2017/11/03 のログ
岡崎燐太郎 > 学年を聞いた瞬間、眉根がぴくりと上がり明らかに驚いた表情を見せた。

「おぉう……そっか、だったら良いんだ。
 えぇと俺も二年……です」

元々人間ではない者や人でも発育が他人より遅い者は少なくない。
だから驚きを直接口に出すことはなかったのだが、やはり態度には少しばかり出る。
不自然な口調になりながらも自身の学年を答えた。

「うん、まあ大丈夫だろ。最悪俺の名前を出せばなんとか……」

外見はともかく学年が学年ならば仮に注意を受けても多少の無理は通るだろう。
そしてここでも同級生である自身を棚に上げて語る。
女子生徒の彼女より男子である自分の方が不自然でないという思惑もあるが。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「……今、なにを思ったかは聞かないで上げるわ。
 あなたのような反応をする人は初めてじゃないから」

あからさまに驚きが態度に出てしまっている彼を、
少しだけあきれたように見ればそれ以上を追求しない。
軍隊に居た頃はもっとひどい扱いを受けたものだ。
女というだけで馬鹿にされるのはもちろん、見た目が幼いことが拍車をかけていた。
私だって、望んでこんな貧相な身体になったわけではないのだ。
少し陰鬱な表情が浮かぶ。

「あなたの名前を出さなくても、私は大丈夫よ…最悪黙らせるし…
 そういえば、まだ名前を言ってなかったし、聞いてなかったね…
 私はラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン。ラウラってよんで」

人見知り特有の、消えそうな声で話すが、その内容はとても人見知りがいう言葉ではなかった。
コミュニケーションが苦手なだけで、頭の中はすっかり脳筋といって差し支えないかも知れない>

岡崎燐太郎 > 「あああ、ご、ごめんな? ふっ、深い意味はなくてだな……」

俗に言う地雷を踏んでしまったのだろうか。
表情の変化からそれを感じ取り、とっさに詫びる。
慌てるその様子には焦りや不安などいろいろな感情が渦巻いていた。

「え、あぁそうだったね。
 っと、岡崎燐太郎。呼び方は……なんでもいいよ、ラウラ」

力技でどうにかしようとする一言にやっぱりこの子も見た目とはかけ離れた芸の持ち主かと思いつつ。
夜の闇に消え入りそうな声音のラウラとは対照的なはずんだ声色で自己紹介。

「んーまぁ、なんていうか……気にすることないと思うぞ? その、見た目のこととか……」

名乗った後、鉄の指で頬を掻きながらふと言った。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「……どうせ小さいとか子供っぽいとか思ったんでしょう。
 そんな感想が深い意味を持っていたらそれはそれでいろいろ警戒するわ」

人見知りとは何なのか。
最初のおどおどした風はもはやなく、むしろ今は彼の方がおどおどしている状態である。

「じゃあ燐太郎って呼ぶね。あ、でも呼び捨てはアレだから、
 燐太郎君がいいかな…でもよそよそしすぎるかな…」

そして突然人見知りが出てくるのだ。情緒不安定である。

「ふーん…やっぱり見た目のことでいろいろ思うことがあったんだ……?
 別にいいのよ。見た目なんて。気にしてないから。
 見た目でものを言う人間なんて9ヤードでハチの巣よ」

9ヤードというのはM2ブローニングの弾倉のことだ。弾数で言えば110発。
50口径なので1、2発あたれば人間はちぎれる。ハチの巣どころの話ではない。

「それに、あなたは私の姿がこの姿だけだと思ってるようだけど、ちょっと違うわ」>

岡崎燐太郎 > 少なくとも冗談?を言えるくらいには余裕があるようだ。
僅かだが落ち着きを取り戻した。

「どっちでもいいよ。まー、ラウラの呼びやすいほうで」

正直人からの呼ばれ方にこだわりはない。
むしろ相手が気にせず呼べる名前で呼んでくれたほうがありがたい。

「こわいこと言うなよ……
 まぁ……正直、な。第一印象って結構重要だから」

物騒な予告に軽くツッコミをいれる。

「ん……人の姿は仮の姿、って話か?」

思わせぶりな口調に当然興味を惹かれて関心したように問いかける。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「じゃあ、話していくうちに落ち着いた方で呼ぶね。
 あら、戦場じゃいつ自分が穴だらけになるかわからないわ。
 この島だって物騒なことはあるし、今更だと思うのだけど…」

思考回路は軍人のそれだ。軍人というより脳金が入っている。

「まぁ、仮の姿って言っても、そこまで大したものでもないわ。
 ひいおじちゃんが獣人だったの。だから私は1/8が獣人。
 普段は人間の血が勝ってるからわからないけど、能力を使っている時と使った後は
 獣人の血が人間の血に勝つの」

