2015/08/11 のログ
ご案内:「禁書庫」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > さまざまな魔力の流れと、黴や埃の不快な臭い。
綺麗に整備された図書館とは違い、ここは居心地の良い場所とは言い難い。

棚に並ぶ本や、床に積まれた本の1冊を取っても、下手をすれば一国が傾くような代物である。
……そのわりには、管理が杜撰なのだが。

獅南蒼二 > 今日も今日とて、入口の扉は開け放たれている。
ここの扉を開くことのできるのは、許可を受けた教員や一部の生徒だけである。
彼らは細心の注意を払い、常に危機感をもって管理にあたっているはずなのだが……。

「…………。」

あろうことか、白衣の男はこの火気厳禁な空間で煙草を吹かし、まるで雑誌を立ち読みしているかのように、禁書をのんびりと眺めていた。
読んでいる本は賢者の石の生成に関する本である。
それをまるで、週刊誌でも読んでいるかのように、読み進めている。

貴方がまともな感性と魔術的な知識を有していれば、それはもう、あり得ない光景であろう。

ご案内:「禁書庫」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > 賢者の石は、文献によって様々な形態、性質をもっている。
それは、各地の錬金術師が独自に研究した、全く異なる物質を、それぞれに【賢者の石】として記述したことに起因している。

金を生成する触媒としての賢者の石、不老不死の薬としての賢者の石、無尽蔵の魔力を有する魔石としての賢者の石……これでもまだ一例に過ぎない。
白衣の男が探しているのは、前述の3番目、魔石としての賢者の石であった。

獅南蒼二 > 何冊かの本をめくり、男はページをめくる手を止めた。
そこに記されているのは比較的新しい研究であり、

「人間が材料というのも面白いものだな……。」

非人道的な恐ろしい実験の成果が、記されていた。
だが、それを見たこの白衣の男は、苦笑を浮かべていた。
敢えて「生きた人間」を使う理由とは何だろうか。
生物の持つエネルギーを材料とするのなら、動物でも問題はない。
内包された魔力が必要なのだとすれば、魔獣や魔導生物が山のように存在する。
呪術的な意味合いをもつのであれば、「生きた人間」というだけでは不十分である。

ご案内:「禁書庫」にマティアスさんが現れました。
マティアス > 「心、が必要なんでしょうね」

(ひょい、とどこからともなく現れ、タバコをふかす顔を見上げながら言う、
島の外にいた頃から個人的に興味があり、彼の受け持つ【教室】にこそ所属していないが、それ以外の授業にはちょくちょく出ている、
内容は難解だか、付いていけないレベルではないし興味深い内容でもあるので個人的にはこの教師は好きだ)

「何してるんですか獅南先生、ここは禁煙ですよ?」

(それはともかく、禁書庫でタバコをふかすのはやめてほしいが)

獅南蒼二 > 思うに、この実験結果は信用に足るものではないのではないだろうか。
その不透明性を、禍々しい呪術的思考により……それらしく装飾しているに過ぎない。

生きている人間が材料だとすれば、例えば助かる見込みの無い重病人、死刑囚、材料はいくらでも工面できる。
そこに必然性は無い。
発想が貧困なのか、それとも宗教的な背景を有しているのか、検証や実証が不十分であり、恐らく、この代用品はいくらでもある。

「心か…では、動物は総じて心をもたないと?次の研究課題としては面白いかもしれんな。」

特に驚くこともなく、その言葉にそうとだけ返した。
それから、指摘された煙草を見せて……それを自分の腕に押し付けた。

「よく見ろ、魔力の疑似炎だ。ガソリンに押し付けても燃えんよ。」

火気は使って居ないが、規則違反かね?なんて、楽しげに笑う。

マティアス > 「では、”心”ではなく”知性とそれに付属する感情”と述べましょうか」

(そう答えながら、必要な禁書をひょいひょいと自分の腕に積んでいく、
中身は主に人体実験に関する本、それ以外にも医学書を数冊借りているらしく、
とてもじゃないが少年の細腕では持ちきれなさそうな量となっている)

