2015/07/26 のログ
■蒼穹 > (本を見ながらやや顔を顰める。
背に凭れる力は強くなるばかり。あんまり凭れかかると本棚ごと倒壊しそうな気がする。)
勝てば官軍。負ければ賊軍…ねぇ。
(こういった、英雄だのなんだのが語られる話は、美談としては結構だが、事実や歴史と書き換えられていることは多い。
んー、と大きく体を上に伸ばす。
俯いて読み続ければ人間の体には毒だ。
勇者だの英雄だのは、一つの御点もない様な完全無欠の存在で描かれるが…実際はどうか。
魔王だの暴君だのと呼ばれるような存在より、余程非道であることも多い。
もっとも、ただの物語にそういう難癖を付けて読むのはナンセンスなのだろうが。)
■蒼穹 > これ、借りてこっかな。
(さっさと帰らないと昼食の時間を逃しかねない。
まぁ、もう大方終わってしまったろうが何か口に入れたいとは思う。
適当に取った一冊を手に、入り口前の受付に持っていって。
貸し出しの手続きでもしたら、そろそろ戻ろうか。
授業サボって食事するってのもありと言えばありだが。)
ご案内:「図書館」から蒼穹さんが去りました。
ご案内:「禁書庫」にシャンティさんが現れました。
■シャンティ > カツ、カツ、カツ、カツ、カツ……
静寂を旨とする書庫に音が響く。
音の主はしかし、気兼ねなく音を立て歩く。
「ぁあ……此処に来るのも、久しぶり……だわぁ……ふふ」
かつて、まだ杖など必要としなかった頃。
図書委員としての仕事をしていた、ただの一本好きだった日々。
あの頃はただ、禁書、などという恐ろしげなものにはあまり興味はなく、管理の為に少し目を向ける……其の程度だった。
しかし、今は……
「ぁは……折角だからぁ……すこぉし、戴いて帰りましょうねぇ……っふふ、ふふふ……」
かつり……音が止まる。
彼女が立ったのは、禁書の中でも不穏な物が多い区画。
「それでは……お行儀は悪いけれど……すこぉし、立ち読み……なんて、ねぇ……」
書架から無作為に一冊を取り出し……ページをめくる。
■シャンティ > 「ぁあ……」
久しぶりに読む、本の感覚。
いや、本ならいつでも読んでいるが……ただの、世界を写し出すだけの本とは違う。
これは、知識の集まりだ。
懐かしくも、忘れていた感覚……
「そう……そう、ねぇ……本は、こういうもの、だったわよねぇ……」
いつの間に、自分はそんなことすら忘れていたのだろうか。
■シャンティ > ぱらり、ぱらり、ぱらり、ぱらり……
静寂の空間に、ただ頁をめくる音だけが響く。
白杖を手にした女は、ただ無心に本の頁をめくる。
貪るように、食い入るように。
まるで、飢えた獣の如くに。
ぱらり、ぱらり、ぱらり、ぱらり、ぱらり、ぱらり、ぱらり、ぱらり、ぱらり……………………
■シャンティ > ……ぱらり、ぱらり、ぱらり、ぱらり
「ふふふ……禁書……焚書……追いやられた、モノ……
まるで、なにかを思い出すよう、だわぁ……ふふ、ふふふふ………」
くす、くすくすくすくすくす……
静かな書架に静かな笑いが静かに響く。
「いずれ、あなたたちもぉ……陽の目を、見るのかしらぁ……?
