2018/11/13 のログ
ご案内:「教室」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 > さて。放課後である
今日は特別用事もない、わけではない
家庭科室を借りて、調理器具も借りて。
調理実習である。
(家族にばれないように、料理の練習っていったらこうするしかないもんね)
そう。少しずつ努力が実るようになってからというもの
これならばなんとかなると、嫁入り修行を返ししなければと、勇んだ次第である
「……えっと、肉じゃが……の作り方は……」
レシピ本を見つつ。
あぁちなみに一人ではない。先生が同伴である
頼み込んでOKをもらったのだが--今は……
寝ているようだった
「よしっ」
腕まくりをして、調理開始である
■伊都波 悠薇 > まずはじゃがいも
じゃがいもの皮むきから。
去年は皮と身をほとんど剥いてしまって
残りは殆どなかったくらいまで削ってしまったが--
今ではまぁまぁ、荒くはあるができるように成った。
ピーラーを使って、だけれど
(そういえば……お姉ちゃん。風紀委員に入った、んだっけ?)
魅力的な姉であるから悪い奴らにはすぐ目をつけられそうである。
あれでいて、自分のガードは硬いようで、アキレスのような部分もあったりするから心配で。
自分も入ろうかななんていえば、危ないからやめたほうがとは言われた
でも強く止めはしなかったからそういうことなのかなと思う
彼氏、とかできれば、もっと安全になるのかななんて言うのも思うけれど
自分の”空”があんなことしてる手前、きっとできたらできたでモヤモヤっとしそうなのはまちがいないなぁなんて--
「……っと……」
考えていたら、剥きすぎるところだった。
危ない危ない
■伊都波 悠薇 > 次は人参。
皮を向いて一口サイズにざくざくと
そう。恋人。
--昔姉にも恋人ができたことはある
その人が私と仲良くなりたいといったときは、びっくりしたけれど
でもあれはあれで、悪い虫がつかなくなったという意味では良かったのではなかろうかと--
「…………ん?」
そういえば、よくよく考えれば姉に男の影があったのはあれが最後ではなかろうか。
その前は--幼馴染、がいたくらいか。
おや……?
「……恋愛、避けてる?」
のだろうか。いやいや、男友達は多いだろうが--いや?
でも、そういう話は、全く聞かない。
--おや?
「あんなにキレイなのに? ねぇ、小雲雀、どうおも--」
横を向いて。
何もついてない携帯を見る。
「…………」
ざくんっと、人参を切った音が大きく聞こえた
■伊都波 悠薇 > ふぅっと深呼吸。
「だめだめ。変わるって決めたんだから」
つぶやき、次はしらたきをどばどば
「……今度、聞いてみようかな」
姉には幸せになってほしい。
その気持は今も変わらない。そこにあった歪んだのぞみは消えただけ。
結婚、恋愛だけが幸せとは限らないけれど。
なにか理由があるのかもしれないなと、勝手に勘ぐる。
そして--
「風紀委員……か……」
姉が入ることになった、委員
「--やっぱ入ってみようかな」
姉を追う、わけではない。
でも、今度こそちゃんと、姉の助けに成りたい。
純粋に--
「……よし」
なんて考えているうちに、下ごしらえは終わった。
あとは--煮るだけである。
ことことこと--
■伊都波 悠薇 > 煮ている間は時間がある--
さて、話は戻るが。
姉に男の影がないという件について。
--やっぱり、時期が被る。
「……今度、聞いてみようかな」
デリケート、かもしれないけれど
そう、時期が被る。
いろいろと--
「できた、かな?」
煮た時間を確認し、冷まして--タッパに移し……
先生に感謝して。退室--
「……はぁ……でもさぁ--」
決意とは裏腹に。
「やっぱ寂しいな、お姉ちゃん、小雲雀……」
拭えないものはあるので、そのしょっぱさを感じながら
できた肉じゃがを家族に振る舞うべく。
帰路につくのだった
ご案内:「教室」から伊都波 悠薇さんが去りました。