2015/07/18 のログ
ご案内:「禁書庫」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
■谷蜂 檻葉 > 『それじゃあ一度注意の札かけてきますね。』
『すいませーん、遅れました―』
『奥の部屋への鍵誰が持ってるー?』
『うちの担当、こことあっちの方でいいんスよね?』
少し湿気ったような空気の中、生徒達の声がわいわいと響く。
『禁書庫の掃除』
本日。
図書委員の中でも、禁書庫を受け持つ許可を受けている図書委員が図書館に集まっていた。
目的は在庫の一部確認と、状態の確認である。
以前封印されている類のものが開放された件もあり、再確認の時期を早めたのだ。
その中に、檻葉の姿も混じっていた。
「ええと、じゃあ私は禁書庫区の入り口付近をやって後は誰か入ってこないかの監視ですね。」
『はい、じゃあ宜しくお願いします』
「はーい、気を付けてくださいね」
本の整理に気をつけるというのも変な話だが、禁書となるまでにピンからキリまでの理由があるわけで。 檻葉の想像の埒外のものだってあるかもしれないのだから、あまり間違ってもいない。
■谷蜂 檻葉 > 「それじゃ、私も作業しないと……。」
集まった他の委員と手分けをして、禁書庫の整理を始めていく――――
【禁書庫掃除中...】
■谷蜂 檻葉 > ピロン
「………メルマガ………?」
非倫理的な魔術に関する暗号化された魔術書の欄を目録と照らしあわせていた時
スマートフォンに着信音が静かに響く。
「迷惑メール設定もしてたよね?」
とりあえず、作業の手を少し止めてメールのアイコンをタップする。
可愛らしいカモメをデフォルメしたキャラクタがふわりと便箋を落としていく。
【from:母さん】転送:『 ××××町会報 』
「……………。」
タイトルには、自分のかつていた街の名前が載っていた。
こんなものを始めていた、とは思っていなかったがしかし何故このタイミングで転送なんてしてきたのだろうか?あまり、無駄なことをしない人だと思っていたのだけれど。
フリックでスクロールして流し読みをしていく。
……やはり、大した内容なんてない。
それも、本土から遠く離れた常世学園で思うことなんて――――
「えっ……?」
その、一番下。
普通なら其処に行き着く前に閉じるだろう小さな枠取りの中、山火事の鎮火について小さく書かれていた。街の人なら、それこそ読むまでもなく知っているから、だろう。内容は鎮火にあたってのその後の話が書かれていた。
まばたきも忘れてその内容を何度も何度も、見返す……。
■谷蜂 檻葉 > 『あっ! 檻葉さーん、手空いてたらちょっとダンボールと軍手持ってきてもらえますかー?』
「はーい! 直ぐ行きます。」
他の委員の要請にそれもすぐに引き戻されたが、その顔色は少し悪いままだった……。
【禁書庫整理中...】
■谷蜂 檻葉 > 【禁書庫整理中断...】
「―――こんな感じかな。」
おおよそ1時間ほどの整理を終え。
入り口まわりの比較的危険度の低いものが多い棚の目録を付け終え、一部の虫干しの準備を終える。
「檻葉、終わりましたー。 監視変わります。」
『どもーお疲れ様でーす。じゃあ僕はカウンターと交代してきますねー』
【図書館と禁書庫の境目にて、立ち番を始めた...】
ご案内:「禁書庫」に『室長補佐代理』さんが現れました。
■『室長補佐代理』 > 直後。
「よう」
その男は、現れた。
ザンバラ髪を棚引かせ。
汚泥の微笑を滲ませて。
柱のように、影をひいて、書架の狭間から谷蜂を見下ろす。
「久しぶりだな」
■谷蜂 檻葉 > 「うぉわぁっ!?」
唐突に、記憶からゆっくりと消失を計っていた男が現れ、ズザザと音を立てて数歩離れる。
幽霊か何かを見たかのような様子で、軽く跳ねた心臓を抑えながら息を整える。
ただ、今現在続行中で禁書庫には他の委員も多く
『檻葉さん? どうかしましたー?』
禁書庫奥から、他の委員に声をかけられ
「なんでもありませーーーん!!」
素早く、大声で返す。
「……お久しぶり、ですね。 えーと、『室長さん』?」
この人と会話しようとすると首が痛くなるな、と思いつつ見上げながら挨拶を返した。
■『室長補佐代理』 > 「室長補佐代理だ。久しぶりだな、谷蜂。ところで、図書館ってのはもうちょっと静かにする場所じゃねぇのか?」
大声を出した谷蜂にそう苦笑を漏らし、左肩だけを竦める。
相変わらず嵌められた銀の指輪が、鈍く輝く。
だが、それだけではない。男の手には緩く、一冊の本が握られている。
■谷蜂 檻葉 > 「あ、すみまs……って誰のせいだと思ってるんですか!」
ぬるっと現れないで下さいぬるっと!
