2016/07/24 のログ
ご案内:「図書館」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
谷蜂 檻葉 > 「―――――――。」

夏。

7月の終わり。

雨曇も何度か島を通り過ぎ、やがて快晴の日々の訪れが約束された夏の盛り。


「――――盛況、ね。 不本意に。」

図書館の賑わいは、そこそこな盛り上がりを見せていた。
それは知識の蔵庫としての深淵な理由ではなくではなく『避暑』という実に即物的な人気であったが。

谷蜂 檻葉 > 色々な―――苦労に引き換えて地味でパッとしない努力をせずとも、季節の移り変わりでこうして人がヤンヤヤンヤと来るというのは有り難いような、口にせずとも方向性のない嫉妬に近い感情があるような。

「あ、返却ですね。 ご利用ありがとうございました。 
 そうですね、来週には新刊も入る予定ですので是非またいらっしゃって下さい。」


それでもまぁ、委員としての仕事が目前にある事は一つの結果で。
やがてうっすらとした負の感情も覚えた時のように溶けるように消えていった。

ご案内:「図書館」に加賀見 初さんが現れました。
加賀見 初 > ひょこひょこ と独特の歩き方をしながら図書館に入る。
そのまま真っ直ぐにカウンターに向かい。

「返却をお願いしたいんだけど、いいかな?」

差し出されるハードカバー。
まぁ、中身は割と乙女な小説ではあるのだけれど。

谷蜂 檻葉 > また、ゆるりと視線を戻そうとした所で先の利用客の後ろに見えた姿に振り向き、
差し出された本を手に取ると、流れるような動作で返却操作を終えてそのまま返却箱に滑り落とす。

「はい、これでOKですよ加賀見さん。新刊まだ入荷してないですけど……番外編?スピンオフ?みたいなのを一昨日入荷してたって結城さんが言ってましたよ。 借りていきます?」

そうして、へらりとした意味深な笑みを浮かべて加賀見の目を見て微笑んだ。

加賀見 初 > 「おや、本当かい?だったら嬉しいね。
 それで番外編とかなら誰が主人公なんだろう?結城クンはもう読んだのだろうけれどキミは読んだのかい?」

目を見つめ返しながら、カウンターに肘を乗せて体を預ける。
ホットパンツなので後ろから見るとちょっとアレかもしれない。

なお 本日のTシャツは 瞬間排撃50Lv と描いてあったりする。

谷蜂 檻葉 > 「それがまだ読んでないんですよ。
 ええと、誰だったかな……表紙はメインにヤシロ君がアップで出てるんですけど、ほらクラスメイトの、なんて名前だっけな……。ヤシロ君の便利屋ポジの親友の視点で進んでくんです。

 今日の午前の交代の時に戻してもらったから、すぐ持ってこれますよ。」

そう言いながらも、既に立ち上がり後ろの書架の上の方へつま先立ちでフラフラと指を伸ばす。

「……、っ後ちょい……」

そうして、指先がかすめ―――スルリと落ちてきた本が綺麗に角を向けて谷蜂の頭に自由落下を始めた。

加賀見 初 > 「ああ、確かイブキだったかな、その親友の便利屋。
 もってきてくれるのはありがたいけれど、今日は他にも本を見ようと……」

大丈夫かな と見つめていた。
指先がかすめて本が重力と惹かれあってランデブーを開始するさまを見れば。

「危ない!!」

カウンター越しで、右足が欠けている自分では間に合わないと判断するも。
体は勝手に動いてカウンターを飛び越えて……庇うように覆うかもしれないし、間に合わずに間抜けが一人で飛び越えた先で転んでいるかもしれない。

谷蜂 檻葉 > 「アだッ…… ぎゃンっ?!」

緩りとした加速から相応の高さから落ちてきた本の角。
加賀見の反応は確かに早く素晴らしいものではあったが、僅か1メートル足らず。

そして何より―――身長は、檻葉の方が高いのだ。

鋭く突き刺さる本の角。
鋭く突き刺さる援護者の頭突き。

勢い余ったままに庇う体で背を押されて本棚に顔を叩きつけ、そうして今度こそ正しく庇う形で、
次々に本が雪崩撃つように蹲った檻葉に覆いかぶさる加賀見の上にその角を向けた。

