2015/09/05 のログ
谷蜂 檻葉 > (こ、こいつ―――っ!)

憂鬱げな表情は真似っこ《こういった行為》を際だたせるためにわざとやっているのかというぐらいに。
シパーンと頭をひっぱたいてやりそうになる衝動を抑えながらプルプルと震える腕を反対の腕で止める。


「……そうするわ。」


忘れてなかったら、しばこう。


「そりゃあ、大抵の人はそうでしょうよ……。」

苦味を味わう、という言い回しはあるが苦いだけのものが好きな人間がいるのか。
―――世界中探せばいるのだろうけど。

「……あれ、ない? 人生に一度くらいパフェ食べきってみようって思う事。」

渡辺慧 > 苦味。
あのじんわりとした、ひどい苦味。味覚にあらず、味覚にあって。

こうしていることは……それにまた、繋がってしまうのだろうか。
――考えすぎであってほしい。浅慮だと嘲笑うべきだ。

だから、というわけではないし。
……多分、最初は好きではなかった、あのコーヒーの苦みは。

「苦味も、たまにいい」
「と言えれば。もう少し楽なのかもしれませんね」

苦味を思い出して。
苦味を握りつぶして。
――やっぱり、忘れられそうにない。目の前にいるっていうのに。
だからこそである、ともいうべきか。

「……ちょっと、やってみたくはありますが」
「後が怖い、ですしね」

ご案内:「図書館」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
谷蜂 檻葉 > 「……楽?」

”楽”しめる、とかじゃなくて?

彼との会話で何度か感じる、違和感。

会話は成立しているし、ボールは互いの間を飛んでいるのだけれど。
彼の投げる弾は、どこか少し『先』にまで飛んでいってしまっているような。

(……考え過ぎかな)

きっとそう、思春期の少年少女達がこぞって罹患するアレをまだ引きずって、少し変わった言い回しを好んでいるだけだろう。 きっとそう。深い意味は無い、はず。


「―――苦いのが駄目なら、甘いもので覆えばいいのよ。」

だから、私の言葉にも深い意味は無い。


「……よし。」


終えた勉強道具を片して立ち上がる。


「それじゃ、餡蜜やめてパフェにしよっか。 『橘』にもあったでしょ。」

渡辺慧 > 「……あ、えっと」
「――……美味しいものは、多い方がいい、ですもんね」

気づかない内に、意識をそこへもっていってしまう。
取り繕う。それが、一番、きっと。
軌道修正。後から、それが正しかった、となるならば。
その途中の軌道なんて。

だから、少しだけ彼女の顔を見て、笑った。

「……えぇ、そうかもですね」
あの時、コーヒーへ入れた、ミルクと砂糖の味を思い出して。
苦味なんて、もうなかったはずの、苦味。

「好きように。……こちらが指定したんじゃ、謝罪も何も」
「ないですしね」

谷蜂 檻葉 > 「――――――」


その、ようやく見せた笑みを見て。



「………なーんか、違う。」



ぽつりと呟いてしまったのは、何故だろうか。
もっとこう、猫っぽく……気ままに笑うほうが、この少年には似合う。そんな気がした。



「ああ、いいのよ? 指定しようが何しようが。 君の奢りなんだし。」

タダより以下略。

「って、今日は変な時間になっちゃうし、また連絡してからにしようか。」

時計を見ると、これからパフェを食べに。という時間ではない。
それなら別に普通に食事に行けばいいじゃないかという話だが、今日は同居人と料理をするつもりだ。

だから、と。 携帯を取り出して―――


「―――あれ? メルアド交換してたっけ。」


スクロールした先。


一番下の「わ」の字の項目に。
先立って渡辺慧の名前とメールアドレスが既に居座っていた。

渡辺慧 > ――――――。

痕跡が、消えたわけじゃなかった。
ただ、少しだけでも――消える前に残してしまった。
または――残せた。ひどく、稚拙なものだが、それは。

「……――えぇ」
「“以前”お会いした時に」

それは、ひどく苦/ /かった。

荷物を片付け始める。静寂、という言葉が似合うこの図書館に。
トントン、と。カチコチ、と。
秒針、時間は動いている。

「……じゃあ、連絡してください、奢られたい時に」

そう言いながら、席を立った。
これ、返しておきますね、と。
貸してもらった参考書を片手で持ちあげながら。

谷蜂 檻葉 > 「以前……?」

さて、この少年は何時の私を指して言っているのやら。
確かめようがない事を聞いても仕様がない。そう口ずさんで、意識から外す。


「ん、それじゃ。」


手を振って


「またね。」


そう言いながら図書館を後にした少女の笑みは、
人である時も妖精であるときも、今こうして別の何かになっても、変わらない。

ご案内:「図書館」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
渡辺慧 > 「ボケるにはまだ早いですよ」

