2016/10/10 のログ
■阿曇留以 > 大きく弦を引く。
ゆっくりと、しかし確実に引かれる弦は留以に抵抗を見せつつ。
完全に引き絞れば、的を見据えて五秒ほど。
待てば待つほどに留以の腕が震え始める。
しかし弦は決して離さず、ただひたすらに的を見据え。
自然と、弦から手が離れる。
風を斬るような音とともに矢は的へと飛んで行き。
ばすん、と土に命中する。
■阿曇留以 > 「…………」
少々不満げな顔で矢の結末を見届けた後、二本目を番える。
先ほどと同じように大きく構え、弦を引いていき――。
二本目も、土に命中する。
矢と的の距離は遠くない。
ほぼ横で、あと少しずれていれば当たっていただろう。
が、それでも外れは外れ。
弓を壁にかけ、矢を回収しに行く。
■阿曇留以 > 弓は専門じゃない。
妖怪を祓うため、手段の一つでしかない。
更に言うなら、弓は妹の専門のために、留以はあまり力を入れて鍛錬していなかった。
三本に一本当たればいい方だし、ひどいときは5.6本撃っても当たらない。
苦手な武器とはいえ、鍛錬しないわけにもいかず、久しぶりに弓を引いている。
「あの子だったらもっと綺麗に撃てるのにね~。
こればっかりは得意不得意かしら~」
独り言をいいながら小さく笑い、矢を一本一本抜いては土を拭いていく。
■阿曇留以 > そういえば、最近やけに涼しくなったなぁ。
そんなことを思いつつ、空を見上げ。
夏は暑かったために巫女装束をあまり着ず、私服で居ることが多かった。
が、最近は逆で、巫女装束で居るほうが多い。
気温があまり安定はしていないが、それでもこの程度なら、と我慢できるようになってきた。
(――この島、秋刀魚は美味しいかしら~)
もうそろそろ時期だろう。
今度かって見て焼いてみようか。
マツタケは売ってるだろうか。
栗ご飯もやりたいところ。
そんな邪念というか生物的欲求を考えつつ。
矢を拾い終われば、歩いて射場まで戻ってくる。
ご案内:「弓道場」にオーギュストさんが現れました。
■オーギュスト > 生活委員曰く
『とりあえず、どこかの部活の顧問でもやりますか?
謝礼、出ますよ』
というわけで、部活棟で何か教えられる事はあるか、見学に来たのである。
しかし、この男の知識は中世並。教えられる事といえば、荒事しかない。
なので、武道系の部室棟にやって来てみると……
「――ほぉ」
いい女だ。ありゃぁ、極上だ。
というわけで、つられて弓道場へとやってきた。
幸い、弓の心得は一応ある。
■阿曇留以 > 入ってきた人には気付かず、再び矢を番え、放つ。
今度は二本中一本だけ当たったようで、ふぅ、と息をついて安堵している。
とはいうものの、端っこのほうではあるが。
次の矢を構えるために矢立箱が置いてあるところまで行こうとして
「――あら?」
ようやく人が居ることに気付く。
「どうも、こんにちは~」
ぺこり、と軽くお辞儀だけしておく。
■オーギュスト > 「よう」
うん、おしとやかで良い肉付き。
まさにオーギュストの好み。
……とはいえ、いきなり口説くわけにもいかない。
こちらはまだ来て日も浅いのだ、まずは――
「ちっと見てて気になってな。
弓を引かせてもらってもいいか?」
少女に聞いてみる。なにやら苦戦しているようだ。
武器の扱いには、多少自信がある。
■阿曇留以 > 見ていても良いか、と聞かれれば困ったような顔。
笑顔ではあるものの、ちょっとだけ眉をひそめる。
「それは勿論良いのですけど……、えっと、あまり上手ではないので、面白いモノではないですよ?」
そういいつつ、矢立箱から矢を二本とりつつ、弓を持つ。
■オーギュスト > 「おう、構わねぇよ」
見る対象がお前だ、とも言えず。
壁に寄りかかり、相手を眺める。
確かにあまり弓はうまくないようだが……
(……ふむ)
邪魔にならないような位置で。
■阿曇留以 > 家族以外に射法を見られるのは初めてだっただろうか。
ちょっとだけ緊張しつつ、それでもいつも通りな姿勢をとる。
足を開き、弓を構え、的を見据えて弦を引く。
胸を張り、足に力を籠め、限界まで引き絞ればその状態を維持する。
それはほんの少しだけ。
時間にして三秒ほど維持し、手を離す。
矢は回転しながら的へと飛んで行き。
土に刺さる。
二本目も同じように、土に刺さる。
「――っふぅ……」
疲れたようにため息を吐けば、弓を置いて矢を取りに行く。
