてやれる事の持ち合わせは無い。
……単に冷房目当てで研究室を移動させただけなのだから。
■尋輪海月 > 「…………どうも」
ぼそ、と、小さな返事を返す。ゆっくりとそちらに歩いていき、目的の物を見つければ、棚からそれらを取り出して、近くの適当な椅子に腰掛けた。……そのまま少しだけ固まって、ゆっくりとそちらを見る。
「……調べ物してて下さいね。てか、あの、こっち見ると、気分、悪くなるでしょうから」
と、首を少し傾いだような角度でそちらを伺い、ぽつりと一言。
「……しょっちゅう火傷するので、身体、ボロボロで、あの、包帯とか定期的に、変えたいので」
■暁 名無 > 「ああ──悪いな。
その火傷は異能関係の何かかー?」
お言葉に甘える形でノートパソコンの画面に集中しつつ声を掛ける。
もし包帯を巻くのに邪魔なようならすぐに応えようとしなくて良い旨を添える事も忘れずに。
仮に異能の関与しない火傷であるなら、それは教員として対処すべき事態の可能性もある。
委員とか部活動とか、どうにも学生という前提を蔑ろにして何やらしでかす連中がこの学校にはごまんと居るからな。
■尋輪海月 > 「ッ」
異能、という単語で、肩を跳ねさせた。 ……遠目で見ても、動揺が伺える。ゆっくりとまたそちらを見て、……また自分の足元を見下ろしているようだった。
……布の擦れる音。
「…………自分の、異能のせいです。制御が、できなくて……防火性の服でも耐えきれないもので、しょっちゅう、火傷を、してしまうので……」
――制御不可能の、防火性の服越しで火傷をするような熱量の、火炎系か、熱量操作の異能。
この学園での多くは、「制御出来る異能」が多いのと同じ位、きっと、出来ない異能もいるだろうが、恐らくその中で言うなら、"制御出来ない危険性の高さ"は、かなり上の部類に入るだろう。
■暁 名無 > 「ほーん、大変だなそりゃ。
……ん、待てよ確かアレがあったな……。」
防火性の服でも効果が薄いとなるとそりゃ日常生活にも支障があるだろう。
どうやら彼女の異能は炎熱に関係するものらしい。
それならば最近仕入れた打って付けの代物がある。
あるんだが。
「ええと、確かに持って来たんだよ。
どーこやったっけかな……ちょっと散らかし過ぎたな。
こりゃまーた藤巳に小言を言われるぞ……あ、あったあった。」
資料の山の中を探る指先に触れた瓶を引っ張り出す。
ジャム瓶ほどの大きさのそれを一瞥し、内容物を確認した。
淡い橙色の粘性の高い液体。それが中身だ。
■尋輪海月 > 「……アレ……?」
しゅる、する、する。
……布擦れの音が響き、時折濡れたような音がして、次には、「ぅっ」と、痛みに呻くような声。
包帯や絆創膏を取り替える必要があるということは、傷が中々塞がらない、重度なものということだろうが。
「…………ありまし、た?」
首だけ振り返り、そちらの持っている瓶を見る。暫しぼんやりと見つめ、その口から出たのは。
「……何ですか、それ……なんか、車のドラムブレーキ用の、グリースみたい、です、けど……」
■暁 名無 > 「おう、火蜥蜴……サラマンダーの粘液だ。
日焼け防止のクリームの原料にしようと思って持って来たんだけどよ、お前さんに使う方が良さそうだ。」
ジャム瓶を持ったままどっこいせ、とベッドから腰を上げる。
何だか凄い久しぶりに床に足を着けた気がするが、それはきっと気のせいだろう。気のせいだ。
「こいつなら火傷に覿面に効果が有るし、そんじょそこらの耐火素材なんて目じゃねえぞ?
何せ火の精霊としても名高いサラマンダーだからな。」
科学的と言うよりは、魔術的な耐火効果が強い。
そんな代物を何故俺が持っているのかと訊かれれば、それが俺の仕事だからとしか答え様がない。
■尋輪海月 > 「……さ、さら、まん……っ?」
流石に眼が丸になったらしかった。そちらがこちらに来ようとする時には、一応其程脱いでいる格好ではないものの、包帯などを腕に巻きかけの格好に、そちらを見ている。
……そして同時に、少しだけ、恐怖が滲む顔で。
「……そ、そんな、得体の知れないもの、皮膚に、塗るんです、か……っ?」
生物というにはなんだか火蜥蜴という辺りからして既に可笑しいし、サラマンダーなんて漫画かバイクの名前くらいかでしか聞いたことがない。若干引きながら、震える声でそんな事を宣い、椅子に座ったまま距離をおく。
■暁 名無 > 「得体の知れないとは、また随分な言い様だな。」
思わず笑いが出てしまう。
けれどまあ、彼女の怪訝そうな顔は当然と言えば当然の反応……なのだろうか。
「この学校に来て日が浅いっつーわけでも無いんだろ?
それならもう、自分以外の異能使いや魔術師の類だって見た筈だ。
それに、生徒の中には異邦人──まあ、ここじゃない、異世界の住人も居るだろうし、実際目にもしたろ?
それなら、まあ大体解るだろ。
ユニコーンやジャッカロープ、ウェンディゴ
──そういった奴らも、居るんだよ。」
努めて普段通りの口調で告げる。
初めて教壇に上がった時の事が、少しだけ思い出されて何だか場違いに懐かしい気分になった。
■尋輪海月 > 「……だ、だって、実際に、そんなの、見たことないし……」
当然と言えば当然の反応以上に、若干怯えているようだ。嫌がるようなそれではないが、得体の知れない物の以上、対象への疑念は拭えないようで。
「……確かに、そう、です、けど……あ、あんまり、話した事ないし、見た、こと、あるの、……リザードマンの、用務員さんと、なんか、凄い綺麗な、妖怪の、お姉さん、くらい、だし」