それとも、焼かれて……灰になって、消えていく、のかしらねぇ……
ふふ……どちらでも、いいわぁ……あなた達を、私の記憶の中にぃ……囲いましょう……ね」
ご案内:「禁書庫」に浦見靜さんが現れました。
■シャンティ > 「……ぁあ……思えば……みんな、みぃんな……人の、記憶に刻んで……それぞれ、舞台を降りていったのねぇ……
ぁは……ふふふ……そう、ねぇ……そう、よねぇ……」
夢見るように、歌うように……
彼女は変わらず、呟く……
■浦見靜 > ”個人的な”必要から禁書庫に入って来た所
何やら話し声――まるで、誰かに語り掛けるかの様な――が聞こえたような気がして。
ああ、これが噂に聞く”侵入者”かと気付けば、
自分の保身を最優先に少しの間、音を潜め、後ろの本棚の陰から耳を欹てていた。
正義面した学生ならばその場を静かに出ていくまで。
不良学生や悪戯目的の生徒なら所定の機関に突き出すなり、或は弱みの一つでも握ってやろうと思っていたが
彼女の紡ぐ言葉はどうも、そうした類の連中と同じには思えず。
「…持出し希望って訳じゃ、無さそーっすね。お姉さん。」
暗がりから姿を現し、彼女の背中から語り掛ける。
■シャンティ > 「……………」
まるで声が聞こえなかったかのような、無反応。
本を閉じ、静かに書架に戻し……
『「…持出し希望って訳じゃ、無さそーっすね。お姉さん。」彼女はいう。』
「……あらぁ……そう、ねぇ……ちょぉっと、品定め……かしらぁ……
ふふ……立ち読みは、ダメだったかしらぁ……?」
ようやく気がついたかのように、言葉を返した。
■浦見靜 > 静かに反応を窺う。
流れる静寂が数分にも、数時間にも思える。
もう一度声を掛けようとしたところで、自分の言葉と重なるように同じ言葉を返す相手。
肩がびくり、と跳ねた。
――何も恐怖を感じかなったかと言われれば、嘘になる。
ただ、その反応からは恐怖にも増して好奇心が一層募り。
「…あは、まるで全部知ってる、みてーな言い方だ。預言者みてえな。」
不思議な女性を、神の言葉を預かる者に擬えて。
一応この場に存在する事を認められたと理解すれば、もう少しだけ歩みを詰める。
「あ、別にどっかに突き出そーってワケじゃ無いんで、安心して下さいな。
ただちょっと、お姉さんとお話してみたくなったっつか。」
にこり、と、敵意は無い事を示すように笑みを浮かべる。
誘い文句にしちゃヒドい言葉だ。と、内心自嘲を浮かべ。
■シャンティ > 『肩がびくり、と跳ねた。
「…あは、まるで全部知ってる、みてーな言い方だ。預言者みてえな。」』
まるで自分に恐怖を抱いているような反応。
しかし、その本当の心情までは――この本は伝えない。
欠陥だらけの、出来損ないの、役立たずと。
そうして打ち捨てられた、その因たる性能。
だから、私は予測を、推測を付け加えなければならない。
少なくとも……彼女は、そう。
おそらくは敵意はないのだろう……おそらくは。
「ふふ……それは買いかぶり、ねぇ……
私は、ただの……そう、ただの人にしか、過ぎないわよぉ……?
私に分かるのは、"今"だけ……」
だから、答える言葉はとても普通に。
自分は特別な人間ではない……そんな当たり前の事実を伝える。
「ふふ……何処かに突き出す……のだったら、怖かったわねぇ……
あなた、図書委員……?」
もう少し深く『読み込め』ば、分かるのかもしれないが……
それでは無粋だ。折角なのでこの言葉遊びを楽しもう。
彼女の言葉から予想されることを……口にする。
「まあ……どちらでも、いいのだけれど……ふふ、そう。私と、お話ぃ……?