■オーギュスト > 「ふむ……」
顎に手を当てて考える。
基礎は悪くない、体はできている。
ならば、あとは鍛錬と……
「なぁ、俺も引いてみていいか?」
少女に提案する。
あとは、精神面の問題だろう。
■阿曇留以 > 矢を取ってくれば、そのような質問をされる。
当然、それを断ることは無く笑顔で答える。
「ええ、勿論~。
弓はそちらにありますけど……弓の引き方とか、わかります?」
多分、初心者ではないだろうとは思いつつも一応聞いておく。
なお、留以が使っている者は弦が軽いため、物足りないだろう。
近くには弓立てがあり、いろんな重さの弓が置いてある。
■オーギュスト > 「おう、すまねぇな」
とりあえず、弓を持ってみる。
軽い……弦も、丈夫だが軽いものばかりだ。
とりあえず、一番大きくて硬い弓を持ち。
「さて……」
弓は実戦ではあまり使わず剣ばかり振るっていたが、まぁ体が覚えているだろう。
弓を構える所作も、姿勢も、あったものではない。あくまで実戦弓術である。
限界まで引き絞り、狙いを定め……
「――っ!」
思いっきり矢を放つ。
矢は唸りをあげて的へと飛び――
ガゴォン!
的の端に当たった矢が、めり込んだ。
■阿曇留以 > (あら~……)
姿勢も動作も出来ていない。
しかし、目を見張るものがある。
それは実戦向きに最適化されてる動き。
場が場であるために留以も弓道という撃ち方でおこなっているが、本来はそういう実戦の撃ち方を練習する必要があった。
故に、そこに関心がいきつつ。
そして、矢が放たれ、的に当たる音。
破壊力を示すような音にちょっとだけ驚き、身を竦めた。
■オーギュスト > 軽い。
弓も軽ければ弦もやわらかく、威力は出ない。
しかし、扱いやすい。これならばきちんと練習すれば、体に負担をかけなく、怪我の心配も少ないだろう。
あくまで『当てる』事に特化した弓だ。
「なるほどな……軽いが、良い弓だ」
続けざまにもう一発。
弓の癖、距離を計算し……
ゴッ――!
鈍い音とともに、的の中心から少し逸れた場所に、弓が大きな音を出し当たる。
■阿曇留以 > 続く音。
今度の音はそれほど強い音ではないために身を竦めることはなかったが、やはり力強い音。
的に当たった矢も、先ほどより中心に近づいている。
(――和弓は初めてなのかしら)
実践的な撃ちかた。
おそらくはもっと、アーチェリーみたいな弓を使う人なのかもしれない。
留以も弓に詳しいわけではないので予測に過ぎないが。
「弓、得意なんですか?」
なんてちょっと声をかけてみる。
■オーギュスト > やはり、強く引かない方が格段に当てやすい。
思えば、彼女の弓の引き方もとても美しかった。
型にはまった、いわゆる貴族の嗜みのような武芸なのかもしれない。
「いや、あんまりつかわねぇな。俺はもっぱら剣だ」
弓だと魔族には効果が薄い。
なにせ、弓以上に長射程で威力の高い魔法を連発してくる連中である。
懐に飛び込んで、数で囲んで近接先頭でしとめるのが、第七師団流の戦闘である。
「お前さんは、見た所弓は苦手なのか?」
射法は綺麗だが、的まで届いていなかった事を思い出し。
■阿曇留以 > 「弓が苦手というよりも……練習不足でしょうか。
弓は専門外で、わたしも普段は剣を使うんですよ~」
ころころと笑い、正座からゆっくりと立ち上がる。
袴を正してから弓を取り、矢を二本持ち出す。
「弓はわたしの妹のほうが専門なので、私は使えて当てられればいいので……こうやってちゃんとした撃ち方は苦手なんです」
そういって、一本目は先ほどと同じような射法で撃つ。
当然というべきか、的からはなれたところに矢は刺さる。
しかし、二本目。
先ほどの射法など気にせず、我流の撃ち方で撃てば、的に当てて見せた。
「基本的に、当たればいい、の姿勢なので……」
と、彼の顔を見て苦笑した。
■オーギュスト > 「ほぉ……」
一射目と違い、二射目は見事に的の中心へと当たっている。
動作に優美さはないが、まさに狙い済ました、狩人のような一撃だ。
こちらこそ、彼女自身の射法なのだろう。
「そりゃ、弓は的に当てるもんだからな」
うんうんと頷く。
そして彼女に向き直ると。
「俺はオーギュスト・ゴダン。『異邦人』だ。お前は?」
■阿曇留以 > 弓を置き、彼の名乗りに答えるべく彼の顔を見て。
「オーギュストさん、で良いしょうか?
