2016/10/19 のログ
ご案内:「図書館」にノイさんが現れました。
■ノイ > 学園の授業が終わった夕方頃
普段ならば落第街やひと目のつかない場所へ商売へ行くはずなのだが
今日に限りノイは街へ行かずに図書館に向かっていた。
図書館は調べ物をするための場所。
ノイはこの意味をこちらの世界に来て3つめぐらいに知った常識であり
この常識はそれなりに役に立っている。
何しろ今回もその調べ物をするためにここへ来た。
調べ物の内容は人間から見たエルフの見識。
読む本は大体絞り込んでいる。
ロード・ドブ・ザ・リングという作品があり、どうやらこれは門が開く前には存在していた作品で
更にそれにはエルフが登場しているとか。
もしそれが本当ならばノイが調べようとしているものが簡単に見つかる。
図書委員にその本の所在を教えてもらい、適当に席に座り、キャスケット帽は脱がすに本を読み始める……
■ノイ > 暫く読み進めると僅かながら著者のエルフのイメージが掴めてきた気がする。
一つは人間と比べてすぐ違うと分かる外見、長耳であること
これに関してはノイ自身も長耳であり、元いた世界のエルフも長耳である。
もしかすると著者は本当にエルフと遭遇したことがあり、それを元にしてこの作品を創り出した…?
遭遇したことが事実であるならばもっと問題になっている事だろう。
が外見の見た目が一致している事にどこか胸騒ぎを覚えざるを得なかった
一つは不老不死であること。
事実を言うならばノイは不老不死でなければ見た目も老いを見せ始めることもある
しかし、人間の寿命の事を考えればエルフの寿命とも言える1000年は人間にしてみれば不老不死と言えるのかもしれない
一つは弓の扱い。
自然主義のエルフは自然の恵みを得て生活をしている。
狩猟、採集、今の人間と同じ暮らしをしてみて原始的な暮らしだな、とノイはつくづく思う
別にそれが悪いことではないし、その人にあった暮らしをするのは至極当然である。
ただ、ノイにとってはそれを許せず、それ以上に人間に興味を持ってしまったから集落を飛び出しただけである
「…はぁ」
溜息混じりの一息
途中まで読んだ本に栞を挟んで目を休ませている。
ご案内:「図書館」にシング・ダングルベールさんが現れました。
■シング・ダングルベール > 「やあ。ため息が出るほどの難書とは、随分と読み甲斐がありそうだね。」
一方こちらはただの人間。耳は丸く尖っていない。そしてただの同級生だ。
手には乗り物図鑑。児童向けで読みやすく、この世界で育った人間はともかくとして、彼のような異邦人には需要が多い。
必要な内容が簡単な字体で読めるためだ。
「ノイ、隣いいかな。」
青年は目を細める。
■ノイ > 「あはは…私がただ読み慣れてないだけなので…」
本を読むという行為は魔術の参考書を読む事以外はあまりしたことがないのもあるのか
難書と言われれば苦笑い気味に話しかけてきた彼の方へ顔を向ける。
そのついでに見えた本は乗り物図鑑。
なるほど、自分と比べてこちらの世界へ馴染もうとしているのだなとノイは感心している
「知り合いが近くにいた方が心休まるのならばどうぞどうぞ。」
エルフは勤勉家の青年に歓迎の意味を込めて隣のパイプ椅子を引いた。
「シングは良く図書館へ調べ物をしに来るのですか?」
図書館では静かに、というマナーがあるが、このぐらいの質問は良いだろう、と思い彼に問いかける
■シング・ダングルベール > その問いかけに対し、彼は首を縦に振る。
魔法使いを公言する彼にとって知識とは即ち財産であり、図書館は言ってみれば宝物庫のようなものだ。
生まれた世界こそ違えど、彼らのような者たちは大なり小なり学を尊ぶ。
ある種の知識信仰とさえ言えた。
万物への理解を深めることが、まるで自身の存在意義だというように。
という側面も確かにあるものの、今回は"うわあ、いいなあかっこいいなあ! 重機だぜ! でっけええ!"という気持ちが9割でした。
だっておとこのこだから。仕方ないよ。かっこいいもん。
「いやあ、表紙を見ただけで心が躍るよ。できれば脳裏に浮かんだ万の字数を、そのまま言葉として交わしたい。
ここが図書室でなかったら。ここが図書室でなかったらなあ……!」
と非常に残念そうだ。
「そういえば珍しいね。文学書だろう、それ。
誰かにオススメでもされたのかい?」
■ノイ > 「そ、そうなんですか…いや、知識は知識ですし。
何より心を震わす存在というものは大事ですからね」
心を震わす存在。
彼にとって重機がかっこいいと言えるように、ノイにとってかっこいいと言える物があり
それに惹かれるのは何も悪い事ではない。
ただ、時と場所を弁えなければならない。
弁えなければ図書委員より鉄槌が下される
「オススメはされてませんけど、この作品に私の同じ種族であるエルフが登場すると聞いたものでして…
折角なのでこちらの世界の人間のエルフをどう見ているかとか気になってつい手にとってみました」
自分のものではないが読んでいた本を自分のものであるかのように撫でながら本をじっと見つめる。
異世界から来た身としてはここが常世学園としてもやや肩身が狭いと思った事がある。
だからこういう作品でも人間がエルフをどう見て、どう描かれているかは気になるものである
「…シングの世界に、エルフはいましたか?
