2017/09/14 のログ
ご案内:「保健室」に時坂運命さんが現れました。
時坂運命 > 永い夢を見ていた。
水の中に沈み込むような息苦しさ。
熱と錯覚するほどの冷たさ。
そこには何もなくて、自分さえも分からなくなりそうで。
全てが虚無に消えてしまいそうで――。

ただ、最後に暗闇の中に一筋の光が差した。




「――……ん、」

頬に感じた日光の温もりで目を覚ます。
うっすらと目を開ければ、眩しそうに何度か瞬きを繰り返し、ゆっくりと辺りを見渡す。
天井、壁、カーテン。全てが白を基調とされた部屋だった。
無機質な研究室と言うよりは、診療所の一角といった印象だ。
耳を澄ませば若者たちの声が聞こえて来る。
ここは保健室らしい。

ベッドに寝転んだまま、頬を濡らす水を指ですくい取り、暫くぼんやりと思考する。

時坂運命 > 知らない誰かの朧げな“時間”を夢と共に飲み込んで、奥底へとしまい込む。
慣れたことではあるが、その量が増えれば負担もそれなりに大きいらしい。

ある程度落ち着いてから、ゆっくりと体を起し両足を床に下ろした。
仕切りのカーテンに手を伸ばして、思い切って開いてみたがデスクに人影は無い。
保健室には誰もいないらしい。
今は何月何日の何時なのだろう?
否、それよりも――

「……おなか、空いたね」

眠気眼を擦りながら、小さく息を吐きお腹に手を当てる。
グー、と遠慮がちに鳴く腹の虫をあやしつつ、
誰が着替えさせてくれたのか、白いワンピースパジャマの裾を空いている手で弄り、また辺りを見渡す。
壁に掛けられたハンガーには黒い修道服、ベッドの脇に置かれた棚の上に見慣れた鞄が置かれていた。
鞄の中を漁って携帯端末を取りだし、電源を入れる。
すると、ピコピコとメロディーが流れ、幾つか通知が現れた。

ご案内:「保健室」に真淨在処さんが現れました。
真淨在処 > 彼女が携帯電話を弄って通知を確認しているであろうそのタイミング。
「ちわー」と、軽いノリで扉をノックしてからガラガラと引き戸式の扉を開けて入ってくる赤毛の青年。
ラフな私服姿なのは何時もの事、周囲をザッと見渡して…誰も居ない?いいや、人の気配がある。

「んーー…取り敢えずお邪魔するぜー」

と、改めて声を掛けてから向かったのは保健室にある簡易キッチン。
何やら無駄にテキパキと慣れた手つきで、お湯を沸かし始めたりカップを持ち出したり。
インスタントコーヒーもちゃっかり戸棚の一角から持ち出してお湯が沸くまで待機でもしようかと思う。

ちなみに、この時点ではまだ保健室の先客さんが誰か気付いてはいなかったりする。

時坂運命 > 一通り確認を済ませてから、あくびを一つ。
ふらつく体を壁に寄りかからせながら、修道服を手に取り、もう一度カーテンを締め直す。
それから、またベッドに腰掛けて、ごそごそと着替え始めよう。

「9月14日、午後2時35分。
 後は、センセーにお礼の連絡と、彼にも返――」

確認するように独言を小声で呟いているところで、扉の開く音が響き着替え途中の手が止まる。

「ふむ……。これはあれだね、乙女としてどちらを取るかと言う究極の選択と言うわけだ」

他者にパジャマ姿を見られるか、同室に他者がいるが気にせず着替えるか。
逡巡と言うには長すぎる間を挟み、もう全てが面倒になったのか少女は「はは、」と小さく笑って。
考えることを放棄し、結局ごそごそと着替えを続ける。

「そこにいる勇者よ、今しばらくそこから動かないことを薦めるよ」

とだけ、簡易キッチンのそばにいる誰かさんに伝えておいた。

真淨在処 > 「うーん、やっぱ缶コーヒーもいいけど、インスタントも悪くねぇよなぁ…」

鈍いのか何なのか、誰かベッドを使っているのは気付いていても誰が使っているかは把握していない。
独り言を漏らしつつ、鼻歌交じりにお湯が沸くまで待機、しようとしていたら聞き覚えのある声が。

「――残念だが俺は勇者っつーかむしろ遊び人というか道化師なもんでな…と、いう訳で覗きたいんだが!」

最初こそ物静かな感じで誰かさんに答えていたが、最後の一言は目を見開いて馬鹿な事を口にしていた。
冗談か本気かで問われれば…まぁ本気だろう。見たいものは見たい。これぞ真理。

むしろ、何時の間にかカーテンという薄い防御壁一枚を隔ててスタンバイしていたりする。
誰かコイツ止めろ!と思われる光景だが、生憎と現在ここには二人しか居ない訳で。

まぁ、いきなりカーテンを開けて乱入しないだけ多少…多少?は紳士的かもしれない。多分、きっと。