加賀見 初 > 「……っ!!」

振ってくる本は正直、結構痛い。
辞書的なものがなかったのが救いといえば救いだろう。
ハードカバーはとても痛かったので顔はけっこう歪んだろうな、とちらりと考えた。

結果としては大惨事と言ってもいいんではないだろうか。
きっと無駄な怪我と仕事が増えたような気がする。

「……その……ごめん」

覆いかぶさっているので、耳元で囁くような感じになっただろうか。
それとも、顔の位置が直ぐそばなのかもしれない。

谷蜂 檻葉 > グイ、と。
ともあれ初撃を受けてからは加賀見が全て守りきり、谷蜂の被害は『最初の通り』で済んだのは確かだった。
ジンジンとした額の痛みと、鼻先までずれた眼鏡に顔をしかめながら片手で直して起き上がろうとしたその耳元。

『―――その…ごめん。』

吐息のように吹きかけられた謝罪に反射的に首が竦み。
ペタリと頬と頬がくっついて更に反射的に首が離れる。

……結果、棚の隅に頭をまたぶつける羽目になったのは果たしてどちらの責任だろうか。

「だ、大丈夫…… 、っ!!?
 
 ……とっ、取り敢えず慎重に退いて下さい……!ほ、本踏まないように注意してくださいね?!」


背におぶるような形で乗せた加賀見に、下を向いたまま早口で告げる。
耳は、どうにも赤らんでいた。

加賀見 初 > 「ボクなら大丈夫さ、うちの商品に比べたらまだ軽いし柔らかい……。
 もっともボクらよりは本の方が硬かったかもしれないけど」

大丈夫、という言葉も耳元で喋ってしまうのは仕方がない。
ゆっくりと本を傷めないように動こうとしているのだから。

「ボクのことよりも、谷蜂クンは大丈夫だったかい?
 被害を大きくしてしまったみたいだからね……その上で怪我でも増えていたら完全にボクの落ち度だ」

谷蜂 檻葉 > 「み、耳元で喋らないでぇえ…!!」

ぞわぞわ、ゾクゾク。
身を微かに震わせながら身体を縮こめる。

「大丈夫! 大丈夫ですから取り敢えず耳元で喋るの、く、擽ったいです…っ!」

とりあえず、加賀見がしっかりと退いてくれるまでは話すのは難しそうだ。

加賀見 初 > ちょっとだけ悪戯心が芽生えてきそう。
それなりに見知った仲ではあることだし、きっと許してくれるだろう うん。
ゆっくりと動きながら喉の調子を整えて……と。

「もうちょっとで退くから、我慢するんだよ檻葉クン」

取って置きのイケボを出して、耳に軽く口付けしてから退くとしよう。

谷蜂 檻葉 > 悪戯、としての耳元への愛撫。
ボディタッチにしては過激な。けれど決して冗談を通り抜けないその行為は―――

「~~~っ!!!」

至近距離から、誤魔化しようもなく朱に染まった頬の見えないまま。

後ろ向きの”ヘッドバット”を呼び込んだ。

加賀見 初 > 「あだっ!?」

実際に退くつもりではあったけれど、本を優先したこともある。
何より悪戯の結果として怒られるにしても離れてからだと思っていた。
鼻先に後頭部が突き刺さる。
たまらず、本の事は二の次になる感じで転がるように離れた。

「あたたたた。
 さすがに悪ふざけが過ぎたかな、すまないね谷蜂クン」

幸いにして鼻血やらは出てないようだけれど。

谷蜂 檻葉 > 「っそ、そーですよ!もうっ!!