そう言って青筋を立て、器用に息を潜めながら声を荒げる。
ともあれ、利用者が現れたという一般的な図式には変わらないので空咳をひとつ、用件を尋ねる。
「んんっ……それで、室長補佐代理さんは何か御用ですか? 禁書庫でしたら今委員会で整理の真っ最中なので少し待って欲しいんですけれど……。」
昼前には最奥側に向かっていった委員も一段落つける段取りだ。
その後も作業は続くが、出来る限りそれまでは待たせておきたい。
「返却……何かの研究資料でもお探しですか?」
チラ、とゆるく握られた本に視線を向ける。
■『室長補佐代理』 > 「大声を出したの谷蜂なんだから谷蜂のせいだろう? それはそうと、返却だ。前に借りた魔導書のな」
そういって、左手に持った本を掲げる。
随分前に借りていった本である。
「普通の図書委員じゃ取り合ってくれねぇんでな。そんなわけで頼んだ」
そういって、ずいっと差し出す。
■谷蜂 檻葉 > 「あぁ、あの時の。」
ポン、と手を打って頷く。
禁書庫付近行きのモノは、確かに一般の返却口に置かれては困る。
(一応その為の確認は毎日行われるが)
「では、確かにお預かりします。 御利用ありがとうございました。」
懐から灰色の指輪を取り出すと、それを嵌めてから受け取り、小さな手帳に何かメモを入れて禁書庫で作業中の委員を呼ぶ。
「すいませーん、禁書庫関係の返却今受けましたー!吉城さん呼んでもらえますかー!
……あ、ところでこれ何の本なんです?」
この質問には特に意味は無い。ただの、興味本位だ。
■『室長補佐代理』 > 「悪魔学に関する本だ。苦労したなりの事は書いてあったよ。期待とはちょっと違ったけどな」
そういって、また肩を竦めて溜息をつく。
相変わらずの、滲むような不気味な笑み。
好感より先に嫌悪がくる笑みである。
「でだ。次の本もまた探したいんだがな……都合よく禁書整理の仕事中だし丁度いいだろう?」
そう、背を若干屈め、その目を覗き込んで……また、嗤う。
■谷蜂 檻葉 > あ、なんかまた悪そうなこと考えてそうな顔―――
なんかまた面倒事でも振ってくるのかなぁ。と考えた矢先にコレである。
「……っ、ぅぐ。 解りましたよ。それで何の本ですか?同じ悪魔学?」
深淵に覗き返されたようなゾワッとした感覚に少し仰け反りそうになりつつも職務は果たす。
―――書庫からやってきた吉城と呼ばれた委員は、室長補佐代理を見ると何かを察したような表情でさっさと受け取ると、走るとも劣らない速さの早足で禁書庫へ戻っていった。
■『室長補佐代理』 > 「察しがいいじゃねぇか。その通り。次もそれに関する書籍を探したい。出来れば、世間じゃあまり出回ってない類の奴をな」
書庫から駆けよってきた委員に一瞥だけを返して、嘆息する。
そして、改めて谷蜂の目を覗き込んで……また、じわりと瞳孔を細める
「残念ながら、協力してくれそうな奴も少ないようなんでな」
■谷蜂 檻葉 > (散髪でもして雰囲気変えればいいのに……)
それは見た目の印象が悪すぎる、とは言わずに軽く頬をかくだけに留めてカウンター側に手を振ってなかに入ることを知らせる。
手の開いている人が、禁書庫の入り口番をやってくれるだろう。
「……じゃ、行きましょうか」
行きたくないと顔にありありと出しながら先導する。
指輪を胸の前へ軽く掲げるようにして、進んでいく―――
■『室長補佐代理』 > 谷蜂の内心を知ってか知らずか、変わらぬ不気味な笑みで返す。
その糾弾するような視線もさらりと受け流し、先導されるままについていく。
棚の杜を抜け、移動書架の路線をまたぎ、先導されるがままにゆっくりと。
谷蜂の歩幅に合わせて歩いているためか、足音があわない。
歩幅が男の方が広いのだ。そのため、谷蜂が3歩進むたびに男は2歩進む。
異なる靴音が、不協和音となって図書館に響く。
「少しくらいは危ないもんでも構わない。なるべく禁書や焚書指定に近い奴を頼む」
■谷蜂 檻葉 > 「そのレベルになると、また別の管理レベルになってきますよ……?」
