2015/09/21 のログ
ご案内:「図書館」に蒼穹さんが現れました。
蒼穹 > (夕方の図書室。今日は利用者が少なく、閑散としている。

真面目に学校に出てきて、真面目に授業に出て、そして真面目に小テストを受けて、

―――それから、真面目に玉砕、不合格を喰らった。
どうせ楽に単位が取れるだろうと思ってタカを括って受けた日本史の授業。
元々日本国に興味はあったし、和装めいたものも好みだったのだが、今では大いに後悔している。
何でも歴史マニアらしい教師の趣味で十七条憲法なるものの意味と番号をそれぞれ選択していくといった、
それはそれはどうでも良い小テストだったのだが、落ちた。

理由は簡単。如何に人外の脳味噌や思考回路を持っていたとしても、知らない事は答えられないから。
そんな社会に出てなんら役にも立たないテストを課してくるのだから本当に教師も色々居ると思う。)

………。

(で、まぁ何をしているかと言えば、不合格に向けられた課題。
ルーズリーフ一枚に十七条憲法まる映しして本日中に提出といった実に馬鹿げた内容だった。きっとあの教師の頭はおかしい。
だが、それ以上におかしいのはこの馬鹿気た小テストで不合格だったのは片手で数えられるだけしかいなかったと言う事。

以和爲貴、無忤爲宗。人皆有黨。亦少達者。以是、或不順君父。乍違于隣里。
然上和下睦、諧於論事、則事理自通。何事不成。)

せめてさぁ…公共語にしろよ―――ッッ!!!

(悲痛な叫びは図書館の静寂と白い目にかき消されよう。
漢字には微妙にしか親しみがない言語だったが、ここまでくると根をあげるレベル。
見たこともない怪奇的な、魔術的な詠唱文が並ぶ。いや、歴史の授業の筈なんだが、受ける授業を間違ったのだろうか。
そもそも「黨」って何だ、「黨」って。古代文字の仲間だろうか?)

蒼穹 > (腹立たし気に机を叩きながら、見慣れぬ古代文字の書き写しにいそしみ始める。
別にサボっても良いし、普段からサボリがデフォルトなのだが、捕まえられたかのようにこうして課題を仕向けられるのは、
嫌味っぽいとしか言いようがない。

取り敢えず最初の文字「以」は知っている。次の文字の「和」も分かる。…では問おう、次は一体何だろうか。
全く以って知らない様な言語を含んでいながら、知っている言葉も疎らに存在すると言う実に厭らしい状況。

それと、漢字と言う言語は須く画数が多い。
己には疲れという物がないので、手が疲れたりはしないのだが、人間に近しい感情を持っている以上、
億劫である、とか、面倒くさいと言う思いは出てくる。

いっそのこと図書館から抜け出して提出をすっぽかしてやろうかとも思うのだが、そうすると日本史の単位がピンチになるだろう。
日本史の授業なら、翻訳術式は使わなくともせめて日本語で喋って欲しいのだが。
暗記もしていないので、羅列された古代文字が何を意味するかは分からない。一体どんな魔法の詠唱文だと言うのか。)

…。

(ビッシリ、二行に分けてやっとこさ「一に曰く」の部分を書き終えた。もう少しペースアップした方がいいのかもしれない。

篤敬三寶。々々者佛法僧也。則四生之終歸、萬國之禁宗。何世何人、非貴是法。人鮮尤惡。能敎従之。其不歸三寶、何以直枉。

「々々者」って何だ、「々々者」って。確か「々」って漢字は前の漢字を繰り返すのに使われている筈なのだが。
己が知る日本語的感じ概念は、この古代文明の文章には一切合切通用しないのだろうか。
こんな文章を後十数個書かねばならないともなれば少々気が遠くなってくる。
歴史学の教科書と、二三行埋めただけのまだまっさらなルーズリーフを見比べて溜息。)

蒼穹 > (三つ目。
承詔必謹。君則天之。臣則地之。天覆臣載。四時順行、萬気得通。地欲天覆、則至懐耳。是以、君言臣承。上行下靡。故承詔必愼。不謹自敗。

今までのと比べれば何かマシな気がする。
分からない漢字はあるけれど、知っている字の方が多い。何となく言いたい事も分かる。
上行下靡とはつまり対比なのだろう。何の対比かは知らないけれど、多分そうだというのは予測がつく。
予測がついた所でこれまたどうということもないのだが。)

…やってらんない。

(ルーズリーフの四行目に差し掛かったところで、脱力気味な息。
さりげなく人外のスピードにて軽快に走らせていたペンを離した。
やる気が失せた、もう単位なんてどうでも良い。

群卿百寮、以禮爲本。其治民之本、要在禮乎、上不禮、而下非齊。
下無禮、以必有罪。是以、群臣禮有、位次不亂。百姓有禮、國家自治。

さて四つ目の文章は何を意味するのやら。最早どうでも良いのだが。
「禮」と言う漢字が頻繁に出てきている。付随している語訳があるが、読む気にもなれない。

「和をなによりも大切なものとし、いさかいをおこさぬことを根本としなさい。
人はグループをつくりたがり、悟りきった人格者は少ない。それだから、君主や父親のいうことにしたがわなかったり、近隣の人たちともうまくいかない。
しかし上の者も下の者も協調・親睦の気持ちをもって論議するなら、おのずからものごとの道理にかない、どんなことも成就するものだ。」

昔の日本と言う国の人間は一体何様の心算でこんな高説垂れたんだろうか。
悟りきった人格者なんて到底居るまい。もし居たとしても周りがそうと認める筈もなかろう。
…冷静に何を考えているんだろうか。ただの古代文字の映し書きをしていただけなのに。

一枚のルーズリーフを千切る。綺麗に、己が書き写した所と、余白部分を分断して。)

これでいいかな。

(その上半分を提出しよう。
「全部かいたんですが千切れてしまったんじゃないですかね」と言い訳すればいい。
歴史科の本を机に広げたまま図書館を後にする。)

ご案内:「図書館」から蒼穹さんが去りました。