 な、なんで急に謝ったかと思えばみ、み、耳噛んだりしてぇっ!
 お……怒りますよ!? 流石に私もっ!! ほら、本片付け……て……。」

怒ってますよ。
と、視覚的にもわかりやすく両手を上げて抗議する谷蜂。

……その周囲から、先の物音と騒ぎで生暖かい視線で囲まれていることに気づけばヘナヘナと萎んで真っ赤になったまま顔を覆って動かなくなってしまったが。


そうして動かない谷蜂の周りの本たちが、独りでに動くようにして一冊ずつとは言えフヨフヨと本棚に戻っていくのは噂に聞く彼女の『魔術』なのだろう。どうにも、動かない赤面少女と合わせてファンシーな光景だ。

加賀見 初 > 「謝ったのは本心だよ。
 ボクが勢いよく飛び込まなければ、本の雨は降らなかったろうからね」

申し訳なさそうに告げる。
しかし。

「ただ、同時に谷蜂クンが可愛くて悪戯したくなったのは改めて謝罪するよ。
 すまなかったね」
さすがに、ボクも少し恥ずかしかった とも付け足して。

本の場所はわからないので、集めて並べるくらいはしておこう。

「いつみてもすごいね、君の魔術は。
 とてもキミに似合ってる」

谷蜂 檻葉 > 暫く。
「うー」とも「う”ー」ともつかない不機嫌な猫の唸り声のような声を上げて機能停止に陥っていた谷蜂だが、やがてようやく僅かに落ち着いてきた様子で顔を上げると、ため息を付いて本に手を出し始める。

「可愛いって言ってもらえるのは嬉しいですけどっ、ほ、本当にやめてくださいね?
 あんまりその、スキンシップって慣れなくて……。」

本を戻すために振り向き、すぐパッと見返るようにして小動物チックな、不安げな視線で釘を刺す。

「似合ってる……か。

 うーん、もう少しこう、スマート、みたいな?
 そういうのが使いたいんですけ―― ぁ痛っ! ちょっともう、何す…あ、こら逃げるなっ!」

加賀見の言葉に、今度もまた微妙そうな表情で『カッコいいほうが』と言おうとしたその後頭部に
戻りかけていた本がゴツンと体当りして、手を伸ばす谷蜂をすり抜けてヒョイヒョイと何処かへと逃げ出してしまった。

加賀見 初 > やったね!檻葉ちゃん!!ファンが増えるよ!!
なんとなく不穏な気がする感想が脳裏をよぎったけれどスルーする事にした。

「ボクも最近まではあまりやっていなかったのだけれどね。
 スキンシップも相手の反応が返ってくるのが少し楽しいなと思い始めているところなんだ」

誤解を生みそうな発言をしつつ、本を纏めると立ち上がる。

「そうかい?あの子達は強くてカッコイイ、キミのナイトだとボクは思うよ。
 カッコイイのは方法じゃなくて、生き方さ って前にキミが進めてくれた本に書いてあったしね」

ライトなノベルだったかもしれない。

「ふふ、さてそれじゃあ片付いたみたいだしボクはそろそろ探しものをしてくるよ。
 その本と一緒に……さっき逃げ出した本を借りるつもりだからね」

谷蜂 檻葉 > 「…………。」

『この人は自分で何を言っているのかわかっていっているんだろうか。』
と言わんばかりの恐ろしい物を見るような目で息を呑む。

が、止まっている暇もない。 
そうこうしている間にも本はページの羽を広げてパタパタとコミカルに書架の間を飛び回り始めている。


「私のナイト……ね。
 ふふ、そう伝えてあげたらどんな反応するのかしら。」

加賀見の言葉に、軽く吹き出すようにしてウンウンと頷くと、
『捕まえてくる』という言葉に申し訳なさそうに頬をかいた。

「あ、えっと……ごめんなさい、それと、ありがとう加賀見さん。
 少し追ってあげれば勝手に止まって戻ってくるだろうから、付き合ってもらえるかしら。
 本の方は、取り置いておくから。」

加賀見 初 > 「どうかしたかい?」

理解してません。
スキンシップの対象は弟(仮)だし、意識してないだけかもしれませんが。

「魔術を覚えてないボクには、そうするしかないからね。
 すぐに戻ってくるつもりだけれど、取り置きには感謝しかないな。
 今度、差し入れで珈琲とクッキーでも用意してこよう」

