2015/08/03 のログ
サリナ > 『こっち寄り』という表現は割と当たっているかもしれない。
半物質、つまり半霊体という事。完全な精神体だと物理的接触が不可能で、向こうの世界でも割りと不便するからだ。
私が本を手にした所でそれに気付いたということはよく見ている。

「なるほど…そう言っていただけて安心しました。てっきり本の中にまでついてくるものかと思いまして…… …」

彼が周囲を見回すので何かと思えば…ああ、そういう事か。

「たまにそういうのが居ますね。いざとなったらすぐにこっちに戻ってこれますから……でもありがとうございます」

魔王と名乗ったが、先程から見える所作で悪い人ではなさそうな感じだし、
過信している訳ではないが、ここは魔王という大船に乗ったつもりで任せてみるのもいいかもしれない。

「そういえば、名乗ってませんでしたね。私は一年のサリナ・イバルラ・アマビスカと申します。
 …それではギルゲイオスさん、少し頼みましたよ」

本を開いて顔を近づければ、紙の表面が揺らぐ水面のようになり、するりと吸い込まれるようにその中に入っていった。
外からは恐らく何か見えたりしないだろう。揺らぐ水面のような項がそこにあるだけだ。



「興味が惹かれるかもしれませんが、あまり顔を近づけないように…」

と、生身の方で言った。感覚の共有はしているので、生身も一応動かせる。目は瞑ったままだが。

ギルゲイオス > あとぶっちゃけた話、我がそっちまでついていくと、邪魔であろう?
素人がついていったとあっては、解読に余計手間がかかるであろうしな。
(魔王様、慎みの心。
その辺の書棚から軽めの一冊を取り出すと、机に置いて広げる。
題名『今晩のおかず』
内容は……火炎瓶やら身近な武器やら、どうやら反政府ゲリラの指南書らしい)

いきなり頭から齧られる、なんて事はないだろうがの。
悪戯位はされるかも知れぬ故、まぁ我が見ておくとする。
おーう、大船に乗った気で、しっかりと解読してくるがよい。
(視界の端でチラチラしている黒いネズミ、収束させた魔力の塊を弾き飛ばしてぶつけると、黒い霧となって。
また離れた所で、ネズミが浮かび上がる)

サリナ、であるか。
うむ、いってらっしゃーい。
(呑気に手を振り見送れば、その幽星体というものが本の中へと消えていく。
流石に、危険性からほんの中身を覗き見る訳にはいかないのだが)

……正直、ちょっと見たくあるのだがな
(好奇心をぐっと飲み込んで、『今晩のおかず』を長し見る。
さて、その後何かあったのか、滞りなく済んだのか。
何はともあれ、サリナが戻ってくれば、本の中で有った事を色々と聞く魔王様が居たことだろう。
それこそ、なついた子犬か何かの如く)

ご案内:「禁書庫」からサリナさんが去りました。
ご案内:「禁書庫」からギルゲイオスさんが去りました。
ご案内:「図書館」に『室長補佐代理』さんが現れました。
『室長補佐代理』 > 放課後。窓際から斜陽の差し込む夕暮れ時。
ザンバラ髪のその男は、眉間に皺を寄せながら、人目を避ける様に、隅の机で本を読んでいた。
机には、他にも何冊か本が積み上げられている。

『室長補佐代理』 > 傍目から一見すれば、深窓の読書家のように見えないでもない。
だが、よく見れば、男は少し頁を読み進めるたびに書を机に伏せ、眉間を解しては小難しい顔をして唸っている。
その有様は、お世辞にも書慣れた読書家とはいえない。
どちらかといえば、難解な書面に疑問符を浮かべ、途方に暮れる落第生のそれである。
余り読書が捗っているとはいえない。

『室長補佐代理』 > 諸々の都合により、男は右手が不自由である。
故に、眉間を解そうと思えばどうしても本から手を離し、読書を一時中断しなければならないのだが……お陰様で読書は全く捗らない。
だったら眉間になど頓着せず、手を伸ばさずに読書を続ければ良かろうと男自身も思っているのだが、それが出来れば苦労はないと心中にこれまた胸中の独白で返す。
痛痒を無視出来れば最初から鎮痛剤など生まれない。
別段そこに具体的な疼痛を感じているわけではないが、それでも、これはそれと同じことなのである。

『室長補佐代理』 > 大きく嘆息を漏らしながら書を机に放りだし、椅子に深く背を預ければ、まるでそれに抗議をするかの如く椅子が軋む。
図書館のソレともなれば、ロクに読書も嗜めない輩にはやはり一言物申したくもなるのだろうか。
だとすれば、その苦言は正しく妥当な言い分であり、こちらとしては反駁のしようもない。
もし椅子が口を利けるのなら、陳謝の一つもしなければならないだろうなと、男は一人、胸中で呟いた。

ご案内:「図書館」に乙訓 真織さんが現れました。
乙訓 真織 > 夕刻。沈みかける陽が眩しく、図書館を紅に染めていく。
数冊の本を抱えた長身の女子生徒が、男に近づいて来る。

「ここ、いいです?」
そう言って、男の目の前にある椅子を指させば小首を傾けた。

『室長補佐代理』 > 「あ?」

突如、影が落ちたと思い視線を向ければ、そこにいたのは長身の女子。
男も長身な方ではあるが、その男と概ね同程度の背丈がある。
つい、女子には珍しいその長躯にまじまじと目を向けてしまったが、即座に礼を失したことに気付き、軽く頭を下げて、席を勧める。
  
「あ、ああ……どうぞ」
 
本を退かして、机上のスペースを空ける。