そう言って、ベンチから立ち上がると、ゆっくりと彼に近づく。
さっきまでの私の反応におどおどしていた彼。
今は大分落ち着いているようだけど、まだ呼び方とか、私の物騒な物言いに困惑している感じ。

そんな彼の頬を手で触れると、黒い狐の耳が現れ、彼の心の困惑や、不安が消えていくだろう>

岡崎燐太郎 > 「八分の一……ハーフ、クォーター……とにかく獣人との混血ってことか……」

純粋な人間でないとなれば先ほどまでの物言いも納得がいく。
獣人の血があることで戦闘能力が高いとかそんなところなんだろう。

不意に立ち上がったラウラにどうしたと言いかけて、頬を触れられる。

「いきなりなんだ……っていうか、それ……」

予期しない接触で頬が微かに紅を帯びる。
突如現れた獣の耳を指していると不思議な感覚が全身をめぐる。安心感に満たされるような、感じたことのない感覚。
自覚はないがさっきまであった不安感などの感情が静まっていき、代わりに鼓動が早まるのを確かに感じた。

「変な感覚……これはラウラの……?」

まだ力の正体がわかっていないが恐らくこれが彼女の力であると確信して聞く。
視線は黒い耳の生えたラウラの顔にくぎ付けである。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「そ、だからきっとあなたよりずっと強いわ、私」

ハーフやクォーターというのが和製英語なので、何というのかは知らないが、
薄いながらも獣人の血が混ざっているのは確かだ。

「ええ、私の固有魔術。
 不安感や興奮を取り除いて、精神的に安定した状態を作り出すの」

銃がなくても戦いを終わらせられるのよ。
厳しい風紀委員もこんなふうに触ればすぐ許してくれるし。
そんな風に言ってのける顔は、少し悪い人の顔をしている。
実際問題、そういう目的でこの魔術を使ったことはないのだが。

「獣人だから、身体の成長が少し遅いの。将来的にはもっと大人っぽくなる…予定…」>

岡崎燐太郎 > 「ぬぅ……悪用厳禁だぞ?」

日常生活の中で対人で使っていると聞き、幼い子供に言い聞かせるように忠告する。
しかしどんな魔術なのかを知りそちらにも興味はあるらしく、身体に変化がないか生身の腕を観察している。

「やっぱり気にしてるんじゃないか。でもまあ焦ることはないって。
 人間の血が遺伝してるなら多分成長すると思うから」

将来性があるかどうか、そもそも獣人に人の遺伝子が通常通り作用するのかどうかも不明だが。
気にしないと言っていても気になってしまうんだなと、肩を竦めて笑みをこぼす。

「獣人かぁ……見た目はそんなに人と変わらないのにな、不思議なもんだ」

ひたすら感心を示して一人で頷き、その不思議の象徴である島を照らす月を見上げる。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「あら、わたしがこの力を悪用する人に見えるの?
 それとも、子供が悪戯をしているように見えるかしら?」

残念だけど、心を落ち着かせるだけで、お願いを聞いてくれるようになるわけでもないし、
悪用するにしても応用がきかないのよ。そう付け加えると、頬から手を離す。
実際、悪用したことなんてない。

「別にスタイル抜群になりたいとは思ってないけど、
 周りの人にナメられるのは嫌ね。それ以前に人見知りではあるのだけど…」

少なくとも、もう少し身長は欲しいな。と内心思う。

「ひいおじちゃんは見るからに獣人だったけどね。
 ここまで薄められると耳と尻尾が出る程度なのよ。
 ……さて、私は帰るわ。風邪をひいてもあれだし」

帰る旨を伝えると、足元に置いてあった重いギターケースをてにとる。
そして去り際に、やや小さい声で「じゃあね、燐太郎くん」といって、
重い金属製の扉から階段を下りて行った>

ご案内:「屋上」からラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが去りました。
岡崎燐太郎 > それならば悪用もできないか。
最初から本気で素行を咎めようとは思っていなかったし、本人がそう言うのなら問題はないだろうと。

「初対面の人は仕方ないと思うけど、そうじゃない人は大丈夫なんじゃねえかな。
 で、そこはゆっくり慣れていけばいいと思うよ」

身体の成長に関してはどうにもできないので仕方がない。
人見知りは時間をかければ改善できるものだろう。

「お、それもそうだな。気をつけてな」

後姿に手を振って見送る。
そろそろ帰る頃合いか。ここで一晩明かしてもいいが流石に注意だけじゃ済まないからやめておこう。
それからひとしきり夜の常世島を眺めて、屋上を後にした。

ご案内:「屋上」から岡崎燐太郎さんが去りました。