「人はそこらの野生動物より貧弱になった代わりとして、知性と精神を発達させて来ましたから、
そこらへんのエネルギーが一部の魔術師には魅力的に映ったんでしょうねぇ、
あと、人間って人間を神格化したがりますから」

(そこまで言って、タバコの火にはやれやれと大袈裟に肩をすくめ)

「まあそうだろうなとは思ってましたけど……瓜田に履を納れず、紛らわしいことはやめてほしいですね」

獅南蒼二 > 「魔術学における感情や人間心理が重要であることは認めよう。
特に呪術的な側面から見ればその重要性は明らかだ。」

怨み、絶望、憎しみ、恐怖、強い感情には強いエネルギーが宿る。
だがそれは無尽蔵なものではなく、あまりにも不安定な要素でしかない。

「…強い感情を固定し定着させる。確かにこの悪魔の方法なら賢者の石は作り出せるだろう。
では、お前はそれを【必然】ととらえるか?
それとも、お前の言う【神格化】……つまりつまらん宗教の弊害ととらえるか?」

きっと、白衣の男は後者なのだろう。
人間に近い生き物も、知性をある程度備えた生き物もいる。代用品は必ず見つかるはずだ。

「魔術学を応用すれば、生活に様々な利便性をもたらす。
優秀なお前には…これも、そのうちのひとつだと思ってほしいものだな?」

相手の選ぶ本を横目に見ながら、まだ、それを咎めることも、理由を聞くこともしない。
だがきっと、この男はその1冊1冊の内容や危険性について、理解していることだろう。

マティアス > 「……随分と危険な方法だな、としか思えませんね」

「私からすれば、相当危険な業に見えますよ、人の情、それも”負の感情を糧にする”というのは、
一歩間違えれば呪いにはまり、場合によっては人の情のしがらみに絞め殺される、
……そうやって人の情に食い殺された魔術師、何人もいますから」

(まるで見てきたように、いや、見てきたからこそ語る、
確かに人の心は永久機関へと改造できるだけのポテンシャルを秘めている、
だからこそ、そのポテンシャルが自分に向けられないよう注意が必要なのだが__
その危険性を理解も察知もできずに死ぬ魔術師は、多い)

「まあ人の心なんぞ接し方によっては核にも地雷原にもなりますし……
頭が良い方法だとは思えない、なるべくやりたくない、が私の回答ですね」

(そう答えつつ、彼の言葉には対して興味も湧かず)

「そういう質の悪い悪戯に見える使い方は別に」

(と、普段やっているしょうもない悪戯を棚に上げながら言う)

獅南蒼二 > 相手の言葉に、白衣の男は肩をすくめて笑った。
「危険か・・・・・・そうだな、確かに危険だろう。
 だが彼らは全て“魔術師”に過ぎない・・・魔術が学問として成立する以前の話だ。
 学問としては黎明期に過ぎないが、我々はもはや彼らの経験領域の外へと到達している。」
視線をこの優秀な、しかし底の知れない生徒へと向けて・・・
「・・・危険だと思うのなら、それを制御するか、それとも安全な代用品を見つけるか。
 それこそが我々、現代の魔術学が求めるべきものだとは思わんか?」

・・・相手を試すように、どこか、値踏みするように、その目は僅かに細められる。

「研究とは試行錯誤の連続でしかない。
 猿は試したのか、イルカは、犬は、鯨はどうか。
 そして、強い感情を持たせるために如何なる手法を講じたのか。痛みか、飢えか、暑さや寒さ・・・・・・やりようは幾らでもある。」

そこまで言いきってから、先ほどの吸殻を携帯灰皿へと入れて・・・

「さて・・・人間を材料とする手法を危険と言う割に、お前の手にある本は随分と“人間”に関するものが多いように見受けられるが?」

マティアス > 「……へえ、それが成功すれば、魔術の歴史に深く刻まれることになるでしょう」

(投げかけられた言葉をゆっくりと噛み砕きながら、自分が言うべき言葉を考える、
この教師が危険思想へと簡単に転びやすい性質なのは分かった、
彼のような性質の人間が取る行動も、その末路も飽きるほどに見てきている、
巻き込まれたくはないし、なるべく距離感を大切に接したい相手だ)