私は阿曇留以です。
本土……えっと、この島の外の生まれです。
宜しくお願いしますね~」
最初会ったときのように、ぺこり、と頭を下げて挨拶。
■オーギュスト > 「かまわねぇよ、留衣。しかし……」
周りを見回す。
幾人かは弓を引いているが、にしても皆、美しい射撃姿勢だ。
「あの型は、ここの作法かなんかか?」
弓を撃つ時に一々あんな動きをしていたら、堅苦しくてしょうがないだろう。
実戦派の将軍らしい考えで、尋ねてみる。
■阿曇留以 > 「そうですね~、弓道っていう……どちらかといえば儀礼のための撃ち方でしょうか。
実戦を想定してない撃ち方のはずなので、オーギュストさんからすれば非効率な撃ち方かもしれませんね」
残念ながら歴史に詳しいわけではないのでかなりてきとうなことを言っている留以だが、弓道がそのまま実戦で使われるとも思いにくいためにある程度確信をもって、言っている。
「オーギュストさんはああいう撃ち方とか、されたことはないですか?」
■オーギュスト > オーギュストはしばし考える。
が、結論はすぐ出た。
「ねぇな。俺らにとって、弓はあくまで戦場で使うもんだからなぁ」
のんびりと言いながら、弓を返す。
さすがにあの型を教える事はできない。
「もう少し実践的な、武術やらなにやらを教える『部活』ってのは、あるのかい?」
そこならまぁ、少しは教えられるかもしれない。
特に戦争での乱戦の稽古なんかなら。
■阿曇留以 > 「部活……ですか」
うーん、と少し考え込む。
多分あるにはあるだろう。
が、残念ながらそういった活動は何一つ知らず。
「ごめんなさい、もしかしたらそういう部活もあるとは思いますけど私自身、部活には参加してないのでなにがあるかまでは……」
ごめんなさい、と軽く頭を下げて謝る。
■オーギュスト > 「あぁ、いや、いいんだ……ふぅむ」
オーギュストは唸る。
見る限りだと、『部活』というのは、そこまで厳しい物ではないらしい。
この弓を教えている『部活』も、学生たちが自分のペースで弓に取り組んでいた。
と、なると。
(部活顧問、ってのは、俺には向かねぇかもな……)
なにせ、第七師団で地獄の訓練を課していたオーギュストである。
そんなノリで教えても、誰もついてこないだろう。
「邪魔したな」
手を上げると、ゆっくり踵を返し
■阿曇留以 > 「あっ、もし実践的なことがしたいのでしたら、演習場で模擬戦相手を募集してみるといいかもしれませんよ~。
私もたまにそこで模擬戦してますので~」
背を向けて去る彼に、そんな声を投げかけておく。
彼がどういう目的で部活を探しているのかはしらないが、一応と思い、そんなことを言っておく。
■オーギュスト > 演習場。
なるほど、次はそこへ行ってみるか。
などと考えつつ、部活棟を後にした。
ご案内:「弓道場」からオーギュストさんが去りました。
■阿曇留以 > 彼が去った後、留以も弓を片付け、矢を片付け、帰る仕度をする。
今度は実践的な弓の練習でも使用かなと思いつつ。
ご案内:「弓道場」から阿曇留以さんが去りました。