別に、いいけれどぉ……なぁに、かしらぁ……?」
さて、こんな私に何を語ろうというのか。
さあ、あなたは何をどう演じるの? 貴女という人間を見せて。
■浦見靜 > 「…お見事。予知能力、或いは光速演算を用いた予知類似能力…ってトコですかね?お姉さん、レア物なんだ。」
再びの予見、めいた言葉。
授業で習った確認されている異能の例を挙げ、肩を竦めて見せる。
読めぬ相手から少しでもアドバンテージを奪おうという算段か、
或いは褒めて、認めて欲しいのか。
齢16の新入生の狭い見識ではそれが精一杯の理解だった。
相手の異能が特異な物である事など、分かりうる筈もない。
あくまで一般の世界で生きる、優等生の皮を被った小悪党に過ぎない。
「ええ、図書委員ですよ…一応ここの本の管理とか、任されてます。
けどお姉さんみたいのがちょくちょく入ってくるもんだから、
管理も何もあったもんじゃねーってのが最近の悩みでして。」
に、と、悪戯じみた笑みを浮かべる。
一応”後輩”に当たるのだろうか。
だが、此方は相手が元・図書委員で有った事は知らない。
相手に関する記録は、既に消されているのかもしれない。
尤も自分の就任前の環境に、さほど興味が無いということもあるが。
「お話…そう、お話だ。
…お姉さん、こいつらの事を分かってるみてーなカンジじゃないっすか。
ちょっと嬉しくなっちゃって。
…こいつらだって何もこんな薄暗い書庫に放り込まれる為に書かれたんじゃねーと思うし。
お姉さんが来てくれて、こいつらも喜んでんじゃないですかね。」
厭に饒舌だな、と、批判的に自分を見る自分の視線を感じながら
答えを待つ間、ふと、相手の傍らにある白杖に気付き。
「…アンタ、目が。」
見えないんだ、と、皆までは言わず。
■シャンティ > 「言ったでしょお……? 私は、普通の人……
ふふ、だって貴方……こんなところで、誰かを捕まえよう、なんて……
図書委員、くらいしかいないんじゃないのかしらぁ……?」
くすくすくす、と笑いながら指摘する。
必要以上に深読みをして怯える相手に、逆に面白くなってくる。
一般人、小市民……呼び方は様々あれど、そういう"当たり前"が此処にはある。
生きた、ナマの、生が此処にある。
「ふふ……私は、これでもぉ……本が好きな、図書委員……だったのよぉ……
まあ……今は、めっきり……こなくなっちゃったからぁ……書類の上では、どうなってるかは、知らないけれどぉ……
まあ……だから、かしらぁ……この子たちの、寂しさが分かるのは……?
あら、あらぁ……ふふ……貴女も、本が好き、なのねぇ……まあ、図書委員は大抵そうでしょうけれど……ね。」
相手の言葉に、くす、と笑って返す。
実際、この目から光を失って以来……此処に来たのは初めてだ。
そして、その間に自分の扱いがどうなっているかも、皆目見当はつかない。
ただ、昔の記憶で書庫に紛れ込むことは容易ではあった。
そもそも、ここは何故か妙に警備が手薄でいい加減なのだ。
「ふふ……ご想像に、お任せするわぁ……?」
目が見えないことは隠す気もないし、隠しようもない。
ただ、少しの意地悪。
目が見えぬ自分が此処でなにをしているか、なんて……さて、相手はどう思うのか。
■浦見靜 > 「普通…ですか。
こいつらに喚ばれる様な奴って、大抵どっか変わってるってのが俺の自説なんだけどな。
…アンタの事、もっと知りたくなってましたよ。」
視線だけで本棚に押し込められている"こいつら"を指し示す。
恐怖を通り越して、どこまで『彼女』の言葉に、存在に、自分が食いつけるのか。
自分を試すような気持ちが、強くなっていく。
盲目――の可能性がある彼女の目を、じっと見つめる。
おそらくこの行為に意味は無い。単なる気休めで、相手は人だというその事実の確認。
それだけに過ぎない。
「本好きなヤツってのは、見ただけで何となく分かりますよ。
…本は好きです。SFも、学術書も、魔術書も、古典も、あらゆる本には書かれた意味が有る。
書いたヤツの魂と知性が、血と肉みたいに本を造る。その肉や血は腐らない。
だからきっと、淋しさだって人間よりずっと、ずっと長く感じて…
