2018/02/18 のログ
萩野 満月 > 休日の学校、特に夜となればいる人間のほうが稀だ。
煌々と手芸部の部室の明かりが灯る中、部屋の中では1人机に突っ伏して寝息を立てている姿があって。

目の前に開かれたままのパソコンには古い映画のメニュー画面が繰り返し再生されており、女の手には作りかけのぬいぐるみが掴まれていることから作業しながら寝てしまったことが伺えるか。

時計が日が変わったことを知らせるアラームを短く馴らすとその音に反応し、寝ぼけたままアラームを止めようと指先を動かそうと。
ようやくアラームを止めることができるとぼんやりと携帯の液晶を眺め、表示されている時間にようやく目を覚ますか。

「…ん、ふぁあぁッ、やば、もうこんな時間か。んううぅ~、はぁ、途中で寝落ちしてたか…もう少し退屈じゃない映画にすればよかったな」

萩野 満月 > 久々に街で気に入った柄の布が手に入ったので早速部室で試そうと、昼間から溜め込んでいた映画も同時に消化していたが、どれもメジャーとはいえないラインナップに当然当たりハズレが出る。

B級のホラー映画を見始めて序盤から中盤まではよかったが終盤のご都合主義にとんでも展開に意識を奪われ、気づけばこんな真夜中まで眠り込んでしまった。

机から身体を起こせば背筋を大きく伸ばしながらすっかり冷えてしまったコーヒーに口をつけ、背後の窓から外を眺めれば寮まで帰る足を捜すのも面倒だし、このまま朝まで続きでもやろうかと考えて。

萩野 満月 > 早速作業の続きを始めようとするもそういえば夕食を食べていなかったことを思い出し、泊り込むなら買出しでも行こうかと考えるが、時折窓を揺らす程の夜風に諦めるか。

何かないものかと普段お茶やお菓子をストックしている棚を開けてみるも週末だけに殆ど残っておらず、仕方がないと席を立つと部室を後にして目指すのは部室棟のロビー。

確かロビーに自販機があったのを思い出し、飲み物だけでなくブロックタイプのクッキーも売られていたはずだと明かりの消えた廊下をロビーへと進んでいこうと。
暗いロビーへと到着すると自販機の明かりだけが辺りを照らしているだろうか。

萩野 満月 > 自販機の前に立つと小銭を投入しながらまずは何種類かあるブロックのクッキーの前で迷うように指を動かし、決めたのはチョコレート味のもので。

次に飲み物を選び始めるとコーヒーはまだ部室にあったと温かい缶入りのスープを選び、両手で熱さを紛らわせるようにしながら部室へと帰ろうかと思うも一応見回りをしておくかと逆の方向へと進み始めるか。

人気がないことをいいことに深夜の部室に集まって遊び場にする者が時たまいるので一応見回りをしておこうと、本音は先ほどまでの映画を思い出して1人でいるのもなんだか不安なので誰かしらいるなら安心できると。

ライトで廊下を進みながら部室棟の中を巡回していくが部室の中までは見ようとせず、もし誰かがいたら鉢合わせするのも嫌なので、いたとしても見られたくなければ息を潜めてくれれば見逃そうと。

萩野 満月 > 巡回はこれが初めてではなく、いつもなら手馴れたものだが今日は映画の印象を引きずってしまっているのか足の進みは良しくなく。

静まり返った暗い廊下を1人で進むのに耐えかねたのか、転移で中型のウサギのぬいぐるみを出せばライトを持たせて数歩先を歩かせ、本人はその後を追うように進んで行こうと。

深夜の学校で隠れて酒盛りだろうが逢引だろうが何しようが構わないが、週明けに報告書や始末書を書くようなはめにさえならなければいいと教師らしからぬことを考えながら進んでいく。

物音も人影もなく安心したような、残念だったような気持ちで一番端の部室までたどり着き、あとは引き返して逆側を確認するだけだと。

ご案内:「部室棟」にイチゴウさんが現れました。
イチゴウ > 日も完全に落ち正に夜中と言う時間帯、
誰も居ないこの部室棟の廊下はすっかりと静まり返っている。
しかしそんな中突如としてまるで鉄パイプ同士を打ち合わせるような
そんな固い音がカン、カン、と一定周期で廊下に響き渡る。
見回りをする教師以外人間が居ない筈の場所で
発生する人工的な音は酷く不気味なものとして
この空間で反響してしまうだろう。

萩野 満月 > 逆方向へと見回りをしながら進んでゆくと出発地点である手芸部の部室が見えてきた、その前を通り過ぎながら逆方向へと進んでいくと金属音意も近い音が静まり返った廊下へと響いて思わず足を止める。

