2016/12/27 のログ
ご案内:「禁書庫」にクローデットさんが現れました。
クローデット > 先日借りた本を返した後、クローデットは禁書庫に足を踏み入れた。
先日、再び起こった「炎の巨人」事件。それを口実に「より強力な鎮圧手段入手のため」という名目で、委員会経由で元素魔術の禁書を閲覧する許可を取ったのだ。
委員会の腕章をつけて禁書庫に乗り込むのもこのためである。

怪異を退けるための退魔装備に身を包み、そのミディアムほどの長さの髪はバレッタで簡易に留められている。
そのバレッタが、精神や魂の質を読み取ることを防ぐ性質のものであると知るには、そういった方面の魔術への熟達が必要だろう。

クローデット > クローデット自身は炎の属性・元素を操るのを得意としているし、その領域であれば既に禁術領域の知識はある(ほとんど使わないが)。
しかし、ただでさえ炎の術式での「鎮圧」は、その対象を生かすことを困難にしてしまうのだ。
なので、今回の勉強はそれ以外の元素が主だ。特に、クローデットの得意分野の反対側にある、「水」が中心である。

(…そう、圧力と温度を同時に極端に高めれば………流石にこれでは「炎」と差別化する意味がありませんか)

…それでも、やはり高みに目をやれば、物騒になるのは避けられないのだが。

クローデット > (…まあ、「あの手」のものの鎮圧であれば、下手に高度な術式をぶつけて事態を混乱させるよりは物量に頼る方が良いのでしょうね。
…あまり美しくはありませんけれど、増幅術式を組み込めば、自前の魔力でもかなりのことが出来ますし)

せっかく得た機会なので、閲覧許可期間をめいっぱい活用するつもりではいるが…実際の場面で使う機会は、あまりないかもしれない。

(表と裏の分断を煽るためには、皆殺しにするのもあまり効率が良くありませんし…)

この学園都市は、「試みの失敗の必然として」破綻しなければならない。
クローデットの思惑は、最近活動を始めた別支部のそれとは完全に別のところにあった。

クローデット > …無論、この発想はかなり独特のところにある。
考えの深さという意味でも、クローデット自身が大切にしたいと考えている「彼女」とのすれ違いすら避けられないだろう。
…そして、そのことに完全に無頓着でいられるほど無神経でいられないのが、クローデットの不幸であった。

(…もう少し…もう少しだけ…
必ず…必ず、お役に立ちますから…)

頭の中に木霊する声に、目を伏せてそう答えるクローデット。

「大切な人」の役に立つためにやりたいことも、勉強したいことも、山ほどある。
けれども、この「声」を聞きながら、どれほどやれるだろうか…と、思った。思ってしまった。

「大切な人」の、すがりつくような悲鳴に対して。

クローデット > (…ごめんなさい…
ひいおばあ様、ごめんなさい…)

心の中で、詫び続けながら禁書を紐解く。

術式の吸収には、いつにもまして時間を必要とした。

ご案内:「禁書庫」からクローデットさんが去りました。
ご案内:「禁書庫」にクローデットさんが現れました。
クローデット > 今日も今日とて、クローデットの勉強は続く。
「公安の職務範囲を広げるため」という建前の、元素・属性魔術の禁術領域の勉強が。

「………。」

黙々と本のページを繰るクローデットの傍には、不自然なほどに怪異の気配がない。
先日とはまた違った白を基調としたワンピースに、深い青のブローチが目立つ。

ご案内:「禁書庫」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > 貴女が居ることを知ってか知らずか,白衣の男は普段通りに書庫へ足を踏み入れる。
火をつけぬまま煙草をその指に挟んで弄びつつ書架を巡り…

「………ほぉ。」

…やがて,黙々と魔導書を読み耽る貴女を見つけるだろう。
しかし,獅南は気配を消そうとしていたわけではない。
足音も聞こえるだろうし,貴女は獅南に気付かれるより先に,その存在を感じ取ることができるかもしれない。

クローデット > 足音で来訪者の存在には気付いたが…クローデットは正当な手続きを経てここにいる。こそこそする必要はない。
…もっとも、何を見ているのかを知られるのはいい気分ではないが。

「…東洋では、煙草は良い魔除けと言われていたとは、聞いたことがございます。

こんにちは、獅南先生」

読んでいた書物を一旦閉じて、新たな禁書庫の客の方を向くことなく、甘やかなソプラノで語りかけた。
その表情は、たおやかながらもどこか不敵さを備えたもの。

獅南蒼二 > まさかこの男に,敵情視察,というようなつもりは無いだろう。
とはいえ,一瞥すれば積まれた本のジャンルくらいはすぐに見て取れる。
そしてその殆どが,かつて獅南も読み漁った魔導書だった。

「そんな大層なものではないさ……医学的に言えば依存症だ。
 いつだったか,古本屋で会って以来だな…相変わらず勤勉なことだ。」

楽しげな笑みを湛えて,獅南は手にしていた煙草をポケットへとしまい込んだ。
その表情は対峙する敵に向けるものというよりもむしろ,有望な生徒に向けるものだっただろう。

クローデット > 元素・属性魔術の禁書が集められた書架の傍にいるのだから、勉強対象自体は分かりきっているだろう。
それでも、クローデットは獅南の前で再度手の中の書物を開こうとはしなかった。