……ねえ、名前、教えて下さいよ。調べときますから。」
熱が入りかける手前で、辛うじて自制すれば再び落ち着いたトーンで相手の名前を尋ねる。
データベースにアクセスすれば、相手の事も少しは分からないかと。
或いは先輩や、他の委員に尋ねるだとか。そんな事が出来るから。
「…そういう事、なんですよね。
飾りには見えねえんでね。アクセサリーにしちゃ悪趣味だ。
…けどアンタなら、こいつらの言ってる事、解るんでしょ。
どういう方法か、知らねーけど。
偶に来て、お喋りしてやって下さいな。なんなら外に連れ出してやってもいい。」
頭の後ろで手を組みながら俺は関知しないんでね。と、笑みを浮かべた。
■シャンティ > 「そう、ねぇ……この子たちは……禁書……焚書……
本来なら、外にでることも叶わない……そんな子たち、だものねぇ……ふふふ……
まるで、まるで……何かに、囚われた人たち……みたい……」
どこか、遠くを見るような視線は……いや、実際には何も見ていない其の目はしかし、本を慈しむように見ている。
「あら、あら……そんな、人を見ただけで分かる……貴女のほうが、よっぽど、預言者か何かのようだわぁ……
ふふ……あはは……そう、そうよねぇ……この子たちには、人の全てが、詰まっている……
古典には、過去の魂……SFには未来への夢……
学術書には血と汗……とても、とても愛おしいわぁ……」
ああ……再認識する。
私は、人が好きで、人の観察をするのが好きで……
だから、人の宿る本が好きなのだ……と。
「ふふ……そう、ね。別に、いいわよぉ……でも、貴方の名前も教えてねぇ……?
私は、シャンティ・シン。三年生……ねぇ。
"こう"なってしまってからは……すっかり、"不良"になって、しまったけれどぉ……ふふふふ。
そうねぇ……それじゃあ、不良らしく……借りて、いくかもしれないわぇ……ふふふふふ」
ああ……私に興味を持って、私を調べる、と。
さて、この名前だけで、どこまで調べられるか……
いや、おそらく最後の真実までは辿りつけないだろう。
もしこの子とまた縁があれば……其の時は教えてあげてもいいかもしれない。
いったい、どんな反応を示すのだろうか。
可笑しくなって可怪しくなっておかしくなって……くすくすくすくす、と笑う。
けれど、ああ……残念……時間が来てしまった。
「ああ……ごめんなさい、ねぇ……もう少し、お話……したいのだけれどぉ……
ちょぉっと……用事があるのよぉ……また、今度……ね?」
■浦見靜 > 「…こんな所に閉じ込める位なら、最初から集めなきゃいいのにって。そう思います。」
言いながら腕を下ろし、最も手近な本棚に歩み寄る。
伸ばした指先で本の背表紙に書かれた奇妙な記号だか、文字だかを撫でる。
中身は読めないし、読んだことも無いけれど。
預言者だとからかう調子の言葉には、思わず苦笑を浮かべて
「…お姉さん程じゃないです。俺ってばつまんねえ人間で。
学習に基づく単なる推察と考察ですよ。勉強は出来る方なんでね…
シンさん、ですか。俺は…」
言い掛けて、やめた。
自分の名前など、酷く下らない物だ。
それに相手も、先を急いでいるようなので。
むき出しの腕に僅か、爪を立てて。
「…俺、良く此処に居るんで。こいつらと一緒に待ってます。
また来て下さいね。」
笑みを浮かべてそれだけ言えば去って行く相手を見送って、自分も禁書庫での"作業"に戻る事にしよう。
■シャンティ > 「あらぁ……じゃあ、名前は、また今度……それじゃあ……ねぇ……?」
くすくす、と笑いながら……コツコツ、と……白杖の音を立てて、その場を去った
ご案内:「禁書庫」からシャンティさんが去りました。
■浦見靜 > 「…らしくねーなァ、もう。」
遠ざかる白杖の音。
舌打ち交じりに独り言を零せば結ばれた髪をかき上げ、ため息をつく。
さて、あまり時間はかけられない。ラップトップを開いて。
「…さあて、裏貸出作業と行きますか、ね。」
キーボードを叩きながら、作業に追われていく。
暫く禁書庫に入れなかったから、仕事は山積みだ。
明かりは付けず、物音一つ立てずに作業を推し進めるだろう。
ご案内:「禁書庫」から浦見靜さんが去りました。