そう嘯いて。

去りゆく彼女を背にし。

「……また。……か」

“友達だった人”“友達”
この名称は、誰にとっての――。

参考書を戻しながら。
ごめんなさい。……宙に向けて呟いた。

ご案内:「図書館」から渡辺慧さんが去りました。
ご案内:「禁書庫」に猫谷凛さんが現れました。
猫谷凛 > 「~~♪」

鼻歌を歌いながら堂々と廊下を歩き曲がり角を曲がる
階段を下りて登ってを繰り返しやっとの事目的の場所に到着する

「こちらブラックキャット、これより任務を開始する……
って、遊んでる場合でもないにゃぁ」

想像よりもお粗末な鍵のかかった扉
この程度ならすぐに開けられる…

猫谷凛 > 「よし…♪」

あわてず騒がず静かに扉の中に入る
扉を閉じて部屋の中の気配を探る…どうやら自分以外には誰も
居ないようでホッと一息

「思ったよりもチョロかったにゃぁ♪」

気が緩み声を出す
聞き耳でも立てられていないと外には聞こえないだろう
周囲を見回せばこちらを圧倒するかのように並ぶ本棚と

猫谷凛 > 「何か見た事ない本がいっぱいにゃぁ…古臭くてセンス無しにゃぁ。」

ペンライトを取り出し先を照らす
薄暗い部屋にこれでもかと並ぶ本棚、そして奥の方では何だか空気まで変わっている気がする
本当に君が悪い

「それにバレたら大変にゃ…」

もしもの時を考え身震いする
学園への不法侵入に加え金書庫への侵入
こんな場面をもし噂に名高い公安にでも見つかれば…

猫谷凛 > 「ま、まぁ?いきなりであってズドン!なんてないだろうし…大丈夫にゃ、うん。」

自分を鼓舞しながらゆっくりと歩き出す
手前の物より奥の物、重要な物はなんでも奥にあるとセオリーで決まっている

猫谷凛 > 暗い部屋の中を進んでいく
かなり歩いたがまだ最奥が見えない、ここだけかなりの広さなのかと首をかしげながら

「魔術…魔術…呪い?こっちは…ぅにゃぁ…何書いてんのか分かんないにゃぁ…」

何語?と思うような文字で書かれた物もいくつか見つけた
だがどれもこれも面白そうだが凄味が少ない
何かもっと面白そうな…一発でビビッとくるような本はない物かと辺りを探して回る

猫谷凛 > 「にゃ?」

歩く先に何か落ちている
よく見えずにペンライトで照らせば古ぼけた本が転がっている
暗い黄土色の本で表紙には皺が寄ったような模様

「もー、誰も掃除してないのにゃ?本を地面に置いとくなんて…」

管理が行き届いてないと愚痴を零し本を拾う
文字は何も書かれておらず妙に持った感触が手にフィットするぐらいで
他の本よりは普通に見える

猫谷凛 > 「うーん…漢字ばっかでよく分からないにゃ…」

開いてみれば中には様々な漢字、中国語が書き込まれており
何だこれはと首をかしげる
英語なら多少はともかく遥か昔の中国語等分かる筈もない

「んー…まぁでも落とされてたぐらいだし、貰っちゃっても良いにゃ♪」

勝手な理由で本を学園指定の鞄にしまう
これのおかげで学園内でも怪しまれずにある程度の荷物が運べる優れもの
それに加え学園の制服を着ていればもう帰り際の学生と言ってもどこもおかしくない

ご案内:「禁書庫」に雪谷 憂乃さんが現れました。
猫谷凛 > 「さてと…収穫も一様有ったし、後はスタコラサッサにゃ♪」

来た道を戻っていく
何故か進んだ時よりもずいぶん気が楽になった気がするが…
この部屋に馴れたのだろうと気にせず唯一の出入り口に向かう

雪谷 憂乃 > 気紛れだった。
この間、図書室にて怪異と鉢合わせたのもあって、禁書庫に、図書委員として踏み入れるのは、好奇心と言う名の、気紛れ。

「―――猫、でしょうか?」

にゃ、にゃ。なる言葉が、施錠が外された扉の向こう側から遠巻きに聞こえる。
普通より、聴覚が優れた種族だからかもしれない。人語も喋っている…?獣人?何を喋っているかは分からない。
もし、先客の彼女がそのスピードでこちら側―――引いては、禁書庫の扉を隔ててこちらに来るなら、
間もなく、正面からの鉢合わせとなる、かもしれない。

猫谷凛 > 「~~♪……?」

扉に近づき一応外の様子を伺う
普通は入室禁止の金書庫から出て誰かと鉢合わせなんてギャグ展開過ぎる
そんな一応扉に耳を当て外の様子を探れば…

(誰か…いるにゃ?)