いたならば、それはどんなエルフでしたか?」
いるとは限らないにしても、問いかけずにはいられないのだろう。
どこか真剣な表情でこの本に問いかけた質問を同じように彼へ問いかける。
■シング・ダングルベール > 「結論から言えば存在しなかった。長命種はいたし、君のように耳の長い種族もいたけどね。
でもエルフという言葉は存在しなかったし、この世界が指すエルフという概念とも遠いものだ。
もしかしたら俺の知らない国ではエルフがいたのかもしれないけれど、そこまで来るとお手上げだ。
それこそ人知れず、集落をつくって隠遁している可能性もあるもんな。」
彼の言葉はノイの希望に沿えなかったかもしれないが、嘘偽りのないものだ。
真摯な眼差しの意図までは読み取れなかったが、思いの強さは伝わっている。
「何か気になることでも?」
差し支えなければ教えてくれないか、と。
何か力になれればと、彼は続ける。
■ノイ > 「言われた通り、人間にしてみれば簡単に見つけれる訳ありませんよね…
エルフだと他の集落は直感で見つけれるので、見落としてしまいました。」
言われてみればエルフは基本的に隠遁生活なのだから人間にしてみればまず普通に見つかるはずがない
その事に気付いた頃には不敵な笑みを浮かべていたが思わず口元を抑えて失礼。と一言だけ。
「…恐らく人間であるこの著者はエルフの存在をどうやって知ったのか。
いえ、エルフだけではなく他の種族もどうやって知ったのか。
お話自体はとても面白いのですが、魔法や特徴が色々一致していて、色々疑わざるを得なくて…うぅん
直感で言ってしまうと何か嫌な予感というかなんというか…」
肘に顎を乗せてうぅん、と唸り声をあげてしまう。
嫌な予感というだけで片付けてしまうが、今のノイにとってはこれぐらいにしか言えない程である
実際に嫌な予感もとい、どこか脳裏がチリチリと焼け焦げていくような感触を感じつつも、ノイは考え続けている
■シング・ダングルベール > 「過去生が現世の記憶に影響を及ぼすという説がある。
何かの記事で見ただけではあるけれど、もしかしたら著者は前世でエルフに縁のあった人だったのかもしれない。
または実は、純粋にエルフが己を偽り記したのかもしれない。
或いは君のご先祖様だったのかも?
今は亡き者に思いを馳せる……なんて、これもある種の浪漫だろうけど、今を生きる人間の悪癖だね。
想像するだけならタダとは言うけれど。」
思い悩むノイとは対照的に、頬杖を突きながら微笑みながら。
「君の言う"嫌な予感"というのが心で理解できれば、深刻そうな顔の一つでも合わせることができるんだけどね。
残念ながら、役立つ知識の持ち合わせはなさそうだ。次会うまでに入荷できれば良いんだけど。」
■ノイ > 「実はこの世界には既に異世界人、もといエルフが住んでてとかそういうのならいいんですけどね…
ご先祖ならばその魂が私に宿っていて~とか…そんな都合の良い話はない、か」
うん、と嫌な予感を自分から振り払うように無理矢理納得させるような頷き方をする。
エルフは長寿なだけあり、それだけ過去になにがあってもおかしくはない種族故にこの悩みなのかもしれない
「予感というものは他の人が簡単に理解出来るほど綺麗なものじゃありませんからね。
だからこそ、予知や予言なんて言うのかもしれません
もし入荷されてしまっていても買取拒否しちゃうかもしれませんね。」
なんてね?と微笑みながら付け加えて本を持って立ち上がる
そろそろ図書委員の視線が痛くなってきたらしい
「私はそろそろこの本を借りて帰るつもりですけど…シングはどうします?
その図鑑借りて異邦人街までは一緒に帰りますか?」
話に合わせてもらいすぎて当の目標である図鑑をあまり読めていない事が気がかりらしく、彼に問いかける。