「……ま、”先人”として忠告しておきますと、そういう実験の末路は中々に悲惨ですよ、
たとえ実験対象を動物に切り替えたとしても、動物だって強い感情を抱けるし、人を呪い殺せる、
__犬神を操る呪法なんて、その典型的例ですね、代用品とやらも制御できるかどうか」

「あらゆる危険性を承知しても達成したいってなら止めませんけど、私も魔術師ですし」

(小心者めいた回答になったが、これでいい、マティアス・ベルンシュタインの根源は”臆病”なのだから、
臆病だから周囲を恐れ、身を守るために魔術の業に頼ったし、
臆病だから何十年何百年と生き汚く生きてこれた、
だからこそ、自分の根源を否定しない、恥もしない)

「……それに、これはただの資料ですから、今度の銀賞取得試験の参考にするだけです」

(私保健委員なんで、と適当にはぐらかしておく、
少なくともこの禁書に書かれているようなことはしない主義だ)

獅南蒼二 > 少年の言葉に、白衣の男は感心したように頷き・・・
「ははは、なるほど、確かにお前は優秀な魔術師だ。
 お前のような魔術師は長生きするだろうな・・・・・・何世紀生きたんだ?」
あくまで冗談じみた言葉と身振りで、しかしその視線はまっすぐに貴方を見た。

相手の言葉やその立ち振る舞い、そして思想から、ある程度の魔術的知識があれば、十分に予想できることだろう。
貴方は、人間の寿命を超えて、長い時間を生きている。

それから、本を棚に戻して・・・声の調子が変わる。“値踏み”は終わったのだろう。
「・・・すまんな、お前を試した。
 この程度の工夫であれば誰かが先行研究をしているさ。その文献が残って居ないという事は・・・お前の言うことが正しい。」

「だが・・・魔術はもはや擬似的な【心】をも作り出せる。
 錬金術や呪術的な発想から脱却し多方面へ目を向ければ、制御を必要としない材料を見つけるか、もしくは生成することが出来るかも知れんな。
 お前にとってはどうか分からんが、時間をかけてでもこれを作り出すのは・・・・・・私にとっては、面白い試みだ。」
彼の笑みを見れば分かるだろう、彼は目的を達するためには手段を選ばぬ非道の男ではなく、知的好奇心の塊のような男だ。
・・・恐らく彼は、悲惨な結果へと繋がる研究にも、手を出す事だろう。全ては知的好奇心を満たすため。
魔術師としては珍しいタイプかも知れない。変人扱いされるのも理解できるだろう。

「ははは、ここにある全ての本が【ただの資料】に過ぎんよ。
 それで、禁帯出本だが、持ち出しの許可は下りているのかね?」

扉を開け放っておきながらこの発言である。表情からも、半ばからかっているのが見て取れるだろう。

マティアス > 「__さあ? なんのことでしょう、”常世島での”私はただの14歳学生ですよ?」

(相手の冗談のような言葉には冗談のような言葉で返す、
まあ自分が相当長生きしていることは同類であれば簡単に察せる事だ、
重要なのは不老の原理であり、不老であることは重要ではない)

「……そうですか、なら別に止めませんよ」

(自分も同じ研究者だからこそ分かる、こういう人間は”止まらない”
知的好奇心のためなら地雷原を平気渡る人間なのだろう、止まるには知的好奇心を満たすか……死ぬかの二択、
なら、安全圏から出ない範囲で応援しておくのが最善だろう)

「大丈夫ですよ、許可は取ってます」

(先に借りる本のリストを見せたところ、内容が危険なだけで妙な呪いは掛かっていないタイプの本らしく、
普段から優等生として振る舞っているのもあって許可はアッサリ降りた、
……ザル警備とはいえ無許可で借りる気はない)

獅南蒼二 > 「ほぉ・・・つまり、お前は“別の顔”を持っているということか。」
一見しただけでその原理を理解するには至らない。
だが、相手の言葉から推察するに、少年は別の顔をも持っている。
少年は慎重だが“一日の長”を有するという慢心がある・・・そう仮定すれば、彼の失言は十分な判断材料になるだろう。