「火をつけていらっしゃらないのですから、分別はおありでしょう?
…もっとも、煙も無しでは魔除けの効果もございませんわね」

くすくすと、禁書を軽く抱える格好をしながらも笑ってみせる。

「そうですわね…こうしてお言葉を交わさせて頂くのは、久しいでしょうか。
…なかなか、講義の前後にお声をおかけする機会にも恵まれなかったものですから」

そう言って、どこか思わしげに目を軽く伏せ、口元には柔らかな微笑を湛えながら…クローデットは、獅南の方に改めて向き直った。

かつてのクローデットと、その所作はさほど差がないように見えるだろう。

獅南蒼二 > 魔導書を開こうとしない貴女を見て,小さく肩をすくめた。
その用心深さも強さの内だろう,そう内心で思いながらも,

「邪魔をしてしまったかな。」

口を開けば皮肉としか取れない言葉。
それが意図的に紡がれたものなのか,それとも素なのかは定かでない。

「お前が私から学ぶようなことなど,もはやありはしないだろう。
 …もし,あるとするのなら,それは講義や演習では学べぬようなことだけだろうな。」

向き直る貴女とは対照的に,獅南は背後の書架に視線を向ける。
数冊の本を指差して,簡易的な浮遊魔法でそれを手元に引き寄せた。

「……で,この膨大な知識でお前は何を為すつもりだ?」

獅南が手に取ったのは防御や対抗魔術,それは貴女の学ぶ元素・属性魔術への対抗手段の定石だ。
それをまるで見せつけるようにしつつ,語勢は気安く貴女に問う。

クローデット > 自己をどのように開示するか…「同志」であった頃からの、二人の間の相違。
それを見せつけながらも、クローデットはたおやかな表情を崩さない。

「図書館の蔵書は学園に携わるもの全てにとっての、共有の知的財産なのですから…今更言い出しても始まりませんわ」

そう言いながらも、クローデットはその書物を元あった棚に戻してしまった。
…が、続く獅南の言葉に、おかしげにくすくすと笑い出して。

「まさか…魔術を探究されてきた時間が違いますもの。
あたくしとて全ての魔術を修めているわけではないのですから…」

クローデットは、超常の力を借りる術式は基本的に不得手だ。
それらから身を守る手法の1つとして、一部はものにしたが。
だから、クローデット自身に謙遜のつもりはあまりなかったし…寧ろ、獅南が「教師」という立場でそのようなへりくだりを「生徒」に見せたことが冗談か何かかと思っているようだった。

…そうして、獅南が防御や対抗魔術に関する書物を手元に引き寄せたのを見ても、クローデットはたおやかさと不敵さを兼ね備えた微笑を崩さない。

「今回禁書庫への出入り許可を取りましたのは、「大規模な異能災害を相殺する術を身につけるため」ですの。
…つい先日も、「裏」の方でございましたから…委員会として、戦力の増強は必要としているかと思いまして」

そうして、「建前」のみを口にする。
身につけた戦力を「委員会」以外の場で使う可能性については、口をしっかりと噤んで。

獅南蒼二 > 獅南は対照的に,本を机に積み重ねる。
無造作に積み重ねているように見えるが,その1冊1冊を魔力障壁で包み,魔導書のもつ魔力が暴走することを防いでいた。

「それもそうだが“建前”と“内実”が相反することは珍しいことでもなかろう?」

そして獅南は今この瞬間のことを描写しながら,貴女の語った“建前”を皮肉った。
そして貴女がおかしげに笑っても,首をわずかに横に振って…

「…時間はお前の前に無限とも言えるほどに広がっている。そして,この場所が全ての知識を与えてくれる。
 変わらぬ努力と研鑽を積み重ねることだ,魔術的な才能を加味すれば,魔術学の分野で私を超えることなど容易だろう。」

そこまで言ってから,獅南は少し考えて…頭を掻いた。
視線を貴女へと向け,貴女が相変わらず微笑を崩さぬのを見て,溜息を吐く。
ポケットから取り出した煙草に,魔力で火をつけて…

「…腹の探り合いもたまには良いが,こう頻繁では面倒でもあるな。」

…煙も臭いも熱も無い,魔力の煙草を吹かしながら,獅南は,笑った。
それから,視線をまっすぐ貴女へと向ける。

「お前が何をしようとしているのか,全てを理解しているわけではない。
 だが,私はどうやら,お前たちとは違う道を歩みだしてしまったようだ。」

防諜の施されていない空間であるがゆえに,明確な言葉を避け…しかし内容は十分貴女へと伝わるよう,直接的に。

「いつか衝突する日が来るかもしれんが,私はその日を楽しみにしている。
 お前が努力と研鑽によって得た力がどれ程のものか,とな。」

煙草を携帯灰皿へと入れて…

「尤も,その道を行くお前の意志がどれほどのものなのか,私は知らんがね。」

クローデット > 無造作な所作の中に、確かに籠められた術式。
建前抜きに、クローデットは獅南の熟練を高く評価していた。

「…確かにそうですが…今のところ、「建前」と「内実」にそう乖離はございませんので」

クローデットの表情は、まだ崩れない。
嘘ではない。クローデットは、この学園都市の「表」と「裏」の乖離に、「破綻」の匂いを感じ取っているのだから。
獅南が「時間」のことを持ち出せば、笑顔を消し、わずかに片眉を動かしたが…それも、一時のことだった。

「…流石に、「時間」が「無限」とは参りませんわね…あたくしだって「ヒト」ですもの。
研鑽を怠るつもりは、ございませんけれど」

獅南が、明確な言葉を避けながらも本音を吐露してなお…クローデットの方は、隠し続けた。

「…仰ることが、よく分かりませんわね。

あたくしは自分で為すと決めたことを為すだけですし、それが獅南先生の「道」と相容れないとは決まっていないと存じますわ。
対等な立場で議論などを闘わせる日が来たなら、それは光栄ですし、楽しみではございますけれど」

そうして、花の綻ぶような笑みすら口元から零してみせた。

クローデットには自覚がないのだ。
何が、自分にとっての「本物」であるのか。