前方から視線を外し、軽く振り返ってげんなりとした返事を返す。
特に焚書指定一歩手前ともなると、図書館の管理側で魔術的・科学的防護下に置かれることになる。
言ってみれば、ちょっとした銀行の金庫、シェルターの類の中に放り込まれているものだってある。
―――興味本位だけで触れては困る、という”委員会側”の措置ではあるが。
「取り敢えず、ここの三段目右端。 向かい二段目2冊が悪魔学関連になります。」
不揃いに足を止めた場所は前回よりも更に数列奥に進んだ書架。
奥に行けば危険度が上がる、と単純な組み分けではないけれど的外れでもない。
判読難易度は上がるのは確かだが。
■『室長補佐代理』 > 「ならその時はまた厄介になろう」
そう、冗談ともつかない様子で男は返し、一歩踏み込む。
それだけで、左手の銀の指輪が輝き、ポケットに突っ込んだままの右腕が微かに動く。
男は、嗤う。
「なるほど、確かに厄介な書架らしい」
どこか、嬉しそうに。
「谷蜂。適当に表であまり出回ってない奴を見繕ってくれ。邦訳されてない奴でもかまわん」
■谷蜂 檻葉 > 「二冊纏まってるのはもう邦訳じゃありませんよ。
脇の閲覧机に電子辞書が置いてあるので必要なら使って下さいね。」
一冊は露語、もう一冊は所々日本語の注釈が挟まれているが蘭語で書かれており、残る最初に言った1冊も草書体で書かれているものである。
禁書庫の中程手前まで来ると、格は多少低くとも原典が多い。
そう言ってやれやれと溜息を付くと、言付け通りに次の書架へ向かった。
■『室長補佐代理』 > 「いいや、必要ない。どうせすぐ読めん」
そう言って、後ろからまたついていく。
谷蜂が三歩進むたびに二歩。書架を渡るたびに影も渡る。
薄暗い書架の間を進むたび、その背に伸びる柱のような男の体躯。その輪郭。
微かな明かりで伸長した少女の影に、男の容貌が重なる。
「借りて行って、家で読む。言語学堪能な人物に伝手があるんでな」
■谷蜂 檻葉 > 「……一応、五冊ですからね。貸出制限。」
次に檻葉が足を止めたのは、委員が少ない窓からわざわざ反射板で日光を経由させて虫干しをしている白いタオルケットが敷かれている一角。
「そこの、奥のがそうみたいですね。」
指さした先にあったのは虫干し待ちに閉じられた、隅に【邦訳】と刻印が打たれてはいるものの、確かな魔力を感じる写本。
他においてある本も、どれも確かな魔力や瘴気を備えた曰くつきのモノだらけではあるが。
よっと、と。敷かれた本を避けて更に進む。
中程を過ぎ、奥に虫干しの準備をしている委員の数が多く見えてきた。
中にはちょっとした防護服のようなものを着込んでいる委員も見え、厳重さが解る。
「……あー、あっちはまだ作業中か……」
こちらに気づいて会釈する委員に手を軽く振り返して検索を続ける。
■『室長補佐代理』 > 「一冊ずつにするから安心しろ。借りる本は魔導書だけじゃないからな」
じわりと、滲む汚泥を思わせる笑みを浮かべ、男も軽く会釈を返す。
相手の図書委員の反応を見ることもなく、そのまま谷蜂に続く。
瘴気を放つ本の傍を横切るたびに指輪が鈍く光を放つ。
そのまま、不用意に本を手に取りはせず、谷蜂が探すのを待つ。
ここは図書委員の管轄であり、いわば領土。
その図書……しかも禁書庫のそれともなれば、それは宝物も同然。
部外者が気安く触れるべきではない。
「見つかったらいってくれ」
■谷蜂 檻葉 > 「そう、なんですか?」
意外、といった表情で相手を見る。
律儀な男だとは思っていたが、評価は正しかったらしい。
適当な難癖でもつければ御飯も―――いや、見え透いた虎の尾を踏めば食い物になるのは自分だろうと邪な考えを振り払う。
「えと、奥の方は今日は作業しっぱなしなのでそこの棚が最後です。
………これと、これと……そこの一番上に置いてある赤い本とその二つ右のがそうです。」
順に、洋書風の薄い文庫本サイズのもの。少し擦り切れた表紙のハードカバーの中国伝来らしい西洋・中国・日本語の2重翻訳の図鑑風の書籍。毒々しい赤色の小さな辞典風の書籍に、紐で纏められた古紙に書かれた日本語のモノ。
