2015/08/08 のログ
レイチェル > 「ま、召喚術ってのも一つ目星をつけただけで、実際は召喚術じゃないかもしれねーんだ。
 だから手当たり次第、まずは召喚術から調べてるっつー訳だ」
肩を竦める。実際問題、ヒントの欠片でも転がってないかと思ったが、何も拾えなかったのが
現状である。

「そいつの使ってた魔術ないし召喚術が、この世界の系統のものか、はたまた別の世界の系統の
 ものかも見当がついてねー状態なんだ。だからまぁ、少しでも手がかりが見つかればと思って
 ここに来たが、なかなか、な」
ふぅ、と一つ溜息をつくレイチェル。

「いや、ここの出身じゃねぇよ。別の世界だ。ただ、『全ての蜘蛛を支配する者』については
 知らない訳じゃねぇ。専門って訳じゃねーがな」
別の本棚を、今度は眺め始める。

美東暦 > 「そっか~~なるほどな~~~。 そりゃ簡単には上手くいかねーよな。
オレは別にそーいうのはしね~けど、魔術戦って準備が命だろうしなー。
風紀や公安は命張ってるから大変だよな~~~~~~~。
ま、ここに居た時間としては先輩だし、どんどん手ぇ使わせていーんだぜ?」
激励というには中途半端。
だが務めのためにこうして調べ物を続けるレイチェルを微笑で見る。

「ま、ほら、こうしてることがさー、後で違うことに役立つこともあるかもよ?
一段一段登ったものは、無駄にはならねーさ」
頑張ってくれよな、とため息にかぶせる。

「あ、そうなんだ? マレビトかぁ~~~だからマント持ってんのか~~いいな~~~」
そして未だ微妙に諦めていない。

レイチェル > 「そうだ。まぁこういう地味な仕事が捜査ってもんだからな。にしたって今回は色々情報が少ねーけど」
自嘲するように笑って、背表紙にすう、と細い指を添えて撫でながら。

「申し出は実際、ありがてぇよ。だが、まぁ目星がなかなかつけられてないこともあってな。
 実は糸を召喚するだけじゃなくて、ゴーレムやらスケルトンやら……あぁ、こいつらなんかは
 操霊術、死霊術の観点から見れば初歩的なもんなんだろーが、他にもネクロマンサーやら龍やら、
 そんなものまで呼び出していたらしいからな。全く、頭が痛いぜ」
数冊、ピックアップして再び小脇に抱えて、机の上へと置いていく。

「まぁ、将来役に立つかもしれねーのは否定できねぇな。お前の言う通りだ。ま、励ましてくれて
 ありがとよ」
背中を向けたまま、手をひらひらとさせて応えるレイチェル。

「諦めろって」
未だに羨ましがる背後の美東に向けて、淡々と言い放つレイチェルであった。

美東暦 > 「ん~~~~~~~~…そうだなぁ~~~~~~…」
レイチェルの話す相手にしばらく軽くうなった。
「ま、どんな風紀違反を取り締まらなきゃいけないのかーとかは聞かないけどさ。
もちろん、そういう違反者の対策をこうして調べるのは、スゲーいいことだと思うけど」

「魔術なら魔術で、そーいうのが得意なやつ風紀委員には当然いるんだろ?
ムズカシーことは、そうやって周りを頼るのもいいんじゃねーかな。
オレもたいがいなーんもできねーヤツだから、こーやってられるまで結構周りには色々頼ったし」
アドバイスというよりは自分一人でうんうんと頷いて。

諦めろの言葉にはーと息を吐いた。
頭を切り替えるように振ると
「死霊術かぁ。 昔そういうのを使うヤツが知り合いにいたけど…」
言葉を続けながら、ふと思い立って立ち上がる。
顎に人差し指をあてながら、書棚をするすると行き来し、いくつから本の背をくいと引っ張っていく。

レイチェル > 「居るには居るが、皆、色々追われててな。幸い魔術書は読めるには読めるんでな、完璧とは言えないとはいえ
 、だ。だから、まぁこうしてオレが調べてるっつー訳だ」
そう言って、古めかしい本を一冊、また一冊と。
メモをとりながらまた積み重ねていく。

「ただまぁ、隙を見てそういう奴らにもまた聞いてみてもいいかもしれねーな。灯台下暗し、なんてよく
 言ったもんだ」
一人でうんうん頷いているその言葉も、アドバイスと受け取ったのか、レイチェルはそう答えた。
粗野に見えて意外と素直な性格らしい。

「へぇ、死霊術師の友人。オレは……私的な理由で死霊術師は友人に持ちたくねーな」
これまでに出会った陰湿でねちっこい死霊術師達を思い浮かべて、レイチェルは頭を抱えた。

美東暦 > 「別に友人とは言ってないぞぉ~~~」
と言って笑い、机へと戻る。
数冊取り出した本をレイチェルが積んだ横へ置いた。

「役に立つかはわかんねーけど。
そーいう系統でちょうどいいんじゃねーかなー?みたいなやつ、ちょっとだけな。
期待はあんまりしないでくれると嬉しいけどー、ほら、別にオレも魔術師ってわけじゃねーから」

そうして自分の席に戻って、机においた端末が光とともに震えた。
「あっ、なんだよ…読みそびれたな」
零して携帯端末ごと先ほど置いた本を手に取る。

「バイト先からの呼び出しだ。 ははは、わっけてた。
それじゃ頑張りたまえよ~~~後輩!」
メガネを外して他のものとまとめて持った。
レイチェルの返事も聞かず、あわただしくその場を去る。