外では時折激しい風が吹いており、なにか当たったのか倒れたに違いない。そう思いたい。

足を止めて耳を済ませれば音はなく、一時的なものだと思った瞬間同じ音が響く。
今度は風も吹いていないのに同じ感覚で音が鳴り続けている、何かを打ち付けているような音にも聞こえ、浮かんだイメージは藁人形に杭を打ちつけるという今の状況においては最悪なもので。

「…風のせい、風の音に決まってる。ッ!?風の音…じゃ、ない。」

正直これ以上進みたくはないが踵を返したところで音が追ってきたりでもしたらと考えるだけで恐ろしい。
新しく人間大の巨大なクマのぬいぐるみを出せば、その影に隠れるようにして恐る恐る進んでいくだろうか。

イチゴウ > 不可解な音はあっちへ行ったりこっちへ行ったり
フラつくようにゆっくりと移動してゆくが
ある時一瞬ばたっと音がやむだろう。
しかしそれもつかの間であり
先程の音がまた一定のテンポを刻みながら
廊下を歩く人影を感知したと言わんばかりに
今度は確実に近づいていく。

「...」

その音の主は進行方向である廊下の角から
半分姿を現し薄っすらと灯る2つの赤い光を彼女に向けるだろう。
じっくりと全くブレずに機械的に。
廊下自体が暗いため姿ははっきりとは確認しづらいが
赤い光が見つめる目と解釈できればその高さから
少なくとも人間ではないと判断できるだろうか。

萩野 満月 > 音の正体を確かめようと少しずつ近づいていくと闇の奥から響いてくる音が近くなってくる。
否、近づいているのではなく近づいてきていることに気づいたときには足を止め、ライトで照らしきれずに身構えていると廊下の奥で何かが揺らいでいる。
その揺らいでいるのは赤い2つの光、僅かに左右に揺れながら大きくなってくるそれの位置は人間の視線よりも低い。

「待て、待て待て、近づいてきてないか、これ。なんだ、あの光は……ひぃッ!あ、ッ、ぎゃあぁああぁあぁ~ッ!!」

そしてそれが何かの目だと理解してしまった瞬間ゾワゾワと全身の肌が一気に粟立ち、そんな持ち主の変化をぬいぐるみは敏感に感じ取ったのか悲鳴を木霊させる女を脇に抱えるともと来た道を全力で駆け抜けてゆこうと。
ドスドスと巨大なぬいぐるみが廊下を疾走し、部室の明かりを目指して突き進もうと。

イチゴウ > 「状況を確認中。」

無線機を通したかのような男性音声。
勿論、その合成音声も状況と合わさって
不気味なものに聞こえるだろうが
廊下をあるいていた人影の悲鳴にかき消されほぼ聞こえない。

「脅威を検知。」

また彼女はこちらを把握できていないようだが
彼女を驚かせた影、正確には機械は
ナイトビジョンでしっかりとその姿を捉えている。
しかし不幸にも彼女が使った逃走手段は
悲鳴も合わさってその機械に
「人間が大きな何かに誘拐されている」という
誤った判断を誘発させてしまい
次の瞬間物凄い勢いで金属音が駆けてきて
逃げる彼女を執拗に追いかけだすだろう。

追いかける機械がぬいぐるみをひっくり返すのが先か
逃げる彼女が部室に逃げ込み明かりをつけるのが先か。

萩野 満月 > なにか人の言葉のようにも聞こえたが何を言っていたのか確かめるほどの余裕などあるはずもなく、ぬいぐるみに運ばせてその場を離れようとする背後では先ほどまでの足音がものすごい速さで追いかけてくるのがわかる。
身体を抱えるぬいぐるみの腕を叩きながら早く早くと命じて逃走を図るも距離はどんどん狭まってゆき、進む向こうに部室の明かりが見えるがとてもではないが間に合わない。

咄嗟に近くの明かりのついていない部室へとぬいぐるみに放り出されると次の瞬間、強大なクマのぬいぐるみが殆ど大きさの変わらない何かに勢いよく跳ねられ、その背後へと回転しながら落ちてゆくのが不気味なくらいゆっくりと目に映し出されるか。

新しいぬいぐるみを出して応戦することも出来たのにそこまで考えが回らず、どこかに隠れようと辺りを見回すと部屋の中はダンボールと机しかない空き部屋のようで隠れる場所は皆無だ。

