2016/07/27 のログ
ご案内:「図書館」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
ご案内:「図書館」に加賀智 成臣さんが現れました。
■谷蜂 檻葉 > 時刻は夕方過ぎ。
ちょうど日が落ち、灯りを点す受付は二人。
「―――ねぇ、加賀智君。」
多くの時間、図書館での業務を単独でこなしている谷蜂にとって、珍しい事だった。
「背筋を伸ばせ、とは言わないけどもう少しシャンとしたらどうかしら?
避暑がてら本を読みに来てるそこのお爺様の方がまだ目がカッチリ開いてるわよ。」
苛立ちと、諦めが半々の、実に味のある顔でため息混じりに嫌味を吐いた。
■加賀智 成臣 > 「谷蜂さんがシャッキリしてるだけだと思いますねェ。羨ましいことで。
僕なんて冷房のせいで体ダルくてしょうがないんですから。」
加賀智の座った場所からは、暮れなずむ夕日の光が目に直撃する。
うっとおしげに目を細めたり逸したりしながら、貸出名簿のチェックをしている。
「僕も老後はあんなお爺さんになってみたいですねェ、なれませんけど。ヘッ。
……あー、頭が…」
相変わらず、顔色はやたらと悪い。土気色とも言える。
とはいえ、注意されて怒らせるのが嫌なのか、先程より多少は背筋がシャキッとした……
ような気がする。
■谷蜂 檻葉 > 「貴方と比較したら健康じゃないほうが見つからないと思うけどね。
……っていうか、入って真っ先にエアコン当たる所に座っておいて何言ってるのよ。
ほら、そこ直にあたって寒いわよ。 こっち座りなさい。」
愚痴る加賀智を軽く引っ張るようにして席を交代させる。
さっきから私は、制服が脱げずに暑いのだ。
「―――……お爺さんになれない、って自己紹介に『死ねない』って言ってたけど、どういう意味?」
加賀智のチェックし終えた名簿を受け取っては、貸出期日と照らしあわせてメモに赤ペンで追記を入れていく。
■加賀智 成臣 > 「そりゃごもっとも。僕より不健康な人なんて死人くらいじゃないですかね?なんちゃって。
……入った時は暑かったんですよ。少し涼んだら退こうと思ってたんですけど、貸出対応してる間に谷蜂さんが来て。
クーラーが寒すぎるから席替われなんて図々しいでしょ。」
変なところでネガティブ、かつ遠慮がちな男である。
のそのそと不健康そうに席を立ち、席を替えた。くっきりとクマがぶら下がった目をぱしぱしと瞬かせる。
「どういう意味も何も、そういう意味ですよ。説明するまでもないでしょ。
死ねないんですよ、僕ぁ。」
ふすー、と歯の隙間から重い溜息を吐き出し、椅子の背にもたれかかった。
くるくるとペンを回しながら、夕日に赤く染まった空を眺めている。
■谷蜂 檻葉 > 「冗談にもならないわね。
………。
いや、ならそんなガクガク寒そうに貧乏揺すりしながら我慢しないでよ。ソッチのほうが嫌だってば。」
肩を竦めて椅子を交代するとイソイソと風の当たる位置まで調整して、へにゃ。と、緩んだ顔になる。
「はぁ、涼し……あ、それ終わったら明日置く予定の寄贈本にチップ貼ってくれる?
っていうか貼ったことある? そこの黄色の機械なんだけど。」
カリカリとペンを走らせながら、視線を上げずに指だけで示す。
そこには、釘打ち機にも似た変わった小さな機械が置いてある。何かをセットして、貼り付ける機械のようだ。
「?
いやだから、死なないんでしょ?」
ぼんやりと外を眺めだす加賀智の額に、デコピンを一つ。
■加賀智 成臣 > 「ジョークのセンスは無いってよく言われるもので。
……すいません。今度から気をつけます。
凍死はもうしたくないですし。ええ、二度と御免ですよあんなもん。」
何か寒さに思うところがあるようだ……。
だったらなぜすぐに離れなかったのか、いまいちよく分からない。
「………え?あー、これですか。これチップ貼りに使う機械だったんですね。
…………。触ったこともないですね。」
ぎし、と椅子を軋ませて黄色い機械を目で探す。
「いてっ。」
目で探しだした瞬間に、デコピンが飛んできた。
「イテテ……死なないし死ねないんですよ。分かりますかね?
お先真っ暗な人生が目に見えてたって強制終了出来ないんですよ?キツいでしょこれ。」
■谷蜂 檻葉 > 「センス以前の問題だと思うけど……ま、いっか。
機械は ―――そうそれ。 それに、そこの赤い箱の中からチップを持ち手の下から入れて、バーコードの横に先端を向けて、ばちんってやれば……ああ、うん。まず一回見せるから後は真似してちょうだい。」
眉根を潜ませる加賀智の前に腕を伸ばし、機械を手に取ると手際よくチップを装填し、本を手にとってそれを差し向ける。
『パチャッ』
そんな、トイカメラのような音がしてクリーム色のシールが白黒のバーコードの横に張り付く。
「これで、万が一紛失した場合におおよその位置までは割り出せるわ。……いやまぁこれ剥がされると駄目なんだけど。
まぁ剥がした時はソレはソレでわかるから収集班に連絡が飛んで回収にすぐ向かうんだけど。
ともかく、出来るわよね?加賀智君。」
「それで、ええと……だから死ななくて死ねないんだからお爺さんになるんじゃないの?
それとも、貴方『ピーターパン《永遠の少年》』?」
■加賀智 成臣 > 「あーハイハイ、そうやるんですねハイ。……まあ、はい。大体分かりました。
えー、と?こうか?」
ぱしっ、と音がしてシールが本に貼り付いた。
それを見て、喜ぶ…事もせず、失敗しなかったことを安堵するような表情を見せる。
「ああ、はい。なんとか、ええ。これくらいなら。
……居るんでしょうねぇ、剥がして売ったりする人とか。」
はぁ、とため息を付きながら、ぱしん、ぱしん、と少し遅目のペースでシールを貼っていく。
「さあ?老化するかどうかはわかりません。あと30年くらい経てば分かるんじゃないですかね?
数年前から全然変わってないとは言われますけど。」
■谷蜂 檻葉 > 「ハイは一回で宜しい。 ……ん、じゃあ宜しくね。」
ゆっくりとだが、キチンと仕事はやる加賀智に先ほどとは違う溜息をついて自分の仕事に戻る。
「いやぁ、居ないわよ流石に。 取り敢えず私が聞く範囲では居ないわね。
なにせ数十人居る回収部隊がぞろぞろと首を揃えて来るんだもの。
見たこと在る? 禁書庫の方の大掃除する時とかに彼ら図書館にも来てるんだけど。」
ちなみに、『ボランティア』で回収に回る生徒もいる。
ちょっとした小遣い稼ぎと、スリルを求めに参加する者はそこそこの数が居る。
―――盗み出される大半は、魔術書や禁書の類だからだ。
「ん、あぁ……そういうこと。 まぁ、そんなに悲観するのは10年は早――――
――――ちょっとまって貴方今何歳?」