ご案内:「禁書庫」から美東暦さんが去りました。
レイチェル > 「ただの知り合いか、なるほど。こいつは早とちりだったな、悪ぃ悪ぃ」
しきりに書物に記された文章に目を通しながら、背後からの声に適当に手を
ひらひらとさせながら返す。

「いや、助かるぜ。何たって『先輩』からのオススメだもんな?
 ありがたく受け取っとくとするさ」
そう言って、横へ置かれた数冊の本を手元に引き寄せた。


「あいよ、さんきゅー、ってとこだ」
礼を言って、改めて手を挙げ別れの挨拶とする。

それからまた少しの間、レイチェルは書物の山と格闘していたことだろう――。

ご案内:「禁書庫」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「図書館」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > 暑さがピークを越えた夕刻、華奢な少女が図書館に現れる。
貸出上限までハードカバーを借りた結果、魔術訓練などを削って読書に当てても返却期限ギリギリになってしまった。
如何に読書好きでも、そこまで集中力は続かないらしい。

「すみません、返却お願いします」

やや急ぎがちに返却カウンターに向かい、何とか返却期限内にカウンターに返却する事が出来た。

美澄 蘭 > 魔術と技術文明が共存する異世界出身者の著書を読み、それらから得た情報を元に祖父に話を聞いてみたが…やはり、母方の祖母の出身世界を特定するには至らなかった。

『あの頃は大変だったんだよ。これからの話をするだけで精一杯でなぁ…』

結局、祖母の出身世界の事について話が出来たのは、言語の解析ついでに最初に少ししたのと、祖母の晩年の頃くらいだったのだと、祖父はため息混じりに語った。
それでも、今まで聞いた話より少し詳しい話が出来た。

街の外には少なくない魔物がいて、たまに街の住民の脅威となるため、その討伐が祖母の元の世界での主な仕事だった事。
(そのためかは不明だが、祖母はさほど家事が得意ではなかったらしい)
人間と敵対的関係にない知的異種族の話は特に聞かなかった事。
そして…蘭が祖母から片方だけ受け継いだ「淡い空色の瞳」は、元の世界でも特別なものだったらしい事。

『結局、意味までは聞かなかったんだよなぁ…
イーリスの魔力が特別で、心が目の色と同じように澄んでいて…それで十分だったもんでな』

ナチュラルに惚気る祖父だったが、その声が寂しさを伴っていて、蘭はただ頷くしか無かった。

美澄 蘭 > (っと…いけない)

いつまでももの寂しさにふけってもいられない。
蘭は小さく頭を振って気持ちを切り替えると、自習コーナーに向かった。

夏休み前の試験の成績は良好だったが、一部科目で発展レベルに到達出来なかった。
そのため、本の返却ついでに夏休みの間にその埋め合わせのための自習のつもりで来たのだ。

「新しい古文の文法のテキストも買ったし、これで少しは…」

ちなみに、今日はそういった教科の1つである古典の学習である。
英語は中学校の学習の延長で何とか出来たが、流石に古典は、それで追いつくのには限度があったのだった。

自習スペースの適当な席に腰掛ける。
試験前とは打って変わって人が少なく、静かだった。

美澄 蘭 > 蘭が学生通りの書店で購入してきたテキストは、大学入試対策用の古文の文法問題集だ。
解説、例題、練習問題という構成で、解説がそれなりに丁寧なので学びやすいが、練習問題のレベルは相応に高い。
中学校を卒業してさほど経たない学生が手を出すにはハードルが高いが…高校卒業相当の講義に何とか食らいついただけあって、蘭は解説を見ながらだが何とかこなしていく。

(夏休み中に…解説を見ないで大体解けるくらいにはなりたいわね)

そんな事を考えながら、かりかりとノートに問題を解いていく。時折、電子辞書で古文の語句を確認している。
(直に書き込むと解き直しに不都合が出るので、自習用ノートに解答を記入しているのだ)

美澄 蘭 > ある程度進めたところで、シャープペンシルの尻を顎に当て、微妙な表情をする。

「…文法もだけど、それ以上に語彙力ねー…授業で使う語句を調べるので手一杯だったから、問題を解こうとすると知らない言葉の方が多いかも」

シャープペンシルと軽く振りながら、今後の学習方針について思案する。
読解の問題集に手をつけるのは…文法の問題集を一通りこなしてからでないと辛そうだ。
…そうなると、何か単語帳を購入してマスターする、のが手っ取り早いだろうか。

(…いちいち引いて覚えるのは…覚えやすいけど、効率よくないものね。
今度買っておかないと…)

とりあえず、ここでの学習はきりのいいところで区切りをつけて、分からなかった語句は調べてメモをしておくことにした。

美澄 蘭 > 「………とりあえず、今日はこの辺かしら?」

助動詞の項目をある程度進めたところで、問題集を閉じて、自習スペースを片付け始める。
問題を解いた量はもちろんだが、それに付随する語句のメモも結構な量になっていた。

「…この問題集だけでも、分からなかった言葉がこんなに…
………頑張らないと」

夏休み。まだやれていない事も色々あるが、夏休み明けの授業についていくための努力も必要だ。

(…異邦人街、いい加減行ってみたいなぁ…)

そんな事を頭の隅でぼんやり考えつつ、蘭は図書館を後にした。

ご案内:「図書館」から美澄 蘭さんが去りました。