2016/06/06 のログ
■東雲七生 > そんな妄想にも近い将来の展望を思い浮かべるのも止めにして、
掲げていた手をその場に下ろす。ソファで大きく欠伸をする様は大型のネコ科を思わせた。
ついでに傍らに置いた、図書室を出る時に持って来た本数冊のうち、一冊を手に取る。
「……恋愛心理、ってそんな本もあったんだな。」
ふと目について手に取った本、まだ表紙を開いてすらいない。
■東雲七生 > 人を好きになるって、どういう事なんだろう。
先日の告白を受けてから、ぼんやりとだが毎日の様に考えていたことだ。
その前に告白された時も、何となく思わなかった訳でもないのだが、
その直後に色々と自分の身に降りかかって来たのでそれどころではなくなっていた。
それを、先日の件で改めて思って、
さらに異邦人街の公園での友人との話で、もっとよく考えるべきと自分の中に位置づけた。
好きになる、とはどういう事なのだろう。と。
■東雲七生 > 自分が最初にそれを自覚したのは、したと思ったのは、
思い出すだけで少し胃が痛くなるのだけれど、
本当に、彼女らと同じものだったのだろうか。
「………」
ソファに深く体を沈めたまま、七生は手にした本の表紙を見つめる。
もし、自分がそうだと感じた物と、彼女らが感じているものが違ったとしたら。
どちらが真実なのだろうか。
「……う~ん……」
それを確かめる術は、今、七生の手の中には無い。
■東雲七生 > それでも懸命に頭を回転させる。
これでは全く休憩にならないことに気付いたのは、考え過ぎてこめかみのあたりが痛くなってからだった。
今の自分では、きっと彼女らの想いを慮ることすら傲慢だ、とすら思えてしまって、
「あーあー、やめやめ。考えれば考える程分かんねえもんな。」
ぶすー、と頬膨らませて、口を尖らせて。
手に持っていた本をまた、脇に退けてから目を閉じた。
■東雲七生 > ──そして七生が再び目を開けた時、すっかり空は夕暮に染まっていた。
ご案内:「休憩室」から東雲七生さんが去りました。