爽やかにボーイッシュな笑顔を残して、ひょこひょこと歩いて本を追いかけていきました。

ご案内:「図書館」から加賀見 初さんが去りました。
谷蜂 檻葉 > それを見送る谷蜂の視線は、なんとも言えない困ったような、嬉しいような、疲れたような。


『こういうタイプ』の子の相手というのは随分と感情を揺り動かされるものだと、肩を落とすばかりだった。

ご案内:「図書館」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
ご案内:「図書館」に城 北風さんが現れました。
城 北風 > (夏休みを前に賑わう図書館。その一角に、分厚い本を積み上げて壁のように巡らせた机がある。)
(本の壁の中には一人の男子生徒が陣取り、積み上げた本を取り上げめくっては、何かをノートに書きつけている。)
(手元に広げているのは、乾いた泥のついた分厚いノート。学ランの袖で時折こすって汚れを拭いながら、真剣な顔で作業に没頭している。)

「………」

「…………腹が減ったな」

(ふと、言葉がこぼれる。昨日は丸一日実験に費やし、そのままほとんど眠らず食事も取らず、今日も朝早くから図書館に詰めている。)
(膨大な書き取りに比例し、疲労と眠気と空腹が押し寄せてきているのだ。)

城 北風 > 「……夏季休暇スケジュールになったら提出がいつになるかわからんからな……。
 なるべくなら今日のタイムスタンプをつけて提出したいところだが……」

(目頭をつまんで揉むようにしながら、深いため息をつく。)
(自主課題…個人で実施した調査・研究のレポートをしかるべき機関に提出すれば、出来のいいものに関しては買い取ってもらえる…)
(男子生徒はこの島での学園生活を、時にはそのような小遣い稼ぎ…小遣い程度の額にしかならないのだ…で食いつないでいるのだ。ある意味では一番の収入源といえる。)
(夏季休暇に入ってしまえば、教授たちも毎日学園に揃っているということはなくなるだろう。)
(下手をすれば一か月以上収入が途絶える。それだけは何としても避けたいと、男子生徒は死ぬ気で足掻いているのだった。)

城 北風 > (本の山の中で組んだ両手に額を押し付け、しばし休憩しながら考えを巡らせ)

「しまったな…少々研究を広げすぎた。これを畳むのはことだな…。
 仕方ない。二部に分けて構成しなおすか。今回は一部だけの提出にしよう…」

(げっそりとクマの浮いた顔に疲労を浮かべ、それでも作業の目途がついたことで、また手を動かし始める。)

「……ん?」

(本の山に手を伸ばし、背表紙を辿りながら、眉を顰める。)
(確かに積んだはずの本が見当たらないのだ。)

「おかしいな。誰かが持って行ったか……?
 やれやれ…不届き者め。その行いはすべからく神の目に届いておろう…」

(物騒なことをブツブツと呟きながら、億劫そうに席を立つ。大量の本を抱え込んでいることへの罪悪感はゼロのようだ。)
(どことなくふらついたような足取りで、実際にあちこち体をぶつけながら、返却棚へと足を向ける。)

城 北風 > 「おっ……と」

(踏み出した足に力が入らなかったのか、返却棚の手前で躓き、棚に両手をついて大きく揺らしてしまう。)
(大振りのしっかりした棚ではあるが、そこに並べられていた本の一部がどさどさと床に散らばってしまった。)

「………」

(男子生徒はどことなく気まずいような苦い顔をすると、フー、と大きくため息をつきながら床にしゃがんで本を拾い集める。)

「……見世物ではないぞ。」

(…周囲の人通りを牽制するのも忘れない。)

城 北風 > (やれやれ…と本を拾い集め、改めて背表紙を眺める。)

「……ない。
 くそ。誰かが持っているのか…?」

(書架とその間の座席を振り向き、目を細めて睨むような顔で生徒たちを眺め回す。)

「………はぁ。
 まぁ……ないならないで仕方ない…な。
 作業に戻るか……」

(腹を立てるのも疲れるらしく、苛立ちは長くは続かなかった。)
(やはりどこかおぼつかない足取りで、あちこちにぶつかりながらふらふらと自席へ戻る。)

城 北風 > (泥に汚れたノートに向かい、がりがりとペンを走らせる。)

(何度か腹の音を鳴らしながらも、男子生徒はレポートを書き上げて図書館を出て行った)

ご案内:「図書館」から城 北風さんが去りました。