窓際に追い詰められ、廊下からは通り過ぎた音が戻ってくるのがわかり…

イチゴウ > 速度としてはこちらが追いかける方が早い。
想定通り駆けるそのぬいぐるみに追いつけば
足をすくい上げるようにしてその巨体を
空中へと放り投げる。すぐに床に落ちたソレを確認すると
ようやくそれが大きなテディベアだと気づくと共に
先程担がれていた人影がないのを確認する。

しかしその所在はすぐ横の部屋で音がしたところから
容易に判別がついたようだ。
彼女が放り投げられたであろう暗い部屋に侵入すると
逃げ場を探すようなそんな焦っている人影に近づき
ゆっくり見上げ

「やあ、こんばんは。何かに襲われていたようだが
大丈夫か?」

機械的な男性声で取り乱す彼女にそう一言。
無論、部屋は暗いので人間目ではかろうじて
四つの足を持っている事と赤い目が見つめている事くらいしか
認識しきれないだろう。

萩野 満月 > 綺麗な弧を描いて跳ね飛ばされたぬいぐるみはピクリともせず、持ち主の集中が切れているせいか操り直すことも出来ず倒れたままで。

近づいてくる音の主が部屋の前まで来ると赤い目を浮かばせた身体がゆっくりと部屋の中へと潜り込んでき、暗闇にわかる赤い目に四本の足に思い浮かんだのは蜘蛛の姿で。

巨大な蜘蛛の怪異であったなら良くて食い殺され、悪くて有用に使われて生かさず殺さずか。

もう駄目だと目を瞑って目の前を両腕で遮ってこれから起きることをせめて見ないようにしようとしていると響く声、機械のようではあるが男性の声で心配するような口調に襲われているのに大丈夫もないだろうとツッコミをいれてようやく違和感に気づく。

いつになっても襲ってくる衝撃が体を襲わないのにゆっくりと目を開くと目の前に赤い光をともした巨体がおり、一向に襲ってくる様子がないことに掴んで逃げていたウサギのぬいぐるみが持っていたライトで照らしてみようと。

拍子抜けしたように脱力してしまいながら見上げた先には校内で何度か見たことのある姿、確か風紀委員に属している…

「もうダメだ、死ぬ死ぬ……ふぇ?えっ、あっ、大丈夫、です」

イチゴウ > 心配したような言葉をかけた機械に返ってきたのは
非常に鋭いツッコミ。そもそも勘違いから
勝手に彼女を追いまわしたのだから当然だといえば当然だ。
少し彼女が落ち着いた後にウサギのぬいぐるみが
ライトを持ってこちらを照らすとナイトビジョンを
起動している機械は眩しそうにシャーシを引く。

「ボクは風紀委員会所属のHMT-15、”イチゴウ”。
大丈夫ならば良かった。
それにしてもぬいぐるみが自動的に動くとは興味深い。
キミは別の個体に襲われていた筈では?」

そもそも機械は目の前の少女が何故自分を見て
ここまで怖がっているのかをそもそも理解していない。
その原因を先程のテディベアと見る見解は変わっていないようで
むしろ此方は勝手に動くぬいぐるみに驚き気味だ。

萩野 満月 > 目前まで迫っていた恐怖から解放されたはいいが、正体は思い描いていたものとは真逆の存在。
あまりの展開にぎこちない敬語で無事だと伝えたが、落ち着いてよく考えてみれば確かに襲われていた風紀委員のロボットに。

「風紀委員のイチゴウ?……はあぁあぁッ、なんだ、そう、そうだったのか。教員の萩野だ、あぁ、確かに襲われてたよ、お前にだがな」

ようやくもとの調子を取り戻したのか、追跡者の正体に大きく息を吐き出しながら安堵の溜息を漏らすと目の前の戦車を指差して襲ってきたのはそっちだろうと言わんばかりで。

追い回された挙句危うく跳ねられそうになった上にあんな逃げ惑う姿を見られたことに他の者がいなかっただけが救いで、改めて集中すると廊下で突っ伏していたぬいぐるみが起き上がり、戦車の背後で部屋の明かりをつけながら女の傍へと近づいて立たせようとするか。

イチゴウ > 「...?
ボクは学生が脅威に襲われていると判断し
救出活動を行った。」

彼女が指さしながらプンプンという擬音語が
合うようなそんな様子でたたみかけられると
ロボットの方は正に目を丸くするといった様子で
そう彼女に告げるだろう。

「だとするならばこのぬいぐるみは
一体どういう存在なのだろう。」

ライトを持っていたウサギもそうだが
背後で明かりをつけ移動するテディベアを凝視しながら
いたって不思議そうな様子で言葉を濁す。
また部屋の明かりが灯さればその機械が
おどろおどろしい模様もなくただ真っ白な色の胴体と
取って付けたようなややマヌケな顔を持つ
ロボットであることがわかるだろうか。