うそん…そんな感情が湧き上がる
ここまでうまくいって最後の最後で壁が立ちふさがってきた
足音は動かない、という事はこの部屋の前で立ち止まっている

(こうなったら…)

慌てそうになるが必死に考え…扉を開ける
当然の様に、当たり前の様に。
自然な動作で扉を開ける

雪谷 憂乃 > 「―――」

開いた扉の向こう側、一体誰がいるだろうか。
ピタリと足を止めて扉の様を伺う。
施錠が外されているが、何もこれを疑ったわけではない。
禁書庫の警備は緩い。そもそも施錠さえされていない事だって往々にしてある。
当然の如く、開かれた扉に一言。

「お疲れ様です。」

何かもう、色々勘違いしかねない。というか、色々勘違いしている。

猫谷凛 > 「お疲れ様ですにゃ。禁書庫での怪異調査は無事終了、どこも異常ありませんにゃ♪」

ニコリと微笑み笑顔で答える
アカズキンちゃんから聞いた話を元にしたでっち上げ
だが今はこれしかない
いかにも一仕事終えたかのように自然に振る舞う
鍛え上げた営業スマイルで完璧な自然の笑顔を作る

雪谷 憂乃 > 「然様でしたか。」

作られた笑顔は、まるで本当に怪異調査を無事一人で終了してきたかのように見える。
腕章が付いてない事など些細な事であった。
といっても…。

「よく御無事で。それにしても、下級っぽい怪異も見当たりませんでしたか?」

禁書庫は、十分過ぎる程危険区域。
彼女は、書物の格好をした悪魔が束ねられたあの地に足を踏み入れて、良く帰って来れたものだと思った。

猫谷凛 > 「怪異…と言える物は何もありませんでしたにゃ。
少し空気が悪いだけで…後はほんの管理が少しあれだったにゃ。」

床に本が落ちてたにゃ、と付け足し何もなかったと答える
嘘は言っていないが必要以上も語らず、質問に答え
心の中では信じてもらえたことにガッツポーズをしている

雪谷 憂乃 > 「成程。…確かに、あそこはあまり手が付けられていませんからね。
本が落ちていたり、管理状態が悪い事は否めませんでしょう。」

空気が悪いと言うのもその通りか、魔術に耐性がないものが入ったら狂ってしまう事だってると言う。
平気で怪異が横行しているのだから整理整頓に迂闊に手も出せない。

「ところで。」

禁書庫について…引いてはお金に興味があったので、ついでに。

「禁書庫担当って、お給料良いんでしょうか。」

それとなく、聞いてみた。距離を詰めるでもなく、開けるでもなく。
まるで疑っている風もない。彼女を、図書委員か何かだと思っている様子。

猫谷凛 > 「まぁそれも仕方ないですかにゃ…」

入って見て分かったが、誰がここを好き好んで掃除するものか。
自分だったら絶対に断る、そんな事を考えていると

「え…まぁ、あまり大声では言えませんけど…こういう時は少し色が着いたりするにゃ♪」

聞き方によって様々な受け取り方ができる、そんな答えを返す
委員の内情まで詳しくない自分にできるのはこれが精一杯
そもそも学生なのに給料が出る事に若干嫉妬する始末

雪谷 憂乃 > 「…ふむ。」

あ、やっぱりか。お給料良さそうだし結構手馴れてそうだ。
確かに色が付くと言ったら何が何やらサッパリだが、誤魔化すには最適な答えだったのだろう。
その答えを聞けば、近く私も禁書庫担当に昇格したいと思う次第。

「あ、ありがとうございました。
お疲れ様です。…本日は、これでお終いですか?」

事もあろうに、彼女を横切って禁書庫の扉の前へと。
既に私の立ち位置は、彼女の前ではなく。彼女がこのまま頷き真っ直ぐ帰ってしまおうと、何ら不信感は抱くまい。
それに、異常なしと聞いたし…今なら、禁書庫に入りこんでも比較的大丈夫な様だ。
下級の怪異すら見当たらないのだそうだから。
薄暗い書庫の中を見遣る。暗澹たる空気、陰鬱な魔力…蜘蛛の巣でも張ってそうだ。