2015/08/11 のログ
ご案内:「美術部部室」に六道 凛さんが現れました。
六道 凛 > 静かに……キャンパスに触れる……
朝に、書き置きしてここに来て。
ずっと、”描いていた”

かけたのは、火……
そこには、なにも情熱もなにも、ない。
ただの、火。リアリティもない。
うまいだけの、灯。

「……全然だな」

こんなのを、かつてのみんなに見られたら
失笑もんだろう。劇にも使えないし、コンテストとか
そういったものに使えやしない。

からんっと、筆を置いて。
とさりと席につく。

「未来……今、過去……」

意識は、した。
でも、”かけない”
あの時のような、ものも。
これからと想えるような、ものも。

あのとききいた、伴奏者のような旋律は
自分には――

「……どうしたら、いいんだろう」

六道 凛 >  
未来に生きる。
今に生きる。
過去に生きる。

突き刺さる。言葉。
泣きじゃくった。
痛かった。”背景―きず―”になった。

『忘れずに前を向くってのはそういうこった。
 今の、そんで、未来の『フェニーチェ』の事を考えてりゃ、
 そこに繋がってる過去の『フェニーチェ』の事を忘れないって事になる。

 この世にやっちゃいけねぇ事なんて何一つねぇんだ。
 ちゃんと考えて、自分の為にそれが本当に必要だって考えたならやりゃいいさ。』

なにが必要? ―― 脚本がほしい
ナニが必要? ―― 伴奏がほしい
なにが必要? ―― 服がほしい
ナニが必要? ―― 演者がほしい
なにが必要? ―― ………………

「……舞台が、ほしいよ。縋れる、舞台が」

誰かに依存させてほしい。支える支柱はオレてしまった。
夢もなにも――もう、ない。
もうないんだ。あの劇場は。
だったら、この矮小な身体でナニができる?
なにもできない。だれかに意味を与えてほしい。
何かがほしい。必要なのは――

「……必要なのは、なに?」

生きるとは、こんなにつらいことだったのかと。
六道の最下点。”地獄”のごとく苦しみに。
また知らず涙を落として――……

六道 凛 >  
背景を描いて
絵を描いて
こんなに悲しくなるのは初めてだった。
なによりも、なによりも
無意味を描くことが、なによりも。
誰かのためでなきゃ筆を取れない。
そのくせ自分のためでなきゃ筆を取れない
あぁ、なんて――

「かけない、かけないよ。わかんないよ……」

助けてほしい。引っ張って欲しい。
あの時は確かに手があったのだ。
連れて行ってくれればよかったのだ。
そしたらこんなに胸が痛くなくて済んだのに。
幸せなまま、おわれたのに。

なんてわがまま。
死にたくないくせに、望まれたらそうできた。
だから、泣きながら、微笑った。

ただただ、泣きながら――”微笑った―なげいた―”

六道 凛 >  
あぁ、もうなんだかおかしくて可笑しくて、オカシクて
この気持があったらどうにかなってしまいそうで。
筆をとった。乱雑に……
繊細さを描いた、ただの八つ当たり
描くなんて上等なもんじゃない。
殴るや蹴る、暴力のようなものだ。
ひたすら、筆を絵の具で濡らして
”分からない”まま、感情のまま
ただひたすらに、筆をぶつけた……

六道 凛 > 静かに、筆を置いて……
残ったのはなんだか虚しい気持ちで

「……帰ろ……」

筆を片付けて、
静かに、ただ上手いだけの火と――
そして、まるで”激情”といえるような炎。
その2つを置いて。

ゆらゆらと少年は、帰路につく……

ご案内:「美術部部室」から六道 凛さんが去りました。