萩野 満月 > ロボットは助けようとした為だと弁明するも、その言葉の中には遠回しに外見的に教師には見えないといっているような台詞が含まれていて。
腰が抜けてしまいそうなくらい恐怖したなど口にできるはずもなく、ふらつく身体をぬいぐるみに起こしてもらうとこれでも立派な教師だと言い切るだろうか。

「萩野満月、これでも立派な教師だ。風紀なら生徒指導担当くらい把握しているはずだろう。これは魔力を帯びさせた中身の綿を私が動かしているんだ、意識も自我もない、ただのぬいぐるみだ。」

生徒指導の萩野といえば生徒指導室に連れ込まれた生徒は無事では帰れないや、中で何をしているのかがわからないなど妙な噂と共に恐怖されている。

明かりが灯されると一瞬照明の明るさに眩しさを感じるが、目の前に照らし出された白いボディになんだか威圧感が感じ取れない顔のロボットの姿があり、あそこまで恐怖した存在の本来の姿に怖がって損したと。

イチゴウ > 「萩野満月...、照合完了。
失礼、キミは教師であるようだ、
しかも妙な噂付きだ。」

ぬいぐるみを支えに立つ彼女を尻目に
一瞬動きを止めてデータベースを確認すると
変わらぬ口調で弁明を図るだろう。
最後にデータベースの端にてやたら記入されている
補足事項にも言及しておいて。

「なるほど、つまりキミは魔術師という事になるのか?」

自我はないと言われつつもそれを持つかのような
高度な動きをするぬいぐるみに対し
ロボットは前右足を使ってちょっとしたアクションをとる。
また明るくなった部屋に対して暗視装置は眩しすぎるようで
頭パーツをブンブンと眩しそうに横に振った後に
視界補助をオフラインにしておく。

萩野 満月 > 妙な噂、反抗的な生徒の精気を吸いながら反省文を書かせることで肉体的にも精神的にも反省を促すというスタイルから来るものだろうと容易に考えられ、実際に更正率も悪くないためにお咎めなしな上に年齢の遅延にもなって一石二鳥だ。

こんな外見に教師らしからぬ行動のために一緒に怒られることもあれば、学校外で生徒と友達感覚で親しく行動しているせいもあって真意の程は定かではないが教師としてはふさわしくない噂も多々ある。

「そういうことになるな、正確には魔力操作特化の。で、そっちはこんな真夜中に何をしているんだ?風紀が校内まで見回りしているなんて聞いていないぞ」

自我はないがぬいぐるみの動きは生物を思い起こすように滑らかで自然、そして時折見せるファンシーな動き、その全てが女の意思と演出によって操作されている。

眩しそうに頭を振るロボットに対して逆に今度はこちらが質問を投げかける。

休日のしかも深夜の校内で何をしていたのかと。見回りを強化するなど事前に連絡は受けておらず、そして校内で異常事態が起きているなども報告は受けていない。
もし見回りをしていたというのなら、こんなものまで動員するほどの事態が起きているのかと。

イチゴウ > 「魔力を探知できても魔法がどのようなものなのか
さっぱりわからない。」

時々踊るような楽しい動きを見せるぬいぐるみを
凝視しつつ彼女の話を聞いて呟いた一言。
ロボットは見た目通りというべきか科学寄りの存在であり
魔法は感知こそ出来るが一切使えない、
だからこそ興味深そうに聞いたり見つめたりするのだろう。
そしてその直後にそもそも何故この機械がこんな所に
いるのかと聞かれればグイっとシャーシを彼女の方へ寄せる。

「それは非常に重要な問題だ。現在、自由行動中であり
鍵が開いていたのでこの建物に入ったのはいいが
似たような出入口が多くこの区画のマッピングも
行っていないため現在迷ってしまっている。」

要約すれば入った事のない建物に興味本位で
入ったのはいいが道がわからなくなって出られないという
残念な状況になっている。
さらに用務員のミスだかで鍵が開いていたことから
入っても構わないと判断しているようで
少し融通の利かない機械である。

萩野 満月 > 「なんていうかな私のは…そうだ、ミサイルだ。ただのミサイルだとまっすぐにしか飛ばないだろ、それを追っていくように方向性を与えて曲げてやるのが魔力操作だ。」

理解が難しいというロボットに教師らしく判りやすい説明をしようと考え、出したのはいつも授業のときに出すサブカル的な例えで、断じて科学に基づいてなどない空想科学のような説明ではあるが理解はしやすいはずで。
シャーシを寄せて重要な質問だと口にすればどんな重大な事態なのかとゴクリと喉が鳴り、出された事態は迷子になったというもので拍子抜けしてしまうか。