さて、少年は魔術への十分な知識と、それからそれを活用するだけの技能、そして経験を有する。
さらに、恐らくこの少年もまた“魔術”に傾倒している。
「今はまだ、別の研究で忙しい・・・呪い殺されるのはもう少し先になりそうだ。
 それよりも、魔石などの触媒を使わず、魔力を貯蔵するために“結晶化”する手法を探しているんだが・・・・・・優秀な魔術師様に、ご助言を賜っても?」
そう判断したか、男はそう切り出した。
賢者の石の情報を集めていたのも、もしかすると、こちらが主目的だったのかも知れない。

「それは残念だ・・・許可証を売りつけてやろうと思ったんだがな。」
肩をすくめて笑う白衣の男・・・・・・この男なら、やりかねない。

マティアス > 「はっはっは、まあ色々と」

(東雲神永やオリフィエル・コーネインといった有名所以外にも、大量の戸籍や顔を使い分け演じているが、
そこらへんは一応秘密だ、適当にはぐらかしておく)

「えー……魔力の結晶化ですか、すみません、ぶっちゃけ専門外です」

(扱っているのは魔力の効率化やコントロールの改良であり、
魔力そのものを「貯める」ということには興味が薄い、
まあここで専門外と答えるだけなのもアレなので、とりあえず思いついた案を言ってみる)

「龍脈の要に魔力を吸着し固体化する物体を置いて、その物体から結晶化した魔力を剥ぎ取る、とか
……いや、この方法だと時間も費用も掛かりすぎますね」

(そもそも常世島でそんな長期的に龍脈を確保できるのか、
やはり専門外のことに口出しすべきではないな、と考える)

「いや……なんか法外なお値段で売られそうなのでいいです」

(魔術師、特に研究者というのは大概研究資金に困っているのが多いし、
ふっかけてくる者も多い、そう適当にあしらっておく)

「それじゃ、私はそろそろ帰りますんで、先生も死なない程度に頑張ってくださーい」

(とりあえず用件は果たしているし、さっさと帰って予習しようと立ち去るのだった)

ご案内:「禁書庫」からマティアスさんが去りました。
獅南蒼二 > 「・・・御互いに、碌な死に方はしなそうだなぁ。」
少年の表情や言葉である程度察したのだろう、肩を竦めて笑った。
恐らくあれだけ慎重な男だ・・・保険は多重にかけてあるのだろう。

「なるほどな・・・魔力を吸収し固体化する物質か。
 術式そのものではなく触媒を“固定化”するものに変更すれば・・・なるほど・・・。」
少年の言葉から、男は何かを思いついたらしい。小さく頷けば、手帳に何事かメモを書き込んだ。
「・・・だいぶ漠然とはしているが、良い助言だ。感謝する。
 お前もだ、死なない程度に立ち回ることだな・・・・・・その点に関しては、熟練しているのだろうが。」
本を持って出て行く相手を見送れば・・・・・・視線は、周囲を見回す。
魔術師は監視用の術式を残して行くこともある・・・万が一、ということも考えた。

獅南蒼二 > 男は別の棚へと足を向ける。
魔力の固定化と物質化、これを術式を用いずに行うにはどのような素材が必要なのか。
そして高効率の物質化と長期の保存を達成するにはどのような手法を用いるべきか。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

誰も居なくなれば、男はまた煙草を吹かし始めた。
本棚を眺めながら、ゆっくりと、歩く。
相変わらず、禁書庫の入り口は開いたままだ・・・・・・この男は、敢えてそのままにしていた。
先ほどの少年のように、この場所へ足を踏み入れるような人物は研究の助けになることもある。
さらに、学ぶ意欲があるにも関わらずここに足を踏み入れられない学生にも、チャンスを与える事ができる。

尤も、そういった人物こそ先ほどの少年の言葉を借りれば“末路は中々に悲惨”になりかねないのだろうが。

ご案内:「禁書庫」から獅南蒼二さんが去りました。