先のものと合わせ、室長補佐代理が頼んだ【多少危険度があっても前回よりも格上のモノ】というオーダーは これで8冊を超えた。
この先の、更に難度・危険度を上げたものを探すのなら日を改める必要があるようだ。
■『室長補佐代理』 > 「課題で資料を探すこともあれば、単純に趣味で本をかりることもあるからな」
目を見合わせればまたそう嘯いて不気味な笑みを返し、紹介された本を一瞥すると、迷わず赤い本……洋書を手を伸ばす。
伸ばした左手は、谷蜂の頭の斜め上をそのまま横切り、本棚から本をとっていく。
その後、男は表紙をよく見て、また溜息を吐く。
「なるほど、読めん。まぁでも、借りるのはこれにしよう。谷蜂。手続きを頼む」
そういって、本を差し出した。
銀の指輪がまた鈍く輝き……その不気味な装飾……目を模したそれが、一瞬谷蜂を捉え、嗤うように細まる様に見えた。
■谷蜂 檻葉 > 「また、一番見た目の悪いの選ぶんですね……。」
うぇー。と、嫌そうな表情を一瞬見せて、手を伸ばす。そのまま受け取ろうとするのと同時に、指輪の【目】がこちらを見据えたかのような感覚を感じて、少し引ったくるようになってしまった。
「あっ!すみません……そ、その指輪、何なんですか……?」
少し乱暴にしてしまった事に直ぐ謝るが、しかし感じた感覚は嘘ではない。
用件も終わったので禁書庫出口に向かいながら、横に来るようにして並び歩きながら尋ねる。
■『室長補佐代理』 > 「ああ、気にしないで良い。コイツが悪さしたのがそもそもの原因だろうからな」
意味深にそう呟いてから、じわりと笑って左手を掲げ、指輪を見せる。
相変わらずの不気味な装飾だが、先ほどと違って動き出したりはしない。
「こいつは契約の指輪だ。悪魔との契約のな。見た目も悪いし、たまに悪さをするのが困りもんだ」
相変わらず歩幅を合わせながらそう嘯く。
三歩。二歩。三歩。二歩。
不規則なリズムが、不協和音になる。
■谷蜂 檻葉 > 「―――悪魔との契約、ですか。 それはまた、………。」
似合ってますね。 と反射的に言いそうになって口を閉じる。
いい意味ではないだろう、それは。
禁書庫に立っている委員に手振りで合図をして禁書庫から図書館へと戻る。
以前と同じようにして、貸出を行う本だけバーコードを読んで直接入力で手続きを終える。
「はい、これで貸出完了です。 前回は(まだ)一般魔導書でしたけど、今回は禁書指定なので取扱には気を付けてくださいね。又貸しとかすると、対応した人達が動きますから。 それと、貸出期間も短いので気を付けて下さい。1週間での返却です。 対応できる委員がいなければ委員会本部のほうで返却できるので委員会通りの方までお願いします。」
テキパキと、諸注意と禁書の貸出用の袋へ梱包を済ませる。
■谷蜂 檻葉 > 「……と、ちょうど昼交代か……私も出ますね。」
視線を図書館出口の方へ向ければ、交代の委員たちがぞろぞろとやってくるのが見えた。
「あっと、他の貸出は彼らに宜しくお願いしますね?」
そういって、図書委員の腕章を外して出口へ向かう。
禁書庫の方からも伸びをしながら委員が出てき始めて、やおら図書館が賑わい始めた……。
ご案内:「禁書庫」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
■『室長補佐代理』 > 「非力だったもんで、悪魔の力でも借りなきゃ、やってられなかったのさ」
そう、何でも無いように薄く笑って、諸注意を聞きながら図書を受け取る。
その時また、銀の指輪の装飾が……じわりと『嗤った』ような気がした。
「細かく悪いな。また、多分世話になる、その時は頼むぞ……ま、飯くらいは気が向いたらまた経費で奢ってやる」
そういって、男もまた去っていく。
高い靴音を響かせながら、ゆっくりと。
二歩。二歩。二歩。
しばらくそのリズムだったが、途中で一度笑みを零してからは、規則的なただの靴音にそれはかわった。
ご案内:「禁書庫」から『室長補佐代理』さんが去りました。