「重大な問題…ん?んん?つまり、迷い込んで出口がわからないと……それでずっと彷徨ってた…残念ナビだな」

見るからに最新鋭の科学の塊が雑多な部屋ばかりとはいえ深夜の部活棟内で延々とさ迷い歩いていたという言葉に開いた口が塞がらず、頼りになるのかならないのかどっちなんだと頭を抱えてしまい、同時に休日前から彷徨っていたのかと気の毒に思い、帰るまで付き合ってくれたら外まで案内しようと提案するだろうか。

イチゴウ > 「なるほど、魔力と言う流れに対して
それを誘導するように制御するわけだ。」

彼女のわかりやすくした説明を受けて
ロボットは頷きつつふむふむといった様子で
納得した様子。自然の流れを制御するという意味合いでは
あまり科学も魔法も変わらないのではないか。

「衛星を利用したGPSもこう建物の中だと活用し難い。」

屋外ならまだしも屋内に関しては前もって地図情報を
渡されていないとあまり満足に動く事が出来ない。
どうやら彼女が出口までの情報を与えてくれるようだが
その見返りとして提示した条件に機械は首を捻る。

「ありがとう。しかしその対価としてボクはキミが
帰るまで傍にいるだけでいいのか?」

付き合ってくれたらという内容の確認を行う。
身体の都合上、デスクワークは難しいが
限られた仕事ならば任せる事も出来るだろう。
何より対価として金銭や情報などの資源を要求しないのを
不思議がるのと同時に何より付き合ってもらうという事を
要求したのも不思議でたまらないようで
顔を傾けながら彼女の碧眼をじっと見つめていたことだろう。

萩野 満月 > 「そういうことだ、大体の奴は理論なんかなくたって感覚で曲げることが出来るけど、曲げられるものは限られるし、出来ない奴は感覚だけじゃどうしようもないからな。そういうのを理論立てて可能にするのが魔力操作学だ。」

こればっかりは育った環境にかなり左右される、早い段階で魔術が使えて曲げようとしても曲がらないという潜入感を持つ前に曲げようと思えば曲げられる自信が必要になってくる。
人間の潜入感や思い込みは表面上はどうにかなっても、一度根付いてしまったものを変えようとするのは難しいと続けてゆくだろうか。

「GPSって、ここはダンジョンでもなければ迷路でもないぞ。見た目はハイテクなのに融通が利かないんだな。」

ロボットからGPSや地図情報という言葉が出れば呆れたように息を吐き出し、確かに生徒達の活発な活動に伴って魔境といっても遜色ない部活棟だが、そんなご大層なものがなくては出られないほど複雑ではないと続けるだろうか。

ロボットの問いかけには何かすることがあればやっていてくれて構わないし、話し相手くらいにはなると続ける本心は怪異ではなかったにしろ、朝まで傍にいてくれるのなら何が来ようと怖いものはないだろう。

そんな打算が目的なのでそれ以上のものをロボットに求めるつもりはなく、不思議そうに見つめるロボットには恐怖心など感じていないんだろうと内心考え、部室にもどったらあのどうしようもないご都合主義の駄作映画を見せてみて、感想を聞きだすのも一興かも知れないと。

イチゴウ > 「ボクもまだまだ勉強が足りないようだ。」

一つ魔術学と言えどもそれは非常に多岐に渡る。
恐らくその数々は恐ろしい程の時間をかけ成熟されたものであり
学ぶのにも凄まじい時間がかかるだろう。
ただ魔術が難しいという事だけではなく彼女が言う
人間を根底から変える必要も出てくるだろうからだ。
しかしこのロボットの軽そうな台詞は
ほぼ時間が無限に存在する人工知能だからこそ
発せられる言葉なのだろう。

「なるほど、了解した。ではボクが出来る限りの
行動範囲でキミの要望を聞こう。」

そう言った背景には教師である彼女だからこそ
自身を悪用する可能性は低いと判断した事と
やはり借りを返すという考え方が対価と言う形で
根付いているからだ。

満月が自分のタイミングで部屋を出て戻ろうとすれば
彼女のぬいぐるみに混じって何食わぬ様子で付いていくだろう。
その後は彼女の話を聞いたり謎の映画を鑑賞して
機械的に論理的な感想を言ったりと
結構様々な経験をしたとか。

ご案内:「部室棟」から萩野 満月さんが去りました。
ご案内:「部室棟」からイチゴウさんが去りました。